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パナソニック、Firefox OS搭載4Kテレビ発表。55型8Kや4K/HDR BDも披露

 パナソニックは5日(米国時間)、「2015 International CES(CES2015)」のプレスカンファレンスにおいて、Firefox OSを採用した液晶テレビ「CX850シリーズ」などを発表した。また、日本では2月に発売予定のTechnicsブランドのハイエンドオーディオ「R1シリーズ」および「C700シリーズ」を、北米市場で3月に発売することも明らかにした。

Firefox OSを採用した4K対応テレビ「CX850シリーズ」

 VIERAの新製品として、Firefox OSを採用した4K対応テレビ「CX850シリーズ」は、新たな蛍光体技術により色域を広げるとともに、ハリウッドで使用されているスタジオモニターに活用しているカラーマネジメント技術を採用。DCIの色域の98%をカバーすることで、より豊かな色彩表現を可能にしたという。「民生用製品に、こうしたプロフェッショナル技術を導入するのは初めてのことになる」(パナソニック コンシューマー エレクトロニクスのジュリー・バウアー社長)という。

CX850シリーズ
パナソニック コンシューマー エレクトロニクスのジュリー・バウアー社長
CX850シリーズには、プロフェッショナル技術を導入

 パナソニックは、昨年1月に米Mozilla Corporationと次世代スマートテレビに、Firefox OSを搭載することを発表しており、1年を経過していよいよ製品が市場投入されることになる。

 「新たなテレビの操作環境の実現に向けて、この1年、両社は協力してきた。視聴者が好きなコンテンツに簡単にアクセスできる環境が実現できる」(ジュリー・バウアー社長)としている。

 Firefox OSは、同社が2015年に発売する「Life+Screen」を搭載したすべての4Kテレビで利用できるようにするという。

CX850シリーズではFirefox OSを採用し、操作性を高めたという

 また、次世代ブルーレイディスク規格「ULTRA HD BLU-RAY」を採用したブルーレイディスクプレーヤー技術を開発。4KやHDR(High Dynamic Range)などの最新技術に対応した試作プレーヤーをパナソニックブースで展示することも明らかにした。

 新たに設立したUHDアライアンスを通じて、4K UHDに関する規格を標準化。4Kを鮮明な画質で楽しむことができる環境を実現するという。

「ULTRA HD BLU-RAY」を採用したブルーレイディスクプレーヤー試作機

 デジタルビデオカメラでは、4K30pに対応しながら、軽量化を実現した「WX970シリーズ」および「VX870シリーズ」を発表した。

4K対応のビデオカメラ「WX970/VX870シリーズ」

 高速演算処理するクリスタルエンジン4Kの搭載のほか、高速に高い精度でフォーカスする4KハイプレシジョンAFを搭載。静止画でも決定的瞬間を残すことができる4K PHOTOモードも搭載している。民生用デジタルビデオカメラとしては世界で初めて、HDR動画モードを搭載。エンジンの処理能力を高めたことで、映像の明暗差を補正し、見た目に近い自然な映像を残すことができる。

 そのほか、4月に北米市場で発売予定の電子レンジや、7月に発売予定のスロージューサーのほか、グルテンフリーを実現するブレッドベーカリー、ナノイードライヤーおよびスチーマーなどのビューティ商品群などについても説明。DECTをベースにしたコネクテッド・ホーム・ソリューションの取り組みにも言及し、屋外/屋内カメラ、窓に設置するセンサー、タブレットコントローラ、リモート監視機能を提供。1月から発売することを明らかにした。

北米市場に投入する家電製品の数々
Technicsブランドの製品を3月から北米市場で投入するリファレンスクラス「R1シリーズ」とプレミアムクラス「C700シリーズ」

 さらに、鏡の前に座るだけで肌の状況をチェックし、スキンケアのアドバイスをしてくれる「インタラクティブミラー」をパナソニックブースに展示し、メイクアップシミュレーションやメイクナビが提供されることを紹介。「これはギミックではなく、重要な技術ソリューションである」と位置づけた。

コネクテッド・ホーム・ソリューションによってホームセキュリティを実現
すでに発表されているコミュニケーションカメラ「CM1」
パナソニック エンタープライズソリューションカンパニーのジム・ドイル社長

 一方で、パナソニック エンタープライズソリューションカンパニーのジム・ドイル社長は、パナソニックのBtoBビジネスの取り組みについて説明。「ビジネスソリューションは、パナソニックの100年近い歴史の上で築かれたものである。自動車や小売店、スポーツ、アビオニクスといった領域で成果をあげている。テキサスモータースピードウェイでは、ギネスの世界記録認定を受けた2万5000平方フィートのHD LEDビデオボードシステムを導入。ニューヨークのタイムズスクエアのNASDAQのビデオボードもパナソニックが刷新した。今後、この分野に継続的な投資を行なっていく」とコメントした。

 また、55型としては世界初となる8K(7,680×4,320画素)の液晶ディスプレイを開発。IPS-Pro技術によって、1,500:1の高コントラスト、178度の広視野角、120Hzの高フレームレートを実現。BtoBでの利用を想定し、新聞紙面4面を実物大で表示した校正作業や、A1サイズの図面を原寸で表示したCAD作業、医療分野や教育分野での利用が可能になるという。壁掛型とテーブル型の2つの形態で、BtoB利用提案を行なう考えだ。さらに、85型の4Kマルチ動画タッチサイネージを開発した。

ギネスの世界記録認定を受けた2万5000平方フィートのHD LEDビデオボードシステム

 なお、パナソニックブースでは、同社のコーポレートスローガンである「A Better Life, A Better World」 をテーマに、「家電」、「企業向けソリューション」、「車載・デバイス」の3つの分野から、製品、ソリューションを展示する。展示会場の様子を映像で配信する「Panasonic Live@CES2015」も実施する。

パナソニック 常務役員 北米総代表兼パナソニックノースアメリカ会長のジョセフ・テーラー氏

 パナソニック 常務役員 北米総代表兼パナソニックノースアメリカ会長のジョセフ・テーラー氏は、「過去2年間で、パナソニックは大きな変革に取り組んできた。今回のCESではそれらの成果のひとつとして、自動車技術に焦点を当てている。マルチメディアコンソールやフロントガラスに情報を表示するといった技術を紹介しており、フォード、テスラ、ジャガー・ランドローバーとの連携成果がある。そして、自動車用リチウムイオン電池ではナンバーワンのサプライヤーになっている」などとした。

 電気自動車では、テスラの「モデルX」をパナソニックブースに展示。さらに、電動スクーターでは、GogoroのSmartscooterを初公開。電動アシスト自転車の「チタンフラットロードEB」を展示するという。

(大河原 克行)