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57,500円でAtmos/DTS:Xフル対応、デノン史上最強のエントリーAVアンプ

 ディーアンドエムホールディングスは、デノンブランドのAVアンプ新モデル2機種を8月下旬に発売する。価格は「AVR-X2200W」が85,000円、「AVR-X1200W」が57,500円。どちらも10万円以下に抑えながら、Dolby Atmosに対応。DTS:Xにもファームアップで対応できるなど、最新のサラウンドフォーマットをサポートしているのが特徴。

左が「AVR-X2200W」、右が「AVR-X1200W」

 どちらも7.2chのAVアンプ。最大出力は「AVR-X2200W」が185W×7ch、「AVR-X1200W」が175W×7ch。全チャンネル同一構成のディスクリートパワーアンプを搭載している。

 2機種とも、オブジェクトオーディオ技術のDolby Atmosに対応。DTS:Xも無償のファームウェアアップデートによりサポート予定で、対応時期については、決定次第アナウンスするとしている。

「AVR-X2200W」
「AVR-X1200W」

 スピーカー配置は「5.1.2」に対応。2つのハイトチャンネルスピーカーを接続でき、設置場所としてフロントハイト、天井のトップフロント、トップミドル、さらにフロントスピーカーの上などに設置するフロントドルビーイネーブルド、サラウンドドルビーイネーブルドのいずれかを選択可能。

スピーカー配置は「5.1.2」に対応

 ドルビーイネーブルドスピーカーは、天井のトップスピーカーを設置する代わりに、天井に音を反射させるものだが、新たにイネーブルドスピーカーと天井までの距離を90cm〜3.3mの間で入力できるようになった。これにより、ディレイなどのタイミングがより正確に調整でき、「イネーブルドスピーカーをかなり下の方に設置するような環境にも対応できるようになった」(国内営業本部 営業企画室 マーケティンググループ 川北 裕司氏)という。

ドルビーイネーブルドスピーカー
ドルビーイネーブルドスピーカーの設置位置から天井までの距離を入力できるようになった

 なお、オブジェクトオーディオではない既存の音声については「Neural:X」を使い、スピーカーの構成に合わせて最適なアップミックスを行なうという。

 また、サラウンドバックやハイトチャンネルスピーカーを使わない場合は、フロントスピーカーを4チャンネルのアンプでバイアンプ駆動したり、2系統のフロントスピーカーを切り替えて使用できる「A+B」などのアサインが可能。

32bit クアッドコアDSPでオブジェクトオーディオを処理

 AtmosやDTS:Xのオブジェクトオーディオの処理には、高い演算能力が必要となる。上位モデルの「AVR-X7200W」や「AVR-X4100W」では、それに対応するため、アナログ・デバイセズの32bit DSP「SHARCプロセッサ」を4基搭載していたが、「AVR-X2200W」と「AVR-X1200W」では、シーラス・ロジック製のクアッドコアDSPを採用。

AVR-X1200Wに搭載されているシーラス・ロジック製のクアッドコアDSP

 1チップで上位モデルに劣らない処理能力を持っていると同時に、DSPや基板のコストを低減。さらに、1チップ化で省スペースを実現した事で、上位モデルと比べると筐体が小さいエントリーモデルでも、オブジェクトオーディオ対応を実現したという。

HDMI端子は全てHDCP 2.2対応

 AVR-X2200Wは8入力2出力、AVR-X1200Wは6入力1出力のHDMI端子を装備。全ての端子で、著作権保護技術のHDCP 2.2に対応。衛星放送やインターネットを通して配信される4Kコンテンツをパススルー出力できる。

 最大4K/60p/4:2:2/32bitの入力に対応しているが、フロントのHDMI端子は全て4K/60p/4:2:0/24bitまでの対応となる。

 次世代のUltra HD Blu-ray規格で採用される、広色域規格の「BT.2020」や、ハイダイナミックレンジ(HDR)の映像もパススルーできる。

 AVR-X2200Wのみ、SD/HD映像を最大4K(3,840×2,160ドット)にアップスケーリングする機能や、コンポジット/コンポーネント/HDMIの入力映像を、全てHDMIから出力するビデオコンバージョン機能も用意する。

AVR-X2200Wの背面
AVR-X1200Wの背面

無線LAN内蔵で、ハイレゾネットワーク再生

 Ethernetと無線LANを搭載し、無線LANはIEEE 802.11b/g/nに対応。ネットワーク設定はWPS対応により簡単に行なえる。

 DLNA 1.5準拠のネットワークオーディオプレーヤー機能も装備し、新たにDSD/AIFFファイルの再生にも対応した。AIFF、WAV、FLACは最大192kHz/24bit、Apple Losslessは最大96kHz/24bitまでの再生が可能。DSDは2.8MHzまで。FLAC、WAV、DSD、AIFF、Apple Losslessのギャップレス再生もサポートする。

 フロントのUSB端子から、USBメモリなどに保存したハイレゾファイルも再生可能。AirPlay、インターネットラジオの聴取にも対応する。

 Bluetooth 2.1+EDRに準拠し、プロファイルはA2DP 1.2、AVRCP 1.4に対応。対応コーデックはSBC、AAC。対応スマートフォンなどとワイヤレス連携できる。

 iOS/Android向けのリモコンアプリ「Denon Remote App」も用意。ホーム画面のショートカットキーに、使用頻度の高い入力や機能を最大8個まで登録できる。インターネットラジオにも対応する。

 FM/AMラジオを搭載。FMは補完放送にも対応。40局のプリセット登録もできる。

DACとパワーアンプ部

 DACは192kHz/24bit対応のものを搭載。オペアンプには、チップ内部の構成やワイヤリングを見直し、高品質なシリコンウェハを使うことで音質対策を施したオーディオ専用チップを採用している。

 音場補正技術は「Audyssey MultEQ XT」を搭載。付属マイクを使い、スピーカーの有無やサイズ、距離、音量などの基本的な調整値を自動的に設定する。最大8カ所の測定データを解析することで、スピーカーごとの周波数特性の違いは、部屋の反響音などによる悪影響の要因を排除が可能。組み立て式のマイクスタンドも付属する。

 X2200Wのみの特徴として、パワーアンプの初段には、デュアル・トランジスタを採用。初段の差動増幅段に、特性のそろった2つのトランジスタを内包するもので、微小信号の表現力を高め、低域の安定感を向上させた。

 2機種とも、パワーアンプ出力段の保護回路を刷新。パワートランジスタの温度変化をリアルタイムにモニターする事で、従来は存在していた電流リミッタ回路を排除。アンプの瞬時電流供給能力が大幅に強化され、微小信号から大きな信号まで音色を変えずに、余裕のあるサウンドを楽しめるとする。

 電源部のブロックコンデンサには、10,000uFのカスタムコンデンサを採用。大出力時でも安定した電力供給が可能。4Ωスピーカーのドライブにも対応している。

 デジタル電源回路のスイッチング周波数を従来の約2倍とすることで、スイッチングノイズを可聴帯域外へシフトさせ、再生音への影響を排除する機能も装備。デジタル回路用のスイッチングトランスにシールドプレートを追加。電源回路全体をシールドプレートで覆うことにより、周辺回路への干渉も抑えている。

AVR-X2200Wのパワーアンプ部
AVR-X1200Wのパワーアンプ部
デジタル電源回路のスイッチング周波数を従来の約2倍とすることで、スイッチングノイズを可聴帯域外へシフトさせる

 X1200WとX2200Wの違いは、前述のアンプ出力、HDMIの端子数、初段のデュアルトランスミッタ構成など。ビデオコンバージョン機能、アップスケーリング機能もX2200Wのみとなる。パワーアンプ初段のデユアル・トランジスタ構造も、X2200Wのみ。

 X2200Wは、マルチルーム機能もサポート。ゾーン2プリアウトを備えており、メインゾーンが5.1chシステムのときには、使用していない2chのアンプをゾーン2にアサインできる。メインゾーンとゾーン2でそれぞれ個別に入力を選択して再生可能。All Zone Stereo機能を使用すると、メインゾーンで再生中の音楽を同時にすべてのゾーンで楽しめる。

AVR-X2200WとAVR-X1200Wの機能差
スピーカーターミナルは色分けされ、接続時にわかりやすくなっている

 HDMI以外の入力端子は、X2200Wがコンポジット×2、コンポーネント×1、アナログ音声×4、光デジタル音声×2。出力はサブウーファプリアウト×2、ゾーンプリアウト×1、ヘッドフォン出力×1も搭載する。X1200Wの入力は、コンポジット×2、アナログ音声×2、光デジタル音声×2。出力はコンポジット×1、サブウーファプリアウト×2、ヘッドフォン出力×1。

 消費電力と外形寸法、重量は、X2200Wが500W(通常スタンバイ時0.1W)、434×339×167mm(幅×奥行き×高さ)、重量は9.4kg。X1200Wは430W(通常スタンバイ時0.1W)、434×339×151mm(幅×奥行き×高さ)、重量は8.5kg。

AVR-X2200Wのリモコン
AVR-X1200Wのリモコン

音を聴いてみる

 どちらのモデルも10万円を切りながら、AtmosとDTS:Xの両方に対応できる注目度の高いAVアンプだ。特に注目は、57,500円の「AVR-X1200W」だろう。

 マーケティンググループの川北氏によれば、上位モデルのユーザーを対象に行なったアンケートで、オブジェクトオーディオとHDCP 2.2に対する期待が非常に高かった事や、オブジェクトオーディオではクリエイターの制作意図をユーザーの再生環境に合わせて、正確に表現できる事から、上位モデルだけでなく、エントリーを含めた全ラインナップにおいて、AtmosやDTS:Xへの対応にこだわったという。

 気になる音のクオリティだが、エントリーユーザーの環境を想定し、天井のスピーカーを使わず、ドルビーイネーブルドスピーカーを用いてAVR-X1200Wを試聴。「シカゴ」Atmos版などを聴いてみると、エントリーモデルとは思えない、低音がシッカリとしたサウンドが楽しめる。

 Atmosならではの包囲感の良さもバッチリで、細かな音の定位、移動感も明瞭だ。試聴室は天井が二重になっており、強固であるため、反射させた上空からの音も聴き取りやすい。大音量でも中低域がやわにならず、分解能を維持したまま、迫力が増す。Atmosの良さをキッチリと味わえるAVアンプだと感じる。

 X2200W+トップスピーカーに切り替えると、クラスが1つ上がっただけあり、低域の沈み込みがより深くなると共に、中高域の分解能もアップ。細かな音がより聴き取りやすくなる。機能面では大きな違いはないX2200とX1200だが、細かな部分ではROHMのボリュームを採用したり、パーツの組み合わせを変えたりと、基本的なアンプとしての音質により磨きがかけられており、そのクオリティは瞬時に聞き分けられるほどの違いがある。

 映画だけでなく、例えばネットワーク再生機能でハイレゾ音楽を楽しむなど、オーディオ寄りな活用もしたいという場合は、X2200のサウンドも体験してみると良いだろう。

(山崎健太郎)