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エプソン、レーザー光源で25,000ルーメンの4K相当プロジェクタなど
(2016/3/14 19:08)
エプソンは、レーザー光源を利用した高輝度3LCDプロジェクタ6機種を含む、常設向けのビジネスプロジェクタ11機種を5月下旬より順次発売。新開発のレーザー光源で、3LCDプロジェクタとして世界最高の輝度25,000ルーメンを実現する「EB-L25000U」は12月に発売する。価格は未定。
レーザー光源を採用したモデルは、EB-L25000Uと「EB-L1000シリーズ」5機種。パネル解像度はWUXGAで、画素シフト方式による4K相当表示「4Kエンハンスメント」に対応。大会議室やコンサートホール、講堂などの広い空間での利用を想定している。内蔵カメラによる自動画質補正機能も備える。レンズは別売。なお、EB-L1000シリーズは6月より発売される。
ランプ光源を採用し、3LCDモデルより価格を抑えた「EB-G7000シリーズ」5モデルは5月下旬より発売する。各シリーズの詳細は後述する。
4Kの最上位「EB-L25000U」。内蔵カメラで複数台の自動画質補正も
EB-L25000Uは、レーザー光源に無機素材の蛍光体を採用し、無機の液晶パネルや偏光板と組み合わせて輝度25,000ルーメンを実現。光学部品に無機素材を採用して安定稼働を追求し、耐久性も向上したことで2万時間のメンテナンスフリーを可能としている。パネル解像度はWUXGAで、コントラストは250万分の1。レンズは別売で、4K対応レンズや超短焦点レンズなどが用意される。
オランダ・アムステルダムで2月に開催された見本市「ISE 2016」において初展示されたモデル。今回、国内での発売時期などが決定した。
電動フォーカス/ズーム/レンズシフトの各機能を備え、全方位360度設置に対応する。また、独自開発の内蔵カメラによる自動画質補正機能を備え、設置調整時間の短縮を図れるとする。
従来はプロジェクタの設置業者が投映画像を一眼カメラなどで撮影して、それを見ながら色合せを行なう手間がかかっていたが、これをプロジェクタ側で自動的に行なえるようになる。内蔵カメラは通常のカメラとは異なり、投映した映像の色分布などを識別。接続された複数台の投写映像を、ソフトウェアによる画像処理などによって色の差を同時に自動補正する。
さらに、4Kエンハンスメント機能も搭載。'15年発売のホームシアタープロジェクタ「EH-LS10000」で採用していたものと同じ仕組みで、パネル解像度は1,920×1,200ドットのWUXGAで、4K信号入力対応。画素ずらし技術で1画素を斜めにシフトさせ、時分割駆動で縦横の解像度を実質2倍にすることで4K相当の映像投写を実現する。メニューから同機能をOFFにしてフルHD投写にもできる。
レーザー式「EB-L1000シリーズ」とランプ式「EB-G7000シリーズ」。超短焦点レンズも
高輝度3LCDプロジェクタ「EB-L1000シリーズ」はすべてWUXGAパネルを備え、コントラストは250万分の1。いずれも電動フォーカス/ズーム/レンズシフトを備え、全方位360度設置や内蔵カメラによる自動画質補正、4Kエンハンスメントに対応する。
価格はオープンプライス。店頭予想価格は、輝度12,000ルーメンの「EB-L1505U」、「EB-L1500U」が10月発売で、250万円前後。その他の3モデルは6月発売で、8,000ルーメンの2モデルのうち、「EB-L1405U」は160万円前後、「EB-L1300U」は130万円前後。6,000ルーメンの「EB-L1100U」は110万円前後。いずれもレンズは別売。
ランプ光源を採用し、価格競争力を高めたという「EB-G7000シリーズ」は5月下旬より発売。コントラストは5万分の1。電動フォーカス/ズーム/レンズシフトを備え、全方位360度設置に対応する。EB-G7900UとEB-G7400Uは4Kエンハンスメントにも対応する。
価格はオープンプライスで、店頭予想価格はUXGAパネル搭載で輝度7,000ルーメンの「EB-G7900U」が85万円前後。WUXGAパネルで5,500ルーメンの「EB-G7400U」と、WXGAパネルで7,200ルーメンの「EB-G7200W」が、各73万円前後。WXGAパネルで6,500ルーメンの「EB-G7000W」と、XGAパネルで8,000ルーメンの「EB-G7800」が各60万円前後。いずれも標準レンズが付属する。
3LCDモデルの一部と、ランプ光源モデルで利用できるオプションのレンズとして、「ゼロオフセット超短焦点レンズ」(ELPLX01)を用意する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は未定。対応モデルはEB-L1505U/L1500U/L1405U/L1300U/L1100Uと、EB-G7000シリーズ。
プロジェクタ本体を天井から吊った状態で装着し、投写距離1mで134型画面を投映できるレンズ。投写距離比は0.35。潜望鏡のような形状をしており、プロジェクタのレンズ部に装着して利用する。
そのほか、全18種類のオプションレンズもラインナップ。プロジェクションマッピングやデジタルサイネージなど、さまざまな用途に合わせて利用できる。
「2020年には高光束領域でのシェアNo.1を狙う」
エプソン販売 代表取締役社長の佐伯直幸氏は、2014年のビジネスプロジェクタ市場におけるエプソンの販売台数シェアは60%を超え、20年連続で国内シェアNo.1を達成したことを説明。
大会議室などで使う高光束モデルの市場については「まだ2番手だが、年10%の成長が見込める市場」(エプソン販売の蟹澤啓明氏)。文部科学省が発表した政策の中では、2020年に電子黒板やプロジェクタなどのデジタル教材をすべての教室で活用できるようにすることを目標に掲げており、文教分野などを中心に、室内の明るさを落とさずに使える高光束モデルの需要があるという。
佐伯社長は「'16年の高光束プロジェクタのシェアは、対前年比4ポイントアップの22%を目指す。'20年には高光束領域でのシェアNo.1を狙っていく」と述べた。なお、エプソンでは輝度4,000ルーメン、重量5kg以上のプロジェクタを高光束モデルと位置づけている。
今後の販売戦略については、大学や企業、ミュージアムなどに加えて、イベントやコンサートなどでの利用をターゲットとし、3年間、もしくは20,000時間の無償保証がつくことを強みとして訴求。パネルや光源などコア技術の開発から、製品完成までを一貫した垂直統合で行ない、安定稼働と高耐久性を最重視したモデルを開発・市場投入することで顧客の要望に応えるとした。