ソニー、世界初の裏面照射CMOS搭載デジタルカメラ

-手持ちで夜景。720p撮影も可能。カメラマンロボも


Party-shotの上に新製品のコンパクトデジタルカメラ「DSC-WX1」を乗せたところ

9月4日より順次発売

標準価格:オープンプライス

 ソニーは、裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R」を搭載した世界初のデジタルカメラ「DSC-WX1」と「DSC-TX1」の2モデルを発売する。価格はオープンプライス。発売日と店頭予想価格はスリムな「TX1」が9月4日で43,000円前後、多機能な「WX1」が9月18日で40,000円前後の見込み。

 さらに、「DSC-WX1/TX1」を搭載すると、顔/笑顔認識機能を活用し、自動的に被写体を探して回転し、撮影もしてくれるカメラマンロボット的なアクセサリ「Party-shot」(IPT-DS1)も9月4日に発売する。価格は14,910円。


■ DSC-WX1/TX1

 ソニーは2月に、HDD内蔵ビデオカメラの「HDR-XR520V」と「HDR-XR500V」で、裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R」を初搭載。8月10日にはメモリモデルも発売する。今回発表された「DSC-WX1/TX1」は、同じ裏面照射技術を使った初のデジタルカメラであり、従来のコンパクトデジカメと比べ、高感度ノイズが大幅に少ない写真が撮影できる。

 従来の表面照射型CMOSセンサーでは、受光部(フォトダイオード)の上に配線やトランジスタなどの回路が重なることで、単位画素に入る光量が少なくなり、暗所撮影で増感によるノイズが増えるという欠点があった。そこで、感光部が配線回路の上面にくるようにした裏面照射構造を採用することで、感度を従来CMOSの約2倍に高めている。

 さらに、CMOSの高速読み出し特性を活かし、一度のシャッターで6枚の高速連写を行ない、その画像を自動で重ね合わせて1枚の絵を合成。撮影時に記録されるランダムノイズを、画像を重ねることで平準化し、低減。暗所撮影時のノイズを従来の半分にできるという「手持ち夜景モード」も装備。前述の「Exmor R」の効果を組み合わせることで「ノイズが1/4になり、暗いところが4倍キレイになる」(ソニー)としている。ディティール情報を効果的に残し、ノイズリダクションをかけ過ぎなくても良いため、色味も鮮やかに残せるという。

  同様に6枚の画像を重ねる「人物ブレ軽減モード」では、動いている人物と、背景に対してそれぞれ異なる重ね合わせ処理を行なうことで、手ブレと被写体ブレを抑えた人物撮影が行なえるという。

 搭載する「Exmor R」の仕様は2機種共通で、サイズは1/2.4型。総画素数は1,060万画素、有効1,020万画素。画像処理エンジンにはBIONZ(ビオンズ)が使われている。両機種ともISO感度は160/200/400/800/1600/3200が設定できる。

● DSC-WX1

 WX1は、金属感を前面に出したデザインが特徴で、カラーはシルバー、ゴールド、ブラックの3色。表面はサテンブラスト加工、レンズ部には光沢のレンズリングを配し、レンズを強調するデザインになっている。

シルバーモデル。表面はサテンブラスト加工3色のカラーバリエーションを用意しているレンズ部に光沢のリングを配し、レンズを強調するデザインを採用

 レンズはソニーのGレンズで、焦点距離は35mm換算で24~120mmの光学5倍ズーム。F値は2.4~5.9。光学式手ブレ補正機能も備えている。CMOSのExmor Rを採用したことで、秒間10コマの高速連写が可能。レンズ中央部の歪みの少ない部分だけを使い、カメラをスイングさせながら短冊型の画像を最大100枚高速連写し、画像を繋ぎ合わせることで、最大256度のパノラマ写真も撮影できる。

 MPEG-4(拡張子.mp4)の動画撮影にも対応。ファイン(1,280×720/約30fps/9Mbps)、スタンダード(1,280×720/約30fps/6Mbps)、VGA(640×480/約30fps/3Mbps)のモードが選択できる。なお、動画撮影時は6枚の画像を重ねる手持ち「夜景モード」は利用できないが、「Exmor Rにより夜景もクリアに動画撮影できる」(ソニー)という。

背面。液晶モニタは2.7型、クリアフォト液晶プラススイングさせながら最大100枚撮影し、画像をつなぎ合わせて256度のパノラマ写真も撮影可能

 ほかにも、8つのシーンを自動認識する「おまかせシーン認識」機能や、顔検出機能「顔キメ」、笑顔を検出してシャッターを切る「スマイルシャッター」など、おまかせ機能が充実。シーンセレクションにはペットを驚かさないよう、フラッシュをOFFにした「ペットモード」を新設している。

 液晶モニタは2.7型、23万画素のクリアフォト液晶。メモリースティックDuoスロットを装備。外形寸法は90.5×19.8×51.8mm(幅×奥行き×高さ)。重量は本体のみで約120g、バッテリやメモリースティックなどを含めると約149g。

● DSC-TX1

 最薄部14.1mmのスリムなデザインが特徴。カラーリングはブルー、シルバー、ゴールド、グレー、ピンクを用意している。レンズはカールツァイスのバリオ・テッサーで、35mm換算で35~140mm。F値は3.5~4.6。

ピンクモデル。14.1mmの薄型筐体が特徴

 23万画素、3型ワイドの液晶モニタで、クリアフォト液晶プラスを採用。タッチパネルとなっており、同社従来比約2倍の強度を持つ強化ガラスを採用。アイコンを主体とした直感的な操作性を実現しており、よく使う機能のアイコンを撮影画面にドラッグ&ドロップで配置し、カスタマイズできる。

 撮影画像の表示では、指で左右になぞることで、次の画像や、前の画像に移動したり、サムネイルの一覧表示画面を上下に指でスクロールすることも可能。

 MPEG-4(.mp4)の動画撮影も可能で、WX1と同じ撮影モードを用意。メモリースティックDuoスロットを装備。外形寸法は93.8×16.5×58.2mm(幅×奥行き×高さ)。重量は本体のみで約119g、バッテリやメモリースティックなどを含めると約142g。

液晶モニタは3型ワイド。タッチパネルで、画像の送り/戻しなどが指先の直感操作で行なえるカラーリングはゴールド、シルバー、ピンク、ブルー、グレーを用意

オリンパスのE-P1とDSC-WX1の比較両機種とも水深40mまで対応できる防水ケースを用意する。写真はWX1用の「MPK-WEB」写真のレザーカバーやポリカーボネートのキャリングケースなど、様々な周辺機器も展開される


■ Party-shot

Party-shotにTX1を乗せたところ
 DSC-WX1/TX1を搭載し、自動撮影が行なえる新しい周辺機器で、テーブルなどに設置して利用する。円形のクレードルのような外観で、底面の台座が回転。カメラも前後にチルトし、カメラの顔認識、笑顔検出機能を用いて被写体を追い、シャッターを切る。撮影頻度は指定できるが、追う被写体や、どのような写真を撮影するからParty-shotに任せることになる。

 「子供や家族の撮影時に、カメラマン役の父親が写真に入れない」、「飲み会やパーティーなどでカメラを持つ人が写真に入れない」といった現象が防げるほか、機械が自動で撮影するため、カメラ目線ではない自然な表情や、意外な一瞬、楽しい雰囲気などを残せるという。

 単純に顔認識をしてシャッターを切るのではなく、認識した顔が小さければズームして大きくしてから撮影。左を向いていたら、構図的に左部分に余白が多い方がバランスが良いと判断し、人物を画面右に配置してシャッターを切るといった、構図やタイミングを考慮したアルゴリズムに沿って撮影してくれる。

 単3アルカリ電池2本を使用した場合、約11時間の動作が可能。メニューボタン(一時停止と兼用)を押すと、パン回転角度制限(無制限/180度/90度)や、撮影頻度(高/中/低)、フラッシュ(オート/OFF)が設定可能。本体に液晶は備えていないが、TXではカメラの液晶で設定可能。WX1はカメラ側で設定した値に従う。パン角度は無制限。最大チルト角は+24度/-21度。底面に三脚穴も備えており、三脚の上に設置することもできる。

 なお、動画撮影には非対応で、カメラを充電する機能や、PCと連携させる機能は備えていない。そのため、クレードルの代わりとして使用することはできない。コンポジット出力を備えており、Party-shotがとらえている映像をテレビに出力する事は可能。別売のACアダプタ(AC-LS5A/3,675円)でも動作できる。また、シャッターに顔検出を利用しているため、人間以外のネコなどのペットは撮影できない。

 外形寸法は128×118×34mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は175g(電池含まず/ベース1個、プレート1個含む)。Party-shotとデジカメ、予備バッテリ、小型三脚などを一緒に入れて持ち運べる専用ケース「LCS-PSA」も3,150円で発売する。


 

底面。設置されたことをセンサーで検知して回転するため、持ち上げると動きは止まる。三脚に設置した場合は継続して動き続けるACアダプタに加え、単3電池2本を使用。アルカリでは約11時間の動作が可能
背面の端子部。専用ケーブルを介してコンポジット出力が可能カメラと共に持ち歩ける、専用ケースも別売される


(2009年 8月 6日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]