【IFA2009】“LED TV”を全面展開するSamsung
-LGはBorderless TVと有機ELを訴求。21:9液晶も
IFA 2009では、SamsungやLG、Philipsなど、欧州市場においてAV機器で高いシェアを持つ各社も大規模なブース展開を行なっている。
「LED TV」を全面的にアピールするSamsungなど各社がテレビの上位モデルとなるLEDバックライト搭載モデルを訴求。LGは超薄型のBorderless TVを、Philipsはシネマスコープサイズの56型液晶テレビ「CINEMA 21:9」をアピールするなど、各社が最新製品の魅力を訴えている。
■ LED TVを全面展開するSamsung
LED TVを全面展開するSamsungブース |
Samsungは、「LED TV」をキーワードに大規模なブース展開。LED TVといっても、大規模展示などで使われる大型ディスプレイのようなLEDのドットで絵を作り出す方式ではなく、バックライトとして従来のCCFL(冷陰極管)に変わり、LEDを採用した製品のこと。
つまり、LEDバックライトを採用した液晶(LCD)テレビなのだが、Samsungは1月のCESを皮切りに、「LED TV」という名称でプロモーションを行なっており、店頭や交通広告などでもLED TVを訴求している。すでにSamsung以外のメーカーもLED TVの呼称を積極的に使用するようになっており、欧州においては“液晶テレビの高級モデル”として積極的にLED TVが使われるような状況になりつつあるようだ。
Samsungでは、Series8/7などの最新のLED TVを展示。さらに、LED化に伴うバックライト制御技術や高画質化回路、コントラスト性能、動画応答性能などもアピールしている。
LED TVのSeries 8 | LED採用によるコントラスト性能向上などをアピール |
また、82型/3,820×2,160ドットのLED TVも展示。その高精細さをアピールしている。液晶シャッターメガネを使った3Dテレビも展示。ゲームプレイのデモも行なわれている。31型や14型の有機ELディスプレイも展示。基本的にはCESと同じものという。
3,820×2,160ドットの82型LED TV | 3Dのゲームデモ |
31型有機ELテレビ | 14型の有機EL | 薄さをアピール |
Blu-ray Discプレーヤーは、シアターセットとしての提案が目立つ。デジタルアンプとBDプレーヤーを内蔵した2.1chシアター「HT-BD7200」シリーズのほか、テレビの下に設置できる“サウンドバー”型の「HT-BD8200」も発売している。
HT-BD8200は、バーの中央にBDドライブを搭載し、40型台のテレビにフィットするという薄型の筺体に、BD再生やフロントスピーカーの機能を集約。サブウーファと合わせて2.1chシステムを簡単に構築できる。
HT-BD8200 | HT-BD8200の利用イメージ | HT-BD7200 |
YP-M1シリーズ |
また、オーディオプレーヤーも多数新製品を発表している。
「YP-M1」は、3.25型の有機ELディスプレイを採用したオーディオプレーヤー。DivXやMPEG-4 AVC/H.264、MPEG-4などのビデオ再生や、MP3/WMA/WAV/FLAC/OGGなどの再生にも対応する。Bluetoothも装備。microSDによるメモリ拡張も可能となっている。メモリ容量は8/16/32GBを用意し、価格は259ユーロから。
「YP-R1 BEAT DJ」は、2.6型/400×240ドット液晶を搭載し、MPEG-4やDivX、XviD再生などにも対応するオーディオプレーヤー。特徴となるBEAT DJ機能は、再生中の音楽に対して、リアルタイムにスクラッチや各種エフェクトを適用できるというもの。高音質化機能のDNSeも搭載している。内蔵メモリは8/16GBで、8GBモデルの価格は149ユーロ。
「YP-R0」は、2.6型液晶を搭載し、MPEG-4再生も可能なビデオ対応モデル。4/8/16GBモデルが用意され、microSDカードによるメモリ容量拡張も可能となっている。10月に発売し、価格は119ユーロから。
YP-R0シリーズ | YP-R1 BEAT DJシリーズ |
■ LGはボーダレステレビや15型有機ELを発表
ボーダレスTVをアピールするLGブース |
LGブースで非常に大きなスペースを割いてアピールされているのが、「ボーダレスTV(Boraderless TV)」と呼ぶ、新しいテレビシリーズ。SL9000/8000の2シリーズで展開する。
特殊なモールディング技術やフィルムラミネート技術により、“宙に浮く1枚の板のような”デザインを実現したことが特徴。LEDバックライトの採用により、SL9000シリーズは3cm、SL8000シリーズは2.6cmという最薄部を実現している。
SL9000シリーズは、47/42型で120Hz駆動に対応し、コントラスト300万:1を謳う。SL8000シリーズは47/42/37/32型で240Hz駆動し、コントラスト15万:1をアピールしている。また、YouTubeなどのネットワーク機能や、Bluetoothを搭載し、キーボード操作を可能とするなど、操作やコンテンツのボーダレス化も狙ったとしている。
SL9000シリーズ | 段差の全くない前面デザインが特徴 |
15型の有機ELテレビも発表 |
15型で厚み3mmという有機ELテレビも出展している。解像度は1,366×768ドットで、応答速度0.004msを謳う。消費電力は30W。今回の製品は試作機だが、ほぼ同仕様の有機ELテレビを韓国で年内に発売する方針としている。
解像度は1,366×768ドット | 厚みは3mm |
テレビ関連では、Magic Motion Remote Controlのデモも実施。動きセンサーを内蔵した棒状のリモコンで、棒を振ったりねじることで、OSDの操作を行なうというもので、新しいテレビの操作法としてアピールしていた。
Magic Motion Remote Controlのリモコン | リモコンを“振って”OSDを操作する |
また、BDプレーヤーを内蔵したサウンドバー型シアターシステム「HLB54S」も発売。価格は799ユーロ。
本体中央にスロットイン型のBDドライブを搭載。さらに、4.1ch/合計430Wのデジタルアンプを内蔵しており、一台でBlu-ray Discの音声が楽しめることが特徴。ドルビーTrueHDや、DTS-HD Master Audioのデコードも可能となっている。
iPod用Dockも備えており、iPodの音楽も再生できる。また、2系統のHDMI入力と1系統のHDMI出力端子を装備しており、CEC機能SIMPLINKも搭載。無線LANも内蔵しており、BD-Liveにも対応する。
無線LANやYouTube再生機能、7.1chアナログ音声出力も装備したBDプレーヤー「BD390」も発売している。そのほか、3D関連では、プロジェクタやプラズマテレビ、液晶テレビも出展している。プラズマはアクティブシャッターメガネを採用したフレームシーケンシャル方式、液晶は偏光メガネを使った方式となっている
HLB54Sの利用例 | HLB54S | BDプレーヤーの新モデル「BD390」 |
60型PDPはフレームシーケンシャル方式 | 液晶は偏光グラスを採用している |
■ Philipsは、シネスコ液晶などを展示
Philipsブース |
Philipsは、シネマスコープサイズの表示が可能な液晶テレビ「Cinema 21:9」や液晶テレビ「9700シリーズ」などを展開。Cinema 21:9については、専用のシアタールームを設けてアピールした。さらに、偏光メガネを使った3D上映も実施。3Dをシネマスコープサイズで体験可能としていた。
Cinema 21:9 | 専用シアタールームでデモを実施 |
Cinema 21:9の3Dデモも |
BDP9500 |
Blu-ray関連では、BDプレーヤー最上位モデル「BDP9500」を発表。3mm厚のアルミパネルやQdeo製のビデオプロセッサを搭載し、画質の向上を図っているほか、アナログ7.1ch出力も装備。オーディオDACも各チャンネル独立24bit/192kHzのバーブラウン製のものを採用している。ミドルレンジの「BDP7500」もカラーバリエーションを用意してアピールしている。
サウンドバータイプのBlu-rayプレーヤー内蔵サウンドシステム「HTS8161B」も展示。フロントスピーカーと、サブウーファだけで、BDの音声を楽しめるシステムで、ドルビーTrueHDやDTS-HD Master Audioにも対応。別売のDockを接続することで、iPodも利用可能となる。
BDP7500 | HTS8161B |
GoGear Muse |
オーディオプレーヤーは、ノイズキャンセル機能を搭載した「GoGear Muse」を発表。3型/320×240ドット液晶を搭載し、MPEG-4 AVC/H.264やMPEG-4、WMVなどのビデオ再生にも対応。MP3/WMA/FLAC/OGGなどの再生も可能となっている。メモリ容量は16GB。音楽再生時のバッテリ駆動時間は約24時間。重量は96g。
(2009年 9月 8日)
[AV Watch編集部 臼田勤哉]