「Hi-End Show Tokyo 2009」でヘッドフォン関連の新製品

-ゼンハイザーの低価格4機種。アンプも多数


会場である交通会館の12F ダイヤモンドホール

会期:10月9日~11日

会場:東京・有楽町
    交通会館  12F ダイヤモンドホール 

入場料:無料

12階のエレベーターホールなどは改装され、落ち着いた雰囲気になった
 オーディオメーカーと輸入商社などが参加する展示・試聴イベント「Hi-End Show Tokyo 2009 Autumn」が9日、東京・有楽町の東京交通会館で開幕した。期間は10月9日~10月11日までの3日間。入場は無料。


■ ヘッドフォン/イヤフォンの新モデル

 ゼンハイザー・ジャパンのブースでは、ヘッドフォン新モデル4機種を参考出品している。「IFA 2009」などでも展示されていたもので、日本では10月下旬からの発売を予定している。

ハイエンドモデル「HD800」も注目を集めるゼンハイザーブース
 「HD448」(想定売価9,000円前後)、「HD438」(同8,000円前後)、「HD428」(同7,000円前後)、「HD418」(同6,000円前後)と、同社ヘッドフォンでは低価格のラインナップ。「ゼンハイザーの音をより多くの人に、手軽に楽しんでもらう事を目指した」という。

 一見すると、ハウジングにメッシュが施されたゼンハイザーお馴染みのオープンエアーのヘッドフォンに見えるが、実は密閉型。メッシュに見えるのはそのようにデザインされたハウジングであり、「価格帯や電車内での使用を考え、密閉型を採用している」とのこと。“デザイン面でも上位機種の雰囲気を楽しめる入門モデル”と言えそうだ。 

 いずれも入力はステレオミニで、HD448のケーブルは1.4m。1.6mの延長ケーブルが付属する。HD438のみケーブルが着脱可能で、1.4mと3mのものを交換できる。HD428は3m。HD418は1.4m。なお、低価格なシリーズとしては「HD238」、「HD228」などのコンパクトなシリーズがあるが、こちらも併売される。

HD448HD438HD428
HD418438のみケーブルが着脱可能HD428は3mのケーブルを装備している

 米GRADOの総輸入代理店であるナイコムのブースでは、日本での発売が開始されたばかりの、GRADO初のカナル型イヤフォン「GR8」が展示中。「PS1000」や「RS 1i」などを試聴することもできる。

GRADO初のカナル型イヤフォン「GR8」「PS1000」や「RS 1i」などを試聴することもできるナイコムブースではMITの新ケーブルなども展示

【10月7日】イー・エム・エー、米GRADO初のカナル型イヤフォン
-28,000円。「Moving armature」採用
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20091007_320157.html


 

■ ヘッドフォンアンプ

 FireStone Audioの製品を扱っている横浜ベイサイドネットのブースでは、バッテリを内蔵したヘッドフォンアンプ「Fireye 1」(オープンプライス/実売9,870円前後/ボリューム非搭載)などを展示。同じくコンパクトな筐体を採用したヘッドフォンアンプ(ボリューム搭載)で、バッテリは内蔵しないがUSB DAC機能を装備し、ノートPCなどとの組み合わせを想定した「Fireye 2」(オープン/実売11,760円前後)も展示している。

 さらに、新製品の据え置き型の小型ヘッドフォンアンプ「Fubar4 Plus」(オープン/実売45,150円前後)も展示。DACも内蔵し、USB、光デジタル、同軸デジタル入力を装備。サンプリング・レートはUSBが16bit、32kHz/44.1kHz/48kHzに、S/PDIFは24bit/96kHzまでサポート。内部で192kHzへアップ・サンプリングして処理を行なっている。

 さらにアナログ(RCA)音声出力も備え、単体DACとしても使用できるという多機能さが特徴。使用OPアンプはUSBが「CMedia-CM108」、DACが「Cirrus-CS4344」、レシーバが「TI-DIR9001」、ASRCが「TI-SRC4192」、LPFが「NS-LM4562」、メインアンプが「NS-LM4562」、サーボアンプが「TI-TL072」。

ポータブルヘッドフォンアンプの「Fireye 1」(左)、右はUSBDAC内蔵のコンパクトなヘッドフォンアンプ「Fireye 2」左が多機能な小型ヘッドフォンアンプの「Fubar4 Plus」「Fubar4 Plus」の背面。小型ながら豊富な入力を誇る

 また、前モデル「Fubar4」の、「2009クリスマス スペシャルバージョン」も参考展示。筐体上面にイラストが描かれ、ケースもクリスマス仕様になっているのが特徴。27,300円で予約を受け付け、配送は12月中旬を予定。クリスマスバージョンの発売をもって「Fubar4」の販売は終了になるという。

 さらに、参考出品として「Mass リモート プリアンプ」も展示。TIのデジタルボリューム「PGA2310」を採用したコンパクトなプリアンプで、リモコン操作も可能なのが特徴。予定販売価格は4万円前後の見込み。同社の小型デジタルアンプ「BigJoe2」などとの接続も想定されている。

Fubar4のクリスマス スペシャルバージョンのパッケージ左写真のクリスマススペシャルバージョンの筐体は赤味の強いゴールドだが、実際には写真のシルバー筐体になるという右が参考出品されたプリアンプ「Mass リモート プリアンプ」
「Mass リモート プリアンプ」の背面PCからソフトウェアで制御する4ウェイ用のマルチチャンネルデジタルオーディオプロセッサも展示。サウンド補正システムも備えているのが特徴

 フルテックのブースでもヘッドフォンアンプ「GT40 USBDAC」を参考展示している。年末の発売を予定しており、価格は4万円程度になる見込み。24bit/96kHzに対応するDACも備えたヘッドフォンアンプで、光デジタル入力とアナログ音声(RCA)を各1系統装備。出力も光デジタル、アナログ音声(RCA)を各1系統用意する。

 同社では“ハイエンドオーディオグレードのUSBケーブル”として、メイン導体に28AWG純銀メッキのα-OCCを使うなどした、「GT-2 USB」ケーブルシリーズを発売している(価格は60cmで8,400円~)。イベントでは試作ヘッドフォンアンプに、同USBケーブルを接続してデモを行なっている。

フルテックのヘッドフォンアンプ試作機背面端子部。光デジタルの入出力を備えているハイエンドオーディオグレードのUSBケーブルシリーズも出展


■ トライオード

 トライオードのブースでは、2010年初頭の発売を予定しているスペンドールの新スピーカー4モデルを紹介している。2ウェイブックシェルフの「SA1」(ペア252,000円)、15cmウーファを備えた3ウェイ3スピーカーフロア型「A5」(ペア294,000円)、18cmウーファを採用した2ウェイのフロア型「A6」(ペア378,000円)、さらにハイエンドの「ST」(ペア105万円)を発表。会場には「A5」を除く3モデルが登場していた。

 また、トライオードの新製品も参考出品。プリアンプの「TRV-6SE」は、「TRV-4SE」をベースにプリアンプ部信号回路はそのままに、フォノイコライザの代わりにリモコン回路と4バンドイコライザを追加したモデル。使用真空管は12AX7A×4本、274B×2本。

 パワーアンプの「TRV-P88SE」は「TRV-88SE」をベースにパワーアンプ化した、同社初のステレオパワーアンプ。真空管KT88のほかに、スイッチを切り替えることでEL34、6L6GCも使用できるのが特徴。いずれも2010年春の発売を予定しており、価格はプリが20万円程度、パワーが15万円程度を想定している。

スペンドールのスピーカー。右上の黒いブックシェルフが「SA-1」、その下にあるのが「A6」、左側の黒いトールボーイがハイエンドの「ST」プリアンプの参考出品モデル「TRV-6SE」パワーアンプの参考出品「TRV-P88SE」


■ 完実電気

 完実電気のブースでは、取り扱っている米PS Audioの新製品などを紹介するとともに、常時音が出せる専用試聴コーナーも設置。同社製品だけでなく、クリプトンのスピーカーやTRNのオーディオアクセサリなど、様々な製品をローテーションで体験することができる。

完実電気の試聴コーナー。津軽三味線の生演奏なども行なわれた

 PS Audioの新製品は、11月の発売が予定されているCDトランスポート「PerfectWave Transporter」(525,000円)、DACの「PerfectWave DAC」(525,000円)。トランスポートは内部にメモリを備えており、ディスクから読み出したデータを一度メモリーすることで「クロック成分を除く純粋な音楽信号として扱う」という。エラーがあった場合は再読み込みを行ない、正確なデータを抽出。デジタル出力時に独自の高精度内部クロックが付加され、低ジッタのデジタル出力が可能になるという。

 さらに、HDMI出力を備え、「PerfectWave DAC」とのHDMI接続が可能。映像再生機能は備えていないがHDMIで接続する理由は、デジタル音声信号とクロックを別に伝送できるためで、I2S方式で伝送。ジッタフリーでDACへデータを転送できるという。

PS AudioのCDトランスポート「PerfectWave Transporter」(上)と、DACの「PerfectWave DAC」(下)左写真2モデルの背面。HDMI端子を備えているヘッドフォンの人気モデルも展示されている

 DACは最高192kHzまでのアップサンプリングが可能だが、サンプリングレートコンバータをバイパスする「NativeMode」も備えている。Wolfson製「WM 8742」ステレオディファレンシャルDACを搭載。入力端子はHDMI以外に、USBや光デジタル、同軸デジタル、バランスAES/EBUなども備えている。

 なお、トランスポートとDACのどちらも、カラーディスプレイを装備。トランスポートはEthernet端子を備え、ネット接続することでディスクの情報やジャケットカバーを表示できる。将来的にはオプションで、NASに収められた音楽データを読み込む機能も追加予定だという。

オンキヨーブースではiPod/PCのデジタル伝送に対応するメディアトランスポート「ND-S1」からレコードプレーヤーまでを用意。様々なソースを用いて、デジタルアンプの「A-5VL」やスピーカー「D-412EX」などの音が楽しめる
オンキヨーのスピーカー「D-412EX」なお、オンキヨーブースでは約35年前に録音/製作されたという、アナログレコードのデモディスクを用意。録音を担当したのはオーディオ評論家としてお馴染みの菅野沖彦氏だ六本木工学研究所は新製品のスピーカーを一堂に展示。写真はRIT-PS521(完成品直販価格69,800円/ペア)。キット販売も59,800円で行なわれている
同じく六本木工学研究所の新製品。左がRIT-PS522、右がRIT-PS511。価格は521と同じ。キット販売も行なわれているポーカロ・ラインのブースで注目を集めていたのは、arteの「SEISIS」という免震オーディオボード。左のスピーカーの下に配置されているこちらがSEISISのアップ。一見すると普通のオーディオボードだが、ベースボードにスチールボールが敷き詰められ、その上に免震メカニズムを配置し、さらに多層複合素材を使ったトップボードを重ねている
SEISISは一定以上の揺れがあると、ストッパーが外れ、スチールボールを介した上下のボードが揺れを吸収するようにズレて動くようになる。通常はオーディオボードとして使い、地震が起きた際はトールボーイなどの転倒防止用の免震システムとして機能するというもの。12月頃の発売予定で価格は75,000円程度を予定TRNのオーディオアクセサリ「ディスク・エナジャイザー」(49,350円)。ボタンを押すと先端が光り、それをCDなどのディスクに照射すると、分子振動の方向性が一定方向に整えられ、プレーヤーが読み取れる情報量が増加するというアクセサリ。AV機器に対しても有効だとしており、S/Nの改善や分解能の向上、空間表現力のアップなどが期待できるという



(2009年 10月 9日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]