JEITA、平成22年新年賀詞交歓会を開催

-エレクトロニクス産業の成長エンジンは環境とアジア


JEITA主催の平成22年新年賀詞交歓会

1月6日開催


 社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は6日、東京・芝公園の東京プリンスホテルで、平成22年新年賀詞交歓会を開催した。IT・エレクトロニクス産業の経営幹部や、経済産業省や関連団体の関係者などが一堂に会し、新年の挨拶や情報交換を行なった。

社団法人電子情報技術産業協会・大坪文雄会長

 挨拶に立った同協会の大坪文雄会長(パナソニック社長)は、「2009年は、暗い影を落とした1年だったが、2010年は底打ちし、IT・エレクトロニクス産業もプラスに転じる年になるだろう。だが、経済が好調だった2007年に比べると、市場規模は15%も減少する予測となっており、先行きの不透明感もある。IT・エレクトロニクス産業は、経済環境の早期回復に向けて最大限の努力をしており、政府に対しても、経済効果策や税制についての要望を出してきた。それがエコポイント制度の延長や、研究開発促進税制という形で成果に結びついたと考えている」とした。

 また、「中長期的な視点でみると、日本のIT・エレクトロニクス企業が、海外企業との熾烈な競争を勝ち抜くには、環境技術とアジアが重要になってくるだろう。COP15では、具体的な数値が取りまとめられなかったが、大事なのはグローバルで温暖化ガスの排出量を実質的に削減して行こうという姿勢である。ここにおいて、日本が最先端の技術を活用し、様々な問題を解決する中心的な役割を担うことになるだろう。さらに、成長が著しいアジアを支援し、その成長を自らの成長に結びつけていくことが大切であり、これが成長エンジンになる。新たな市場を創造し、持続的な成長を続けていくことが求められ、同時に人材育成に関しても取り組む必要がある。今後も環境と成長を両立させ、産業の発展につなげたい」などと語った。

 さらに、約1年半後に迫った地上デジタル放送への完全移行に関しては、「エコポイント制度もあり、地上デジタル放送受像機の普及台数は、6,000万台を超えた。使いやすさ、省エネなど、地上デジタル受像機の充実を図り、国民や関連団体との連携を図りながら、さらなる普及促進につなげたい」とした。

来賓を代表して挨拶した経済産業省の松下忠洋副大臣

 一方、経済産業省の松下忠洋副大臣が来賓を代表して挨拶を行なった。「いよいよ勝負の年が明けた」と前置きし、「大不況のなか、よくぞここまでがんばっていただいた。頭が下がる思いである。国としても、ここを乗り切るために、次期通常国会においては、一番に補正予算を審議に諮り、成立させる。エコポイント制度をはじめとする、産業支援を行なっていきたい。財務大臣が健康上の理由から退任するなかで予算審議が始まるが、がんばっていきたい」などとした。

 また、「足下の状況を克服することだけに腐心していたのでは、日本の経済発展はない。産業界の成長戦略が必要であり、昨年12月30日に新たな成長戦略を発表した。日本には、1985年のプラザ合意以降、大きな成長戦略がない。10年先、20年先に向けた成長戦略を取り組んでいかなくてはならない。鳩山内閣が誕生した時に、首相から経済産業省に4つの課題が提示された。成長するアジアの活力を、わが国の成長に取り込み、国民一人一人がこれを実感できようにしてほしいということ、中小企業を支えていくこと、資源・エネルギーを安定的に確保するための外交に力を注ぐこと、そして、地球温暖化対策に向けて、世界一の技術を世界に向けて活用できるようにすることである。これに全力で取り組んでいく。汗をかき、勝負の1年としてがんばりたい」と語った。

 乾杯の音頭をとった同協会・下村節宏副会長(三菱電機社長)は、「2009年は、先進国各国のGDPがマイナス成長となり、世界同時不況の1年だった。だが、その一方で、成長に向けて準備を進めてきた1年でもあり、これを好機と捉えることもできる。地球温暖化は、喫緊の課題であり、その点でも、IT・エレクトロクス産業にも期待が集まっている」などとした。

乾杯の音頭をとった社団法人電子情報技術産業協会・下村節宏副会長新年賀詞交歓会は東京・芝公園の東京プリンスホテルで開催された

(2010年 1月 6日)

[Reported by 大河原克行]