TAD、“Σ”形状のニアフィールドモニタースピーカー

-「TAD PRO」第1弾の小型モデル。ペア実売15万円


TSM-2201-LR

 テクニカル オーディオ デバイセズ ラボラトリーズ(TAD)は、新たにプロ向けスピーカーのブランド「TAD PRO」を立ち上げ、第1弾モデルとしてニアフィールドモニタースピーカー「TSM-2201-LR」を11月中旬に発売する。

 販売はTAD特約店で行なうほか、楽器店などでの取り扱いも検討中。業務用途だけでなく、ホームスタジオを持つユーザーの利用も想定している。価格はオープンプライスで、店頭予想価格はペアで15万円前後。

 2ウェイ/密閉型のスタジオ向けニアフィールドモニタースピーカー。レコーディングスタジオのモニタースピーカーが、録音機材とともに小型化しているという現状に伴い、ニーズの高まっている小型モデルを投入。TADがプロ用スピーカーユニットで長年培った高音質技術を採用している。

 側板には新発想の「Σ」形状を採用。スピーカー正面から側板へ回り込む再生音を水平方向ではなく上下に反射させ、バランスの良い音を再現するという。また、エンクロージャの剛性を高め、内部共振による定在波の発生も抑えている。

 エンクロージャを密閉型にしたことで、バスレフ型に比べ、低い周波数における位相の遅れを軽減。スピーカー内からの音漏れが発生しないため、再生環境に左右されにくく、ニアフィールドモニターとして音像の定位に優れるという。

 ウーファは20㎝径コーン型、ツイータは2.5㎝径メタルドーム型を搭載する。振動板には凸形状の「DECO」を採用。1950年代にH.Olson氏が考案した指向性改善の手法をベースに新開発したもので、ウーファにおいては、高い周波数帯域の再生において、上下へ伝播する音を左右に振り分けることで左右方向の指向性を改善し、スピーカーコーン内部の音の反射を拡散、音像の定位を向上させている。また、ツイータは、再生空間の広がりを考慮してウェーブガイド面の下部のみにDECOを採用している。

「TAD PRO」のロゴ

 ボイスコイルボビンの内外にコイルを配置したCBC(Center Bobbin Coil)を、ウーファ/ツイータそれぞれに搭載。CBCは強度と放熱性に優れ、コイルのたわみ振動によるノイズと、熱上昇によるコンプレッション(圧縮状態)を低減。クリアでリニアリティの高いシステムを実現したという。

 ネットワーク面では、位相特性を含めウーファ/ツイータの出力を滑らかにつないだとするほか、ユニット表面に帯電する電荷による音質への影響を軽減する回路構成も採用している。コンデンサは大型のフィルムタイプで、付帯音を低減。コイルを空芯型にして低歪化を図り、抵抗器を複数組み合わせることで熱や磁気の状態を安定させている。そのほか、ネットワーク基板には9㎜厚のMDFと5mm厚アルミ板の積層構造を採用し、安定した再生が行なえるという。

 再生周波数帯域は50Hz~40kHz(-10dB)、クロスオーバー周波数は2.3kHz。出力音圧レベルは86dB、定格インピーダンスは4Ω、最大入力は160W。外形寸法は260×253×348㎜(幅×奥行き×高さ)、重量は7.8㎏。



(2010年 10月 13日)

[AV Watch編集部 中林暁]