フルHD動画対応機種多数。カメライベント「CP+」が開幕

-ソニーα中級機。ビクターの4K2K高速連写カメラなど


会場はパシフィコ横浜

 国内最大級の写真映像関連イベント「CP+ 2011」(シーピープラス2011)が9日、パシフィコ横浜で開幕した。期間は12日まで。主催は一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)。入場料は当日一般1,000円、11日(金曜日、祝日)と12日(土曜日)は無料(要簡易登録)、Web事前登録者などは無料。

 国内のカメラメーカー、レンズメーカー、撮影用品メーカー、流通商社、ソフトウェアメーカーなどが一同に集まる大規模なイベント。開催時期を前年の3月から2月に移し、今年で2回目の開催となる。

 AV WatchではフルHDの動画撮影に対応したモデルを中心に、注目機種をレポートする。



■ソニー

 ソニーブースで注目を集めているのは、Aマウントを採用したカメラの中級モデル。名前などは明らかにされていないが、α33/55の上位モデルと位置付けられる。2011年内の発売を予定。

 α33/55と同様に「Translucent Mirror Technology」(トランスルーセントミラーテクノロジー)を採用しているのが特徴で、内部にミラーを搭載しているのは通常のカメラと同じだが、ミラーが透過型となっており、レンズからの光の大部分がミラーを素通りし、常にCMOSセンサーに光が当たっている状態になる。そのため、デジタル一眼と異なり、ミラーを上げないまま撮影やライブビュー表示&撮影ができる。

Aマウントを採用したカメラの中級モデル。縦位置グリップが着いた状態横から見たところ。常備にAVCHDのロゴも見える背面。録画用と思われるボタンもある
「Translucent Mirror Technology」を採用しているα33/55

 ミラーは従来の一眼レフのように、CMOSに対して斜めに配置されており、CMOSに光が透過する以外に、一部の光は上方向に反射。その先に位相差検出用のAFセンサーを配置し、位相差検出方式でのAFを実現。画像のコントラスト検出でAFを行なうミラーレスのデジタルカメラと比べ、高速なAF動作を実現しているのが特徴。試作機でもこの方式が採用されると思われる。

 画素数は未定だが、Exmor APS HD CMOSセンサーを採用。AVCHDのフルHD動画撮影にも対応する。価格は未定。なお、展示機は、縦位置グリップを装着したタイプと、スケルトンモデルが用意されていた。また、ソニーGレンズの新モデルとして「500mm F4」や新標準ズームレンズ、フラッシュなども参考展示されている。


スケルトンモデルスケルトンモデルの背面Aマウントの新レンズも一緒に参考展示された

 NEX-5などと同じEマウントを採用したプロ/ハイアマチュア向けのカムコーダーの試作機も参考展示されている。2010年11月に開発発表が行なわれているもので、スーパー35mm相当の大型CMOSセンサー(単板)を搭載しているのが特徴。2011年上半期の発売を予定しており、価格は60万円前後の予定。

Eマウントを採用したプロ/ハイアマチュア向けのカムコーダー試作機側面。手前に液晶モニタを搭載していることがわかるEマウントのレンズと、アダプタを介してAマウントのレンズが装着可能
HDMI入力などが可能なポータブルモニター「LPM-770BP」も周辺機器として展示された

 CMOSの解像度は未定だが、AVCHDフォーマットでのフルHD動画撮影に対応。また、AVCHDフォーマットを超えるH.264/MPEG-4 AVCの1080/60p撮影にも対応するのが特徴。録画時のビットレートは未定。ほかにも1080の30p、24p撮影にも対応する。

 Eマウント用レンズがそのまま接続できるほか、既に販売されているEマウントでAマウントを利用するためのマウントアダプタ「LA-EA1」も接続可能。スチルカメラのレンズを使い、ボケを活かした高品質な動画撮影ができるという。なお、動画撮影時のAF動作などの詳細も未定。

 「NEX-VG10」の上位とも言えるモデルだが、プロ向けの「NXCAM」シリーズの製品となり、NXCAMを手掛けるチームが開発している。小規模のドラマやミュージックビデオ製作などでの使用を想定しているほか、映像にこだわるハイアマチュアもターゲットにしており、会場では様々なEマウント/Aマウントレンズや、NXCAM用の周辺機器が利用できる事などがアピールされていた。

 また、同様にスーパー35mm相当の単板CMOSセンサーを搭載し、PLマウントレンズに対応したデジタルシネマ用ビデオカメラ「PMW-F3K」(レンズ付属)、「PMW-F3L」(レンズ別売り)も展示。こちらは2月1日より発売を開始しており、価格はPMW-F3Kが220万5,000円、PMW-F3Lが152万2,500円。PMW-F3Kには、35/50/85mm T2.0の単焦点PLレンズ3本が付属する。

スーパー35mm相当の単板CMOSセンサーを搭載し、PLマウントレンズに対応したデジタルシネマ用ビデオカメラ記録メディアはExpressCard/34×2

 スーパー35mm相当のExmor CMOSイメージセンサーは、1.7型対角27.1mm。感度F11(ISO800)、SN比63dBの高感度/低ノイズを実現し、低照度環境下での撮影能力を向上させているという。レンズは映画用フィルムカメラで標準となっているPLレンズに対応。

 記録解像度は最高1,920×1,080ドット、映像圧縮にはMPEG-2 Long GOP方式を採用。記録フォーマットは従来のXDCAM EXシリーズと共通で、収録から完パケまでXDCAM EXシリーズのワークフローで運用可能。記録メディアはExpressCard/34×2。別売オプションの追加で、RGB & S-Log出力にも対応する。

 ソニーブースではほかにも、1080/60pの動画撮影にも対応したコンパクトデジカメ「DSC-HX9V」や、カールツァイスレンズを採用したネオ一眼スタイル「DSC-HX100V」、薄型の「DSC-TX100V」、光学10倍ズームの「DSC-HX7V」など、コンパクトデジカメの新機種を一気に展示。実際に触れて撮影する事も可能になっている。

 また、ブース内にはハーフパイプが設置され、BMXが走行。そのパフォーマンスを被写体に、α55などの高速連写機能が体験できるようになっている。

1080/60pの動画撮影にも対応したコンパクトデジカメ「DSC-HX9V」2眼3D撮影のポケットビデオカメラ「Bloggie 3D」小型のプロジェクタ機能を搭載したビデオカメラHDR-PJ40V/PJ20も展示
ビデオカメラ「HDR-CX700V」ブース内にはハーフパイプが設置され、BMXが走行。被写体として連写性能が試せる


■Eマウントとマイクロフォーサーズの広がり

 ソニーは8日に、同社のEマウントの基本仕様を、レンズやマウントアダプタメーカーに対して無償開示する方針を発表しているが、その方針を受け、各社がEマウント対応レンズを参考展示している。

 登場したのは、シグマのパンケーキタイプ「30mm F2.8」で、発売時期は未定。仕様開示が開始される4月以降に本格的な開発がスタートする予定だという。

 また、カールツァイスも、コンパクトプライム「CP.2」レンズシリーズのEマウント用モデルを近々に発売するとしており、会場にはCP.2 85mmのレンズと、ソニーのNEX-VG10を組み合わせた展示が行なわれていた。

シグマのEマウント用パンケーキタイプ「30mm F2.8」カールツァイスも、コンパクトプライム「CP.2」レンズシリーズをEマウント用に展開

 なお、8日のリリースではコシナ、タムロンも賛同しており、コシナはEマウント用のマウントアダプタ各種、タムロンもマウントアダプタを介してレンズを装着した展示が置かれている。

コシナはEマウント用のマウントアダプタ各種を展示タムロンもマウントアダプタを介してレンズを装着する展示を行なった

 さらにソニーブースでは、Eマウント用レンズの新モデルも一挙に展示。その中で「カールツァイス広角単焦点レンズ24mm」、「単焦点マクロレンズ30mm」、「単焦点ポートレートレンズ50mm」、「望遠ズームレンズ55-200mm」を2011年発売予定のモデルとしてアピールしている。

ソニーのEマウントレンズ参考展示。写真は望遠ズームレンズ55-200mm単焦点ポートレートレンズ50mm単焦点マクロレンズ30mm
カールツァイス広角単焦点レンズ24mmEマウントレンズのロードマップ

 また、7日にはオリンパスやパナソニックが推進する「マイクロフォーサーズシステム規格」に対し、シュナイダーや駒村商会、カールツァイスが賛同し、対応レンズやアクセサリを発売する方針を明らかにしており、イベントではこれに関連した展示も登場。

 オリンパスのブース内に、マイクロフォーサーズマウントのカールツァイス「CP.2 28mm / T2.1」と「CP.2 21mm / 2.9」、駒村商会からは、PLマウントをマイクロフォーサーズに変換するマウントアダプタを介して、シュナイダークロイツナッハの「シネ-ゼナー 25mm / F2.2」を装着したものや、あおり撮影を行なうためのホースマン「TSーPro」のマイクロフォーサーズ用モデルなどが参考展示された。

 また、オリンパスからも、年内を目処に開発が進められている単焦点レンズが参考展示。焦点距離などは公表されていない。

マイクロフォーサーズマウントのカールツァイス「CP.2 28mm / T2.1」と「CP.2 21mm / 2.9」駒村商会の展示。マウントアダプタを介してシュナイダークロイツナッハの「シネ-ゼナー 25mm / F2.2」を装着したものや、あおり撮影を行なうためのホースマン「TSーPro」のマイクロフォーサーズ用モデルが参考展示オリンパスのマイクロフォーサーズ用新レンズ


■ビクター

 ビクターブースでは、1,920×1,080ドット/60pの動画撮影や、高速静止画連写、ハイスピード撮影などが可能で、「瞬間を切り“撮る”」ための性能を備えたHDハイブリッドカメラ「GC-PX1」を大量に用意。ステージ上ではジャグラーやけん玉師などが次々と登場し、パフォーマンスを行なっており、それPX1の高速静止画連写機能や、300fpsのハイスピード動画撮影機能などを使い、瞬間の切り“撮り”が体験できる趣向となっている。

「瞬間を切り“撮る”」ための性能を備えたHDハイブリッドカメラ「GC-PX1」ステージ上ではジャグラーやけん玉師などが次々と登場パフォーマーを被写体に、「GC-PX1」の撮影機能が体験できる
3DハイビジョンムービーEverio GS-TD1
FALCONBRIDを使った4K2Kハイブリッドカメラ
FALCONBRIDを使った4K2Kのカムコーダ

 また、フルHD解像度の3D動画が撮影できる二眼式のビデオカメラ、「3DハイビジョンムービーEverio GS-TD1」も展示。3D撮影した動画を実際に体験できるコーナーも用意されている。

 これらの製品に搭載されている、高い処理能力を備えた独自のLSI「FALCONBRID」(ファルコンブリッド)の新たな展開を予感させる参考展示も2つ登場している。

 1つは「4K2Kハイブリッドカメラ」と名付けられたもので、名前のとおり4K2Kの撮影に対応しているのだが、通常のMPEG-4 AVCなどの動画ファイルではなく、3,840×2,160ドットのJPEG静止画を、60fpsの高速連写できるカメラとなっている。

 その静止画を連続で動画として再生する事もできるが、1枚のJPEG静止画としても抜き出せるため、野球のバッターがボールを打つ瞬間など、一定の時間を撮影し続け、後でバットにボールが当たっている決定的瞬間のみを静止画として残すといった使い方も想定。同様の使い方は1,920×1,080ドット/60pのMPEG-4 AVCで動画保存し、そこから静止画を切り出す「GC-PX1」でも可能だが、より高解像度かつ、低圧縮な静止画が得られるという。

 なお、3,840×2,160ドットのJPEG静止画を、60fpsで撮影し続けられる時間はDRAMの容量により、試作機では2秒間が限界だという。実際の製品ではどのような仕様になるかは未定だが、PX1を発展させた新しい形のカメラとしての提案となっている。

 FALCONBRIDを使ったもう1つの試作機は、4K2Kのカムコーダで、こちらは3,840×2,160ドットのH.264/MPEG-4 AVCを、60fpsのプログレッシブ動画として保存できるもの。ビットレートは144Mbpsと高く、解像度は1,800TV本以上。このビットレートでは記録媒体のスピードも重要になってくるが、どのような媒体を使うかなど、細かな仕様は未定だという。



■ニコン

 ニコンブースでは、9日に発表されたばかりのコンパクトデジカメ新モデルを一気に展示。フルHDの動画撮影に対応したのは、広角24mmからの撮影が可能で、F1.8の明るいレンズを搭載した「COOLPIX P300」と、光学36倍ズームレンズを搭載した「COOLPIX P500」、光学18倍ズームと裏面照射CMOSセンサーを搭載した「COOLPIX S9100」の3モデルとなる。

COOLPIX P300COOLPIX P500COOLPIX S9100

 P300は1/2.3型1,275万画素の裏面CMOSセンサーを搭載。早いシャッタースピードで連写した画像を合成し、手持ち撮影でイルミネーションなどの夜景を高画質に撮影できるモードを備えるほか、豊富なマニュアル撮影機能も装備。

 P500はフルHD動画撮影に加え、動画撮影中の静止画記録も可能。iFrame形式や720p動画撮影にも対応する。HS動画機能によりスポーツ競技のゴールシーンのスロー撮影なども行なえる。

 S9100もスローモーションや早送りのHS動画撮影が可能。薄型ボディを採用しており、カラーはノーブルブラック、グロリアスレッド、ソフィアゴールドの3色を用意する。



■そのほか

フルHD動画の撮影にも対応する、キヤノンのバリアングル液晶モニターを搭載したデジタル一眼レフカメラ「EOS Kiss X5」同じくキヤノンの「IXY 31S」。光学4.4倍ズームレンズを搭載し、フルHD動画撮影にも対応
キヤノンのPowerShot SX230 HS。GPSや光学14倍ズームレンズを搭載し、こちらもフルHD動画の撮影が可能業務用機「XF100/105」と同じ撮像素子、光学系を搭載したAVCHDコンシューマ機「iVIS HF G10」や、脱着可能なハンドルユニットなどを装着した業務用機「XA10」などが展示。写真は「XA10」
パナソニックのビデオカメラ新モデル「HDC-TM45」。女性ユーザーもターゲットとしているパナソニックのコンパクトデジカメ新モデル「DMC-FT3」。防塵防水でGPSも搭載3.5型タッチパネルを採用し、広角24mmからのレンズも搭載した「DMC-FX77」
フルHD動画撮影には対応しないが、クラシカルな外観で大きな注目を集めているのが、富士フイルムの「FinePix X100」。APS-Cサイズ相当の有効1,230万画素CMOSセンサーを搭載し、35mm判換算で35mm相当、開放F2の単焦点レンズを採用。最大の特徴は、ハイブリッドビューファインダーを搭載すること。これまでファインダー用に用意されていたブライトフレームを液晶パネルに置き換えることで、光学ファインダー内に撮影情報を表示できるようになっているリコーブースでは、2月1日に開発発表が行なわれた、ユニット交換式カメラシステム「GXR」の専用拡張ユニットの新モデルを参考展示。ライカMマウントレンズの利用を可能にするもので、APS-CサイズのCMOSセンサー、画像処理エンジン、縦走りのフォーカルプレーンシャッターも内蔵する
カシオの「EX-TR100」。モニターとフレームが回転する可変フレームデザインを採用し、21mmの超広角単焦点(35mm判換算)のレンズを採用。フルHD動画撮影にも対応する。なお、ブースのステージは、特徴であるフレームデザインを再現したユニークな構造になっていた
富士フイルムのフルHD動画撮影対応2機種。コンパクトの「F550EXR」と、ネオ一眼タイプの「HS20EXR」がラインナップされているケンコーブースでは、シューティングスタイルのビデオカメラ新モデルが参考展示。フルHDの動画撮影が可能で光学ズームレンズを搭載。夏頃に発売予定だという
ケンコーブースでは、Cマウントに対応したデジカメも参考展示。詳細な仕様は未定で、夏頃の発売を予定しているというマンフロットブースには、ジッツオの3ウェイ電動雲台「アテナ」(Athena、GH5130RC)が展示。5月発売予定で、価格は109万2,000円(受注生産)という高価なモデルだが、付属ソフトをインストールしたパソコンから精密な動きを制御できる高機能な雲台となっている。ティルト、パン、レベリングの3軸はそれぞれモーターで駆動し、最小0.1度の精度で制御。別売の「無線LAN子機」を接続すれば無線LANでのコントロールも可能となる。なお、現時点ではパソコン側から動きを操作するだけで、動きをあらかじめプログラミングし、パソコンを触らずに動かす事はできない。今後はそのような機能も追加予定だという。天体撮影で使う赤道儀のような動きを実現するソフトなどが登場すると面白そうだ

新製品に華を添えるコンパニオンもイベントの見所。写真はカシオブースカシオブースではバイクも登場こちらはパナソニックブースペンタックスブースではK-rのオーダーカラー全120色の前で撮影


(2011年 2月 9日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]