「IFA 2011」出展社が最新3Dテレビやタブレットを展示

-Samsungの映像配信、Philipsの偏光3Dテレビなど


発表会場のホテル内に用意された、新製品などの展示エリア

 9月2日~7日に、ドイツ・ベルリン国際見本市会場で行なわれる「IFA 2011」の概要や出展製品などを披露するIFA Global Press Conference(IFA GPC)がスペイン・アリカンテ市のホテルにて開催。そのなかで、Samsungやパナソニックなどの出展各社が最新製品などを会場で展示した。

 IFA GPCは、9月にドイツ・ベルリンで開催される家電見本市IFA 2011の概要を、報道陣に紹介するイベント。会見の前日である15日には、Samsungやシャープ、LOEWE、PHILIPSなどパートナー企業の一部が、開催を前に新製品などを披露した。さらに、Power Briefingと題して、一部メーカーや調査会社が、今後の新製品や、市場動向などを予告するプレゼンテーションを行なった。



■ Samsungは3D映像配信を開始。HannspreeはAndroid 3.0タブレットを投入

SamsungのMichael Zoeller氏

 Samsungは、Power Briefingにおいて、同社が1月のInternational CESで発表した「Smart TV」戦略を紹介。そのなかで、新たに5月より、欧州で無料の3D VODサービス「Explore 3D」を開始すると発表した。同社のプラズマテレビ新製品「D8000シリーズ」などのSmart TV製品ユーザーは、「Explore 3D」アプリによって、Blu-rayで発売されているIMAXシアターの3D映画を含む3DのHDコンテンツが視聴できるようになるという。

 さらに、同じく5月からは同社のアクティブシャッター3Dメガネを値下げすると発表。3Dメガネが2個入った「3D Entertainment pack」を79ユーロで販売することで、「3D製品がもっと身近になることを目指す」(欧州マーケティングディレクターのMichael Zoeller氏)という。

 Zoeller氏は、同社らが2011 International CESで立ち上げたコンセプトの「Smart TV」を改めてアピール。動画/音楽/静止画などをテレビが一括管理できる点が大きな特徴の一つで、インターネット配信動画や接続機器内のコンテンツなど、ファイルの場所を問わずタイトルなどで一括検索できる。さらに、視聴した映画と同じ監督の他作品など、関連するコンテンツをレコメンドする機能も利用可能となっている。これらの機能が、スマートフォンやタブレットをリモコンのようにして利用できる。

 「Smart TVは“普通の”テレビであって、“PCを内蔵した”テレビではない」と説明。難しい知識や複雑な操作を必要とせずに、簡単に多くのコンテンツにアクセスできることを優位性として強調した。利便性だけでなく、こうした一連の機能を「Smart TV」というシンプルなキーワードで幅広いユーザーに伝えるという、同社らしいプレゼンテーションを展開した。

Galaxy TabとGalaxy S(いずれも発売中の初代モデル)Galaxy Tabとテレビを連携Samsungの出展製品

 


スマートフォンの画面をビューファインダとして利用できるデジタルカメラ「SH100」のデモ

 IFAについてZoeller氏は「伝統あるトレードショーとしてだけでなく、世界で最大規模のコンシューマエレクトロニクスショーに成長した。Samsungは、2010年の売上高が1,350億米ドルとなった世界最大のメーカー。テレビやBlu-rayなど、多くの分野でリーディングポジションにある」と、両者の共通点をまとめた。


 テレビ以外の製品では、スマートフォンのGaxaly SやタブレットのGalaxy Tabなどを出展。こうした端末とテレビとの連携をデモを交えて紹介した。デジタルカメラでは、無線LAN内蔵の「SH100」を紹介。Android搭載スマートフォンの画面と連携して、スマートフォンの画面をビューファインダとして使えることが特徴となっている。

Hanspreeが第3四半期に発売するAndroid 3.0タブレット「SN10T3」

 そのほか、Power BriefingではHannspree(ハンスプリー)がAndroid 3.0搭載の10.1型タブレット「SN10T3」を発表。2011年第3四半期に発売することを明らかにした。価格は449ユーロ。

 Hannspreeは、台湾の液晶パネルメーカーが立ち上げたコンシューマ向け液晶テレビブランドとしてグローバルで展開。ノベルティとしてのテレビや、コンシューマ向けのテレビを2004年から販売してきたが、2011年からはタブレット端末に参入し、年内発売予定の製品ロードマップを発表した。

 第1四半期にはAndroid 2.2とTegra 2、16GBメモリを搭載した「SN10T1」を349ユーロで発売。さらに第2四半期には同じくAndroid 2.2でTIのチップを搭載した8GBモデル「SN10T2」を299ユーロの低価格で発売する。

 第3四半期に投入されるAndroid 3.0の「NS10T3」は、ディスプレイ解像度がT1/T2の1,024×600ドットから、1,280×800ドットに強化される。また、オプションでワイヤレスHDMIアダプタも用意。タブレットに1080p動画再生機能を備え、テレビにワイヤレスで伝送できる。

2011年発売予定のAndroidタブレットTegra 2と16GBメモリを搭載した「SN10T1」8GBモデル「SN10T2」
Android 3.0のNS10T3に、ワイヤレスHDMIアダプタを取り付けたところテレビにNS10T3の映像を出力HanspreeのJordan Popovプロダクトマネージャーが製品を紹介した


■ フィリップスの偏光3Dテレビや、AirPlay対応スピーカーなど

フィリップスの偏光3Dテレビ「7000シリーズ」の42型

 会場には、そのほかにもパナソニックやシャープらが新製品を展示。発売前の製品としては、フィリップスが偏光方式の3DテレビやAirPlay対応スピーカーを出展していた。

 フィリップスは、3Dテレビにおいて「Easy 3D」と、「3D Max」の2つの製品群を3月に発表。Easy 3Dは偏光方式のディスプレイとパッシブ型メガネを用いたもので、エントリーモデル「7000シリーズ」や、アスペクト比21:9の「Cinema 21:9 Goldシリーズ」に採用する。フレームシーケンシャル型の3D Maxは、フルHD解像度でより高品質な3Dを追求する上位モデルの「8000/9000シリーズ」や、「Cinema 21:9 Platinumシリーズ」に採用される。

 IFA GPC会場には、パッシブ型「Easy 3D」に対応した5月発売予定の7000シリーズの42型モデルを展示。Blu-ray 3D対応の2.1chシアターセット「SoundHub 7000」と組み合わせて3D再生のデモを行なっていた。

 AirPlay対応スピーカー「Fidelio SoundSphere」は、2ウェイステレオスピーカーと、iPhone/iPodドックで構成。5月に799ユーロで発売する。iPhone/iPodスピーカーとしての利用のほか、AppleのAirPlayに準拠したことで、ネットワーク内のPC/MacのiTunesにある音楽が再生可能となっている。

2.1chスピーカーとセットのBlu-ray 3D対応プレーヤーAirPlay対応のiPhone/iPodドック搭載スピーカーの「Fidelio SoundSphere」スピーカーはツイータ部が別体のユニークな形状
デザイン性の高い家電で知られる独LOEWE(レーベ)は、フレームシーケンシャル方式の3D対応テレビ「Individual 46 Compose 3D」(写真左/5,100ユーロ)を中心に展示。アクティブシャッターの3Dメガネ(750ユーロ)や、ヤマハと共同開発した専用フロントサラウンドスピーカーの「サウンドプロジェクター」(1,600ユーロ)、AVラック、サブウーファ、iPodドック搭載のメディアセンターなどと組み合わせて紹介した。このテレビ「Individual」の内蔵HDDで録画した番組を、LAN経由で32型テレビ「Art 32」(写真右/2,400ユーロ)から視聴できるデモもPCやスマートフォンなどのアプリを手掛けるSNAPは、PC内の動画や音楽などを、スマートフォンやフィーチャーフォンで共有/再生できるストレージサービス「snap life」を紹介。既に配布中だという
パナソニックは、プラズマ「3D VIERA」の欧州向け春モデル「VT30シリーズ」を展示。フレームシーケンシャル方式の3Dに対応し、アクティブシャッターメガネを使って立体視が可能となっている別売レンズの装着でサイドバイサイド3D撮影が可能なカムコーダのHD-SD900も展示
シャープは、発売中の液晶テレビ「AQUOS Quattron 3D」の欧州向けハイエンドシリーズ「LE925E」を展示欧州で義務化される「Energy label」の表示も
IFA GPCの会場となったスペイン・アリカンテのホテル「Barcelo Asia」


(2011年 4月 18日)

[AV Watch編集部 中林暁]