フルHD動画対応ミラーレス多数登場。「CP+」開幕

-4Kパネルで写真鑑賞。スマホ/TV連携も訴求


会場はパシフィコ横浜

 国内最大級の写真映像関連イベント「CP+ 2012」(シーピープラス2012)が9日、パシフィコ横浜で開幕した。期間は12日まで。主催は一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)。入場料は当日一般1,000円、Web事前登録者は無料。

 国内のカメラメーカー、レンズメーカー、撮影用品メーカー、流通商社、ソフトウェアメーカーなどが一同に集まる大規模なイベント。

 静止画カメラが中心のイベントだが、デジタルカメラでは各社の上位モデルを中心に、フルHDの動画撮影機能を備えた機種が多数登場しており、AVファンにも見逃せないイベントになっている。

 AV WatchではフルHDの動画撮影に対応したモデルを中心に、注目機種をレポートする。

 既報の通り、オリンパスやペンタックス、富士フイルムなど、各社がCP+開幕直前にミラーレス一眼カメラの新機種を発表。会場ではそれらを展示しているほか、実際に触って質感や操作を試す事ができるとあり、各ブースには初日から長蛇の列ができている。




■オリンパス

ブラックとシルバーを用意

 オリンパスは、8日に発表したマイクロフォーサーズ対応の「OM-D E-M5」を展示。3月下旬発売予定で、ボディの実売は105,000円前後。銀塩時代の銘機OMシリーズと同様に、小型軽量ボディを採用しながら、防塵防滴仕様で、多数の周辺機器を用意するなど、本格的なシステム一眼になっているのが特徴。

 本体の外形寸法は121×41.9×89.6mm(幅×奥行き×高さ)で、実際に手にとってみると「薄い」というのが第一印象。筐体はマグネシウム合金製で、カメラ上部もマグネシウム合金。展示されたカットモデルを見てもわかるが、筐体内に隙間なくパーツが詰め込まれた凝縮感も手伝い、高級感のあるカメラに仕上がっている。電子ビューファインダーを内蔵。

 撮像素子は4/3型、有効1,605万画素のLive MOSセンサー。フルHD動画の撮影にも対応しており、MPEG-4 AVC/H.264のMOV形式と、Motion JPEGのAVIが選択可能。MOVでは1,920×1,080/59.94iで、20Mbps(ファイン)、17Mbps(ノーマル)、1,280×720/59.94iの13Mbps(ファイン)、10Mbps(ノーマル)から選択可能。動画撮影中の手ブレ補正にも対応している。

シルバーモデル側面液晶モニタの角度は変えられる
軍艦部分カットモデル
防水、耐衝撃、耐低温をコンセプトにした「Toughシリーズ」

 オリンパスのコンパクトデジカメ新製品では、 防水、耐衝撃、耐低温をコンセプトにした「Toughシリーズ」の「TG-820」と「TG-620」も、MPEG-4 AVC/H.264のフルHD(1,920×1,080/30fps)動画撮影に対応する。




■ペンタックスリコーイメージング

「PENTAX K-01」。カラーバリエーションはブラック×ブラック、ブラック×イエロー、ホワイト×ブラックの3パターン

 8日に発表された、ミラーレス一眼カメラ「PENTAX K-01」がブース内でお披露目されている。3月中旬発売で、レンズキットのみをラインナップ。「smc PENTAX-DA40mmF2.8 XS」レンズ付きのキットは、実売8万円程度で販売予定。

 Kマウント用レンズがそのまま接続できる事と、 マーク・ニューソン氏がデザインした個性的なフォルム&カラーが特徴。カラーバリエーションはブラック×ブラック、ブラック×イエロー、ホワイト×ブラックの3パターンが用意されている。

 ブラック×イエローモデルなどは、色味からするとトイデジカメのように見えるが、筐体の剛性は高く、モードダイヤルや電源スイッチにはアルミ合金を採用するなど、手にすると質感も高いモデルと感じる。

 軍艦部にある赤いボタンは撮影画像の表示、緑のボタンはクイックメニュー的な機能が割り当てられているとのこと。グリップラバーはカードスロットやコネクター類もカバーしている。


左がホワイト×ブラック、右がブラック×イエロー軍艦部分。カラフルなボタンを採用Kマウントレンズが装着できる

 撮像素子はAPS-Cサイズ相当(23.7×15.7mm)のCMOS。有効画素数は約1,628万画素。MPEG-4 AVC/H.264で、フルHDの動画撮影が可能。撮影モードは「Full HD」(1,920×1,080ドット/30fps/25fps/24fps)、「HD」(1,280×720ドット/60fps/50fps/30fps/25fps/24fps)、「VGA」(640×480ドット/30fps/25fps/24fps)から選択が可能。

 コンパクトデジカメでは、防水防塵や、耐衝撃性能を備えた「Optio W」の2機種がフルHD動画撮影に対応。水深12mで連続2時間の水中撮影が可能で、ノーマルモデルの「WG-2」と、GPSを備えた「WG-2 GPS」を用意。3月中旬発売で、実売はWG-2が3万円台半ば、WG-2 GPSが4万円前後。

ノーマルモデルの「WG-2」GPSを備えた「WG-2 GPS」


■富士フイルム

 1月末に発表された「FUJIFILM X-Pro1」に多くの人が集まっている。独自の「Xマウント」を採用したレンズ交換式で、独自のカラーフィルタ配列を採用する事で、光学ローパスフィルタを不要としたAPS-Cサイズの「X-Trans CMOS sensor」を搭載するのが特徴。ローパスフィルタを省く事で解像感の高い撮影が可能になるとしており、同時発売のレンズも単焦点レンズ3本のみと、こだわり派のモデルとなっている。発売日は2月18日で、店頭予想価格はボディのみで15万円前後。

「FUJIFILM X-Pro1」フラッシュとハンドグリップを装着したところ

 ファインダーは光学ファインダーと、0.47型/約144万画素の電子ビューファインダーを切り替えられる「ハイブリッドマルチビューファインダー」。動画はMPEG-4 AVC/H.264フォーマット、MOV形式で、1,920×1,080ドット/24fps、もしくは1,280×720/24fpsでの撮影が可能。

 2月18日発売のコンパクトデジカメ「FinePix Z1000EXR」(実売3万円前後)は、フルHDの動画撮影(MPEG-4 AVC/H.264、MOV形式)に対応するほか、無線LANも内蔵。iOS/Android用アプリ「FUJIFILM Photo Receiver」と連携でき、カメラから撮影した画像を、スマートフォンやタブレットに送信できる。




■ニコン

デジタル一眼レフ新モデル「D800」

 ニコンブースでは、3月22日発売のデジタル一眼レフ新モデル「D800」をアピール。ボディのみで、実売は30万円前後。センサーの前面の光学ローパスフィルタを無効化した「D800E」も実売35万円前後で発売予定。

 35mmフィルムサイズに準じた撮像素子を備えたデジタル一眼として、世界最高という有効3,630万画素を採用しているのが特徴。D800Eではローパスフィルタを無効化する事で、被写体によってはモアレなどは出やすくなるが、さらに解像感のある撮影が可能。ブース内でも大きく引き伸ばした撮影画像が展示され、来場者が細部の描写を確認する姿が見られた。

 強力な動画撮影機能も特徴で、MPEG-4 AVC/H.264、MOV形式で1,920×1080/30p/25p/24pの撮影が可能(ビットレートは非公開)。ブース内では、グラスバレーのビデオ編集ソフト「EDIUS 6」で、D800の撮影動画を編集するデモも行なわれている。

 また、D800はHDMI出力端子を備え、撮像素子がとらえた映像をそのまま出力できる。絞りや露出といった、背面液晶モニタに表示される設定情報などをHDMI出力映像に表示しない設定もでき、その映像をHDMIキャプチャデバイスを使い、PCなどで直接録画する事も可能。同コーナーでは、グラスバレーのキャプチャユニット「STORM MOBILE」との組み合わせを提案している。


「EDIUS 6」で、D800の撮影動画を編集するデモグラスバレーのキャプチャユニット「STORM MOBILE」で、D800のHDMI出力から影像をキャプチャ

 コンパクトデジカメでは、光学10倍ズーム採用の「S6300」(2月16日発売/28,000円前後)、光学18倍「S9300」(3月発売/40,000円前後)、光学42倍ズームの「P510」(3月発売/53,000円前後)、F1.8レンズ採用の「P310」(ブラックモデル3月発売/ホワイトモデル4月発売/40,000円前後)がフルHDの動画撮影に対応。MPEG-4 AVC/H.264、MOV形式で、最高HD 1080p(1,920×1,080/30fps)の撮影ができる。

光学18倍「S9300」F1.8レンズ採用の「P310」光学42倍ズームの「P510」


■キヤノン

 同社コンパクトデジカメのハイエンド「G1 X」が注目モデル。レンズ交換はできないが、APS-Cに迫る1.5型(18.7×14mm)/有効1,430万画素という大型CMOSセンサーを採用したのが特徴。動画はMPEG-4 AVC/H.264、MOV形式で、1,920×1,080ドット/24fpsの撮影が可能。レンズは35mm換算28~112mmの光学4倍ズームで、F値はF2.8~5.8。

 他にも、光学20倍ズームやGPSを備えた「SX260 HS」、10m防水と1.5m耐衝撃、-10度の耐寒仕様を備えたアウトドアモデル「D20」、スタイリッシュなスクエアデザインの「IXY 1」(3月上旬発売/直販39,980円)や「IXY 3」(2月下旬/34,980円)などがフルHD撮影に対応する。

大型CMOSセンサーを採用した「G1 X」が光学20倍ズームやGPSを備えた「SX260 HS」
スクエアデザインの「IXY 1」、「IXY 3」


■パナソニック

 パナソニックブースでは、スマートフォンと連携できる、LUMIXのコンパクトデジカメを参考展示。デジカメに無線LAN機能を内蔵しており、スマートフォン用アプリ「Remote Live View」と連携。スマートフォンからデジカメのズームやシャッターを、遠隔操作できるという。

 さらにLUMIXに記録された写真をスマートフォンで閲覧したり、DLNAに対応した薄型テレビのVIERAで、カメラ内の画像を閲覧するといった機能のデモが行なわれている。

LUMIXのコンパクトデジカメを参考展示スマートフォンのアプリからカメラを制御し、撮影できる

 発売日や細かな仕様は未定で、「インターネット経由でのデジカメ遠隔操作や、PCへの撮影データの転送に対応するか否かなどは、現在検討中。イベント来場者の意見も取り入れながら、開発を進めていきたい」という。

 2月16日発売の「LUMIX DMC-3D1」は、2眼式で3D静止画・動画の撮影に対応したコンパクトデジカメ。実売は5万円前後。新開発の小型薄型屈曲式4倍ズームレンズを2個、センサーも2個搭載し、広角から望遠まで、幅広い3D撮影が可能。2DのフルHD動画撮影にも対応するほか、動画撮影中の静止画撮影や、ワイドとズームの、画角の異なる写真の同時撮影というユニークな機能も備えている。なお、3D動画は1,920×1,080/60iのサイドバイサイドで記録する。

2眼式で3D静止画・動画の撮影に対応した「LUMIX DMC-3D1」IEEE 802.11b/g/nの無線LAN機能を搭載した「DMC-FX90」。デジカメからスマートフォンに撮影画像が転送可能HDC-Z10000とVIERAを使った、3D影像表示デモも行なっている


■デジカメ画像を4K2Kディスプレイで

 高画素化するデジタルカメラの撮影画像を、プリントアウトではなく、高解像度なテレビ/ディスプレイに表示し、鑑賞するという展示も各社で行なわれている。

 ペンタックスリコーイメージングのブースでは、昨年末から発売されている東芝製の4K/裸眼3D液晶TV「REGZA 55X3」に、4,000万画素の中判デジタルカメラ「645D」で撮影した画像を表示するデモを実施している。

東芝の「REGZA 55X3」で、645Dの画像を表示4,000万画素の中判デジタルカメラ「645D」
東芝・デジタルプロダクツ&サービス社 デジタルプロダクツ&サービス第一事業部の本村裕史氏

 ペンタックスリコーイメージング側からの要望を受け、東芝が出展しているもので、55型/3,840×2,160ドットの4K/2Kパネルを活かし、「645D」の撮影データ(最高7,264×5440)を表示するというもの。

 会場を訪れた東芝・デジタルプロダクツ&サービス社 デジタルプロダクツ&サービス第一事業部の本村裕史氏は、「昨年のCEATECで55X3を展示した時に、カメラ関係の方々から、『プリントアウトする前に撮影した画像が細かく確認できる』、『ピントが合っているかどうかの確認も、この解像度があればできる』など、大きな反響をいただきました。テレビとして開発してきた我々としては、反響の大きさに驚くと同時に、用途の広がりとして可能性を感じています。高解像度を活かすために、今後も“一眼レフ×4K”での写真鑑賞をアピールしていきたい」と語る。


ソニーブースでは、「TRIMASTER SRM-L560」を使った画像の表示デモを実施

 ペンタックスリコーイメージング マーケティング統括部宣伝チームの吉毛利 和男チームリーダーは、「今までは645Dで撮影した画像は、2×1mサイズにプリントして展示してきましたが、55X3では24枚の写真を次々に表示でき、なおかつ自由にアップにできるなど、プリントにはない魅力があります。映像エンジンも素晴らしく、白の発色も非常に良い。プリントにはもちろんプリントの良さがあるのですが、光に力があるテレビでの写真鑑賞の魅力も伝えていきたい」と、今回の展示について説明した。

 ソニーブースでも、東芝と同じく3,840× 2,160ドットの解像度を持つ、プロ用の56型液晶モニタ「TRIMASTER SRM-L560」(受注生産6,825,000円)を使い、NEX-5Nなど、デジタルカメラで撮影した作品を表示するデモを実施。多くの来場者が足を止めていた。




■ソニーはPlayMemoriesをアピール

 ソニーブースでは、発売が開始されたばかりの「NEX-7」や、無線LAN & 非接触充電に対応したサイバーショット「DSC-TX300V」をアピール。同時に、ビデオカメラ新製品の紹介も行なっている。

発売が開始されたNEX-7第1弾モデル「HDR-TD10」と比べ、大幅な小型・軽量化を実現した、二眼式の3Dビデオカメラ「HDR-TD20V」空間光学手ブレ補正機能を備えたビデオカメラ「PJ760V」

 会場内で大きなスペースを割いて説明されているのが、今春のサービス開始が予定されているクラウドサービスの「PlayMemories Online」。ブース内では同サービスの体験ツアーが実施されており、PC用の管理・編集ソフトの「PlayMemories Home」、PlayStation 3用の管理・編集ソフト「PlayMemories Studio」、スマートフォン/タブレット向け「PlayMemories Mobile」といった、各ソフトのコーナーを周り、機能デモが見られるようになっている。

 また、セミナーコーナーも用意。プロ写真家がαシリーズの魅力を語るセミナーと合わせ、「Electric Zooma!」でお馴染み、小寺信良氏の「PlayMemories」解説セミナーも実施されている。

「PlayMemories Online」の紹介コーナー。PCやスマートフォンなど、様々なデバイスで、クラウド上のコンテンツが表示できるPlayStation 3用の管理・編集ソフト「PlayMemories Studio」小寺氏のセミナーの様子

 ビデオカメラ関係では、新しい空間光学手ブレ補正機能を備えた「PJ760V」(プロジェクタ付き)、「CX720V」(プロジェクタ無し)の展示に注目。会場内の高い位置にデモ機が設置されており、ワイド端で従来機種の10倍から13倍、テレ端で2倍から13倍へと、大幅に強化された手ブレ補正機能の威力が体験できる。

揺れる台にビデオカメラを設置し、空間光学手ブレ補正機能の強力さをアピールプロジェクタ搭載ビデオカメラをデモするため、ブース内には暗室も設けられている


■その他

カシオのフルHD動画撮影対応「EXILIM EX-ZR20」(3月16日発売/実売4万円前後)。デュアルCPUと2つの画像処理回路、リコンフィギュラブルプロセッサで構成する「EXILIM ENGINE HS」を搭載しており、サクサクと高速レスポンスで撮影できるのが特徴GE、ジェネラル・イメージング・ジャパンが5月頃の発売を予定している新デジカメ。「AGFA(アグファ)」ブランドを用いた「AGFAPHOTO AP15」という製品で、フルHD動画撮影にも対応予定キヤノンブースではデジタルシネマ対応カメラ「EOS C300」も展示
セイコーエプソンブースでは、3LCD方式のプロジェクタで3D表示を実現する、高温ポリシリコン(HTPS)TFT液晶パネルと、EH-TW6000Wなど、それを採用したプロジェクタも展示。投写デモも行なっているアドプラスが取り扱う、クラシックカメラをイメージしたiPhone 4S/4用ケース「GIZMON iCA」にも注目が集まっていた
周辺機器メーカーからは、カメラのシューアダプタなどにスマートフォンを固定するための各種アダプタが展示されている。デジカメ撮影と同時に、同じアングルでスマートフォンでも動画/静止画が手軽に撮影できたり、無線LANを使ったデジカメとの連携をスムーズにできるようになるという。写真はエツミブースCompactFlash Associationも出展。ニコンのD4に採用されているXQDカードと、その周辺機器が展示された

今年もコンパニオンがイベントに華を添えている。左からネットプリントの「vivipri」、パナソニックブース、シグマブース


(2012年 2月 9日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]