Twitter連携や長時間W録などNECのTV PCのこだわり

PCならではにこだわる「SmartVisionの歴史」


Twitter連携などに対応した新VALUESTAR

 NECパーソナルコンピュータは19日、個人向けパソコンに搭載しているTV関連のハードウェア/ソフトウェア「SmartVision」などテレビ機能についての説明会を開催した。

 同社は2012年のPC春モデルにおいて、フルHD解像度で16倍(地デジでは11倍相当)の長時間録画や、テレビと共にTwitterのタイムラインを表示するなど、AV関連機能を強化したモデルを投入。新TVボードを採用した液晶ディスプレイ一体型モデルのVW970/GS、VW770/GS、VN790/GS、VN770/GS、VN570/GSなど5モデルをラインナップする。



■ 「SmartVisionの歴史と蓄積」

商品開発部 小野寺本部長

 NECパーソナルコンピュータ 商品開発部の小野寺忠司本部長は、同社のSmartVisionとテレビパソコンの取り組みについて紹介。地デジチューナ搭載パソコンで、シェア34%(2011年1~12月/GfKジャパン調査)を獲得するなど高い支持を得ていることを紹介した。

 テレビ機能に関するチューナなどのハードウェアやLSI、ソフトウェアなどを総合して「SmartVision」として展開しているが、その歴史は'95年のチューナ付きビデオキャプチャカードからスタートしており、最新の'12年モデルでは、3波Wチューナ+W長時間録画などの機能を搭載。さらに、Twitter連携機能の「つぶやきプラス」などを紹介し、「SNSやスマートデバイスとの連携で、テレビを見ながら感動を共有できる。将来的にはそれらをネットビジネスにも繋げたい」とした。


地デジチューナ搭載パソコンで、シェア34%SmartVisionの歴史
コンシューマ商品企画部の大久保氏

 SmartVisionの企画を担当するコンシューマ商品企画部の大久保めぐみ氏は、「パソコンならではのテレビ機能を意識している」とし、新TVボード「Xcode5」による16倍長時間録画や、無制限にUSB HDDを追加できること、おまかせ録画などの充実した録画機能を紹介。再生機能についても、CMと本編を自動検出し、効率的にテレビ視聴できる「見たいところ」再生や、最高2倍速までの「きこえる変速再生」、DTCP-IP/DLNA対応、SDカードで番組を持ち出せる「外でもVIDEO」などの機能を紹介した。

 メディアプラットフォーム開発部 小野寺聡部長は、SmartVisionの目指すところを「たくさんとって簡単再生」と紹介。Wチューナ、W長時間録画、W携帯録画の「三波WWW」やUSB HDDへの拡張のほか、光ディスク書き出しやDTCP配信、ケータイ持ち出しなどの様々なシーンに対応できる拡張性を強調。また、パソコンのキーボードでの操作だけでなく、リモコン操作の10feet UIの使い勝手なども紹介した。


メディアプラットフォーム開発部 小野寺部長SmartVisionの概要SmartVisionのUI構成
SmartVisionテレビボードの特徴

 オリジナルのTVボードや、ワイヤレスTVデジタル機能などもNECビジネス録画パソコンの特徴。新モデルでは、デコーダエンジンも独自の「NECプレゼンタ」を搭載したという。

 従来は自社製のH.264デコーダの後段でマイクロソフトのDirect 3D描画モジュールを採用していたが、新たにNECプレゼンタと呼ばれる描画エンジンを採用。これにより、CPUとグラフィックスの非同期制御による映像カクツキや処理能力増大に対応し、なめらかな再生を実現する。NECプレゼンタでは、データコピー処理を低減する「FlipEX」技術を導入したことで、コマ落ちを大幅に改善できたという。これにより、低価格モデルでもH.264のHDデコードを実現できたとする。


初代の地上デジタル対応チューナカード(左上)などと最新のWチューナ/W長時間録画対応チューナカードの比較(下)NECオリジナルのTVボードNECプレゼンタの概要

 また、最高2倍速までの早見再生「きこえる変速再生」に対応。5-20倍速の8段階で速度を切り替え可能で、2倍速という速度は業界最高という。この実現のためにNEC中央研究所の独自の音声時間軸圧縮伸張技術を搭載した。

 なお、SmartVisionの外販については、「15年以上の歴史があり、ある意味モジュールを積み上げ積み上げてできている。外販にはSDK化などを行ない、提供先にあわせたGUIカスタマイズが必要だが、そこまで共有しようという話は今のところはない。ただし、一部モジュールについてはそういう話も考えていきたい(メディアプラットフォーム開発部 小野寺部長)」とした。


きこえる変速再生に対応2倍速再生も10FeetUIを採用

■ Twitter連携「つぶやきプラス」実現の理由

つぶやきプラスの概要

 新VALUESTARの特徴の一つがTwitter連携機能の「つぶやきプラス」。Twitterライブ視聴、Twitter録画視聴、Twitterリモート録画予約、Twitterおすすめ予約の4つで構成されるもの。

 「Twitterライブ視聴」は、テレビ画面の横にTwitter専用のウインドウを表示させ、放送中のチャンネルに関連したつぶやきを自動的に表示するもの。ユーザーがツイートする事もでき、視聴している局に合わせたハッシュタグが自動で付与される。

 タイムラインの表示はチャンネル切り替えと連動するほか、全チャンネルのつぶやきをまとめて見るモードも装備。Twitterで盛り上がっているチャンネルが確認できる。

 つぶやきプラスの大きな特徴といえるのが、録画番組にも対応したこと。「Twitter録画視聴」は、前述の機能を、録画した番組の再生時にも実現するもの。録画時/タイムシフトモード時に、Twitterのハッシュタグを使い、録画番組に関連したツイートも記録。再生時に、映像の進行に同期してスクロール表示できる。

 さらに、任意のツイートを選択して、頭出しできる「シーンジャンプ」にも対応。ツイートの時間と録画番組の録画日時を照合し、頭出しに利用するものだ。ただし、ユーザーの通常の行動は「テレビを見てからツイートする」という流れになるため、ツィート時間はテレビの実際の表示時間から遅れることとなる。そのため、シーンジャンプ時はツィートの時間から30秒前にジャンプするように設定してある。

 なお、つぶやき録画については、Twitterからは「きっちり保存する分には構わないという回答をいただいている」(メディアプラットフォーム開発部 小野寺部長)とのこと。また、内容に関するフィルタリングは特に行なっていないが、指定のユーザーや用語を表示しないように設定することは可能。

番組録画にあわせてツィートを保存TBSなど局のハッシュタグがついたツイートを表示し、録画番組では頭出しも可能

 「Twitterリモート録画予約」は、Twitterを使って録画予約する機能。例えば“録画「平清盛」”とつぶやくと、PCが、あらかじめ指定した時刻に自身のTwitterアカウントのツイートを自動確認。そこから番組表データを検索し、該当する番組を録画予約する。また、自分宛にDMを送る事でも録画予約できる。フォーマットに合わせたツイートをする事で、放送日、時間、チャンネル、録画モードなどを指定して予約する事もできる。

メディアプラットフォーム開発部 今野氏

 「Twitterおすすめ予約」は、家族や知人が“録画「番組名」”の予約フォーマットでSmartVisionユーザのアカウントにDMしてきた場合、その情報をSmartVisionの「おすすめ予約」に登録する機能。おすすめ予約に登録されている番組を、ユーザーが一度確認し、予約を実行することで、予約が行なえる。

 「つぶやきプラス」を担当した、メディアプラットフォーム開発部の今野龍一氏は、「テレビの感動と共有できる仕組み」と紹介。今野氏は、サッカーのテレビ中継を見ながら、スマートフォンでTwitterを眺めて、ゴールの瞬間などに盛り上がる楽しさ、コミュニケーションによる感動の共有をヒントに企画したという。


つぶやきプラス製品化への道のり

 しかし、サンプルアプリを開発し、部内で提案したところ、「映像が第一。オーバーレイ表示はダメ」、「並べて表示するだけでは面白くない」と部長からダメ出しを食らったとのこと。その後、修正したバージョンを提案したところ、部長のOKはでたが、部内のTwitter/つぶやきに興味がないメンバーには「なにが面白いの?」などと言われて、「『僕は楽しいんですけどね……』と言葉に詰まってしまった」という。

 そこで、つぶやきを利用したテレビの付加機能として、「録画番組のつぶやき表示」や、「つぶやきクリックでのシーンジャンプ」、「リモート録画/おすすめ録画」などを提案したところ、「そういうことができるのならばOK」と部内でGOが出たとのこと。今後もつぶやき連携をつかったシーン検索などの強化を検討しているほか、「他のSNS連携もやっていきたい」という。



(2012年 3月 19日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]