オンキヨー、Apple Lossless/DSD対応のAVアンプ最上位

-「TX-NR5010」。TrueHD配信/デジタルクロスオーバー


最上位モデルのTX-NR5010

 オンキヨーは、一体型AVアンプのフラッグシップモデル「TX-NR5010(B)」と、「TX-NR1010(B)」を発売する。発売時期と価格は、9.1chのTX-NR5010が7月中旬で367,500円、7.1chのTX-NR1010が7月上旬で241,500円。

 ネットワーク再生機能を強化したAVアンプ。e-onkyo musicで5月30日に開始されたドルビーTrueHD 5.1chでの音楽配信に対応し、PCでダウンロードした楽曲を、LANまたはUSBメモリを介してAVアンプで再生できる。両機種の主な違いは、アンプのチャンネル数/出力と、NR5010のみトロイダル型の大型電源トランスや金メッキのRCA端子を採用する点など。

 ネットワーク機能では、ドルビーTrueHD以外にも、DSD(DSF形式/2ch)やApple Lossless(最高24bit/96kHz)の楽曲再生にも対応。e-onkyoでPC向けに配信しているDSD楽曲や、手持ちのCDからリッピングしたApple Lossless楽曲をAVアンプで再生できるようになった。なお、DSDはPCMに変換せずダイレクトに再生可能(既発売のTS-NR818/717はPCMに変換する)。

【6月29日訂正】
記事初出時、「DSDはダイレクト入力してAVアンプ側でリニアPCMに変換してから再生する」としていましたが、正しくはPCM変換せず、DSDのファイルをダイレクトに再生します。お詫びして訂正いたします。

 DLNA 1.5をサポートし、対応PCやLAN HDDなどに収めたWAV/FLACの24bit/192kHz音源も再生可能。Windows 7のPC音源を高音質再生する「Play To」にも対応。本体にEthernetを備えるほか、別売USBアダプタ「UWF-1」(実売3,000円前後)を利用して無線LAN接続することも可能。 ネットワークラジオ機能として、radiko.jpや、vTuner経由でのインターネットラジオ、AUPEO!に対応。ロッカー型のミュージッククラウドサービス「MP3tunes」も利用できる。

 USB端子を2系統備え、USBメモリなどに収めた音楽ファイルを再生可能で、MP3/AACのほか、WMA LosslessやFLACにも対応。前面のUSBはiPhone/iPodのデジタル入力にも対応する。iPhone/iPod touchやAndroid用のアプリ「Onkyo Remote」からの操作が可能で、入力ソース切り替えやボリューム操作などが可能。さらにAndroid版では、スマートフォン内やサーバー内の楽曲を選択し、TX-NR5010/NR1010に出力指示できる。

TX-NR1010
TX-NR5010の筐体と内部構造

 両機種とも、既発売のTX-NR717/818で初採用された「Digital Processing Crossover Network機能」を搭載。これは、接続したフロント2chスピーカーのクロスオーバーネットワークを通さずダイレクトにスピーカーユニットを駆動することで「クロスオーバー周波数付近の高域と低域の重なりが少なくなり、透明感の高い音楽再現が可能」としている。ツイータ側には高音の帯域波形を、ウーファ側には低音の帯域波形をアンプ側でデジタル分割して音声信号を出力する。この機能を利用するには、高域/低域のスピーカー入力端子を独立して設けたバイワイヤリング対応スピーカーが必要。

 ネットワークを持たないスピーカーで利用する場合は、スピーカーの持つクロスオーバー周波数に近い帯域で高域/低域をデジタル分割することが可能。接続するスピーカーのクロスオーバー周波数を調べられる「Output Band for Test」機能も持つ。また、高域/低域それぞれの出力レベルを個別に調整することも可能。なお、ネットワークを持つスピーカーではアンプの出力信号をダイレクトにユニットへ伝達できないが、「デジタルで帯域分割した信号を入力することで、クロスオーバー周波数付近の重なりが少なく透明感の高い音楽再現が可能になる」としている。

 さらに、マルチウェイスピーカーの問題とされる、各ユニットから届く音の到達時間の差を解消するため、ウーファとツイータの前後位置を仮想的に調整するタイムアライメント補正も搭載。再生音の到達時間を合わせ、ユニットのつながりが良くなることで鮮烈なアタック音と音場感の向上が図れるという。



■ HDMIを9系統装備。NR5010はサブウーファ出力4系統

TX-NR5010

 アンプ出力は、TX-NR5010が定格200W×9ch、最大280W×9ch(いずれも6Ω時)。TX-NR1010が定格180W×7ch、最大250W×7ch(6Ω時)。全9chをディスクリート構成とし、3段インバーテッドダーリントン回路を搭載することで、音声電流の変化に対しても最終段の安定した動作を実現。電源の電解コンデンサーを中心に、パワーアンプの各チャンネルをL/Rシンメトリーに配置。ワイドレンジアンプ技術「WRAT」も搭載する。

 5.1chなどの音声信号からフロントハイ/ワイドなどのサラウンド信号を生成可能な「DTS Neo:X」に対応。また、フロントL/RチャンネルのDAC部は、1chに通常の2ch分のDAC回路を割り当てたディファレンシャル動作に対応している。筐体構造は、プリアンプ部とパワーアンプ部を完全にブロック化した「ケース内コンポーネント」思想を導入している。

 TX-NR5010はトロイダル型の大型電源トランスや、映像回路用とデジタル回路用の独立したEIトランスを搭載。パワーアンプ用の電源部には特別設計の22,000μF×2の電解コンデンサーを使用する。さらに、アルミ押し出し材による側板と天板を別パーツにして筐体の剛性を向上。RCAピンの金メッキ化も行なっている。TX-NR5010は、TI/バーブラウンの32bit/192kHz対応DACを7基搭載。TX-N1010は24bit/192kHz DAC×7基となる。

付属リモコンは2機種共通

 両機種とも「THX Ultra2 Plus」に準拠。HDMI入力は9系統で、出力は2系統。3D映像伝送や、ARC(オーディオリターンチャンネル)、CECにも対応する。アナログ映像などを、アップスケーリングしてHDMIから出力する機能も搭載する。

 「InstaPrevue」と「MHL」にも対応。InstaPrevueは、テレビなどの画面にサブ画面(子画面)を表示して、AVアンプにHDMI接続されているAV機器やMHL入力対応スマートフォンなどの再生映像を動画でプレビューする技術。入力切替を行なう前に、各機器にどのような映像があるかをまとめて確認できる。また、MHL対応スマートフォンなどのモバイル端末から1080pの非圧縮映像と、8チャンネル分のデジタル音声伝送が可能。AVアンプ側からMHL対応端末のコントロールもできる。

 映像補正回路の「HQV Vida VHD1900」を搭載。また、Marvellの「Qdeo」技術により、最大4K(3,840×2,160ドット)へのアップスケーリングにも対応。コンポジット/D4/コンポーネント/HDMIからの480i映像などを、1080pや4Kに変換できる。映像を見ながら音声調整や入力切替、音声フォーマットなどが確認できる「オーバーレイOSD」機能も搭載。なお、同機能はHDMIのMAIN端子(HDMI 1)からの出力のみ対応する。

 付属マイクを使った自動スピーカー設定機能の「Audyssey MultEQ XT32」を搭載。圧縮音源を高音質化するミュージックオプティマイザーも装備。 PLL方式のジッタークリーナーも搭載し、TX-NR5010では各回路間で生じるクロック信号伝搬時間差を回避するため、可能な限り等長パターンによる回路設計を施している。

 HDMI以外にD4やコンポーネント入力も装備。サブウーファ出力は、TX-NR5010が4系統。マルチルーム出力(ZONE2/3)を装備する。接続するスピーカーの適応インピーダンスは4Ω~16Ωまたは6~16Ω。マクロ対応のリモコンが付属する。

TX-NR5010は金メッキのRCA端子を使用TX-NR5010の背面TX-NR1010の背面

 

型番TX-NR5010(B)TX-NR1010(B)
最大出力280W×9ch(6Ω)250W×7ch(6Ω)
定格出力200W×9ch(6Ω)180W×7ch(6Ω)
HDMI入力端子9系統
HDMI出力端子2系統
その他入力端子D4端子×2
コンポーネント×2
コンポジット×5
光デジタル×4
同軸デジタル×3
アナログ音声×7
PHONO×1
D-Sub 15ピン×1
USB×2
D4端子×2
コンポーネント×2
コンポジット×5
光デジタル×3
同軸デジタル×3
アナログ音声×7
PHONO×1
D-Sub 15ピン×1
USB×2
その他出力端子D4端子×1
コンポーネント×1
コンポジット×1
アナログ音声×2(ZONE 2/3)
11ch×1
サブウーファ×4
ヘッドフォン×1
D4端子×1
コンポーネント×1
コンポジット×1
アナログ音声×2(ZONE 2/3)
9ch×1
サブウーファ×2
ヘッドフォン×1
外形寸法
(幅×奥行×高さ)
435×463.5×198.5mm435×463.5×198.5mm
重量25kg23kg


(2012年 6月 28日)

[AV Watch編集部 中林暁]