TAD、Referenceスピーカー2機種をモデルチェンジ

-新開発ウーファ採用。「TAD-R1MK2/CR1MK2」


TAD-R1MK2

 テクニカル オーディオ デバイセズ ラボラトリーズ(TADL)は、ハイエンドオーディオ「Reference」シリーズのスピーカー2機種を「MK2」にモデルチェンジ。フロア型の「TAD-R1MK2」と、ブックシェルフ「TAD-CR1MK2」を発売する。発売時期と1台あたりの価格は、「TAD-R1MK2」が10月中旬で367万5,000円、「TAD-CR1MK2」が11月中旬で194万2,500円。

 2機種に共通する強化点は、ウーファに新開発のTLCC(Tri-Laminated Composite Cone)を使った事。これは、最新鋭の航空機などで使用されている、軽量高剛性な発泡アクリルイミドをアラミドファイバーで挟み込んで振動板としたもの。

 振動板としての強度を高めているほか、発泡アクリルイミドとアラミドファイバーを個別に成型し、織布の持つ異方性の特徴を生かす新しいラミネート方法で加工することで、軸対称モードの共振も低減したという。


TAD-CR1MK2

 さらに、音の波形を常に正しく再生するため、磁気回路にショートボイスコイルタイプの独自のOFGMS回路を採用。TAD-R1MK2では37mm、TAD-CR1MK2では20mm長のロングギャップ間の磁束密度を均一化した。これにより、幅広い振幅時の動作が安定。高い駆動リニアリティを実現するという。また、独自のコルゲーションエッジも採用している。

 「TAD-R1MK2」は3ウェイで、ウーファは25cm径を2基搭載。「TAD-CR1MK2」も3ウェイだが、ウーファは20cm径を1基のみとなる。

 どちらのスピーカーも、ウーファの上に、従来モデルと同様に、16cm径のミッドレンジと、3.5cm径ドーム型ツイータを組み合わせた独自のCST(Coherent Source Transducer)同軸ユニットを搭載している。

 ツイータとミッドレンジの振動板はベリリウム。独自の蒸着法で加工することで、優れた材料強度や均一性を持たせており、高域共振の減衰特性を実現している。ツイータの形状設計には、コンピューター解析による独自の最適化手法「HSDOM(Harmonized Synthetic Diaphragm Optimum Method)」を採用。分割共振をコントロールし、100kHzまでの再生を実現している。

 「TAD-R1MK2」の再生周波数帯域は21Hz~100kHz(クロスオーバー周波数は250Hz、20kHz)。「TAD-CR1MK2」は32Hz~100kHz(クロスオーバー周波数は250Hz、20kHz)。インピーダンスはどちらも4Ω。

 CSTドライバには、機械的な振動の伝達を遮断する独自のISOドライブテクノロジーも採用。CSTドライバによるエンクロージャの励振がなくなり、エンクロージャからの2次的な輻射音も低減する。

 エンクロージャには、異素材の組合せによるラミネート構造材を使用。横隔壁を骨格にすると共に、周囲を強固なパネルにすることで、フレーム構造とモノコック構造のメリットを活かし、静的・動的強度を向上させている。具体的には、厚さ21mmの樺合板で枠組みをし、高周波加熱プレス成型した側板とCNC加工合板を張り合わせて形成。全体の形状をティアドロップ型にする事で、音の回折を低減。不要共振や内部定在波の排除も図っている。

 エンクロージャの外観部(突板)には、天然木の「ポメラサペリ」を採用。透明ポリエステルによるピアノ調仕上げを施している。

 外形寸法と重量は、「TAD-R1MK2」が554×698×1,293mm(幅×奥行き×高さ)で、150kg。「TAD-CR1MK2」が、341×444×628mm(同)で、46kg。



(2012年 8月 30日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]