【CEATEC 2012】スマートフォン連携「MHL 2.0」対応拡大

シリコンイメージ初の4KスケーラチップやWireless HD


プレゼンテーションは、MHL対応スマートフォンのファイルをWireless HDでプロジェクタに転送して表示するという形で行なわれた

 シリコンイメージ ジャパンは、10月2日から幕張メッセで開催されている「CEATEC JAPAN 2012」(一般公開は3日~)に合わせて、プレス向け説明会を開催。スマートフォンなどで対応が拡大している「MHL(Mobile High-Definition Link)」や、Wireless HD、InstaPrevueなどの最新バージョンについて、採用事例の紹介と共に説明を行なった。



■ MHL 2.0対応でTVリモコンからスマホを操作可能

MHLによる機器のつながり

 スマートフォンとAV機器などを接続するMHL規格で、5月に発表された最新バージョン「MHL 2.0」は、1080/60pビデオ伝送や8chのデジタルオーディオ、HDCP、テレビリモコンによる制御(RCP)などに対応することが特徴。シリコンイメージは、MHL 2.0対応製品としてトランスミッタの「SiI8558」や、MHL to HDMIブリッジICの「SiI9296」、MHL to VGAブリッジ「SiI1296」、デュアルモードMHL/HDMIレシーバの「SiI9293」を9月に発表している。

 MHL 2.0対応のテレビでは、MHL接続したスマートフォンを、テレビのリモコンから操作可能。会場では東芝の欧州向け液晶「55WL863」を使って、スマートフォンの動画再生などを行なった。また、車載機器ではパイオニアの車載液晶「AppRadio」(国内での製品名はアプリユニット)がMHLに対応。スマートフォンの地図が2DIN画面に表示され、マルチタッチで操作できることなどを紹介した。そのほか、SamsungのピコプロジェクタにもMHLが採用されている。MHL参加メーカーは150を超え、シリコンイメージはモバイル機器などのメーカーに1億個以上の対応製品を出荷している。

MHL 2.0の特徴スマートフォンの画面をテレビのリモコンで操作パイオニア「AppRadio」にスマートフォンの地図を表示。タッチ操作できる
海外のユニークなMHL対応製品として、韓国Korea Telecomの「SPIDER LAPTOP」も紹介。これは一見するとUltrabookのような薄型ノートPCだが、実はCPUもストレージも入っていないディスプレイ/キーボードとなっており、スマートフォンと接続することでアプリや通信機能が使えるまた、海外で人気のスティック型STB「ROKU」をテレビにHDMI接続して、テレビのリモコンからROKUが対応する動画サービスなどを操作するというデモも


■ Wireless HDの最新チップがシャープ製アダプタなどに採用

Wireless HD(第3世代チップ/右)と、無線LAN(右)の仕様比較

 既報の通り、シャープはWireless HDアダプタ「VR-WH1」を発売。VR-WH1は、HDMI 4入力のトランスミッタと、出力1系統のレシーバ(受信機)で構成。送信機に入力したHDMI信号を、60GHz帯の無線信号を利用してワイヤレスで受信機に伝送。離れた場所のテレビなどにHDMIで映像出力できる。

 この製品には、シリコンイメージのSiI6310/6320/6321第3世代チップセットと、SiI9573ポートプロセッサを搭載。映像/音声信号を非圧縮で“ほぼゼロ遅延”で伝送可能。InstaPort Sや、InstaPrevue、MHLにも対応する。

 

第3世代チップを使ったシャープのWireless HDアダプタ「VR-WH1」テレビの下にある白い小さなボックスがVR-WH1の受信機VR-WH1送信機の背面


■ アンカーベイ買収で、初のスケーリングチップ発売へ

 

VRS CrearView搭載チップを供給
 シリコンイメージは、スケーリングチップなどで知られるアンカーベイを2011年に買収している。4K2Kアップスケーリング技術「VRS ClearView」を搭載したリアルタイム変換チップをBlu-rayプレーヤーやAVアンプなどのホームシアター製品向けに販売する。

 

 インターネットからダウンロード/ストリーミング再生する動画や静止画を、SD解像度から4K2K解像度にリアルタイムで変換するというビデオプロセッサで、シリコンイメージとしては初のスケーリング対応チップとなる。これをBDプレーヤーなどに搭載することで、「4Kテレビで動画を表示した場合も、シネマライクな画質を提供できる」としている。


■ InstaPrevueのテレビ向けチップがサンプル出荷開始

InstaPrevueの概要

 テレビやAVアンプにHDMI接続したBDプレーヤーなどの映像を、HDMI入力切替する前にプレビュー表示する「InstaPrevue」の最新トピックとして、新たにテレビ向けのサンプルチップを出荷したことを発表。来年以降に対応テレビの発売が見込まれている。

 これまで、オンキヨーやソニーらがInstaPrevue対応AVアンプを発売しているが、これらに搭載されるチップに比べて低価格となっており、より多くの機器への搭載が期待できるという。会場でこのサンプルチップを使ったデモも行なわれ、プレビュー画面の表示位置や並び方をリモコンで簡単に変えられることなどをアピールしていた。

 シリコンイメージが9月19日に発表した「SiI9687」は、テレビ/ディスプレイ向けの4ポート搭載HDMIポートプロセッサ。InstaPrevueやMHL 2.0に対応し、スマートフォンなどからの1080/60p映像をテレビに出力できるほか、4K2K解像度もサポート。テレビに接続した他のソース機器とともに、ライブプレビューをテレビ画面上にサムネイル表示できる。また、入力切替時間を1秒またはそれ以下に短縮する「InstaPort S」技術も採用している。

InstaPrevueチップ搭載テレビのデモ。接続したプレーヤーなどのプレビュー画面を表示。プレビューの表示位置は好みで設定きる

 


(2012年 10月 3日)

[AV Watch編集部 中林暁]