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ケンウッド、DSD/FLAC対応ハイレゾネットワークコンポ
“誇り”の「Kseries」最新作。CD搭載「A-K805」も
(2013/10/10 10:58)
JVCケンウッドは、ケンウッドブランドのミニコンポ「Kseries」の新製品として、ネットワークアンプ「A-K905NT」やCDチューナアンプ「A-K805」など4製品を10月中旬より順次発売する。価格はA-K905NTが94,500円、A-K805が78,750円。
Kseriesとの組み合わせを想定したスピーカー「LS-K901-M」も10月中旬発売し、価格は36,750円(ペア)。また、スピーカーをセットとしたHi-Fiシステム「K-735」も10月中旬に発売。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は75,000円前後
品番 | 種類 | 発売時期 | 価格 |
---|---|---|---|
A-K905NT | ネットワーク アンプ | 11月上旬 | 94,500円 |
A-K805 | CDアンプ | 10月中旬 | 78,750円 |
LS-K901-M | スピーカー | 36,750円 | |
K-735 | ミニコンポ | オープンプライス (75,000円前後) |
Kseries(Kシリーズ)は原音再生をコンセプトにしたミニコンポの上位シリーズ。アンプの「A-K905NT」と「A-K805」は、100kHzまでの広帯域再生の実現と歪特性を改善した新開発デジタルアンプや、独自の高音質化技術「K2テクノロジー」を搭載。A-K905NT/A-K805は、セットのスピーカーとして「L-K901-M」との組み合わせを推奨している。「K-735」には、専用スピーカーが付属する。
ハイレゾDLNAコンポ「A-K905NT」
上位モデルとなる「A-K905NT」は、DLNA 1.5に準拠したネットワークオーディオ機能とUSBオーディオ機能を搭載し、DSDやFLACなどのハイレゾ再生に対応。FLACやWAVは最高24bit/192kHzまでサポートする。対応オーディオフォーマットはDSD、FLAC、WAV、Apple Lossless、AAC、MP3、WMA。
DLNAサーバーは、Windows Media Player 12(パソコン)や各社のNASを想定。DSD対応のNASについては、バッファローなどの製品で動作検証は行なっており、動作確認機種などについてケンウッドホームページで案内する予定。
前面と背面にUSB端子を備え、iPhoneやUSBメモリからの再生も可能。24bit/192kHz(背面は24bit/96kHzまで)のハイレゾオーディオ再生も行なえる。CDドライブは備えていない。
広帯域/低歪を追求したという新開発のデジタルアンプを搭載。出力は50W×2ch(4Ω)。アンプ部の回路構成はPWM方式のデジタルアンプを採用し、ローパスフィルター(LPF)通過前のデジタル信号と通過後のアナログ信号をそれぞれフィードバックすることで、電源変動などで生じる音質影響を抑制。高域は100kHzのワイドレンジ再生を行なうとともに歪みを抑制した。これにより、ハイレゾ音源などをクリアな音質で実現でき、「音楽の持つあたたかみや艶、余韻などを表現する複雑な倍音成分も的確に再現する」としている。
また、圧縮音源やCDなどに対し、最高24bit/96kHzまでのビット拡張や周波数帯域拡張処理を行なうことで、もとの音楽情報を予測/補間し、微小信号の再現能力を高める独自の高音質化技術「K2テクノロジー」を搭載。K2をONにすることで、音楽コンテンツに応じた最適なパラメータを自動で設定し、高音質化できるという。なお、K2テクノロジーは、これまでJVCブランド製品に搭載してきた技術だが、今回ケンウッドブランド製品のA-K905NTとA-K805でも搭載した。
5mm厚のアルミ製フロントパネルを採用するなどで、筐体剛性と高級感の両立を図っている。KseriesのデザインはこれまでCD/アンプ一体の「ハイブリッド」を訴求するものだったが、A-K905NT/A-K805は広帯域アンプなどの特徴を訴求するために、「アンプらしさ」を表現したとする。
24bit/192kHz対応のWolfson製DACを搭載。光デジタル音声入力と同軸デジタル音声入力を各1系統装備し、それぞれ24bit/192kHzまでのデジタル信号に対応している。アナログ音声出力×1やサブウーファプリアウト、ヘッドフォン出力も搭載。トーンコントロールやEX.BASS機能なども備えている。
Ethernetを装備し、DLNA 1.5のほか、radiko.jpに対応(AM/FMチューナは非搭載)。また、iOS/Androidアプリの「KENWOOD Audio Control WR2」に対応し、NASやスマートフォン内の曲を選んでA-K905NTに出力できる。
消費電力は50W(待機時0.5W以下)。外形寸法は247×288×115mm(幅×奥行き×高さ)、重量は3kg。リモコンが付属する。
CDミニコンポ「A-K805」
A-K805は、A-K905NTと同等のアンプシステムとCDプレーヤーを内蔵したKseriesのメインユニット。iPhoneやUSBメモリなどから再生できるUSB端子も備えている。ただし、ファイル再生はMP3/WMA/AACのみで、WAV/FLAC/DSDなどの再生には対応しない。また、ネットワーク再生機能も備えていない。
ハイレゾやDLNAなどのネットワークオーディオ用の「A-K905NT」に対し、「A-K805」はCD愛好者向けのシンプルなメインユニットとして訴求。アンプはA-K905NTと共通で、広帯域/低歪を追求したという新開発のデジタルアンプ。出力は50W×2ch(4Ω)。100kHzのワイドレンジ再生とともに歪みを抑制している。
また、「K2テクノロジー」を搭載。圧縮音源やCDなどに対して、最高24bit/96kHzのビット拡張/周波数帯域拡張処理を行ない、もともとの音楽情報を予測/補間し、微小信号の再現能力を高める。入力信号としてはハイレゾ非対応だが、アンプの入力段の前でハイレゾ相当に変換して処理を行ないうため、高音質化が図れるとする。
24bit/192kHz対応のWolfson製DACを搭載。光デジタル音声入力と同軸デジタル音声入力を各1系統装備し、それぞれ24bit/192kHzまでのデジタル信号に対応している。アナログ音声出力×1、サブウーファプリアウト、ヘッドフォン出力や、トーンコントロールやEX.BASS機能などを備えている。
AM/FMチューナも搭載。消費電力は45W(待機時0.5W以下)。外形寸法は247×288×115mm(幅×奥行き×高さ)、重量は3.3kg。リモコンやAM/FMアンテナが付属する。
L-K901-M
ハイレゾ対応のための理想的な点音源を目指したというブックシェルフ型のスピーカー。ツィータとウーファの2ウェイスピーカーだが、2つのユニットから、リスナーに音が届く到達時間を同じにするためユニット近接配置する「UDレイアウト」を追求。音のフォーカスや定位感に優れ、つながりの良い音場を実現するという。
ユニットは、100kHzまで対応した2cm径ツィータと、12cm径のグラスファイバーコーンウーファを搭載。ツィータはアルミニウム振動板を採用することで、100kHzまでの高域再生に対応。イコライジング効果を持つディフューザと音の放射特性をコントロールするホーンツィーターパネルにより、ワイドレンジ化。また、磁気回路には銅キャップを採用し、ボイスコイル近傍の渦電流を改善し、クリアな高域再生を実現するという。
ウーファはハイレゾ対応の向け、入力信号に対する振動板の応答速度を高めるため、12cm径のグラスファイバー振動板を採用。駆動用の磁気回路にはアルミショートリングを採用した、低歪磁気回路により、中域の情報量や低域の解像度を向上したという。
再生周波数範囲は40Hz~100kHz、出力音圧レベルは83dB/W/m、インピーダンスは4Ω。外形寸法は160×271×271mm(幅×奥行き×高さ)、重量は4.2kg。
K-735
CD/USBレシーバーとスピーカーをセットにしたKseriesのミニコンポ。付属スピーカーは「L-K901-M」とは異なっている。
メインユニットは、CDプレーヤーとiPhone/iPodやUSBメモリなどに対応したUSB端子を前面に装備。さらに背面にはPC接続可能なPC IN(USB)を装備し、様々なデジタル音源を高音質再生できる。
アンプは、左右独立デジタルアンプで出力は50W×2ch(6Ω)。電源回路もLR独立して構成し、チャンネルセパレーションの向上を図った。信号入力からアンプの最終段までをデジタルで処理する「フルデジタルアンプ」となる。
高域成分を補完する「Supreme EX」を搭載。MP3やWMAなどの圧縮ファイル用の「音楽ファイルモード」と、音楽CD再生時に20kHz以上の高調波成分を付加する「音楽CDモード」を装備。それぞれのモードは自動で切り替えを行なう。
2系統の光デジタル音声入力も装備し、最高24bit/96kHzまで対応。アナログ音声入出力や、D.AUDIO入力(ステレオミニ)、サブウーファプリアウトなどを装備する。FM/AMチューナも搭載。消費電力は65W(待機時0.5W)。外形寸法は245×309×104mm(幅×奥行×高さ)、重量は5.7kg。
付属のスピーカーは 2ウェイ2スピーカーのバスレフ型で、ウーファは12cm径のコーン型、ツィータは2cmのドーム型。クロスオーバー周波数は5.5kHz。再生周波数帯域は45Hz~60kHz。出力音圧レベルは84dB、インピーダンスは6Ω。外形寸法は160×271×271mm(幅×奥行×高さ)、重量は4.2kg。
Kseriesはオーディオ製品の根管で「誇り」
JVCケンウッド業務執行社員 オーディオ事業部長の宮本昌俊氏は、Kseriesを「オーディオ製品の根幹であり、誇り」と語り、新Kseriesに込めた思いや特徴を解説した。
宮本氏は、リスニングスタイルの多様化や、音楽ソフト市場が14年ぶりに回復したこと、ハイレゾ拡大やダウンロード配信の伸張、団塊/団塊ジュニア世代のオーディオ回帰などのトピックを紹介。そうした状況下で、今の時代に求められる「新しいオーディオ」を目指すという姿勢を示した。
新Kseriesのコンセプトは「情熱が沸き立つ音を聴きたい」で、アンプ技術やスピーカー技術、デザイン/ブランディングなどJVCケンウッドが持つ独自技術を融合したことを紹介。特に強調したのはJVCが旧ビクター時代から展開してきた「K2テクノロジー」が、今回はじめてケンウッド製品に搭載したこと。
また、Kseriesにおけるホームオーディオ製品おけるハイレゾ対応だけでなく、JVCのヘッドフォンなどでもハイレゾ対応を進めることを強調。Kseriesは家庭内でのハイレゾ対応となるが、リスニングスタイルの多様化にあわせて、アウトドアでのハイレゾ対応のため、ポータブルヘッドフォンアンプを開発していることを紹介。Kseriesとともに、周辺カテゴリの高音質化を推進する。なお、ヘッドフォンアンプについては別記事で紹介している。
JVCケンウッド オーディオ事業部 技術統括部長の岩崎初彦氏は、初代K'sの思想を継承したKseriesの10周年を案内し、原音再生や所有の喜び、音楽の魅力や感動を伝える、長く使える、といった基本コンセプトを継承しながら進化させていくことを強調。新Kseriesで注力した点を「ハイレゾ」と「高音質」と紹介し、ワイドレンジ再生の新デジタルアンプやK2テクノロジー、UDレイアウトなどの技術を説明した。