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【ヘッドフォン】新構造「High-MFD」のイヤフォンなど

FitEarは“スタジオ音質”アップグレード。新HiFiMANも

会場のスタジアムプレイス青山。あいにくの天候だったが、多くの来場者が訪れていた

 10月26日~27日まで東京・スタジアムプレイス青山で行なわれている「秋のヘッドフォン祭 2013」から、アユート、FitEar、ラディウスなどのブースを紹介する。

ラディウス

NEF31

 世界初という新構造「High-MFD」を採用したカナル型イヤフォン「NEF31」などを展示。High-MFD構造の特徴は、ダイナミック型ドライバのボイスコイルから漏れる磁束をマグネットの反発磁力で閉じ込め、磁束密度を高めるというもの。同社従来製品に比べ感度を約4dB向上させているほか、トランジェントに優れたキレの良い音質を実現したという。発売時期は未定だが「そう遠くないうちに発売する」とのこと。

 ユニット径は13mm。ドライバユニットとハウジング部に、振動板の振動が阻害されるのを軽減する「ダブルプレシジョンアコースティックレジスター」構造を採用。より精度の高い音質調整を可能にしたという。イヤーピースは根本に比べ先端が膨らんだ新形状の「ディープマウントイヤーピース」で、耳のより奥側でフィットするという。イヤーピースの装着位置は2段階で調節することも可能。これらの新技術を搭載しながら、価格は4,000円前後に抑えている。

 「HF21」(3,000円前後)は10.4mm径ユニット搭載で、振動板の実効面積を最大限に拡大しパワフルに駆動させるという「リングレスダイヤフラムボンディング方式ドライバー」や、プレシジョンアコースティックレジスター、ディープマウントイヤーピースなどを採用したモデル。8.8mm径ユニット搭載で、リングレスダイヤフラムボンディング方式ドライバーやディープマウントイヤーピースなどを備えた「NEF11」(2,000円前後)もラインナップする。

 これらNEFシリーズは、同社のiOS用音楽プレーヤーアプリ「Ne AUDIO」を使って、各イヤフォンの特性に最適化した音質で楽しむことも可能。

NEF31の内部構造
NEF21
NEF11

アユート

11月8日に発売される「AK10」

 25日に発表されたAstell&Kernブランドのハイレゾ対応小型USB DAC兼ヘッドフォンアンプ「AK10」が、11月8日の発売よりも前に体験可能。54×54×13.2mm(縦×横×厚さ)、重量約51gで、iPhone 5などのLightning端子と接続して最大24bit/48kHzのデータ転送と再生が行なえる。デジタルで入力してAK10のDACでアナログ変換、アンプで増幅する。

 また、注目はラトックとアユートで共同企画したという、「AK120」などとの接続を想定したポータブルアンプ「REX-KEB02AK」の参考出展。ラトックブースだけでなく、アユートのブースでも試聴可能。詳細は別記事で掲載している通り、24bit/192kHz対応で光と同軸のデジタル入力を備え、DACはESS製の「ES9018K2M」を搭載。DAC部のアナログ出力からヘッドフォンアンプまでフルバランス構成となっている。

 他社とのコラボレーションとしては、AK120をUltimate Earsのイヤフォン「UE18 Pro」とセットにしたバージョンや、ファイナルオーディオデザインの「BS-S」との組み合わせなども提案。いずれも参考展示で、発売時期や価格などは未定。その他にも、AK120にチタニウムコーティングを施したというものや、AK100にスワロフスキークリスタルをちりばめたユニークなモデル、AKシリーズの側面や底面を覆う“バンパー”型のケースなども参考出展している。

 なお、Astell&Kernブランド一周年記念企画として、AKユーザーを対象として、先着100人にiriverのMQS/ハイレゾ音源配信サイト「groovers+」で、5曲をダウンロードできる無料クーポンもプレゼントしていた。

ラトックのポータブルアンプ「REX-KEB02AK」
2.5mmのバランス出力も装備
同軸/光デジタル端子
UEやfinal Audio designとのコラボ販売も提案
左がスワロフスキー装飾のAK100、右がチタニウムコーティングのAK120
スワロフスキー装飾バージョンの背面
AKシリーズのバンパーケースや、革製ケースのカラーバリエーション
AKユーザーに音楽配信の無料ダウンロードクーポンを配布していた

FitEar(須山歯研)

 バランスド・アーマチュア(BA)ユニット搭載イヤフォン「FitEar Parterre(パルテール)」の新色として、今後発売予定のホワイトモデルを展示。ヘッドフォン祭の会場では、このホワイトモデルにアニメソングCD 3枚を同梱する特別セットを、10台限定でフジヤエービックのコーナーにおいて販売していた。

 このセットは、多くのアニメソングを手がける音楽プロデューサー・ディレクターの佐藤純之介氏(アイウィル)とのコラボレーションにより生まれたもの。同梱のCDは、佐藤氏が手掛けたChoucho「starlog」、ZAQ「エキストラレボリューション」、fhana「tiny lamp」の3枚。なお、Parterreのホワイトモデル単体についても今後発売予定だが、詳細は改めて発表される。

FitEar Parterreのホワイト
ホワイトモデルのイヤフォン本体部
アニメソングのCDとセットで10台限定販売も実施した

 そのほか、発売中の3ウェイ5ユニット搭載カスタムイヤフォン「MH335DW」を対象にした「FitEar MH335DW Studio Referenceアップグレードサービス」を実施。これは、レコーディングエンジニア・杉山勇司氏らの協力による音質チューニングを同製品に施すもので、特に高域の拡大と中低域解像度の向上を図る。具体的には、ネットワークを最適化するほか、高域部のポートをチタンに変更する。

 アップグレードの料金は、旧型フェースプレートモデルに適用する場合が52,500円、新型フェースプレートモデルの場合は42,000円。提供時期は未定だが、年内の開始を目指しており、改めて同社サイトで案内する。

「FitEar MH335DW Studio Referenceアップグレードサービス」を適用したものを会場で試聴できる。写真は試聴用として特別にイヤーピースを付けたもの
イヤーピースを外したところ
イヤフォンの安全な利用を訴えるポスターも日本語/韓国語/英語/フランス語のバージョンで用意(イラスト:シラユキー)

トップウィング

HiFiMAN HF700

 ポータブルオーディオプレーヤー「HiFiMAN」の小型モデル「HM-700」を展示。“Hi-Fi品質でコンシューマ価格帯のプレーヤー”としており、価格は24,900円前後。既存モデル「HM901」(99,900円)などに比べると圧倒的に小型なプレーヤーだが、同社製イヤフォン(4極)とのバランス接続も可能。SN比やドライブ力、チャンネルセパレーションの高さなどを特徴としている。

 また、会場には展示されていなかったが、ハイエンド機の新モデル「HM802」の発売も予告。従来モデルのHM801と同じくローパスフィルタ回路にオペアンプ「OPA627」を搭載し、上位機のHM901と同様に16.8Vリチウム充電池を採用。電源のアナログ/デジタル部分を完全に分離している。アンプカードやケーブルはHM901のものを利用可能。

HF700の側面
HF901や、アンプカードなども展示していた

 zionoteは、韓国VICJOHN AUDIOと共同で展開する「Lzio」ブランドのポータブルヘッドフォンアンプ「HAV3」を展示。オペアンプやコンデンサなどのパーツが異なる2バージョンを用意し、11月末発売で、上位バージョンが46,000円前後、通常バージョンが32,800円前後。ハンドメイドで、搭載パーツによって音質に差が出ないよう一つ一つセレクトしているという。上位バージョンの内部配線にはクライオ処理したケーブルも使用している。

 ヘッドフォンケーブルでは、導体素材に銀93%、金7%を使用したというプレミアムなモデルを参考展示。ゼンハイザーのIE 800やHD 800、Shure製品用などのバリエーションを用意する。

ポータブルヘッドフォンアンプ「HAv3」
左が通常版、右が上位版の本体内部
銀/金使用のヘッドフォンケーブル

ミックスウェーブ

JH AudioのRoxanne(カスタム版)

 初登場となったのは、片側に12ドライバを搭載したというJH Audioのイヤフォン「Roxanne」。耳型を採るカスタムタイプと、イヤーピースを付け替えて使用するユニバーサルタイプを用意。カスタムのモデルをクリスマス前に発売する予定だという。

【10月27日訂正】記事初出時、Roxanneを「4ドライバ搭載」としていましたが、正しくは「12ドライバ搭載」でした。お詫びして訂正いたします。

 また、Audezeの「平面磁界・全面駆動式」ヘッドフォンには、年内発売予定というアルミハウジングのモデルを追加。さらに、これまで試作機も展示されていた同方式のヘッドフォンの密閉型モデルも参考展示された。

 ALO Audioの小型USB DAC/ヘッドフォンアンプ「Island」も登場。24bit/192kHz対応で、USB入力とバランス/アンバランスのヘッドフォン出力を装備する。天面に備えたダイヤルでボリューム調整が行なえる。価格は45,000円前後で、11月中に発売する。

 CEntrance製品としては、同社初のポータブルUSB DAC/アンプである「HiFi-M8」を、春のヘッドフォン祭に引き続き展示。前回展示された試作機は外観が最終ではなかったが、今回は製品版となった。会場で試聴も可能。

Roxanneのユニバーサル版
Audezeヘッドフォンのアルミハウジングモデル
Audezeの密閉型モデルも
ALO AudioのIsland
天面に大きなボリュームダイヤル
CEntranceのHiFi-M8

6ドライバ搭載イヤフォンや、イヤモニ用スリムケーブルなど

 ムジカアコスティックスは、仏EarSonic製の6ドライバ搭載イヤフォン「S-EM6」を展示。10月中旬ごろから発売されており、価格は139,800円前後。

 バランスド・アーマチュア(BA)型のドライバを6基内蔵。構成は低域/中域/高域に各2基使用している。ケーブルは着脱式で端子は2ピン。再生周波数帯域は10Hz~20kHz、感度は124dB、インピーダンスは60Ω。

EarSonicのS-EM6
主な特徴と内部構造
イヤフォンの他に、発売前のポータブルプレーヤーなども参考展示

 ECスタイルのブースでは、台湾Top Sound製のイヤフォン「DUNU」シリーズの新製品として、ハイブリッドドライバ搭載の「DN-1000」を展示。春のヘッドフォン祭では参考展示だったが、今回は製品版として登場した。12月中旬発売で、価格は25,000円前後。

 バランスド・アーマチュアドライバ2基と、ネオジウムマグネット搭載の10mm径ダイナミック型ドライバ1基で構成。ハウジングには銅を使用している。感度は98±2dB、再生周波数帯域は16Hz~22kHz。重量は26g。

BA×2とダイナミック×1のハイブリッドイヤフォン「DN-1000」
ハウジングには銅を使用
主な仕様

 カナルワークスは、同社カスタムインイヤモニターの交換ケーブル「ステルスケーブル」を参考出展。クリアな外観と0.9mmという細さが特徴で、合計42本の撚り線+アラミド繊維の導体構成により、細くても曲げや引っ張りに強いという。導体には銀コートも施している。イヤモニ本体の購入時に選択でき、ケーブルの価格は11,000円を予定(標準ケーブルは6,000円)。長さは127cm、端子は2ピン。

交換用「ステルスケーブル」の接続例
左が標準ケーブル、右がステルスケーブルを付けたもの
ステルスケーブルの導体部分
大きな「Hi-Res AUDIO」ロゴが目印のソニーブース。アンプのPHA-2や、ヘッドフォンのMDR-10などを体験できる
ハーマンインターナショナルブース。発表されたばかりのJBLヘッドフォン「Synchros S700」や、イヤフォンの「Synchros S200」、HARMAN KARDONの「SOHO」などを出展している
モダニティのブースで、Parrot Zikの新色「ゴールドコレクション」を展示
一部だが、映像関連の製品も展示されていた。写真はMiracastやDLNAなどに対応した韓国APCASTのレシーバ。HDMIでテレビに映像出力できる
eme-audioのブースにも、Miracastなどに対応したHDMI搭載レシーバが参考展示されていた

(中林暁)