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総務省、4K/8K放送に向け衛星放送の技術仕様取りまとめ。4:2:2/ハイレゾ対応求める声も

 総務省は25日、4K/8K放送実現へ向け、必要となる技術的条件について5月から検討を進めてきた情報通信審議会情報通信技術分科会放送システム委員会からの一部答申を公開。「衛星基幹放送及び衛星一般放送に関する技術的条件」についての報告が取りまとめられた。総務省ではこれを踏まえ、関係規定の整備を行なう予定。

 技術的条件は、既に取りまとめられていたものから大きな変更はない。'14年開始予定の4K放送で使用予定の狭帯域伝送(124/128度CS放送)は、8Kを含まず、4Kでの利用を想定。映像フォーマットは解像度が4K(3,840×2,160ドット)で、フレームレートは120/119.88/60/59.94Hz、色域はBT.2020。映像符号化方式は高効率なHEVC(H.265)を採用。符号化信号方式は4:2:0、符号化ビット数は10bit。

 なお、パブリックコメントでは映像符号化方式に4:2:2も追加すべきという意見が多かったが、委員会では、HEVCのプロファイルでは4:2:0のみをサポートし、4K/8Kの順次走査を基本とする放送では色信号解像度の縦・横バランスの良い4:2:0が映像符号化フォーマットとして適している事などを挙げ、4:2:0を採用した理由を説明。

 音声符号化方式はMPEG-4 AACで最大22.2chに対応。また、ロスレス向けにMPEG-4 ALS(Audio Lossless Coding)にも対応する。なお、サンプリングレートは48kHzとしているが、パブリックコメントではこれを96kHzや192kHzなどもサポートするべきという意見が多く寄せられている。

 委員会では「人の可聴周波数範囲も考慮し、現行の放送での運用状況等も踏まえ、48kHzとしている(狭帯域伝送方式では32/44.1/48kHz)。48kHzを超える標本化周波数の採用について、一定の要望があることは承知しているが、周波数有効利用等の観点から、検討すべき課題がある」と説明。入力量子化ビット数は「16bit以上」としており、「今後対応する放送サービスへのニーズや周波数有効利用等の観点を踏まえ、必要に応じて、16bitを超える入力ビット数が使用されるものと考える」という。

 '16年以降の実用化を見込んでいる広帯域伝送(34.5MHz帯域幅。BS、東経110度CS)では、4Kだけでなく8Kを追加し、映像フォーマットは解像度が4K(3,840×2,160ドット)と、8K(7,680×4,320ドット)となる。フレームレートや色域、映像/音声符号化方式などは狭帯域と共通。

 新たな伝送路符号化方式の採用などで、伝送容量は最大100Mbpsまで拡大。多重化方式は新しいMMT・TLV方式を基本に据える。現行のMPEG-2 TS方式についても、HEVC対応のための規定を追加している。限定受信方式は、スクランブル暗号アルゴリズムとしてAESとCamelliaを選択できる。

(山崎健太郎)