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【IAS】LINNのEXAKTにブックシェルフ型SP登場。アキュフェーズはDSD対応DAC

 日本インターナショナルオーディオ協議会(IASJ)が主催する、オーディオ機器の展示/試聴イベント「2014東京インターナショナルオーディオショウ」が9月23日から25日まで、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催されている。入場は無料。

 国内外のオーディオ機器を展示するイベント。各メーカーが防音処理を施した個室を用意し、普段気軽に試聴できないハイエンド機器からミドルクラスのモデルまで、様々な機器を一度に体験できるのが特徴。

会場は東京国際フォーラム

 今年は初日が祝日であるため、開幕前から大勢の来場者が入り口で列を作り、各ブースも出入りが困難なほどの賑わいとなっている。ここではリンジャパン、ラックスマン、アキュフェーズなどのブースをレポートする。

LINN

 独自のEXAKTシリーズを拡張しているLINNでは、新たに、EXAKT AKUDORIK(イクザクト・アキュドリック)というブックシェルフタイプのスピーカーを参考展示した。10月発売予定で、価格は未定だが、AKURATEレンジのEXAKTスピーカーとして購入しやすいモデルになる予定だという。

EXAKT AKUDORIK

 EXAKTシステムは、ハイレゾを含むデジタル音楽データを、独自のEXAKT LINK(ケーブルはLANケーブル)を用いて、デジタルデータのままスピーカーへと伝送。スピーカーに搭載した「EXAKT ENGINE」を用いて、デジタルクロスオーバーによる帯域分割を中心とした、各種デジタルプロセッシングを実施。アナログのネットワークで問題となる振幅歪や位相歪を排除しながら、スピーカーのユニット個別に存在する個体差の補正や、スピーカーを設置した空間への最適化などもデジタルプロセッシングで行なうというもの。

 EXAKT ENGINEには高精細なデジタルボリュームコントロールも搭載。DACやパワーアンプも備え、ユニットの直前までデジタル伝送を行ない、各ユニットを個別アンプで駆動。ジッタも抑えた、高品質な再生を特徴としている。

 EXAKT AKUDORIKの特徴は、ブックシェルフタイプのスピーカーである事。ユニークな点は、ブックシェルフとスタンドで構成しているが、スタンド部にEXAKT ENGINEと4ch DACとパワーアンプなどを搭載している事。EXAKT LINKの入力端子や電源インレットもスタンドの下部に備えている。

 スタンドの上に設置するブックシェルフは、16cmウーファと、LINN独自の3K ARRAYを組み合わせた4ウェイ仕様。エンクロージャ内部にクロスオーバーは搭載しておらず、底面に4組分の入力端子を装備。スタンドの天面に4組の出力端子があり、それと接続する。ケーブルが外に露出していないため、ブックシェルフの背面を見てもスピーカーターミナルは無い。

スタンドの背面底部、EXAKT LINKの入力端子などを備えている
スタンドにパワーアンプも入っているため、前面には放熱用のヒートシンクを搭載
スピーカーの背面にはターミナルが無い

 このスピーカー+スタンドと、EXAKT DSMなどを組み合わせる事で、コンパクトなEXAKTシステムが構築できる。今後は、スタンド部の単品発売も予定されており、既発売のブックシェルフと組み合わせる展開も検討されているという。

 さらに、発売日や価格は未定だが、AKURATE EXAKTBOXというユニットも参考展示。EXAKT LINKの入力を備え、DACと10chの出力を搭載したユニットで、デジタルのチャンネルデバイダのように利用。EXAKT LINKで伝送した音楽データをDACでアナログ変換すると共に、帯域分割を行ない、出力。ネットワークを保たないマルチウェイのスピーカーに向けて出力する。パワーアンプは備えていないため、ドライブには別途アンプも必要となる。EXAKT非対応のフロア型スピーカーを、EXAKTシステムの中に組み込めるBOXとなる。

AKURATE EXAKTBOX

 他にも、ネットワーク対応機器の新操作アプリ「KAZOO」(カズー)や、サーバーソフト「KAZOO Server」などを紹介。QNAPのNASで、x86プロセッサを搭載したモデル向けのKAZOO Serverも登場予定だという。

ラックスマン

 19日に発表されたばかりの、中級セパレートアンプ新モデル、プリアンプの「C-700u」と、ステレオパワーアンプ「M-700u」が初展示されている。どちらも10月下旬発売で、価格は各580,000円。

プリアンプの「C-700u」
右がステレオパワーアンプ「M-700u」
盛況なラックスマンブース

 2007年発売「C-600f/M-600A」の後継モデルで、プリの「C-700u」は、ディスクリート方式によるプリアンプ回路をアンバランス構成で搭載。高域の歪特性を改善した、独自の帰還方式ODNF回路の最新バージョン4.0を採用している。

 ステレオパワーアンプ「M-700u」の出力モジュール構成は、ODNF Ver4.0対応の3段ダーリントン4パラレルプッシュプル構成。電源部には高いレギュレーション性能を持つ、EI型の大容量590VAの電源トランスを使っている。定格出力120W×2ch(8Ω)、240W×2ch(4Ω)。モノラル動作時は480W(8Ω)。最大出力は960W×2ch(1Ω)、モノラル時1,920W(2Ω)のパワーアンプ。ハイパワー志向と密度感のある音質を両立させるというバイアス電流設定により、最大6Wまでの純A級動作が可能だ。

アキュフェーズ

 アキュフェーズブースでは、3つの新製品を発表している。ステレオプリメイン「E-470」は、11月中旬発売で50万円。ハイエンド・プリメイン「E-460」をフルモデルチェンジしたもので、プリ部に、性能を向上させた最新のAAVA方式ボリューム・コントロールを搭載。

 パワー部は帰還インピーダンスを下げて低雑音化した最新の「MCS+」回路やカレントフィードバック増幅回路を搭載、出力回路を低インピーダンス化してダンピング・ファクター500を実現したという。出力素子はパワーMOSFETをチャンネル当たり3パラレル・プッシュプル構成でAB級動作、大型トロイダル・トランスと大容量フィルタコンデンサによる電源部で、260W/ch(4Ω)を実現している。

ステレオプリメイン「E-470」
MDSDディジタル・プロセッサ「DC-37」
ステレオ・フォノ・アンプ「C-37」

 「DC-37」は、12月中旬発売のDAC(アキュフェーズではMDSDディジタル・プロセッサと呼んでいる)。価格は55万円。FPGA(ファームウェアを読み込ませることで回路構成を自由に 変えることができる汎用性の高いLSI)を使ったデジタル演算で、独自の再生方式MDSD(Multiple Double Speed DSD)における、2倍速高精度移動平均フィルタ回路を構成。DSD信号を並列処理しストレートにDA変換できるという。DACにはESSのES9018を採用。デジタル入力はUSB、光デジタル、同軸デジタル、HS-LINKを搭載、対応ファイルはPCMが384kHz/32bit、DSDが5.6MHzまで。

 11月下旬発売の「C-37」はステレオ・フォノ・アンプ。微小信号におけるアナログ増幅器の技術を結集し、性能と高音質を追求したというハイエンドのフォノイコで、MC回路には新開発のヘッド・アンプを搭載。増幅器全体を電源部も含めて左右独立構成として、各部に最適な回路方式・素子を使用することで、低雑音化を徹底。ひずみ率、周波数特性、リニアリティなどにも優れるという。

ノア

 ブース後方で、Wadiaの開発中新製品を参考展示している。年末から、来年初頭あたりの発売開始を目指しているというラインナップで、価格はいずれも未定。コンパクトかつ薄型の筐体を採用するのが特徴となる。

 「di122」は2ch DAC。USB入力も備え、384kHz/24bitのPCM、5.6MHzまでのDSD再生に対応。光/同軸デジタル入力も4系統備え、バランス/アンバランス出力にも対応。ヘッドフォン出力も備えている。

 メディアサーバー「m330」は、1TBのHDDと30GBのSSDを搭載。保存したハイレゾ音楽ファイルを再生できるほか、ネットラジオの受信、ストリーミングは音楽配信の再生などにも対応。スマホ/タブレットからWebブラウザで操作もできる。

 DACの「321」は、300シリーズのDACとして開発されているもので、USBを含む5系統のデジタル入力を装備。192kHz/24bitまでのデータを扱える。8chの192kHz/32bit DACをステレオ・クワッドバランスモードで使用。バランス/アンバランスの出力も備えている。

 さらに、300シリーズのモノラルパワーアンプ「a340」、ステレオパワーアンプ「a315」も展示。どちらも他の300シリーズと同様に薄型筐体を採用している。

2ch DAC「di122」
メディアサーバー「m330」
DACの「321」
左からモノラルパワーアンプ「a340」、ステレオパワーアンプ「a315」

 ソナス・ファベール(Sonus faber)のスピーカー新製品も各種展示。「Extrema(エクストリーマ)」の限定モデル「Extrema 30周年記念特別限定モデル」は、8月から発売しており、全世界30台の限定生産。価格は800万円(ペア)。'91年に発売したExtremaをパオロ・テッツォンとリヴィオ・ククッツァの2人のデザイナーがリニューアルしたモデルとなる。

 「Lilium」(リリウム)は、フラッグシップモデルAIDAをより身近で扱いやすいシステムにする事を目標として開発されたモデルで、3.5ウェイ・フロア型。28mm径ドームツィータ、180mm径ミッドハイ、180mm径ミッドバス×3、260mm径ウーファ、260mm径パッシブラジエータで構成。9月1日から発売しており、価格は880万円(ペア)。前述の「Extrema 30周年記念特別限定モデル」で培われた技術も投入したという。

Extrema 30周年記念特別限定モデル
Lilium

DYNAUDIO

 DYNAUDIOブースでは、日本での発売がスタートしたばかりの新製品として、「New Confidence Platinum」シリーズを展示。C1 Platinum、C2 Platinum、C4 Platinumとラインナップされている。

 現行のConfidenceシリーズに、フラッグシップEvidence Platinumと同様の、贅沢な仕上げを取り入れたモデル。アルミニウム塗装にさらにサテンブラックを、アルミニウムツイータのプレートにはガラスブラスト処理を加え、高級感をアップさせている。細部はブラック塗装。

C1 Platinum
左からC1 Platinum、C4 Platinum
SimaudioのMOON Evolutionシリーズなどもてんじしている

フューレンコーディネート

 ブースで注目を集めているのは、PIEGAのフロア型スピーカー新モデル、マスター・ワン・ソース。大型の3ウェイシステムで、向かって右側にウーファを、左側にツイータやミッドレンジユニットを多数搭載。ペアで約2,500万円という超弩級スピーカーで、限定モデルになるという。

銀色のスピーカーがマスター・ワン・ソース
デンマークのスピーカーメーカー・Davone(ダヴォン)の新製品「Tulip」(チューリップ)。9月26日発売で、ペア43万円。チューリップをイメージしたデザインで、カーブを描く側板には積層材を採用している

(山崎健太郎)