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【2013東京IAS】リン「EXAKT」を披露。エソテリックは「Grandioso」
「Aura note V2」も登場。アンプがICE Powerに
(2013/11/3 00:00)
日本インターナショナルオーディオ協議会(IASJ)が主催する、オーディオ機器の展示/試聴イベント「2013東京インターナショナルオーディオショウ」が11月2日から4日まで、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催されている。入場は無料。ここではリンジャパンやユキムのブースを中心にレポートする。
国内外のオーディオ機器を展示するイベント。各メーカーが防音処理を施した個室を用意し、普段気軽に試聴できないハイエンド機器からミドルクラスのモデルまで、様々な機器を一度に体験できるのが特徴となっている。
リンジャパン
リンが新しい“デジタル伝送ミュージックシステム”と位置付けている「EXAKT」(イグザクト)が披露された。
EXAKTは、“スピーカーにスタジオマスターデータを届る”事をコンセプトとしたシリーズで、ヘッドユニットとなる「EXAKT DSM」からオリジナルのデジタル伝送「EXAKT LINK」を用いて、EXAKTスピーカーにデジタルのままデータを伝送。スピーカー内の「EXAKT ENGINE」で、帯域分割などのデジタルプロセッシングを行なう。帯域分割された各帯域の信号はDACでアナログに変換され、ユニット直前にある専用パワーアンプで増幅、マルチアンプ駆動によりスピーカーを駆動するというのが全体の流れ。
「EXAKT DSM」はEthernet、HDMI、同軸デジタル、光デジタル、アナログライン(アンバランス/バランス)入力を備え、アナログ信号は内蔵のADコンバータでデジタル変換。デジタルソースと同じようにEXAKT LINKで伝送する。現在は2chだが、将来的には最大8チャンネルまで対応できるとしている。
展示されたのは、「KLIMAX EXAKT DSM」と、スピーカーの「KLIMAX EXAKT 350」を組み合わせたシステム。価格は840万円で、既に受注を開始しているという。これとは別に、既存のスピーカーをEXAKT仕様にアップグレードさせるサービスと、「EXAKT DSM」をセットにした販売なども実施される。詳細は既報の通り。
EXAKT DSMはDSシリーズと同じように、NASなどに保存した音楽ファイルをLAN経由で再生するネットワークプレーヤー的な機能も備えており、タブレットから制御が可能。ユニークなのは前述の通り、デジタルデータのままスピーカーまで伝送する「EXAKT LINK」を用いている事で、スピーカーの背面を見てみると、端子はEthernetと同じ。24bit/192kHzまでのPCM音楽ファイルであれば、そのデータが直接スピーカーに入力される(DSDには非対応)。
左右のスピーカーには同じ音楽ファイルのデータが伝送され、左スピーカーであれば、左チャンネルの音を出す。そのセットアップは、初回セッティング時にEXAKT DSMが行なう。また、アナログ機器と接続する場合には、EXAKT DSMに搭載したADCでデジタルに変換し、スピーカーへ伝送するという仕組み。
スピーカーの中に搭載されている「EXAKT ENGINE」は、デジタルクロスオーバーによる帯域分割を中心とした、各種デジタルプロセッシングを行なう。これにより、アナログのネットワークで問題となる振幅歪や位相歪を無くしている。
また、ドライブユニットの個体差をカバーするため、工場出荷時に各ユニットの特性を測定。ユニット毎の特性を補正したクロスオーバー・カーブを与えて、理想的な補正をした上でユニットをドライブする。設置した部屋の特性や、リスニングポジションを考慮した補正もできるようになっている。
ユキム
ユキムブースでは、独ELACのスピーカー「300」シリーズの4代目として6月から発売されている「BS312」(ペア283,500円)に加え、11月1日から発売を開始したブックシェルフスピーカー最上位「BS314」(ペア693,000円)を展示している。
「BS314」は、筐体サイズは330と同じだが、ウーファを大型化。磁気回路にネオジウムマグネットを使った180mm径の「LLD(ロング・リニア・ドライブ)ユニット」を採用した。高域は最新のJET Vツイータを搭載。ネットワークも高品位化されている。
さらにブースにはAuraの新モデル「Aura note V2」も参考展示。従来の「Aura note」はラジオ/CD/USB DAC/アンプ一体型のスタイリッシュなシステムだが、V2はUSB入力を24bit/192kHzまでのハイレゾに対応。さらに、USBメモリに保存したWAV(24bit/192kHzまで)、FLAC(24bit/96kHz)までの再生もサポートしている。
また、アンプ部分をMOSFETからICEpowerのものに変更。従来を上回る125W×2chの出力を可能にし、ハイレゾ楽曲を様々なスピーカーでドライブできるようになったという。価格は336,000円、12月末頃の発売を予定している。
ミニサイズのコンポで人気を集める伊CAROT ONEからは、初のポータブルヘッドフォンアンプ「NIK58-TUBE」を参考展示。価格は89,800円程度を想定。ステレオミニのアナログ入力、ヘッドフォン出力を備えたシンプルなポータブルアンプで、Philips製の真空管「JAN6111WA」を採用しているのが特徴。「真空管を見せかけだけのデバイスにせず、電圧をかけ、持ち味を音質面に十分反映させる設計にこだわったため、通常のポータブルアンプと比べ、バッテリの持ちは悪くなったが、狙い通りホットで鳴りの良いサウンドをモノにした」という。出力は388mW×2chで、USB経由で充電。充電時間は約5.5時間、電池持続時間は約3.5時間。外形寸法は85×58×23mm(縦×横×厚さ)で、重量は150g。
エソテリック
エソテリックブースの目玉は、先日発表されたばかりの新フラッグシップシリーズ「Grandioso」(グランディオーソ)。11月下旬にSACDトランスポート「P1」(262万5,000円)、36bitモノラルDAC「D1」(131万2,500円/1台)を、11月中旬にモノラルパワーアンプ「M1」(147万円/1台)が発売される。
SACDトランスポート「P1」と、36bitモノラルDAC「D1」は、新たな伝送技術「ES-LINK4」で接続する。HDMIケーブルを使い、トランスポートからDACへ、DSDとリニアPCMデータが伝送でき、PCMは最高で48bit/352.8kHzの超広帯域伝送を可能にしている。デジタル信号処理の大部分を送り出し側で行ない、DACのデジタル信号処理の負荷を大幅に低減している事も特徴。
「D1」はモノラルDACで、左右のチャンネルは付属のHDMIケーブル1本で接続。DACチップは、旭化成エレクトロニクスとエソテリックが共同開発した、32bitタイプの「AK4495」を採用。チャンネルごとに16回路を組み合わせ、DSD信号のダイレクト処理のほか、PCM信号を36bitでアナログ変換する「36bit D/Aプロセッシング・アルゴリズム」も備えている。USB入力も備え、アシンクロナス伝送で、最大32bit/384kHzのPCMと、2.8/5.6MHzのDSDに対応。オリジナルのドライバを使い、DoP/ASIO 2.0にも対応する。
「D1」とHDMIケーブルでES-LINK4接続できるのが、SACDトランスポート「P1」。ドライブメカは駆動回路設計をリファインしたVRDS-NEO「VMK-3.5-20S」。心臓部にあたるスピンドルモーターの駆動用には、専用のスピンドルサーボドライバー「VS-DD」を搭載している。
モノラルパワーアンプ「M1」は、定格出力300W(8Ω)、600W(4Ω)、定格連続平均出力1,200W(2Ω)、2,400W(1Ω/音楽信号に限る)を誇る。連続動作17アンペア、瞬間動作34アンペアという電流供給能力を持つバイポーラLAPT(Linear Amplified Power Transistor)素子を採用。パワーだけでなく、高域特性に優れ、繊細な音色を生み出せるという。
英TANNOYのスピーカーでは、10月から順次発売を開始している「Prestige GR(ゴールドリファレンス)」シリーズ5機種を紹介。「Kensington/GR」(882,000円/台)、「Turnberry/GR」(472,500円/台)、「Stirling/GR」(11月中旬発売:399,000円/台)などが展示された。「Westminster Royal/GR」(2,782,500円/台/受注生産)や「Canterbury/GR」(1,522,500円/台/受注生産)もラインナップされている。いずれも、新たにゴールドリファレンス同軸ユニットや、キングダムロイヤルで培ったネットワーク回路を採用し、リファインしているのが特徴。
ブースではさらに、「Kingdom Royal」のバリエーションモデルとして、側面などにカーボンを使ったカーボン・ブラックモデル(1台462万円)を展示。年末に発売を予定しているという。
その隣には、鮮やかな赤にカラーリングされた「フェラーリ・レッド」も展示。英国では発売が開始されるが、日本での展開は未定。価格も未定だが、「販売するとなると、ペアで1,000万円程度になる」という。
ラックスマン
年末にかけて発売が予定されているセパレートアンプの最上位モデルが展示された。プリアンプの「C-900u」、パワーアンプの「M-900u」。価格はどちらも1,155,000円。アナログプレーヤーの「PD-171AL」も参考展示されている。
「C-900u」は電子制御アッテネータ「LECUA 1000」(88段階)を搭載。独自の帰還回路「ODNF(Only Distortion Negative Feedback)」の最新バージョン4.0も搭載している。「M-900u」はAB級のステレオパワーアンプで、最大1200W×2ch(1Ω)。平型銅巻線トランスの大容量コンデンサを使った強力な電源部と、ODNF 4.0を搭載している。
他にも、9月から発売している真空管プリメインアンプ「LX-32u」(273,000円)を展示、。伝統的な木箱ケース入りデザインで、フロントパネルはシルバーのヘアライン仕上げ。2008年に発売された「SQ-38u」以来となる、木箱ケース入り復刻シリーズの2モデル目で、ムラード型のドライバー段と5極管接続のファイナル段を採用。出力部には特性の揃えられたEL84を8本横並びにレイアウトし、プッシュプル構成で各チャンネルごとにパラレル接続している。
タイムロード
CHORDの2製品を参考展示している。価格や発売日はどちらも未定。「CodeX」はネットワークプレーヤーで、Choralシリーズの新製品。リファレンスモデルDSX1000のコントロールパネルと同じフロントエンドと、コントロール・プロセッサを採用。汎用チップセットを使わず、FPGAに独自のアルゴリズムをプログラミングしたという。
USB入力やEthernetを備え、USB DACとして動作する場合はPCM 384kHz、DSD 5.6MHz(DoP)までサポート。Ethernet経由の場合はDSD 2.8MHz、PCM 192kHzまでのサポートとなる。
小型の「Chordette Qute EX」は、DoP方式のDSD 5.6MHz、PCMの384kHzまで対応するUSB DAC。こちらも汎用チップセットは使わず、FPGAに独自のアルゴリズムをプログラミングしている。なお、既存の「QuteHD」を「Qute EX」にアップグレードするサービスも予定しているという。
さらに、APRIL MUSICからは、USB DAC搭載ヘッドフォンアンプであり、プリアンプとしても使える「HP100 Mk2」を参考展示。USB入力は48kHzまで対応で、3系統のアナログ入力も備えている。発売時期は未定で、予価は147,000円。
スピーカーでは、RAIDHO ACOUSTICSの「D2」を参考展示している。価格は未定。リボンツイータとセラミック製のミッドバスを採用した「Cシリーズ」を進化させたというモデルで、ミッドバスの素材には新たにダイヤモンドが使われている。