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Astell&Kernとbeyerがコラボ、バランス対応/専用イコライザも使える「AKT5p」

 アユートは、Astell&Kernとbeyerdynamicがコラボレーションした密閉型ヘッドフォン「AKT5p」を1月30日に発売する。価格はオープンプライスで、直販価格は169,980円(税込)。直販サイトのアキハバラ e 市場と、e☆イヤホン、NTT-X Store、フジヤエービックでの限定販売で、予約受付を開始している。

AKT5p

 beyerdynamicのヘッドフォン「T5p」をベースにしながら、AKシリーズ用に音を最適化したというモデル。出力インピーダンスや周波数応答など各種チューニング行なっている。

AK240と組み合わせたところ

 さらに、ケーブルを2.5mmのステレオミニミニ/4極のバランス仕様に変更。AK240、AK120II、AK100IIと接続して、バランス駆動が楽しめる。これにより、「驚異的なクロストークとSN比、ダイナミックレンジの拡大と低歪化を可能にする」という。

 ケーブルは両出しで、着脱はできない。しかし、2.5mmから3.5mmへの変換ケーブルも付属しているため、通常のプレーヤーとアンバランス接続する事もできる。家庭内で使う事を想定したステレオミニの3m延長ケーブルや、ステレオミニから標準プラグへの変換プラグも同梱する。

ステレオミニへの変換ケーブルも同梱
ハウジングにAKシリーズのマークが
パッケージ

 また、AK240/120II/100IIには、イコライザの中に「AKT5p」向けの設定が用意されており、これを使うことで、「Astell&Kernが目指す、繊細且つ気品のある最高峰のポータブルオーディオサウンドを提供する」という。なお、いずれのプレーヤーでもこのイコライザを使うためには、最新ファームウェアへのアップデートが必要。

AK240/120II/100IIのイコライザで、AKT5p向けの設定が用意されている

 ヘッドフォンとしての基本的な部分は、既存のT5pと共通。高い能率を実現するため、1テスラ(1万ガウス)を超える強力な磁束密度を生み出す、独自技術「テスラテクノロジー」を採用。出力音圧レベルは102dB、インピーダンスは32Ω。再生周波数帯域は5Hz~50kHz。重量はケーブルを除いて約350g。ドイツの工場で手作りされており、ヘッドバンドとイヤーパッド部には、シープスキンを使っている。

ドイツの工場で手作りされている

音を聴いてみる

 ベースとなる「T5p」は、ポータブルプレーヤーでもドライブしやすく、ハウジングは密閉型、屋外でもテスラテクノロジーの繊細なサウンドが楽しめるモデルとしてお馴染みだ。

AKT5p。ハウジングにAKのマークが入っている

 AKT5pは、それをベースにしながら、チューニングをAKシリーズに最適化。さらに、直出しのケーブルが2.5mm 4極のバランスタイプになっており、リケーブルせずにAK240などと組み合わせてバランス駆動がすぐに楽しめるのが魅力だ。そもそも、T5p自体、ケーブル着脱が出来ないモデルなので、T5pをバランス駆動したサウンドを、AKT5pで初めて耳にするという人も多いだろう。

 AK240とバランス接続して音を出してみると、T5pと比べ、中低域の重さ、パワフルさが格段にアップするのがわかる。T5pはどちらかと言うとスッキリしたサウンドで、中高域の分解能の高さ、シャープな音の輪郭、抜けの良さなどが持ち味。低域もその傾向に沿って、タイトであり、余分な響きは少ない。人にいよっては、低域が素っ気なく感じる事もあるだろう。

AK240とバランス接続してみる
アンバランス接続用の変換ケーブルも同梱
室内利用用に、ステレオミニの3m延長ケーブルも付属する

 AKT5p + AK240でバランス駆動をすると、その低域にバランス駆動らしいパワフルさが加わり、音楽にグッと熱気が加わる。「茅原実里/この世界は僕らを待っていた」(WAV/96kHz/24bit)など、疾走感のある曲では、低域に重厚感が出る事で、迫力が増し、安定感も出てくる。これまでのT5pの印象を良い意味で覆すサウンドに変化し、「こんな音も出せるヘッドフォンなのか」と驚く。

 中高域にもバランス駆動の恩恵がある。もともと分解能の高いヘッドフォンだが、バランス駆動ではさらに磨きがかかり、情報量が増加。同時に、音場も広がり、個々の楽器の音像の距離感もしっかり感じられるようになった。ただ、バランス駆動で音の勢いが強くなっているので、ボーカルのサ行など、キツイ音が耳にちょっと痛い感じもする。

 AK240/120II/100IIで利用できる、AKT5p専用のイコライザ設定をONにすると、見事にその“キツさ”が緩和される。決して高域が抑えこまれ、ナローになったわけではなく、粗さがむき出しになる部分を“なめらかにする”という感じで、非常に聴き取りやすくなる。分解能の低下などはさほど感じられないので、「イコライザは普段あまり使わない」という人でも、専用設定のイコライザは積極的に活用すると良さそうだ。

(山崎健太郎)