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XF-AVCなど4K対応強化、新管理ツール採用の「EDIUS 8」
59,800円に低価格化したプロ向け映像編集ソフト
(2015/5/25 19:59)
グラスバレー(Grass Valley)は、プロ向け映像編集ソフトの最新版「EDIUS 8」を6月末より順次発売する。ソフト単体の「EDIUS Pro 8」は6月末、EDIUS Workgroup 8を搭載したターンキー製品は'15年第3四半期に出荷開始予定。EDIUS Pro 8通常版の価格は59,800円で、EDIUS Pro 7からのアップグレード版と、アカデミック版は、いずれも24,800円。そのほか、34,800円の優待乗換版も'16年1月までの期間限定で用意する。EDIUS Pro 8は、発売当初はパッケージのみだが、ダウンロード販売も順次行なう予定。
EDIUS 8は、放送局やデジタルシネマ、プロダクションなどをターゲットとしたプロ用映像編集ソフト。新たに4Kフォーマットなどの対応を拡大したほか、新しい管理ツール「GVブラウザー」の採用により、作業の効率化も図っているのが大きな特徴。
新ツール「GVブラウザー」で素材管理などを効率化
対応フォーマットについては、キヤノンが4月に発表した4K業務用カメラ向け新フォーマットの「XF-AVC」を、ノンリニア編集システムとして初めてサポート。キヤノンの小型4Kカメラ「XC10」などで撮影した4KのXF-AVC映像を編集できる。さらに、H.265/HEVC映像の入出力にも今後の無償アップデートで対応予定。
スマートフォン用動画や、 YouTubeを含むSNSへのアップロード向けにH.264形式で高速エクスポートを可能とするIntel Quick Sync Video(QSV)にも対応。EDIUS 7ではエンコード時だけの対応だったが、編集時(デコード時)もサポートしており、特に4Kワークフローにおいて、編集パフォーマンスが大きく向上するという。
PC上で動画/写真/音声の素材を管理する新しいツール「GVブラウザー」は、業務用からスマートフォン向けまで幅広いフォーマットを一括して対応。現場で撮影した映像などを収めたUSB HDDやSDカードから読み込み、素材を効率的に仕分けが行なえ、他のPCのEDIUSと連携するなど編集作業を効率化。タッチ対応ノートPCなどでも作業しやすくしている。
大量のファイルの中から、使用カメラ名や解像度などの情報を元にソート可能。例えば、GoProを使って4Kで撮影した動画のみを抽出して1つの「スマートカタログ」にまとめ、後から編集することなどが可能になる。スマートフォンで撮った素材に記録された位置情報なども確認可能。
また、GVブラウザーではSurface Proなどの2in1型端末利用時に、タブレットモードに適したインターフェイスも採用。例えばタブレットモードで撮影動画をチェックしながら、使いたい複数のクリップに星印を付けてスマートカタログに仕分けすると、そのファイルだけを後でEDIUSから編集できる。
なお、4K/60p動画への対応については現在のEDIUS 7と同様に、ソフトウェアモードでの編集やファイル書き出しはサポートするが、ハードウェア出力は、同社ターンキーシステムとの組み合わせ時のみ対応。理由は「安定したファイル出力を可能にするため」としている。
SNSなどへ直接動画をアップロード可能で、YouTubeやVimeo、FTPのアップローダも搭載し、あらかじめアカウントを登録しておくと素早くアップロードできる。
現行のEDIUS Pro 7と同じく、発売後の無償アップデートでの機能強化も予告しており、前述したH.265/HEVCのほか、動いている被写体に追従してモザイクなどのエフェクトを掛けられるモーショントラッキング対応や、optical flow対応の高品質スローモーション、様々なカラーコレクションツールを1つの画面で処理できるようにする「カラーグレーディングモード」などがEDIUS Pro 8に追加される。さらに、RAWファイルの読み込みや、LOG/LUTを読み込んで、クリップに渡すといったことにも対応予定。「2年間で12回以上のアップデートを行なう」としている。
放送局向けに訴求する機能として、ターンキーシステムへ搭載する形で提供する「EDIUS Workgroup 8」では、今後のアップデートでプロキシ機能を強化。現在のEDIUS 7でもプロキシ編集は可能だが、8ではサイズ変更やプロキシモード時の処理速度改善、バックグラウンドでレンダリングする処理を増やすといった機能強化を進めるという。さらに、現在は測定のみ行なえる音声のラウドネスを、簡単に自動調整する機能も実装する予定。
EDIUSのプロジェクト管理機能「GV STRATUS」との連携も強化予定。他のEDIUSで作ったシーケンスを、自分のEDIUSのプロジェクトに活用するといった、プロジェクト単位での連携を強化する予定。その他にも、クローズドキャプションや、新しいカラーグレーディングモード、ジョグ・フェーダーハードウェアへの対応などを、EDIUS Workgroupで予定している。
そのほか、EDIUS ProとEDIUS Workgroupの違いとして、Pro版はインターネットへの定期的な接続が必要となる。これは新しいライセンス管理の「EDIUS ID」に対応したもので、30日間に渡ってインターネット接続が無いとアラートを表示し、60日間オフラインだとソフトが使用できない状態になる。Workgroupはオフライン環境でも利用可能。
従来に比べ約2万円低価格化。「一度買ったらずっと使える」
約2年ぶりとなるバージョンアップのポイントについては同社は「どんなフォーマットも、素早く編集」、「明確なオーナーシップ」、「よりクリエイティブなツールセット」の3点を強調。新しいXF-AVCへの対応や、新インターフェイスの採用で効率化を図っている点などを説明した。
他社とは異なり、サブスクリプション型(定額制)ではなく買い切り型を続ける点については、「支払いをやめたら使えなくなるのでは無く、一度買ったらずっと使用可能。『買った以上はずっと使いたい』という声に応えた。定期的なアップデートで機能追加も行なう」とした。
北山二郎代表取締役は、「EDIUSのコンセプトである、『速い(高速処理)、フレキシブル(幅広いファイル対応)、オープン(他社インターフェイス機器との連携)』を強化した」と説明。また、現行バージョンのEDIUS Pro 7は通常版が83,790円だったことから、EDIUS Pro 8は2万円近く値下がりした点や、様々な優待販売を行なう点などもアピールした。