レビュー

Xperia Z1&DSC-QX10 ファーストインプレッション

Z1のカメラ機能やiPhone 5でのQX10利用を体験

 ソニーは、9月4日(ドイツ時間)開かれたプレスカンファレンスにて、新フラッグシップ・スマートフォン「Xperia Z1」と、スマートフォンと連動するレンズ型デジタルカメラ「DSC-QX10」「DSC-QX100」を発表した。

 このうち、Xperia Z1DSC-QX10のレビュー機材による、「写真」を切り口にしたファーストインプレッションをお届けする。各製品の詳細については別記事をご参照いただきたい。

 今回試用しているのは欧州向け仕様のものだが、基本的な性能については、日本での投入が予定されているものと同等である。

Z1は「Z」からさらに画質進化、仕上げも向上

Xperia Z1とパッケージ。かなりコンパクトでシンプル

 Xperia Z1の特徴は、なによりカメラにある。今年1月に発表された「Xperia Z」より、「ソニーの秘伝のたれを入れた」(ソニー UX・商品戦略本部 副本部長の古海英之氏)カメラ機能にこだわってきたが、Z1では2,070万画素の裏面照射型CMOSセンサー「Exmor RS for mobile」、F2.0/広角27mm相当の「Gレンズ」を搭載し、さらに画質にこだわった、としている。

 外観を見ると、一見、Xperia ZとZ1の差は大きくない。サイズが大きくなっているだけに感じる。だが、フレームがアルミ削り出しになり、ガラスも角を丸めた丁寧な仕上げで、より高級感は増している。動作速度などは通信環境依存もあるので、ここでは軽く触れるだけにとどめるが、Zよりもさらに軽くなっている印象は受ける。とはいえ、処理速度の面はZ1の最大の魅力とはいえない。

左から、Xperia Z(日本・ドコモモデルのSO-02E)、Xperia Z1、iPhone 5。サイズはZ1が一番大きい。横幅はZとあまり変わらない。
Z1の角。フレームはアルミ削り出し、その上のガラスは角が丸く落とされた形状。触れて見た時の感触はZよりかなり上だ

 やはり、今回の目玉はカメラだろう。

 機材をもって、夕闇迫るドイツ・ブランデンブルグ門で、テスト撮影を行なった。撮影に使ったのは、筆者が日常的に利用しているiPhone 5とXperia Zだ。あえて、撮影モードはすべてオート設定。

 若干の画角の差がある点はご容赦いただきたいが、画質傾向がまったく異なる点に注目してほしい。刻一刻と明るさが変わる環境だったので、その影響も若干はある。しかし、撮影時間の差は数分もない。その時の肉眼での「見た目」に近いのは、筆者の印象ではやはりXperia Z1である。

サンプル
Xperia Z1
Xperia Z
iPhone 5
同じ撮影ポイントで、Xperia ZとZ1を表示して比較。画面の中の感じがまったく異なっている点に注目

 Z1の「プレミアムおまかせオート」設定では、撮影される写真の解像度が「8メガピクセル・3,840×2,160ドット・縦横比16:9」に固定となるが、電子式の手ぶれ補正・画質補正などをかけた上で、その場にあわせて最適な設定で撮影してくれる。普通に構えて撮っただけだが、解像感の良さ(これはぶれ感のなさにもつながる)・発色の見た目への忠実さなどは、「ここまで差があるのか」と素直に驚いたほどだ。

 そうした違いは、プレビュー段階でもよくわかる。ただしソニーモバイル側の説明によれば、「ファイル保存時にさらにBIONZ Mobileを使った処理を行うので、実データの方がもっと差がある」とのことだ。

「info-eye」を使って、ブランデンブルグ門を撮影。すると、写真の内容と場所情報を使い、「写っている建物がなにか」を教えてくれる。この他、本の表紙からタイトルと内容を探したり、ワインのラベルから銘柄と詳細情報を表示したりもできる

 もう一つ、この場で試した面白い機能が「info-eye」という機能。これは、撮影された物体を認識し、情報を表示するものだ。ブランデンブルグ門に向けて撮影すると、位置情報と建物の外観から、それが「ブランデンブルグ門だ」と指摘してくれる。同時に周辺にあるレストランなどの地域情報も表示する。このほか、本やワインなども認識する。認識時にはネット接続が必要で、多くの処理はクラウド側で行われているものと推察される。

 もちろんこの機能は完璧ではなく、認識できないものも相当あるだろう。ブランデンブルグ門は有名であるため、特に認識しやすかった、という事情はありそうだ。

 だが、同機能では「QRコード」や「名刺読み取り」など、従来ならばアプリが分かれていたようなものも対応している。「写真から色々な情報を読み取る機能」として進化していくなら面白い。

「レンズとセンサーだけ」のコンデジ、QX10

QX10のパッケージ。丸い筒の中に、バッテリーや説明書、本体などが収納されていた

 さて、もう一つのテスト対象である「DSC-QX10」に移ろう。

 これは、コンパクトデジカメから液晶ディスプレイと操作系を取り去り、Wi-FiとNFCでスマートフォン連携することを前提としたカメラである。単体でも撮影できるが、実際にはスマートフォン上から「Playmemories Mobile」というアプリを使い、リモート操作して撮影するのが基本となる。NFC搭載のスマートフォン、例えばXperia Z1の場合には、NFCでタッチすると電源が自動的に入り、Wi-Fiの接続設定を交換し、アプリを立ち上げ、撮影準備まで行なってくれる。とても簡単だ。

 ただし、NFCがない機種でも、手動でWi-Fiの接続情報を設定すれば、普通に使うことが可能だ。せっかくなのでここでは、ほとんどのテストをiPhone 5で行なっている。付属のクリップ式アダプターを使えば、ほとんどどんなスマートフォンにもくっつけられる。もちろん、iPhone 5にもだ。

 さすがにタブレット(Nexus 7・2013年モデル)は幅がありすぎてつけられなかった。だが、ソニーブースには「Xperia tablet Z」にQX10をつけた展示もあり、オプションなどで対応する可能性もありそうだ。またそもそも、QX10はデータをWi-Fiで飛ばしているため、スマートフォンと接続しないで「ばらばら」で使うことだってできる。

QXを、あえてXperiaでなくiPhoneにセット。こちらでもNFC連携以外の機能はすべて使える。付属のアダプターでしっかりと固定もOK
撮影に使うスマホアプリ「Playmemories Mobile」。画面はiPhone版。

 では肝心の画質である。サンプルは、ホテル内の暗めのロビーで撮影したものだ。赤の発色とノイズ感を中心にご覧いただきたい。

 比較対象として用意したのは、Xperia Z1と、DSC-RX100MK2だ。前者は「暗いところに強いスマホ」として、後者は、同じレンズとセンサーを使った「QX100での結果」を想定してのものである。

サンプル
DSC-QX10
サイバーショット DSC-RX100MK2
Xperia Z1

 結果的にいえば、やはりレンズとセンサーに差のある、RX100MK2の画質はすばらしい。画質設定や処理に若干の差があるため、QX100も同じ画質、とはいえないだろうが、相当に近いものにはなるだろう。QX10は「一般的な低価格コンデジ(コンパクトデジタルカメラ)並」だし、スマートフォンとしては優秀なZ1も、これら専用機と比較すると、色の浅さやノイズ感を感じる。

 良くも悪くも、QX10は「コンデジ的」だ。飛び抜けた画質だとは思わないが、それでもスマートフォンよりは良い。QX100やRX100MK2に比べ、光学ズームが10倍である点も、日常的な撮影シーンでは有利といえる。なにより、たった105g(バッテリー・メモリーカード含む)という軽さは魅力だ。QX100になると、重量は179gとかなり重くなる。「別の美点がある製品」と考えるべきだ。

 QXシリーズ共通の欠点として、Wi-Fiが多いところでは接続不良や「プレビューのコマ落ち」が起きやすかったことは気になる。

 どちらの機種も、いままでにない大胆さがある製品であり、なにより触っていて「面白い」。そこがこれらの製品の、ファーストインプレッションとしての最大の評価ポイントである。

西田 宗千佳

1971 年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、週刊朝日、AERA、週刊東洋経済、PCfan、DIME、日経トレンディなどに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「漂流するソニーのDNA プレイステーションで世界と戦った男たち」(講談社)、「電子書籍革命の真実未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「メイドインジャパンとiPad、どこが違う?世界で勝てるデジタル家電」(朝日新聞出版)、「知らないとヤバイ!クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?」(徳間書店、神尾寿氏との共著)などがある。  個人メディアサービス「MAGon」では「西田宗千佳のRandom Analysis」を毎月第2・4週水曜日に配信中。 Twitterは@mnishi41