レビュー

ソニー「FX2」を取材で使ってみた。動画撮影メインなら“写真も撮れる”お手軽カメラ

ファインダーが特徴的なCinema Line「FX2」

ソニーから登場した「FX2」。映像撮影向けCinema Lineシリーズのうち、「FX3」「FX30」の設計コンセプトを継承しながら、静止画撮影や屋外撮影向けにファインダーを搭載したのが特徴的なモデル。ソニーストアでの価格はボディ単体で416,900円。

センサーはフルサイズ。FXシリーズでは初となるAIプロセッシングユニットを搭載し、被写体認識AFが利用できるほか、手持ち撮影でもブレを強力にブレを抑制できるダイナミックアクティブ手ブレ補正にも対応するが、動画撮影は最大4K60fpsまでとなっており、FX3の弟分といった立ち位置だ。

一方で、特徴的なファインダーと、大きく配置された動画/静止画の切替スイッチ、Cinema Lineの中でも映画撮影などにも使われる上位機種「BURANO」や「VENICE 2」と同じBIG6と呼ばれるホーム画面を表示できるホームボタンを備えるなど、カジュアルな使い方ができつつ、本格的な動画撮影機のデザインも見えるようなカメラに仕上がっている。

特徴的なホームボタン
「BIG6」と呼ばれるホーム画面

このカメラ、取材に使いやすいんじゃないか?

そんな「FX2」に触れた際に頭を過ったのが、「取材用カメラに使いやすいのでは?」ということ。

弊誌の取材は、発表会などに参加して、記事の元になるメモをとる、もしくはもうその場で話を聴きながら原稿を書き進めつつ、記事に載せる写真を撮り、場合に寄っては動画も撮るのだが、これを全て1人で行なわなければならない。動画静止画をスムーズに切替つつ、安定して撮影できるのであれば非常にありがたい。

ということで今回はFX2をお借りし、一般的なユーザー目線とは少し違うAV Watch記者目線でのレビューをお届けする。

筆者は普段実務に「α7C II」を使用している。このカメラは自前のもので、休日も持ち出して趣味で写真や動画も撮っているため、普段使う機能がメニューのどこにあるのか程度は把握できているつもりだ。ちなみに、レンズも普段から取材に使っている「FE 20-70mm F4 G」をFX2に装着した。

いつも取材に使っている「FE 20-70mm F4 G」を装着
フラッシュを載せてもあんまり違和感がない

そして、FX2とα7C IIは共通点も多い。画素数も同じ静止画最大約3,300万画素、動画時最大約2,760万画素で、AIプロセッシングユニットによるリアルタイム認識AFが使えるほか、4K60pはAPS-C/Super 35mmのクロップ撮影になるところまで同じなので、FX2は動画主軸のα7C IIといったような感じ。

以前、動画に強みのあるVLOGCAMもαとほぼ同じ要領で使えていたこともあり、「ソニー機だったらなんとかなるだろう」と思っていたのだが、実際にはαとCinema Lineではやはり少し勝手が違い、静止画撮影で戸惑うことが多かった。そして、静止画機の乗り換えのつもりで触れてしまうと確かにツッコみ所は多い。

とはいえそれは静止画機に慣れている身だから出てしまうもの。実際に触ってみると、動画機特有の設定にも慣れれば、動画主軸で撮影ではFX2の方が断然便利そうな印象だった。

やっぱり大きいファインダーは見やすい!!

FX2で真っ先に目を引く部分がボディに対してやや大きめのファインダー。先に言ってしまうが、静止画機ユーザーとしては、コレが着脱式だったら最高だった。このファインダーは上下90度に動かせるのだが、どのポジションにしていてもカメラバッグやカメラの収納スペースからこのファインダーの部分だけはみ出るのだ。

大きめのアイカップも相まってファインダーが覗きやすい
こんな感じでファインダーが後ろにはみ出すので、いつものカメラバッグだと若干不都合も……

だが、ツッコミどころは正直それだけ。というよりも、「ファインダーを付けてくれたこと」に対しては好印象だ。光軸からずれた位置にあるとはいえ、外付けのモニターを用意することなく、これ一台で屋外でもポジショニングのチェックや撮影データの確認もできるのは嬉しい。

筆者のように、動画がメインの仕事ではないけど、とりあえず使える動画は撮らなきゃいけないよ、しかも短時間で。みたいな場面で、楽に確実に撮れるというのはありがたい。動画撮影は、静止画よりもカメラを下げて腰当たりの高さで撮ることが多いが、背面モニターよりも、ファインダーを上側に上げた状態でのぞき込む方が、視認性が良くて楽な場面もあった。

ちなみにFX2のファインダーは0.5型Quad-VGA OLEDで、約368万画素。α7C IIは0.39型XGA OLED、約235万画素だ。倍率はどちらも約0.7倍なのだが、FX2の方が断然視認性が良い。イヤーカップが大きくて、目の周りがすっぽりはまるので、とっさの場面でもしっかり被写体を確認できる。

ファインダー自体に長さがあるため、静止画撮影時にファインダーを覗くと、“頬骨の辺りでカメラ本体を支えてバランスを取る”ということはできないので、若干違和感はあるが、これも正直慣れが解決してくれそうな部分だ。

ちなみにこちらの取材でFX2を使用している。

動画撮影時は嬉しい上部のマルチセレクター、しかし静止画では……

α機では背面についているマルチセレクター。筆者は取材時、オートフォーカスが暴れないようにフォーカスエリアをスポットに設定していて、そのエリアを操作するために、搭載機では頻繁に使う。

マルチセレクター。α7C IIにもほしかった

α7C IIにはこのマルチセレクターが搭載されていないので、ダイヤルボタンをポチポチして操作している。この操作、マルチセレクターでぐりぐりする方が断然楽なので、FX2にも搭載されている時点で嬉しい。

動画撮影時も確実にピントを合わせるため、というか操作の慣れと別々の設定にしておくととっさのタイミングで慌てたりしてしまって面倒くさいので、基本的にはフォーカスエリアはスポットにしている。動画撮影時は、やはりカメラを胸の少し下辺りに構えるので、本体上部にこのマルチセレクターが来るのがちょうど良い。

が、静止画撮影でファインダーを覗いた時は話が変わってくる。ファインダーを覗いたままの状態でこのマルチセレクターを操作しようとすると、どうしても人差し指での操作になるのだが、フォーカスエリアを上下に動かしたい場合、セレクターは前後に動かす必要がある。これが、どうにもならないくらい混乱する。

天面にマルチセレクターが付いているので、ファインダーを覗くと人差し指での操作になってしまう

しかもとっさのタイミングで感覚的に操作しようとしてセレクターに触れるので、フォーカスエリアがあらぬ方向に飛んでいく。設定を追い込めば背面のダイヤルボタンでもフォーカスエリアを操作できたのかもしれないが、これもある程度触って慣れることもできそうだ。

動画を撮りながら静止画も作れる。「動画から静止画作成」も便利

FX2では、動画を撮影しながら静止画のシャッターボタンを押すことでショットマークを入れて、その部分を静止画として切り出せる「動画から静止画作成」機能がある。

動画撮影後に自動で静止画を作成できる機能もあるのだが、デフォルト設定では使えない。使えるようにするためには、まず「セットアップ>操作カスタマイズ>(動画マーク)シャッターボタンでショットマーク」にShot Mark1 or Shot Mark2追加を設定して、「撮影>撮影オプション>静止画自動作成」を入にする必要がある。

おそらく1度設定すればあまり変更する機会のない部分ではあると思うが、ショットマーク関連で設定の項目がまとまっていると分かりやすくて良いのだが。

ショットマークは1と2のどちらを選んでも、静止画作成には問題無いようだ。例えば、「シャッターボタンでShot Mark1」を設定して、動画撮影中にシャッターボタンを複数回押せば、押した回数分のShot Mark1が記録され、複数枚の静止画を一度に作成できる。

Shot Mark1が3つ入った動画

ちなみに自動作成を入にすると、動画撮影後に静止画作成の処理が入ってしまう。長回ししてなければ大した時間ではないのだが、取材の場面だとそれが命取りになったりもするので、自動作成はひとまず切に。そういった場合は、「再生>編集>静止画作成」の項目で、撮影時に付けたショットマークから静止画を作成できる。

手動で切り出しできる

この機能はとくにイベント取材などで、動画を回しつつ写真も撮れるので便利そうだ。モードをちまちま切り替える手間も省ける。そういった取材では、プレスルームで先に静止画を使った記事を書いて、あとで動画を編集ということになるので、動画を編集しながら静止画を切り出すことなく静止画の部分を持ってこられるのが便利だ。

ちなみにこの「動画から静止画作成」機能だが、α7C IIをVer.2.00にアップデートすることで全く同じ機能が使える。

ダイナミック手ブレ補正と、グリッド表示で縦動画も手軽に

動画撮影時の手ブレ補正には、ZV-E1などにも搭載されている強力な「ダイナミックアクティブ」が使用できる。サクッと歩き撮りが多い取材の撮影では、一段低い「アクティブ」でも助かっていたものの、なんやかんや腰を落として低い体勢になってそろりそろりと歩くことにはなっていたので、気軽さが増してありがたい。

ついでにアスペクトマーカーをオンにして、9:16を表示しておけば、ショート動画用に編集することも意識して撮影できるので、一度の撮影で色々まとめて撮ることができる。

9:16のアスペクトマーカーをオンにした様子。あとで縦で切り出すことを考えながら撮れる

限られた時間内に、本文の内容と記事に使うことを考えながら写真も撮り、さらにそこで動画まで撮れって「無理だよ!!!」と正直いっぱいいっぱいになっていた。

せめてショート動画だけでも、とiPhoneで撮影して、取材現場から編集部や自宅への移動中に編集、記事と一緒に投稿、とやっていたが、FX2の機能をしっかり使いこなせれば、動画撮影しながらショットマークを付けて、ついでにアスペクトマーカーでショート動画版のことも考えておけば、なんとなくできるような気がしてくる。

なお、これらもα7C IIをVer.2.00にアップデートすると同じことができる。把握仕切れていなかったので、今後はしっかりと活かしていく所存です。はい。

動画撮影中にボタンが天面のRECボタンと電源ボタン上が光って、モニターに赤枠が出るのもありがたい。慌てているときなど、撮影を停止するつもりでRECボタンを連打してしまって、いつの間にか回っていた……ということも経験にはあるので、そういったミスや、回したつもりで撮れていなかったということを防ぐためには、もっとガッツリ目立ったって良いとも思える機能だ。

このライトに助けられる場面、けっこうある

動画メインの取材になったら使いたい!!

筆者はα7C IIや今までも静止画機に触れてきた経験があるため、それと比較してしまって「おや?」と思う部分があったものの、これから動画をメインにやっていくならこちらに買い換えて良いかもと思うくらいには、扱いやすく完成度の高いカメラという印象だった。

というのも、「動画を撮ろう」とFX2を取り出したときに、電源ON、モードを静止画から動画に切替え、がグリップを握っている右手だけでかなりスムーズに行なえるのがかなりストレスフリーに感じられる。実はFX3は電源が左側にあるので、左手でスイッチをオンにして〜とやる必要があるのだが、FX2なら取り出して構えた時にはすでに撮影の準備が整っている状態にできてしまう。

この位置に電源と切替スイッチがあるので、右手の親指だけで操作できる

そして、FXシリーズの深いグリップで手持ちの動画撮影も安定する。この辺も、やっぱり動画機だと違うな〜と感じたポイントだ。α7C IIでは、動画撮影時はケージと左手用のハンドルを付けたりしているので、どうしても億劫になって、結局写真をメインにしてしまった、ということも少なくないのだが、FX2であれば、使えわなかったとしてもとりあえず回しておこう、という気分になれる。

このサイズ感で長回しもできて、気軽に撮れる、画素数もしっかりあるので、とりあえず撮っておいて、編集時に注目の箇所に寄っても綺麗に画が出るなど、割と取材用のカメラとして使うのに便利な要素も多い。

今のところ取材の撮影では、α7C IIで動画を長回ししていても熱停止してしまったということは無いのだが、写真も撮れなくなったらヤバいなと思って、自分でセーブしている部分もあったり、FX2を返却してから、「やっぱり動画撮りやすいのはFX2だったな」と思い返してしまうくらいには、かなりしっくりくるカメラだった。

動画を作品作りのために撮影する人は、スロー撮影の点で若干気をつけたい部分はあるが、そういった点に当てはまらない人であったり、サブカメラとして使ったり、筆者のように取材的に使うような人にとっては、使い勝手や手軽さは非常に良いカメラだろう。

野澤佳悟