レビュー

iOSでもDTCP+リモートアクセス! 「DiXiM DTV iOS 2.0」

iPadやiPhoneから自宅の録画番組をリモートで視聴

DiXiM Digital TV for iOS Ver.2.0.0

 デジオンは、iOS向けのDTCP-IP対応プレーヤーアプリケーション「DiXiM Digital TV for iOS」(DiXiM)の最新版Ver.2.0.0を30日に公開した。

 Ver.2.0.0最大の特徴はDTCP+への対応だ。アプリの価格1,000円に加え、追加で500円を支払うことで、DTCP+によるリモートアクセスが利用できるようになる。つまり、自宅で録画したデジタル放送番組を、外出先のiOSデバイスから視聴可能となる。対応OSはiOS 5.1.1以降とiOS6.0.1以降。対応機器はiPhone 4S/5とiPad2、第3/4世代iPad、iPad mini、第5世代iPod touch。

 なお、iOS対応のDTCP-IPアプリはDiXiMのほか、パケットビデオの「Twonky Beam」、アルファシステムズの「Media Link Player for DTV」などもリリースされているが、DTCP+に対応しているのはDiXiMのみだ。

 DTCP+を利用するには別途リモートアクセスサービスを提供する必要があり、当面の間はDTCP+を利用するユーザーの選択股はDiXiMのみということになる。しかし、これまでDTCP+対応端末が、富士通のARROWSシリーズなどのAndroidスマートフォンの一部に限定されていたことを考えると、普及台数の多いiOSデバイスでDTCP+対応可能となったことは大きな一歩といえる。

DTCP+の利用にはレコーダ、サーバー、クライアントの3機器が必要

 DiXiMの詳細をレビューする前に、改めてDTCP+の仕組みや利用するための機器にもついても触れておこう。DTCP+は、デジタル放送をネットワーク経由で再生できる「DTCP-IP」規格の最新バージョン「DTCP 1.4」で新たに追加された規格。DTCP-IPは自宅など同一のネットワーク内でのみ利用でき、異なるネットワークからの再生はできなかったが、DTCP+は特定の条件を満たすことで、外出先からもインターネット経由で自宅の録画番組などをデジタル放送の画質そのままで視聴できる。

デジオンによるDTCP+の説明。レコーダで録画した番組をサーバーにダビングし、外出さきからクライアントでサーバーにアクセスする

 DTCP+を利用するための条件とは、番組を視聴する機器をあらかじめDTCP+対応機器に登録し、紐付けを行なっておくこと。DTCP-IPの場合は同じネットワークに接続すれば事前登録の必要なく番組を視聴できるが、DTCP+では事前登録を行なっていない機器はリモート環境から視聴することができない。また、この登録機器数はDTCP+の規格で最大20台までと決められている。

 DTCP+対応機器についても制限が課されており、現状はレコーダが直接DTCP+サーバー機能を搭載することができず、レコーダとは別にDTCP+対応機器を用意する必要がある。ARIB(電波産業会)の技術要件で、チューナを備えたレコーダ本体がDTCP+サーバーになってはいけないという取り決めになっているため。そのため、DTCP+で宅外から番組を視聴するためには、レコーダの番組を一度DTCP+サーバー機器にダビングしなければならない。

 つまり、現状DTCP+を利用するためには、DTCP-IPムーブでネットワークダビングできる機能を備えた「レコーダ」、レコーダの番組をダビングしてDTCP+で視聴できるようにするDTCP+「サーバー」、そしてDTCP+で視聴する「クライアント」と、3つの製品が必要。これに加えてインターネットに接続できる同一のネットワークにレコーダとDTCP+機器を接続する必要がある。


【DTCP+利用に必要な機器】


・DTCP-IPムーブ対応レコーダ/テレビ
 東芝「REGZA」、日立「Wooo」、シャープ「AQUOSブルーレイ」、パナソニック「VIERA/DIGA」、nasneなどDTCP-IPムーブ対応機種

・DTCP+サーバー
 アイ・オーデータ「HVL-A/HVL-ATシリーズ」、バッファロー「LS410Xシリーズ」、パナソニック「DY-RS10」など

・DTCP+クライアント(DiXiM搭載/対応)
・ARROWS NX F-06E、Disney Mobile on docomo F-07E、ARROWS A SoftBank 202F
・iPhone 4S/5、iPad2、第3/4世代iPad、iPad mini、第5世代iPod touch
・Windows XP/Vista/7/8

DTCP+サーバーにもトランスコードや自動ダウンロードなど機能差異が

 DTCP+サーバー機能を備えた製品は、現在のところパナソニックのレコーダ「DIGA」のオプションとして発売された「DY-RS10」、アイ・オー・データ機器のDTCP+対応NAS「HVL-Aシリーズ」、「HVL-ATシリーズ」、バッファローのDTCP+対応NAS「LS410Xシリーズ」など。パナソニックのDY-RS10はレコーダ本体にUSB接続し、録画の際にDY-RS10にダビングするかどうかを選択できるが、画質はSD画質のみに限られる。

 DTCP+対応NASの場合はそうした機能は備えておらず、録画した番組を都度NASへダビングする必要があるものの、フルHD画質でのダビングも可能だ。

 また、DTCP+対応NASもシリーズごとそれぞれ特徴が異なる。アイ・オーの「HVL-ATシリーズ」、バッファローの「LS410Xシリーズ」はともにトランスコード機能を搭載。DiXiMのリモートアクセスサービスでは視聴する動画のビットレートを5Mbps程度に推奨しており、それ以上のビットレートでは正しく再生されない場合があるのに対し、この2機種はトランスコード機能を利用して5Mbps以下のビットレートへ圧縮することで、外出先の通信速度に応じて最適な画質で視聴できる。

バッファロー「LS410D0201X」
アイ・オー・データ「HVL-AT2.0」

 また、アイ・オーの2機種は自動ダウンロード機能を備えており、nasneなどの対応レコーダであれば録画した番組のジャンルを指定して自動でダビングできる。バッファローのLS410Xシリーズは、現時点では自動ダウンロード機能を備えていない(後日アップデートで対応予定)ため、リモートアクセスで視聴したい番組はあらかじめ手動でLS410Xシリーズへダビングしておく必要がある。

 SD画質対応も地味ながら使い勝手に関わる機能だ。ダビング必須なDTCP+の場合、すべての動画をそのままの画質でダビングしてしまうと使用する容量も多い。SD画質であればファイルサイズも小さくて済むだけでなく、リモートアクセス時の通信速度を抑えることもできる。アイ・オーの「HVL-Aシリーズ」はトランスコード機能を備えていないが、SD画質でダビングすればリモートアクセスでも十分に視聴可能だ。

 ただし、レコーダ側でSD解像度の「持ち出しファイル」を作成する必要がある。その点、SCEのレコーダnasneは、全ての録画番組で持ち出し用のSD画質ファイルを同時に生成するため、使い勝手が良い。

DTCP+サーバー機器の機能比較
メーカー製品容量ダビング
画質
自動ダビングトランスコード対象機器
アイ・オーHVL-Aシリーズ2TB、3TB、4TBSD/HD(*1)DTCP-IPムーブ
対応レコーダの一部機種
HVL-ATシリーズ2TB、3TB、4TBSD/HD
バッファローLS410Xシリーズ2TB、3TB、4TBSD/HD(*2)
パナソニックDY-RS10最大64GB(*3)SD(*4)DIGA一部機種

*1 別売トランスコーダが必要
*2 後日のファームウェアアップデートで対応予定
*3 SDカードの容量に準じる
*4 SD画質のみのためトランスコード不要

富士通のデスクトップPC「ESPRIMO FH78/LD」

 このほか、富士通のパソコン「ESPRIMO FH78/LD」は少し変わったアプローチでDTCP+を実現。本体内にテレビ内の録画機能とDTCP+サーバー機能を内蔵しており、仕様としては2つの機能が別のアプリケーションとして動作するものの、ユーザーとしてはパソコン1台で番組の録画とDTCP+によるリモートアクセスを利用できる。

追加500円のアドオンでDTCP+に対応

 「DiXiM Digital TV for iOS」2.0.0は、DTCP+対応のほか、スカパー! プレミアムサービスのレコーダ「TZ-WR500P」との連携機能も追加され、TZ-WR500Pを利用してスカパー! プレミアムサービスの放送中番組や録画番組を再生できる。DTCP+は追加500円が必要だが、このスカパー!連携機能はアップデートのみで利用可能だ。

 最新バージョンの2.0.0では、左上のメニューアイコンから設定を開くと「アドオン」という新しい項目が追加されており、ここからDTCP+の機能追加が可能。1台のiOS端末でDTCP+をオンにしておけば、他のiOS端末でも追加料金の必要なくDTCP+機能を利用できる。

左上のメニューアイコンからDTCP+アドオンの追加が可能

 DTCP+機能を追加するとメニュー下部には「サーバー」「設定」に加えて新たに「リモート」のアイコンが追加される。事前登録を行なうには、接続したいDTCP+サーバーと同じネットワークへ無線LANでアクセスし、「リモート」の左上にある十字ボタンからサーバーを登録。登録作業自体は画面に従っていくだけで完了するため、さほど難しいことはない。

リモートアクセスには視聴するクライアントの事前登録が必要

 事前登録が完了すると「リモート」に登録したサーバー名が表示され、外出先からのリモートアクセスが可能になる。「リモート」を選んで接続する以外はDTCP-IPによる同一ネットワーク内の接続と画面や操作は変わらず、視聴したいジャンルを選んでいくだけで動画を視聴できる。

事前登録の後は「リモート」アイコンから再生できる

レスポンスは宅内と同程度。トランスコード対応で画質選択も可能に

動画の再生画面

 外出先の回線が安定していれば、動画のレスポンスは宅内でのDTCP-IP接続と、宅外からのDTCP+でさほど変わりは無い。下りで実測値30Mbps近い速度のBフレッツ環境にて、nasneの番組をダビングした「HVL-ATシリーズ」へiPad 2から接続したところ、DRモードで録画した動画をビットレート4.8Mbps、画面サイズを1,440×1,080ドットで再生するには、どちらの再生環境ともに画面が出るまでに6~10秒程度、再生が始まるまでさらに4~7秒程度が必要だった。スキップ機能についてほぼ同程度の感覚だ。

 一方、nasneが作成するSD番組をHVL-ATにダビングし、ビットレート708kbps、画面サイズ640×360ドットの画質で再生したところ、画面が出るまでに4~5秒、再生までに1秒程度と、宅内とほぼ変わらない感覚で再生できた。640×360ドットでもiPad 2で視聴するには十分の画像品質のため、再生までの立ち上がりやトリックプレイを重視するのであれば画質を下げて視聴するのも手だ。

トランスコードで選択できる画質
nasneのSD画質をダビングした場合、トランスコードで選択できる画質は2つのみ
設定から再生品質を選択できる。ただし、選択できるのはサーバー側がトランスコードに対応している時のみ

 なお、トランスコードに対応したDTCP+サーバーの場合、画質は自分でも選択することが可能だが、初期設定では画質設定が自動選択になっている。自分で画質を変更したい場合は設定から「再生品質を自動で選ぶ」をオフにしておく必要がある。

 画質はサーバーの仕様によって異なるが、今回使ったHVL-ATシリーズの場合、最大で7種類から選択可能だ。トランスコード対応に合わせ、宅内の接続においてもトランスコード対応のレコーダやサーバーであれば同様に画質を選択できるようになった。

トリックプレイやリジューム再生など機能は充実

 操作感も宅内の接続とほぼ変わらず、視聴を中断した番組を続きから再生できるリジューム機能、指定秒数だけスキップ/バックできるトリックプレイなど機能は充実。スキップは初期設定で30秒になっているが、任意の時間(15/30/60/90/120秒)に割変更することも可能。また、リジューム機能は宅内、宅外どちらで視聴しても同じ場所を記憶してくれるため、同じ番組を自宅と外出先で視聴する場合には便利だ。

動画視聴中にブラウザを表示できる

 番組を見ながらブラウザを同時に表示する機能も搭載。ブラウザはタブ機能を備えており、最大で3つまでのタブ切り替えに対応。右上の地球アイコンを押すとブラウザを起動でき、番組を視聴しながらWebサイトで調べ物をする、といった使い方が可能だ。

 ただし、DTCP+の仕様上再生できるのは録画済み番組に限られることに加え、DTCP+機器自体もチューナ機能は備えていないため、現在放送中の番組を視聴することはできない。自宅であればテレビ放送をライブ再生することでDTCP-IP対応クライアントをテレビのように使うことができるが、DTCP+はあくまで録画済みの番組をリモート再生するための機能になっている。

iOSでDTCP+を利用する現状唯一のソリューション

 インターネットに接続する環境さえあれば、外出先から自宅の録画番組を楽しむことができるDTCP+は非常に魅力的な機能だが、これまではクライアントがWindows搭載PCか、富士通のAndroidスマートフォン最新機種3モデルに限られていた。今回のバージョンアップによりiOS向けでもDTCP+が利用可能になったことで、DTCP+の環境は大いに広がった。

 これまで唯一のDTCP+対応スマートフォンだった「ARROWS NX F-06E」などの富士通製スマートフォンはいずれもキャリア契約が必要だが、iOS版であればiPhoneはもちろん、iPadやiPod touchでもDTCP+が利用できる。現状はDTCP+に対応したAndroidタブレットも存在しないため、デジタル放送画質をそのままリモートで視聴できるDTCP+を使って、録画した番組を大画面のiOSで視聴できるのも嬉しい。

 価格はDTCP+も含めると1,500円となり、アプリとしては高額な部類だが、iOSでDTCP+を利用するのは現状DiXiMが唯一のソリューションとなるだけに、リモートアクセスをiOSで楽しみたいユーザーは必須のアプリだ。

 また、録画番組をより積極的にモバイル環境で活用するという点では、今後対応予定とされている録画番組の「持ち出し」機能の早期対応も期待したいところだ。

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アイ・オー・データ
HVL-ATシリーズ
バッファロー
LS410シリーズ

甲斐祐樹