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第132回:完熟の2D画質で登場した「3D VIERA」

プラズマ新時代。パナソニック「TH-P50VT2」



TH-P50VT2と3D対応Blu-rayレコーダ「DMR-BWT3000」

 3D立体視テレビのブームの火付け役、パナソニックが満を持して投入する製品、それが「VIERA VT2」シリーズだ。

 4月23日に第1弾として発表されたのは、50型と54型というあまり大きさの差がない2製品だったが、日を置かぬうちに58、65型が追加発表され、5月28日に発売される。ハイエンドモデルに恥じない大型サイズの4製品ラインナップとなった。

 今回の大画面☆マニアはこの民生向けとしては世界初の3Dプラズマテレビ「VIERA VT2」の50型「TH-P50VT2」を取り上げる。なお、現状、3Dコンテンツが少ないため、メインは2Dコンテンツの画質にフォーカスし、なおかつ大画面テレビ製品としての評価をメインに据えた。

 


■ 設置性チェック:大幅な軽量化を達成

 「3D対応VIERA」とはいっても、外観は普通のプラズマテレビと変わらない。ディスプレイ部の大きさは1,224×90×771mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約27.5kgで、重量に関して言えば、従来よりも大幅な軽量化に成功している。

 今回の設置に関して言えば、大人2人で難なく2階に運べた。2人以上での設置が推奨されているが、設置台への上げ下げ、簡単な移動は筆者1人でも行なえた。ちなみに、昨年本連載で取り上げた42V型のTH-P42V1がディスプレイ部だけで約26kgだったので、8インチも大きな50型機が1.5kg増だけ、というのはすごい。なお、2008年モデルの42V型のTH-42PZ800はディスプレイ部だけで約37kgもあった。今やプラズマだからといって重くはないのだ。この軽量化の主たる理由は後述する。

サイズは従来のプラズマと変わらない。ただし大幅に軽くなった ベゼル部は光沢塗装。スタンド台座は楕円形

 付属のスタンドは433mm×335mm(幅×奥行き)。土台の役割を果たすため、こちらは大きさの割には約3kgもある。この付属スタンドは左右±10度の首振り機構を備え、画面上部に手を添えれば簡単に向きを変えられる。なお、上下方向の首振り機構はない。

SC-HTX700-K(設置しているテレビはTH-P46V2)

 パナソニックらしく、設置用のスタンドや取り付け金具の純正オプション品は充実している。壁掛け設置用の取り付け金具としては「TY-WK4P1R」(26,250円)が対応品として設定されており、こちらは50V型までであればVT2シリーズ以外のVIERAのV2/V1/G2/G1/R1/S2/X1シリーズに広く対応している。54V型以上の壁掛け設置金具は65型用、54/58V型用のV1/VT2専用タイプになる。

 壁寄せ設置スタンドは「TY-WS4P3T」(49,900円)が設定されている。こちらはディスプレイ部の下辺が高さ55cm程度の位置に来るオープンラックタイプのスタンドで、台座部分にビデオレコーダーデッキなどをスタイリッシュに置くことが出来る。

 また、2.1chスピーカーシステム内蔵型のラックとしては、「SC-HTX700-K」(実売8万円前後)が設定された。SC-HTX700-Kは、バーチャルサラウンドサウンドが楽しめるだけでなく、さらオプションのワイヤレスレシーバーの「SH-FX70」や「SH-FX60」を組み合わせることでワイヤレスサラウンドスピーカーも追加可能な、本格的なものとなっている。

背面の様子。スリットの隙間から見えるのは冷却ファン

 額縁部の幅は、上が約52mm、左右が約56mm、下(最広部)が約80mmといった具合で、構造の問題からか最近の液晶テレビと比べると広い。額縁部もクリアコーティングされているが、テカテカというほどでもなく落ち着いた渋い発色となっている。

 動作時のノイズはディスプレイ部に近づけば若干聞こえるが、1mぐらい離れれば聞こえない。背面には4基の電動冷却ファンが内蔵されており、稼働時は常時回転しているが、これらのファンノイズは非常に静かだ。また、本体の発熱も一昔前と比べるとだいぶ低くなっており、背面の冷却ファンの効果もあってか熱いというほどでもない。表示面の発熱も同様。ただ、長時間使っていると、閉め切った部屋では室内が暑くなる。

 定格消費電力は472W。昨年評価した42型のTH-P42V1が484Wだったので、確実に低消費電力化は推し進められてはいる。ただ、同画面サイズの液晶テレビが200W程度だということを考えると、まだプラズマの定格消費電力は高い。

 ちなみに、定格消費電力はいわばその機器が最大使用時の電力量なので、実際の映像表示時の継続的な消費電力はもっと小さくなる。これを表したスペック値が年間消費電力量だが、これについてはTH-P50VT2は217kWh/年となっており、同画面サイズの液晶テレビとさほど変わらない。

 寿命については、TH-P50VT2も約10万時間が公称スペックとして謳われている。ここでいう寿命とは公称スペック輝度から半減するまでの経過時間の目安であり、多くの液晶テレビでは、この値を6〜7万時間としている。そのため、間接的に「液晶よりもプラズマの方が30%以上も長寿命になった」とも取れてしまうが、最大輝度値は多くの場合プラズマが液晶の1/2〜2/3くらいなので、「経過時間と輝度」の関係性について着目すれば、10万時間後の輝度はそう大差ないという見方もできる。

 


■ 接続性チェック:ARC対応HDMIで、階調レベル設定も搭載。アナログ端子は大幅削減

 接続端子パネルは正面向かって左側の背面(裏側)と左側面に配されている。HDMI端子は背面に3、側面に1の合計で4端子で、いずれもVer.1.4準拠。全HDMI端子が3Dコンテンツに対応しているので、3D対応機器を複数系統接続できる。実際に3D再生対応のBDレコーダ「DMR-BWT3000」を各入力端子でテストしてみたところ、全てのHDMI端子で立体視が確認できた。

背面接続端子。アナログ端子は大幅削減 側面接続端子。SDカードスロットやUSB端子はこちらに

 また、コンテンツそのものの種類を接続機器同士で認識し合う「コンテンツタイプフラグ」にも対応しており、対応機器同士であれば、画調モード「オート」設定時には、視聴するコンテンツに応じた最適な画調モードが自動的に選ばれるようになっている。これまで、コンテンツタイプはコンテンツのフレームレートやメーカー側の知識アルゴリズムで独自に判断していたが、これからは接続機器側が「今伝送している映像は写真です。ゲームです」といったことが送れるようになるということだ。

 [HDMI1]端子だけはARC(オーディオ・リターン・チャンネル)に対応しているので、ARC対応のAVアンプなどとの接続にはHDMI1端子を利用する。ARCとは、1本のHDMI端子(HDMIケーブル)で、伝送方向の上りと下りの双方にてデジタル音声の送受を行なう仕組みのこと。これにより、AVアンプとテレビをHDMI接続した際に、テレビ側のデジタル音声(デジタルチューナなど)を、これまでのように光デジタル音声ケーブル接続をせずに、一本のHDMIケーブルだけでAVアンプに送れることになる。AACサラウンドサウンドに対応した音楽番組や映画番組などをAVアンプを通してサラウンドシステムで楽しんでいた人は、光ケーブルの接続が一本不要になると言うことだ。

 HDMIは最新規格に対応する一方で、アナログビデオ入力系は、かなりシンプルになった。

 まず、D4入力端子は1系統になった。HDMIの普及により役目を終えた感のあるD端子ではあるが、いまだ古めのAV機器、Wiiや初期型Xbox 360などのゲーム機では現役の高画質接続手段でもある。HDMI端子が余ってD端子が不足しているという人も結構いそうな感じがするが、2011年以降の再生機器ではD端子が廃止される予定なので、この動きは今後も強まるのだろう。

 コンポジットビデオ入力は背面に2系統、側面に1系統あり、ビデオ入力1〜3に対応するが、ビデオ入力1はD4入力端子と排他仕様となる。S2ビデオ端子は1系統あるが、これもコンポジットビデオ入力端子のビデオ入力2と排他仕様となっている。音声入力は3系統で、ビデオ入力1〜3の全てに対して、RCA端子を備えている。

 2009年モデルのTH-P42V1などでは、PC入力用のアナログRGB(D-Sub 15ピン)端子は側面に備えていたが、TH-P50VT2では、これが背面に移された。VIERAは、アナログRGB接続のPC入力端子を残している数少ないテレビ製品だ。ただし、このPC入力端子を使った接続では、1,920×1,080ドットのパネル解像度のドットバイドット表示に対応していない点には注意したい。実際に試したところ、1,366×768ドット(WXGA)までの表示を確認している。ただし、Xbox360をアナログRGB接続したときは、Xbox 360側の解像度設定を切り換えても映像が流れてしまい表示が安定しなかったことも付け加えておく。

 PCとの接続についてはもちろんHDMI経由で行なうことも出来る。市販のDVI-HDMI変換アダプタなどを利用すればDVIケーブルでの接続も可能だ。ただし、工場出荷状態では、オーバースキャン表示されてPC画面のデスクトップ外周がクリップアウトされてしまっていた。これを回避して液晶モニタのようにデスクトップ全域を表示させるようにするためには[メニュー]ボタンでメニューを開き、「設定する」-「画面の設定」から、「HD表示領域」を「標準」(オーバースキャン)から「フルサイズ」(アンダースキャン)へと変更しなければならない。これはPS3やXbox360などのゲーム機を接続した場合も同様だ。この設定を行なうことで、ATIのRADEON HD4850カードでの1,920×1,080ドット、ドットバイドットの表示を確認できた。

PCやゲーム機をHDMI接続したときには[画面の設定]で、「HD表示領域」を「フルサイズ」設定に

 ただ、PCやゲーム機をHDMI接続する際にはもう一つ気にしなければならない点がある。それが、この連載で何度も指摘しているHDMI階調レベルの設定だ。案の定、TH-P50VT2は、工場出荷状態ではPCや、PS3(RGBフル設定)をHDMIにてデジタルRGB接続した際の階調レベルが暗部が潰れて白が飛んだ映像になってしまっていた。

 この件は、昨年のTH-P42V1を評価した際など繰り返し指摘してきたが、ついに今期のモデルから、HDMI階調レベルの設定がVIERAでも行なえるようになった。これは喜ばしい改良である。

 ただし、設定項目がメニューの深いところに位置し、「メニュー」-「設定する」-「初期設定」-「接続機器関連設定」の「HDMI RGBレンジ設定」が該当設定項目だ。ここは工場出荷状態では自動設定を意味する「オート」になっているが、ここをビデオ階調相当の16-235範囲の「スタンダード」、0-255範囲の「エンハンス」に各HDMI端子ごとに個別に設定できる。オート設定は誤認確率が高く、RGB出力のPCや、PS3でRGBフルでHDMI出力した場合は、「エンハンス」を明示設定しておきたい。

ついにVIERAにも搭載されたHDMI階調レベル設定機能。次期モデルには表示遅延の少ないゲームモードも期待したい PCやゲーム機を接続した際は、ノイズリダクション関連はオフにしておきたい。ベースバンド映像に対しては基本的にノイズ除去プロセスは不要であるため。具体的には「NR」と「HDオプティマイザー」の設定は「オフ」とすればいい

 もう一つ、PCとの接続に配慮したユニークな機能があるので紹介しておこう。

 ビデオ入力2の音声入力端子に接続した音声は、PC入力端子(D-Sub15ピン端子)、HDMI3端子の映像を表示しているときに再生することが出来るようになっている。つまり、PC側の音声出力をビデオ入力2の音声入力端子に接続すれば、TH-P50VT2にてPC画面を表示しつつPCサウンドも一緒に再生できる。PCをデジタルRGB接続してサウンドまで出力したいときにはHDMI3端子を選んだ方がいい。この機能を利用するには「HDMI(3)音声入力設定」を「アナログ」に設定する必要がある。

 出力端子としては、外部ビデオ機器によるアナログSD画質での録画を想定したモニタ出力を1系統装備。端子としてはコンポジットビデオとステレオアナログ音声になる。昨年モデルまでは、このモニタ出力にS2ビデオ端子もあったのだが、今期はコンポジットビデオ端子のみになってしまった。この他、光デジタル音声出力角形、Ethernetなどを備える。モジューラジャック端子はTH-P50VT2では省略された。

 アナログビデオ系端子がカットされたTH-P50VT2だが、アナログチューナしか持たないDVDレコーダとの連携録画を想定したIrシステム端子は残っている。側面には二つのUSB端子を備え、1つはUSB接続の無線LANアダプタ「DY-WL10」の用という位置づけだ。

SDカードに記録された写真をワンタッチでスライドショーで楽しめる。内蔵BGMも自動演奏

 もう1つのUSB端子はWebカメラ接続用とのこと。TH-P50VT2は2010年6月にビデオチャットの「Skype」に対応予定であり、これに合わせて発売される専用Webカメラ「TY-CC10W」をここに接続することになる。USB端子は基本的にネット関連機能専用で、USBキーボードには利用できない。

 SDカードスロットも側面にあり、今世代機は64GBまでのSDXCカードに対応することとなった。このスロットを利用することで、SDカードに記録されたJPEG写真、SDビデオやAVCHD動画などを再生できる。残念ながら、このスロットを利用したワンセグ録画などは行えない。あくまで読み込み(再生)メディアという取り扱いだ。

 実際に動画と写真を混在させたSDHCカードを挿入してみたところ、リモコンの[SDカード]ボタンからいとも簡単にスライドショーを開始することができた。表示はなかなかきびきびしており、常用に耐えうるパフォーマンスだと感じる。


 


■ 操作性チェック :YouTubeも引き続き搭載。より進んだ取扱説明書の電子化

リモコンはVIERA伝統の非対称形状を採用。前モデルから微妙なボタンの配置換えが行なわれた

 リモコンは昨年モデルから基本デザインに変更なし。縦長フォルムに、特殊機能のショートカットキーをあしらった領域を左側に突き出させた左右非対称デザインは、VIERAリモコン伝統の形状。底面は艦船のように絞り込んでいる。毎年微妙にボタンのレイアウトが変わるVIERAだが、今年のリモコンでは先代までその突き出た部分にあった[?]ガイドボタン(ヘルプボタン)が、リモコン下部の蓋の中に収められ、その位置には[オフタイマー]ボタンが配置されるようになった。

 個人的には、そろそろデザインに野暮ったさを感じてきたし、毎年ボタンの増設やら移動を細かくやるくらいならば、新規デザインに移行したほうがすっきりすると思うのだが、どうだろうか。

 電源オンから地デジ放送画面が表示されるまでの所要時間は約11.0秒。先代よりもだいぶ遅くなってしまった。

 アスペクトモードのラインナップは以下の通り。

モード名 内容
セルフワイド 最適なアスペクト比に自動的に切り換える
ノーマル アスペクト比4:3映像のアスペクト比を維持して表示する
ジャスト アスペクト比4:3映像の外周を伸張して表示する疑似16:9モード
ズーム アスペクト比4:3映像にレターボックス記録されたアスペクト比16:9映像を切り出してパネル全域に表示するモード
フル パネル全域に映像を表示する

 アスペクトモードの切り替え自体はリモコン上の[画面モード]ボタンを押して順送り式に行なう。切替時間はほぼゼロ秒で操作した瞬間に切り替わる。

画質の調整 音質の調整 番組を探す/予約する 設定する 3D映像
音声の設定 システム設定 かんたん設置設定 接続機器関連設定 機器を操作するメニュー

 入力切り替えはリモコン上の[入力切換]ボタンを押し、接続端子一覧メニューを開いてから、接続端子名に対応する数字キーを押す、VIERA特有のインターフェイスを採用する。[入力切換]ボタン連打での、順送り式の切替操作にも対応している。切替所要時間はHDMI→地デジ放送で約2.0秒、D4→HDMIで約4.0秒、地デジ→D4で約0.5秒。HDMIが絡むとやや遅めで、絡まないとかなり速い。総じて標準的なレスポンス、といった印象を持った。テレビのチャンネル切り替えはデジタル放送で約1.5秒とまずまずの速さだ。

 プリセット画調モードの切り替えボタンはないため、[メニュー]ボタンを押して「画質を調整する」メニューに入ってから切り換えなければならない。ここは個人的には残念。ただし、新たに「オート」画調モードが搭載されたので、テレビ放送視聴や、HDMI接続された最新のBlu-ray機器などに関しては、この「オート」モード一本でも一般ユーザーは問題がないかもしれない。

電子番組表の画面(標準状態) 表示チャンネル数を変更可能 19チャンネル分の表示
2画面表示可能な組み合わせ

 調整可能な画質パラメータの解説は歴代VIERAから大きな変更はない。調整機能項目とその効果についての詳細な解説は本連載TH-P42V1(2009年モデル)、TH-42PZ800(2008年モデル)などの回を参照して欲しい。なお、プリセット画調モードの画質パラメータはエディット結果が記録されるが、これは各入力系統ではなく、機体全体の設定に及ぶ。逆に、各入力系統ごとにユーザーメモリが1個ずつ用意されており、これは各入力系統ごとに画調調整が行なえる。VIERAユーザーは、この画調パラメータの管理特性を理解し、プリセット調整を編集するか、ユーザーメモリを作り込むかを使い分けていきたい。

 二画面機能は「サイドバイサイド」(SBS)と「ピクチャー・アウト・ピクチャー」(POP)の2モードに対応する。SBSは2画面を同画面サイズで横に並べ、POPではメイン画面を大きくサブ画面を小さくして並べる。親画面の中に子画面を合成表示する「ピクチャー・イン・ピクチャー」(PIP)方式には対応していない。2画面の組み合わせの自由度は高く、デジタル放送2画面、デジタル放送+アナログ放送の2画面、デジタル放送+外部入力(HDMI、アナログビデオのいずれか1つ)に対応する。外部入力だけの2画面には未対応であった。


「アクトビラ ビデオ・フル」に対応

 インターネット対応機能も充実している。VT2シリーズはVIERAの中でも上位機なので、「アクトビラ ビデオ・フル」への対応は当然として、先代から始まったYouTube対応も本機に搭載されている。

 動画サイト「YouTube」へのアクセス機能で、単にYouTubeサイトへのアクセス機能だけではなく、YouTubeアカウント(アカウント取得にはPCが必要)にも対応する。自分でPCからアップした動画をみんなに披露する用途にも使えるし、自分のアカウント情報に連動したおすすめ動画を楽しむことも可能だ。PC版YouTubeと同じく、キーワードによる動画検索も行なえる。

 再生映像は拡大モードを選べば、映像パネル全域に拡大し、VIERA側の高画質化エンジンを通してフル画面で楽しむことが出来る。ただし、4:3映像は16:9に強制変換されてアスペクト比が狂ってしまい、調整が行なえないのが玉にキズ。次期モデルでは[画面モード]ボタンによるアスペクト変更に対応して欲しい。

 なお、TH-P50VT2には、競合他社製品にあるようなインターネットブラウザは搭載されておらず、YouTube以外のサイトへのアクセス機能は無い。

YouTube機能はマイアカウント経由のアクセスにも対応。連続再生にも対応しているので環境ビデオ的に流しっぱなしの利用も可能

 音響面のスペックもハイエンド機らしい贅沢な構成となっている。TH-P50VT2では、1基のウーハーユニットを搭載した2.1chサウンドシステムを採用している。出力的には左右10W×2ch+ウーファー10Wで、総出力30W。音質自体は素直でテレビのサウンドとしてはまずまずだが、昨今の競合ハイエンド機と比較するとやや物足りない。高音の伸びが不足気味なのと、ウーファーが入っている割には低音のパワー感が足りないのが気になった。また、サウンドの定位感が画面下部に集中する感じが頂けない。ここは改善が必要なポイントと感じる。

TH-P50VT2がロボットのようにしゃべってレスポンスしてくれる音声ガイド機能。デフォルトでは無効化されている。有効化して活用してみよう

 音声周りで面白い新機能が搭載されていたので紹介しておこう。それが音声ガイド機能だ。TH-P50VT2の操作に対してのレスポンスを日本語音声で行なってくれるという遊び心溢れる機能だ。

 入力切換をHDMI1に切り換えれば「えいちでぃえむあい・いち」としゃべるし、テレビのチャンネルを切り換えれば「ちじょうでじたる ふじてれび めざましてれび」という具合に、切り換えた放送局名と番組名までをしゃべってくれる。番組表に至ってはカーソルをあてた番組名や番組解説までも読み上げてくれるので、細かい字で記載される電子番組表が見にくいという人などにとっては実用機能とて使えるはず。

 なお、この機能はデフォルトでオフになっているので、活用するためには「音声の設定」-「音声ガイドの設定」にて有効化しなければならない。

 「エコナビ」機能と命名されたエコ支援機能も搭載。明るさセンサーによる部屋の照度に応じた画面輝度制御、無信号オフといった基本的なものから、HDMI-CEC機能を活用したDIGAの節電制御機能、視聴番組の種別に応じた自動音量制御のようなパナソニックらしいユニークなものが搭載されている。最近流行しつつある、人の気配に連動して節電させる人感センサーは搭載されていない。

 今回の評価において、使い勝手の面で最も気になった点を最後に述べておこう。

 今期モデルでは取扱説明書がわずか75ページとなり、これまでの同社製品からすればページ数が激減した。これは、各機能解説をテレビ画面そのものに表示させる「オンラインマニュアル」(電子説明書)へ移行させたためだ。紙ベースの取扱説明書はこのオンラインマニュアルで利用する参照キー番号のリスト掲載が中心となっている。ユーザーはリモコン上の[?]ボタンを押し、続けてその3桁の参照キー番号を入力することで、対応する機能の解説ページをテレビ画面に表示することが出来る。

オンラインマニュアルは2種類。1つはインターネット経由の「ネットで使い方ガイド」

 「紙を使わない」この仕組みはコスト削減/エコという観点では素晴らしいが、短所もある。まず、オンラインマニュアル自体のページ単位の情報量が少なく、複数ページをめくったり、階層を潜らないと欲しい情報が出てこない。また、紙の取扱説明書ならば、ページ記載されている操作方法を見ながら実機操作ができたのが、このオンラインマニュアル方式では、テレビ画面に表示されている機能解説や操作方法を一度覚えるかメモしてからオンラインマニュアルを終了し、そこから実機操作しなければならない煩わしさがある。

 ただ、この点についてはパナソニックらしく、テクノロジーで不便さを低減させている。TH-P50VT2ではネットワークプリンタを接続する機能を備えているため、オンラインマニュアルの任意のページをプリンタで紙に印刷することが出来るようになっている。どれだけのユーザーが実際に接続するのかはわからないが、よく使うページだけは印刷して取っておく、という使い方が出来るのは救いだ。

 実際にオンラインマニュアルを使い込んでみて不便と感じ、早急に対応が必要だと思ったのが、フリーキーワードを使った全文検索への対応だ。現状では、せっかくオンラインマニュアルになったのに、紙ベースの取扱説明書にあったような「50音索引ベースの検索」と「目的別検索」しかできないのだ。「オンラインマニュアル主体」を推進していくならば、「オンラインマニュアルならではの使い勝手」の向上に努めて欲しいと思う。

VIERAは率先して取扱説明書の電子化を進めている。今はまだ使い勝手に難あり。

 


■ 画質チェック:3D対応にあわせて進化した新世代プラズマ

新レシピの希ガスと新開発のダイナミックブラックレイヤー

 TH-P50VT2は世界初の“3Dプラズマ”と取りざたされているが、実は、今期のプラズマVIERAは、パイオニアのKUROの遺伝子を受け継いだプラズマパネルを採用したということで、本質的な画質を期待する向きも多いだろう。

 新パネルに関する技術は本連載のInternational CES編で詳しく解説しているが、ここでも簡単に紹介する。

 まず、画素セル内の希ガスレシピを改良し、キセノンを増大させている。これに合わせて新誘電体材料を用いて電極層を薄膜化した「ダイナミックブラックレイヤー」の新採用により電界強度を高めている。また、画素セル内で放電を2回行なうことで放電効率を向上させたとしている。希ガスに電子をぶつけて紫外線を発生させてこれをさらに蛍光体に衝突させて可視光へ変換するのがプラズマの原理だが、この蛍光体のレシピも今世代のパネルは改良が施された。さらに放電用の電極の設計も改良し開口率を向上させている。

 そして、ついに予備放電をキャンセルすることが出来るようになり、黒表示時に自発光画素としてほぼ完全に近い黒表現が出来るようになった。この予備放電レスの実現にはパイオニアのKURO技術が多分に応用されたという。

放電アルゴリズムも改善 蛍光体も改良 電極サイズを最適化し、ブラックストライプを省略することで高開口率化

 実際に表示映像を見てみると、まず画素開口率の高さに驚かされる。画素を仕切る格子筋が、もはや液晶パネル並みの細さで、大画面のプラズマ画質では気になるRGBサブピクセルの分離感がないし、表示映像に粒状感もない。40インチクラスになると印象が変わるのかも知れないが(VT2シリーズは50インチ以上のラインナップしかない)、50インチ以上であれば1,920×1,080ドットのフルHDプラズマはいまや画素描画品質の面では液晶パネルに見劣りしないと言っていいと思う。

もはや画素の開口率に関してはパッと見、液晶と見分けが付かない

 発光効率も向上したとのことで、輝度がどの程度明るくなったのか、気になる人も多いことだろう。

 今回、たまたま、他社の同画面サイズの液晶テレビと並べて比較する機会があったので、同一映像を両者に表示して白色部分を照度計で計測してみたのだが、TH-P50VT2は、その液晶テレビの半分程度しかないことが分かった。実際、計測値だけでなく、蛍光灯照明下では、同画面サイズの液晶テレビと並べてしまうと、全体的に沈んだ画調に見えてしまう。

 ただ、ひとたび照明を落とすと印象は変わる。蛍光灯照明下では分からなかった暗部方向へのダイナミックレンジの広がりが、とたんに映像の立体感を演出しだすのだ。

 TH-P50VT2の輝度スペックは非公開だが、ネイティブコントラスト値は500万:1と公開している。500万:1の真偽はともかくとして、照明を落とせば、その数値が持つインパクトに近いコントラスト感をちゃんと視覚出来る。

 逆に言うと、視聴時に部屋をやや暗くできない環境への設置は向かない。理想的には間接照明に切り換えられる照明環境か、あるいは調光付きの天井照明装置がないとプラズマの画質の本領は発揮できない。明るすぎる環境では、「暗いテレビ」として見えてしまうことだろう。

 TH-P50VT2の視野角について評価していたときに気がついたのだが、本機は斜めから見てもプラズマ特有の画素のピンボケ感がない。プラズマは一般的に視野角が広いとされるが、それは色調についてのこと。プラズマは、斜めから見たときは表示面の前面側にガラス板が配置されるせいで、そこで視線が屈折して斜めから見ると画素がぼやけて見えてしまう機種が多かった。一方、液晶パネルは、斜めから見ても画素形状はクリアだが、その代わり構造上の問題で色調変化や黒浮きが発生する。「視野角については液晶もプラズマも一長一短である」というのが筆者の考えだったのだが、今回のTH-P50VT2のパネルでは斜めから見ても液晶パネルのようにクリアフォーカスに見えた。もちろん、自発光画素のプラズマなので斜めから見ても色調変化や黒浮きはない。

 不思議に思って表示面に近づいて見てみたところ理由がわかった。TH-P50VT2には、これまでの多くのプラズマ機種に存在した前面ガラスがなくなっていたのだ。このため、表示面そのものに映像が表示され、斜めから見ても画素が屈折して見えないというわけだ。いうなれば、液晶パネルのクリアフォーカス感とプラズマらしい色調と暗部の安定感を両立させた高画質といったところか。

 商品解説にも「VT2シリーズは前面ガラスを使用していませんので、パネル表面等に強い衝撃を与えないでください。」と明記されていた。TH-P50VT2が液晶テレビ並みに軽くなったのはこのことも大きく関係しているようだ。

ビビッド=オフ ビビッド=オン。記憶色再現志向になり彩度が増す

 発色は良好。各純色がとても鋭く、深く発色している。特に赤が艶やかで美しい。輝度性能には液晶テレビに劣るTH-P50VT2だが、暗室での色ダイナミックレンジは平均的な液晶テレビを上回るといっていい。

 肌色は、先代よりもうっすらと乗る黄味は低減されて、より自然な発色に近づいた。肌の陰影表現は素晴らしく、顔面の頬の立体感などは特に秀逸だ。肌に生じるハイライト付近の、白に近い肌色は特に美しく透明感を感じる。

 階調性能も優秀で、プラズマの階調生成法であるサブフィールド法の弊害として知覚されてしまう暗部の「ざわつき」(ディザリングノイズ)は皆無ではないものの、1メートルも離れれば分からない。階調表現力で特に感心させられるのは暗部。漆黒からのカラー単色の明暗グラデーションを表示すると、最暗部付近からちゃんと色味が現れている。最暗部付近の輝度ゼロに近い画素から、ちゃんと色味があることが知覚できるのだ。これは液晶では表現しづらい領域であり、TH-P50VT2だけのオンリーワン画質性能だといえるだろう。

 二色混合グラデーションも、液晶テレビに優るとも劣らぬ滑らかなアナログ感で表現できていた。この液晶なみのアナログ感漂う階調表現力は、どうやら2D映像の階調生成時に限りV1世代の二倍の分解能が割り当てられたことの恩恵によるものらしい。

カラー・リマスター=オフ カラー・リマスター=オン。より自然な色合いになる

 先代TH-P42V1では、奥行き方向へキャラクターを移動させたりするようなゲームで奥から手前に向かって3Dスクロールする背景がかなり強くぶれて見えていた。このブレは、個人差はあるが、プラズマの階調生成法が時間積分的な手法で行なわれているために起こる現象だ。人間の目の方が画面内に視線を巡せらせる映像、特にゲーム映像では、各画素の色を正しく脳で知覚する前に、視線をずらしてしまうためこうしたことが起こりやすい。

 TH-P50VT2では、階調生成を二倍の分解能としたおかげなのか、アクションゲームをプレイしたときの色割れ(色ズレ)現象が先代機よりも低減されている。これまで筆者としては「プラズマはアクションゲームをプレイするのには向かない」という持論を持っていたが、TH-P50VT2については考えを改める必要が出てきたと感じた。

3Dブルーレイディスクお試し版

 3D(立体視)の画質についても触れておこう。

 2010年5月13日現在、店頭入手可能なBlu-ray 3Dソフトはないため、TH-P50VT2の3D機能を楽しめるコンテンツとしては、パナソニックの3D対応ブルーレイレコーダの「DMR-BWT000/2000/3000シリーズ」に同梱されている「3Dブルーレイディスクお試し版」以外にないという状況だ。そのため、今回の視聴テストではこのデモディスクで評価した。


DMR-BWT3000
Blu-ray 3Dソフトを視聴 3D映像再生時は画面右上にその旨を表示
3D関連の設定画面。3D表示をキャンセルすれば3Dブルーレイソフトを2D映像として楽しむことも可能だ

 一番気になる立体感だが、問題なく奥行きと広がりを感じることができた。収録されているデモ映像の中で、もっとも飛び出し感と奥行き感の臨場感が凄いのは「沖縄水中散歩」で、カメラ近くを泳いでいたと思われる無数の熱帯魚が、表示面から手前に飛び出して見える感動が味わえる。それ以外のソフトは表示面から奥にシーンが広がっているような映像の作り方となっていた。

TH-P50VT2には立体視眼鏡「TY-EW3D10W」が1つ付属する。別途買い足すことで複数人での立体視が可能。実売価格は1万円前後
接客時には立体感が分かりやすく体験できる「沖縄水中散歩」がオススメ

 気になる点は、やはり映像が暗いと言う部分。眼鏡を掛けるタイプでは偏光板を利用する関係で入射光の50%しか目に届かない。立体視用眼鏡を掛けるとサングラスのように視界が暗くなるのはそのためだ。さらにVIERAで採用するフレームシーケンシャル方式では単位時間あたりには片目にしか映像が届かないため、理論値にしてプラズマ表示面の輝度の25%(=50%×50%)の暗さになってしまう。3D映像は2D映像以上に暗くした部屋で楽しみたいところ。

 また、眼鏡で覗いた視界のうちのTH-P50VT2の表示面に目を凝らす関係で、視覚心理学的に、画面が非常に小さく感じてしまうのも残念なポイントだ。2D映像だと50インチはかなりの大画面なのだが、眼鏡を通してみる立体視映像は体感上30インチくらいにしか見えないのだ。もし、立体視性能を重視するのであれば、VT2シリーズに新ラインナップされた58インチモデル、ないしは65インチモデルを無理してでも選択した方が満足度は高くなるはず。

PS3も最新ファームウェアVer.3.30で「TH-P50VT2」を3Dテレビとして認識した

 映像エンジン側の高画質化機能については先代のTH-P42V1とほぼ同じなので、「NR」(ノイズリダクション)、「HDオプティマイザー」、「ビビッド」、「カラーリマスター」などの各機能についてのインプレッションについては本連載TH-P42V1編を参照して欲しい。

 本稿では、TH-P50VT2にて新搭載となった超解像機能についてのインプレッションを述べておこう。

 ひっそりと搭載されたVIERAの超解像機能は480i/480p/720pの映像に対してのみ適用可能となっており、1080i、1080pの映像やアクトビラ、PC入力映像に対しては適用できない。

 実際に480p映像に仕掛けてみたところ、なるほど、輪郭がくっきりと表れ、なおかつ陰影表現のディテール部分が自信ありげに色濃く描かれることが見て取れた。テクスチャが視力が向上したようにくっきりと見える様はなかなか感動的だ。強めに掛けても面表現部にノイズが浮き出ることはなく、単純なシャープネスコントロールとはひと味違う画質表現が行えている。実際にどのようなアルゴリズムが採用されているかは不明だが、効果はたしかに高い。DVD映像などのSD映像を楽しむ際には積極的に利用するといいかもしれない。

1080pの映像を1080pのまま表示 480pで出力するとこんなかんじになってしまう この480pの映像に対して超解像処理を有効化させた例。このように陰影が自信ありげに描かれ出す
720pでの出力 この720pの映像に対して超解像処理を有効化させた例。ディテールが浮かび上がるだけでなくコントラスト感も強調される

 プリセット画調モードのラインナップはTH-P50VT2と同一で、画調チューニングも変わらないのでインプレッションについてもTH-P42V1の回を参照して欲しい。

【画質モード】

スタンダード シネマ
ダイナミック リビング

 


■ 「完熟の2D画質」と「黎明の3D画質」。残された課題は?

 3Dブームに埋もれてしまった格好だが、TH-P50VT2の2D映像の画質は、プラズマ史上の最高画質になっていると言ってよい。プラズマの弱点とされていた、発色のキレの良さと階調表現のアナログ感などは液晶と同等といえる。

 ここ数年は「プラズマ画質はプラズマ好きのため」という風潮があったが、TH-P50VT2に限って言えば、「ほぼ全方位的に高画質」であるといえ、「万人向けのプラズマ」という称号を与えてもいいと思う。

 ただし、それは「部屋を暗くできれば」という条件が外せない。現在、電気量販店でもプラズマテレビの展示セクションは天井照明を減らしているところが多いが、日本のリビング環境は非常に明るいため、実際に導入したあと「店頭で見たときよりも暗い」と感じてしまうユーザーも少なくないだろう。プラズマに残された課題として、「明るさ」についてはまだ解消はされていない。

 立体視に関しては「立体感」という観点から見れば満足のいくレベルで、さすがはブームの火付け役だ。プラズマ特有の消光特性の遅さから生じるクロストーク現象(左右それぞれの目用の映像がオーバーラップして見えてしまう現象)は、階調生成手法を最適化することで低減したと言うが、これが効果を発揮するのは中間色領域に限定される。実際に視聴してみると、明るい白い線が動くような表現では若干知覚されてしまう。逆に言えば、それ以外で気になることはなかったのは優秀といえる。

 時間積分方式を採用するプラズマの階調表現能力は、立体視時、理論値にして2D表示時の半分になってしまうといわれてきたが、実際に視聴してみた感じではそれほど荒くなった印象はなく、美しい明暗表現が行なえていた。

 ただし(輝度不足から来るものなのかもしれないが)、2D映像で得られていた深く艶やかな色味は失われ、色ダイナミックレンジは低下してしまっている。現状では、3Dテレビは映像に立体感が得られることだけで喜ばれるが、その映像の美しさそのものにまでユーザーの興味が移った時には、この部分は改善をしなければならないだろう。コンテンツの充実とともに、「立体感だけに留まらない映像としての美しさ」に、まだ進化の余地はある。

(2010年 5月 13日)

[Reported by トライゼット西川善司]

西川善司
大画面映像機器評論家兼テクニカルジャーナリスト。大画面マニアで映画マニア。本誌ではInternational CES他をレポート。僚誌「GAME Watch」でもPCゲーム、3Dグラフィックス、海外イベントを中心にレポートしている。映画DVDのタイトル所持数は1,000を超え、現在はBDのコレクションが増加中。ブログはこちらこちら。近著には映像機器の仕組みや原理を解説した「図解 次世代ディスプレイがわかる」(技術評論社:ISBN:978-4774136769)がある。