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【新製品レビュー】

薄型&高精細化で魅力向上の第4世代iPod touch

−Bluetooth対応強化も。カメラ搭載でほぼiPhone 4?



iPod touch

 2日のiPod一斉発表で、iPod touchもリニューアル。第4世代となる新モデルが先週から販売開始された。一見したところ、デザイン的に大きな違いは感じないものの、厚みは7.2mmと第3世代モデル(8.5mm)と比べてもかなり薄くなった。

 さらに、iPhone 4と同名称の「Retina(網膜)ディスプレイ」の採用による液晶の高解像度化や、720pビデオ撮影、A4プロセッサ搭載による処理能力向上、フロントカメラ搭載、ビデオ通話機能のFaceTime対応など、多くの機能強化が盛り込まれている。iPhone 4との比較でも、すぐに思いつく不足点としては、GPSが無い程度だ。

 8GB、32GB、64GBモデルが用意され、Apple Store価格は8GBが20,900円、32GBが27,800円、64GBが36,800円。2009年にはnanoを抜いて、最も売れたiPodとなったというiPod touch。ゲーム機としても訴求されるなど、Apple、そしてiOS搭載製品の文字通り顔になりつつある。新touchのAV機能を中心にテストした。


■ とにかく薄いボディが特徴

パッケージ 同梱品

 パッケージは、透明な樹脂製ケースで、紙パッケージのiPhone 4とは異なっている。同梱品はイヤフォンとUSB-Dockケーブル、説明書程度。iTunesは、Webサイトからダウンロードする形となっており、最新バージョンのiTunes 10が必須。対応OSはWindows XP/Vista/7、Mac OS X v10.5.8以降。

 デザイン的には、従来のiPod touchのイメージを踏襲しているが、大幅に薄型化されている。外形寸法は111×58.9×7.2mm(縦×横×厚み)、重量は101g。

 iPhone 4やiPhone 3GSと比較してもその薄さは際立っており、手に持った際に落としてしまいそうになるほど。感覚をつかむまではちょっと慣れが必要だ。ただ、ポケットやバックに入れた際の収まりは非常にいいので、ポータブル機器としては進化したといえるのは間違いない。

 ディスプレイは、3.5インチ/960×640ドットの「Retina(網膜)ディスプレイ」。326ppiと高精細で、従来の480×320ドットから大幅に精細化している。ただし、iPhone 4とは異なりIPS方式ではなく、前面の光沢処理の仕方などにも違いがある。このあたりは、iPhone 4のディスプレイのほうが高級感を感じさせるポイントだ。本体中央部には新たにフロントカメラを装備。FaceTime機能による無線LAN経由のビデオ通話などに利用できる。

 背面には裏面CMOSセンサによるカメラを装備。背面処理もステンレスを使った高級感あるものとなっている。上部にはHOLDボタン、左側面にはボリューム上/下ボタン、下面にはDock端子、イヤフォン出力を備えている。なお、薄型化によりDock端子の入り口が斜めにカットされているため、少し接続しづらくなったように感じた。

Retinaディスプレイを採用 右側面。厚さは7.2mm 右側面にはボリュームボタン
上部にHOLDボタン 下面にDock端子やヘッドフォン出力 背面にカメラを装備。カメラ脇の穴はマイク
第4世代iPod touch、iPhone 4、iPhone 3GS iPhone 4(右)との厚み比較

 


■ 高解像ディスプレイは魅力的

iTunes 10

 楽曲転送/管理ソフトのiTunesも新iPodシリーズに合わせて「iTunes 10」にバージョンアップ。UIのデザイン変更を行なったほか、ストリーミング再生機能「AirPlay」に対応。同機能に対応したiPodスピーカーやAVアンプなどのAV機器に、無線LANや有線LAN経由で音楽や映画をiTunes 10からストリーミング配信できる。

 iTunes 10の最大の特徴といえるソーシャルネットワーク機能「Ping」では、アーティストやユーザーをTwitterのようにフォローして、ファンコミュニティの一員として参加。アーティストの写真や最新情報、コメント、気に入っている曲やおすすめの楽曲などを知る事ができるもの。touchのiPod機能からもアクセス可能な、はずなのだが、今回のテスト機ではうまく動かなかった。

オプティカルラミネート処理は施されておらず、iPhone 4ほどのコントラスト感は無い

 iPhone 4では一見して目を見張るようなコントラスト感があったディスプレイだが、新touchのRetinaディスプレイはそれほどのインパクトはない。液晶がIPS系ではないという点もあるが、iPhone 4で導入されていた「オプティカルラミネーション」という処理が省かれているのだ。この処理により、iPhone 4ではあたかも前面ガラス全体が発光しているように見え、すっきりと画面が見えた。新iPod touchは精細さは感じるものの、iPhone 4ほどではない。

 とはいえ、解像度は大幅に向上しているので、写真のディテール表現や、Google Mapのような地図データの表示、さらにはWebブラウズなどでやはり大きな違いが感じられる。特に地図の斜め線などは、iPhone 3GSと比べると目がよくなったかのような錯覚を覚えるほどの違いがある。

 また、フロントカメラも装備し、セルフポートレートも撮影可能。フロントカメラではVGA動画(30fps)と写真撮影も可能となっている。また、無線LAN接続時に、フロントカメラを使ってiPhone 4もしくは新iPod touch同士でビデオ通話を可能にする「FaceTime」にも対応する。Apple IDとメールアドレスを入力することで使用可能になり、FaceTime専用アカウントを作ることもできる。


メインメニュー Google Mapなど精細なデータを扱うアプリでは高解像度の恩恵は大きい FaceTimeのID登録画面 FaceTimeのデモ


■ touchにもカメラ搭載

カメラ機能

 ビデオ機能の強化も大きな特徴。背面には裏面CMOSセンサーによるカメラを装備。動画撮影機能は、720p/30fpsでのHD動画記録に対応。写真と同様に動画撮影中にもフォーカス位置を指でタップして決定できる、「タップ to フォーカス」にも対応している。

 なお、iPhone 4と同じく裏面照射のイメージセンサーを搭載しているものの、iPhone 4と同じものではなく、解像度は下がっている。撮像素子の画素数は公開されていないが、静止画の記録解像度が960×720ドットと、iPhone 4の2,592×1,936ドットと大幅に低い。また、LEDライトを備えていないという点もiPhone 4と機能の違いとなる。

 撮影機能としては、静止画/動画モードを切り替え、シャッター/録画ボタンを押すだけで、記録開始する。フロントカメラでも動画/静止画撮影が可能で、画面右上に表示されるアイコンをクリックするだけで、カメラを入れ替えられる。

 基本的にAEオートだけなので、撮影は構図を決めてシャッターボタンを押すだけ。明るい場所での画質はまずまずだ。ただ、赤や黄色などが鮮やかな色が微妙に淡い色調になってしまうので、あまりメリハリのある画質ではないという印象。

 裏面照射型ということで、暗所で撮影性能に期待がかかる。確かに暗いところでもそれなりのクオリティで撮影でき、街路灯程度の明るさでも、交通標識や看板などが認識できる。ただし、iPhone 4と比べるとかなり暗部ノイズが多く、暗さにも弱めだ。

 また、AEはオートしかないので、明暗差の激しい場所での撮影は難しい。Exifを見る限り、静止画撮影では最高ISO1250まで増感しているようだ。ノイズがやや多いとはいえ、暗めの照明のレストランなどで料理の写真を撮るくらいの用途には十分使える。なお、シャッター音は消せない。

暗い場所でもそれなりに撮れるが、裏面照射CMOSへ期待しすぎは禁物

発色はまずまず


np_mv1.mov(18.7MB)

np_mv2.mov(24.1MB)

【動画】暗所撮影

【動画】明所撮影

 ビデオ再生については、MPEG-4 AVC/H.264に対応。最高720p(1,280×720ドット)、30fpsのMain ProfileのAVC動画が再生できるほか、MPEG-4(640×480ドット、30fps、2.5Mbpsまで)、Motion JPEG(1,280x720ドット、30fps、35Mbpsまで)にも対応。対応ファイルコンテナは.mp4と.m4v、.mov。

ビデオ再生画面

カメラロール

 


■ 音質は良好。AVRCP対応を強化

音楽再生画面

 音楽形式はAACとMP3、HE-AAC、Apple Lossless、AIFF、WAV、audibleで、AAC/MP3の対応ビットレートは8〜320kbpsまで。

 音楽プレーヤーとしては、iPhone 4とほぼ同じというか、iOS 4搭載モデルで共通化されている。「iOS 4」から採用されている新UIにより、アーティストや曲順の検索時に、従来の上からアルファベット-[かな]の順から、[かな]-[アルファベット]に変更されている。特に邦楽を中心にライブラリを構築している人には検索性は高く、わかりやすい。

 また、プレイリスト再生や任意の曲からプレイリストを自動作成するGeniusプレイリスト、GeniusMixなどにも対応する。

 音質面もかなり好印象。普段から常用しているiPhone 3GSより、中低域が締まって、低域のスピード感もある。分解能もiPod touchのほうが高く、アコースティックギター中心のPat Metheney「One Quiet Night」のようなアルバムも心地よく聞けた。

アーティスト検索画面 プレイリスト再生 アルバム表示 GeniusMixに対応
Sennheiserの「MM400」

 また、オーディオ面での大きな進化点といえるのは、Bluetooth機能における「AVRCP」プロファイルの対応強化かもしれない。iPod touch固有の機能というよりはiOS 4.1におけるBluetooth対応の強化の一環なのだが、AVRCPのヘッドセットなどからiPod touchの曲送り/戻しが可能になったのだ。従来もボリュームと再生/停止は操作可能であったが、より実用的にBluetooth機器が使えるようになったのは間違いない。

 実際にSennheiserのBluetoothヘッドセット「MM400」で試したところ、ボリュームと再生/停止に加え、曲送り/戻しが問題なく行なえた。特にシャッフル再生やGeniusMixなどで次の曲にスキップできたり、数曲スキップして好みの曲を呼び出すなどに利用できるので、Bluetoothデバイスのユーザーには非常に大きな進歩といえるだろう。

 なお、AVRCPについては、Appleでは公式に対応プロファイルとして案内しているわけでなく、発表会による説明でも「AVRCPの対応強化」と表現していた。ただし、現時点では大抵の機器で、曲送りやスキップが行なえるようだ。

Bluetooth機器を設定 再生画面の右下のBluetoothボタンで出力機器を選択

 バッテリ駆動時間は、音楽再生時で約40時間、ビデオ再生時で約7時間。従来モデル(音楽30時間、動画6時間)よりも長時間の利用が可能になっている。特に音楽再生の長時間化はうれしいポイントだ。


■ 確実に機能向上した新touch。AirPlay後の展開にも期待

 紹介したAV機能だけでなく、アプリを追加すれば様々な機能拡張が可能になり、モバイルルータなどと組み合わせて、ニュースリーダーや、Web/メール端末として、多くのWeb系操作をiPod touchで完結させることも可能だ。GPSやカメラスペック、ディスプレイの仕上げなどは、iPhone 4の廉価版かもしれないが、通話機能以外はこれで十分という印象も受ける。

 スピーカーやイヤフォンだけでなく、iPhone/iPod touchアプリを「リモコン」として操作できる対応機器など、iPodエコノミーは、さまざまな周辺市場に及んでいる。ケータイを変えるはイヤ、という人でもこうしたiPhone/iPod touch周辺のさまざまな機器を使えるようになるという点も、touchの魅力の大きな部分を占めると感じる。

 音楽プレーヤーとしての使い勝手も、Bluetooth対応の強化などで改善しているし、カメラの追加などで、マルチメディアデバイスとしてどんどん隙が無くなっているiPod touch。確かにこれがiPodの本流だ、という気がする。

 さらに、11月公開予定のiOS 4.2では「AirPlay」と命名された新機能も追加される。これは、従来「AirTunes」と呼んでいたiTunesからの無線音楽伝送が、音楽だけでなく、ビデオや写真も伝送可能になるというもの。これにより、iPhoneやiPadなどで選択した映像や音声を、Apple TVなどの対応機器にワイヤレスで出力可能になり、B&Wやマランツなども対応機器の発売を予告している。

 新iPod touchの登場は確かに魅力的な機能向上を果たしているが、同時にこうした周辺機器へ取り組みも、さらにiPodの市場を盛り上げてくれそうだ。


(2010年 9月 24日)