赤外線対応のPS3用新BDリモコンを使ってみる
-TVやアンプも1台で操作。torneもより便利に
BDリモートコントローラの新モデル「CECH-ZRC1J」 |
Blu-ray 3Dの再生にも対応し、ゲーム機のみならず、現在でもなお多機能プレーヤーとして活躍しているPlayStation 3。そのPS3のAV機能をより便利に使うための「BDリモートコントローラ」に、新モデル「CECH-ZRC1J」が登場した。
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)より、3月31日から発売が開始されており、価格は従来リモコン(CECHZR1J)から据え置きとなる3,600円。発売日の朝、ヨドバシカメラ西口店に赴いたところ、3,240円で販売されていた。
さっそく新リモコンの使い勝手を試してみた。
■赤外線にも新たに対応
リモコンの頭を見ると、発光部が追加されたのがわかる |
PS3用BDリモコンの最大の特徴は、テレビなどで一般的に使われている赤外線を用いず、Bluetoothを使ってPS3を操作する事だ。Bluetoothは電波であるため、赤外線より離れた場所から、受信機器の受光部の向きなどを気にする事なく、確実な操作ができる。
一方で、従来モデル(CECHZR1J)はBluetooth通信機能しか搭載していなかったため、PS3しか操作できず、赤外線リモコンに対応したテレビやAVアンプなどは制御できないという欠点があった。
Bluetoothであるため、使用前にPS3で登録する必要があるのは従来のリモコンと同じだ |
新たに登場した「CECH-ZRC1J」は、新たに赤外線通信機能も搭載。リモコンの頭を見ると、発光部が追加されたのがわかる。これにより、PS3だけでなく、テレビやAVアンプも操作できるようになった。この機能強化により、旧モデルと比べると、ボタンが大幅に増え、配置も変わっている。
なお、操作できるPS3のシステムソフトウェアは3月10日に公開された「3.60」以上となる。
■薄型・軽量化。電池も単3から単4に
ボタン配置の前に、デザインを見てみよう。外形寸法は230×50×19.5mm(縦×横×厚さ)で、従来モデルよりも薄型・軽量になっている。素材はプラスチックで、表面や裏面はつや消しで滑りにくい加工が施されている一方、赤外線発光部のある頭の部分や、側面には光沢のある仕上げが施されており、高級感が高まった。また、リモコン中央にあるPSボタンも大きなクリアパーツに変更され、デザインアクセントになっている。
従来モデル(CECHZR1J) | 左が新モデル、右が従来モデル。新モデルは若干長くなっている | 厚さの比較。左が新モデル、右が従来モデル。大幅に薄型化された |
裏面には指を引っ掛けるくぼみを用意している。また、薄型化した事で電池も変更。従来の単3×2本の横並びから、単4×2本の縦並びになっている。
製品のパッケージ | 電池も変更。従来の単3×2本の横並び(右)から、単4×2本の縦並び(左)になった |
■増加し、配置が変更されたボタン
中央より上側で目に付くのが、新たに追加された「DEVICES」ボタンで、「PS3」、「AMP」、「TV」の3つが用意されている。押すと赤く光るこのボタンは、リモコンの操作モードを切り換えるためのもので、PS3を操作する場合は「PS3」を、テレビを操作する場合は「TV」を押すといった具合だ。
上部のボタン配置。白く見えるのが「DEVICES」ボタン | 押すと光る「DEVICES」ボタン。これでリモコンの操作モードを切り換える | ボタン変更の比較。左が新モデル、右が従来モデル |
初期状態ではソニー製のテレビ/AVアンプにセットされているが、他社のテレビ用のプリセットコード備えており、パナソニック、東芝、日立、三菱、ビクター、シャープ、パイオニア、三洋のテレビが操作可能。「TV」ボタンを押しながらCLEARボタンを押し、説明書に記載されたメーカー別の番号を入力し、ENTERボタンを押せば設定完了だ。
なお、AVアンプはソニー製品のみの対応となる。そのほかには、PS3用のサラウンドサウンドシステム「CECH-ZVS1J」が操作できる。
テンキーは形状が丸く、より大きくなった |
「DEVICES」ボタンの上にある「INPUT」ボタンは、テレビやアンプの入力切替を行なうもの。リモコンがPS3モードの場合でも、「DEVICES」ボタンを押さずにテレビ/アンプの入力切り換えが可能だ。その隣にはAVアンプとテレビの電源ON/OFF用ボタンも個別に装備する。「3D」ボタンはテレビ用のボタンで、テレビの2D/3D表示切り換えを行なうものだ。
テンキーは従来モデルにも搭載していたが、形状が丸く、より大きくなり、押しやすくなった。このボタンでテレビのチャンネルをダイレクトに選択できる。左下には2桁以上のチャンネルを入力するためのボタンも用意している。
リモコンの下部分。PSボタンまわりは従来通りだが、FLASHボタンなどが新設された |
リモコン下部の新旧比較。左が新モデル、右が従来モデル |
また、PS3専用地上デジタルレコーダーキット「torne」利用時には、torneのチャンネルもテンキーでダイレクトに選局できる(これは従来のリモコンでも同じ)。torneのチャンネル切り換えストレスは少ないが、ダイレクトで選べるのはやはり便利だ。なお、音声切り替え、字幕切替、アングル切り換えボタンはテンキーの下部に移動している。
中央はPS3用のボタンが集約されており、種類や配置に大きな変更は無い。十字キーを備え、中央がENTER。周囲に配置されているのは、PS3のワイヤレスコントローラのボタンと同じものだ。PSボタンなどを押してPS3の電源をONにできるのは従来通りだが、リモコンモードをPS3に設定しておく必要がある。従来モデルでは、何かがリモコンに当たって、勝手に電源入るということがあったが、「DEVICES」をPS3以外にしておけば、そういった問題を避けることができるようになった、ともいえる。
注目はSELECT、STARTボタンの下。従来は「PLAY」ボタンや早送り/巻き戻しボタンが配置されていたが、新モデルではその間に「FLASH」ボタン(←/→)を追加している。BD/DVD再生時に15秒単位で送り/戻しが行なえるもので、連続して押せば15秒、30秒、45秒とより長い時間飛ばす事ができ、最高で180秒まで押す事ができる。
また、「torne」では、ボタンを押すたびに30秒送り、15秒戻しができる。CM飛ばしなどで重宝しそうだ。
DVD再生時の画面。FLASHボタンを連続して押せば15秒、30秒、45秒とより長い時間飛ばす事ができる |
テレビのリモコンと同じようにボリュームとチャンネルのシーソーボタンを装備 |
一番下に、テレビのリモコンと同じようにボリュームとチャンネルのシーソーボタンを装備。ボリュームの左隣にはミュートボタンも装備。これらのボタンは、リモコンがPS3操作モードになっていても、「DEVICES」ボタンを押さずにテレビやAVアンプの音量調整/ミュートが可能。
また、「torne」を利用している際は、シーソーのチャンネルボタンでテレビ側ではなく、torneのチャンネルが切り替わる。このあたりの動作は流石純正リモコンという使いやすさだ。なお、チャンネルボタンはAVアンプのサウンドフィールド変更にも使用できる。
■確実に向上した利便性
PS3は当然ながらテレビやAVアンプなどと組み合わせて利用する事が多いため、赤外線にも対応し、それらの機器を一元的に操作できるようになったのは大きい。音量調節や、ちょっとニュースを確認したい時などに、いちいちテレビのリモコンに手を伸ばさなくても良いというのは便利だ。「torne」で、地デジレコーダとしての利用頻度も高まっている場合は、さらに恩恵は大きいだろう。
“リモコンの集約”は、通常、学習リモコンの役目だが、PS3がBluetooth経由での操作しか受け付けないため、PS3は“リモコン集約”の外に置かれる存在になっていた。その対策として大きな意味を持つ製品だ。
一方で、対応AVアンプがソニー製品のみであったり、テレビ/AVアンプ以外の機器を操作できるようにする学習リモコン機能が無いなど、“全ての機器を一台で操作”するほどパワフルなリモコンではない。3,600円という価格を考えると当然ではあるが、Bluetoothと赤外線のハイブリッド対応で、より高機能なリモコンの登場にも期待したいところ。また、PS3の電源を切る場合はPSボタンを長押しして、メニューから本体電源のOFFを選ばなければならないのは今まで通りであり、明示的な電源ON/OFFボタンも欲しかったところだ。
[AV Watch編集部山崎健太郎 ]