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録画の感覚が変わる“タイムシフトマシン”

6ch/30時間録画を多くの人に。東芝「47ZG2」


47ZG2

 薄型テレビ市場では、“録画テレビ”が増えている。GfKの調査によれば、6月第1〜4週の数量構成比は52.8%となり半数を越えたという。

 いまや当たり前となった録画テレビではあるが、“別売HDDでの録画”をリードした東芝REGZAシリーズは、さらに一歩先の「全チャンネル録画」を提案している。タイムシフトマシン」と命名し、2009年発売のCELL REGZA 55X1で導入。さらに2010年の第2世代モデルで進化させてきたが、いよいよ通常のREGZAシリーズでも最上位機のZG2シリーズで“タイムシフトマシン”に対応した。

 地上デジタル放送の6番組同時録画に対応し、約30時間分の番組を録画し続けるというのが「タイムシフトマシン」。6チャンネル同時録画という高機能ながら、42型モデルでは20万円台でも購入可能となった。また、240Hz駆動の3D対応(メガネ別売)で、最新IPSパネルやLSIのレグザエンジンCEVOを投入。録画機能もタイムシフトに加え、地上/BS/110度CSデジタルの2番組同時録画が可能で、ネットワークサービスやスマートフォン、PCからの操作にも対応するなど、機能豊富なフラッグシップ機となる。

 CELL REGZAのDNAを引き継いだ、REGZA最上位機の「ZG2シリーズ」。今回47型の「47ZG2」を用いて、タイムシフトマシン機能を中心にテストした。


 


■ TB級HDDを搭載しながら、最薄部5.7cmの薄型ボディ

 外形寸法は112.7×25.4×75.6cm(奥行き×高さ)、重量は22kg。47型と大型のテレビながら、20kgそこそこで、軽く、2人で十分に設置できる。

 薄さも印象的だ。47ZG2はタイムシフトマシンCEVOの実現のための1.5TB HDDと、通常録画用の500GBを搭載しているが、それでいて最薄部が5.7cm。別段薄さを強調した製品でもないが、HDDを内蔵し、画質にもこだわった高付加価値モデルと考えると、かなり薄く感じる。3〜5年ほど前の40型台のテレビと比較すると、その違いは顕著だ。

 パネルは1,920×1,080ドットのIPSでグレア(光沢)処理を施したもの。グレア処理は、REGZA Z系ではおなじみだが、今回のパネルは新開発の広視野角IPSパネルとのことで、並行配列の導光板を採用し、光の直線性を向上することで、拡散を抑えてコントラストを改善。液晶素材も改善し、カラーフィルタからの光漏れを抑えた。

 4倍速/240Hz駆動に対応。色再現性も改善し、HDTV規格(ITU-R BT.709)で99%(従来モデルは95%)を達成した。LEDバックライトは左右エッジライト方式。新映像エンジンの「レグザエンジンCEVO Duo」により、高精度に補間フレームを生成するほか、バックライトを上下8分割で細かく制御し、残像感を大幅に低減する「アクティブスキャン480」を搭載する。また、超解像技術も前2枚/後1枚のフレームを参照し、元映像の精細感を復元する「レゾリューションプラス6」を新たに採用した。なお、画質については後日改めてレビューを予定している。

 前面キャビネットにはホコリの付着を抑えるホコリクリアを採用。帯電防止材の採用により、ホコリや汚れの付着を防いでいる。側面と背面に入力端子類をまとめており、HDMIは側面に1系統、背面に3系統。USB端子やSDカードスロットも装備し、USB/SDカード内のAVCHD動画やMP3音楽、JPEGの再生にも対応する。また、録画用USB HDD専用のUSB端子を背面に備えている。

 そのほか、D5入力×1、コンポジット×2、HDMIアナログ音声×1を装備。出力端子は光デジタル×1、ヘッドフォン×1。スタンド部は、従来モデルを引き継いだブーメランタイプのデザインを引き継いだアルミダイキャスト製のものを採用する。

 リモコンは「タイムシフト」や「今すぐニュース」、「3D」などのボタンを備えた「レグザリモコンII」が付属する。


グレアパネルを採用。新パネルの採用でコントラスト感を向上した 側面 最薄部は5.9cm
向かって左側面に2系統のB-CASカードと、SD/USB端子、1系統のHDMIなどを装備 主電源ボタンなど 背面にHDMI端子。HDMI 1がオーディオリターンチャンネル対応。録画専用のUSB端子も装備する
向かって右側面も3系統のB-CASカード。合計5枚のB-CASカードが必要となる レグザリモコンII 蓋の内側に録画ボタンなどを装備する

 


■ 録画の感覚が変わる「タイムシフトマシンCEVO」

タイムシフトマシンCEVOの概要

 ZG2シリーズの最大の特徴といえるのが録画機能。なかでも、地上デジタルの6チャンネルを録画し続ける「タイムシフトマシンCEVO」を搭載したことが最大のポイントだ。これはCELL REGZA 55X2/XE2などで搭載していた「タイムシフトマシン2」の主要機能を継承したもので、地上デジタルの番組を6チャンネル/30時間分を録画できる。

 47ZG2のチューナは、地上デジタルが9系統、BS/110度CSデジタルが2系統。地上デジタルのうち6系統はタイムシフトマシンCEVO専用で、その他の地デジ3チャンネルとBS/110度CS 2チャンネルが通常録画用だ。通常録画でも、地デジ2番組W録中の裏番組視聴ができるなど、録画機能での妥協は全くない。


B-CASカードの設定 録画チャンネルを選択

 HDDもタイムシフトマシンCEVO用に1.5TB、通常録画用に500GBを搭載。さらに、通常録画用にUSB HDDも接続可能となっている。B-CASカードスロットは左右に5枚(地デジ用は4枚)装備する。

 タイムシフトマシンCEVOは、6チャンネルを約30時間録画だけでなく、ユーザーによる録画時間設定変更も可能。例えば、ゴールデンタイムの19〜23時の4時間だけを6チャンネル録画し、約1週間分のゴールデンタイム番組を録画するといった運用も可能だ。また、タイムシフトを行なうのは「3チャンネルだけ」など、6チャンネル全てを使わずにも利用できる。

 なお、各チャンネルごとに録画時間を設定することはできず、録画時間帯は全チャンネル共通で設定する必要がある。タイムシフトマシンの設定は、[レグザリンク設定]-[タイムシフトマシン録画設定]から行なう。利用チャンネルを指定するほか、曜日と時間帯を定めたバーを選択するだけなので特に難しいことは無い。ただし、保存時に黄色ボタンで「決定」しないと設定結果が反映されない点は注意したい。

 タイムシフトマシンの録画チャンネルは地上デジタルのみ。BSのチャンネルは入れられないので、BSに期待するのであれば、通常の録画予約を活用する必要がある。

タイムシフトマシンの録画時間指定。24時間の録画 19〜23時までの録画設定

 タイムシフトマシンで録画した番組は、通常の録画とは別系統で管理され、空き容量が無くなると古い番組から順に削除される。詳しくは後述するが、タイムシフトで録画した番組を通常録画領域にムーブすることも可能となっている。

 タイムシフトで録画した番組は、リモコンの「タイムシフト」ボタンから「過去番組表」を立ち上げてアクセスできる。過去番組表は、一見普通のEPG画面なのだが、録画済みの番組についての番組表というのが面白い。

過去番組表。録画済みの番組の情報を確認できる 過去番組表を選んで再生。ここから通常のHDDのダビングや「連ドラ予約」などの設定も行なえる 通常の番組表は背景色などが異なっている

 過去番組表から任意の番組を選択すると、番組が再生される。使用感としては番組表をクリックし、放送中の番組を見るのと同じで、ライブ視聴か、録画番組なのかをほとんど意識することが無い。“録画番組を探す”より、“テレビを見る”に近い感覚で扱える点が面白い。なお、過去番組表と通常の番組表は判別しやすいようにカラーを変えている。

 30時間録り続ける設定にすると、1日分の番組にまるまるアクセスできるので、直近の番組を自由に行き来して面白そうな番組を見つけては再生して、タイムシフトの楽しさが味わえる。1日分の録画番組が手元にすべてあるという、“番組選択の自由”はなにものにも代えがたい魅力がある。

 とはいえ、実際に使ってみると、一日数時間で数日分とり続けたほうが実用度は高いと感じた。個人的には、昼間の番組はほとんど見ないし、ニュース番組の場合はリモコンのボタンからワンボタンで最新ニュースを呼び出す「今すぐニュース」機能も活用できる。さらに、朝/昼で見逃したくない番組は通常の録画予約を行なえばいい。そのため、19〜26時までで4〜5日分バッファするという設定であれば、自分が気になったが見逃した番組はほぼ100%チェックできた。

 数日間分バッファしていることで、2、3日忙しくてテレビを見られなくても、後日チェックできる。このあたりは、実際に使うシーンに応じて、調整したいところだ。ただし、ZG2シリーズを購入した人は、一度は24時間録画し続ける設定を試してみてほしいとも感じた。まるまる1日分の番組が蓄積されたテレビを使ってみると、従来の“録画”行為とはかなり違う感覚が味わえると思う。


タイムシフトマシンの操作レスポンスも向上している

 また、過去番組表から見たドラマの続きが見たい場合は、過去番組表から「連ドラ予約」を行なうことで続きの回を通常の録画予約として設定可能。また、過去番組表内の番組検索にも対応し、ジャンルやキーワード、3Dなどから絞り込んで検索できる。

過去番組表から番組検索 3Dの詳細検索なども行なえる

 個人的には、タイムシフトマシンCEVOのような全録レコーダは、「とにかく録り逃しを防ぐ」とか、会社や学校、ソーシャルメディアで話題になっていた番組を後からチェックするなど、マニア向けの製品という印象を持っていた。しかし、ZG2シリーズを使ってみるとかなり考え方が変わってくる。タイムシフトマシンはテレビ的な操作体系の中で自然に使えるよう、さまざまな工夫がされているのだ。

 その具体的な例が「始めにジャンプ」。放送中の番組を見ていて、「おもしろそうだからちょっと最初からみたい」というときに、リモコンの「始めにジャンプ」ボタンを押すと、放送中の番組の最初にスキップされ、冒頭から番組を楽しめる。これから“タイムシフトするぞ”という意識をさせずに、番組を体験できる。

 さらに、CELLを搭載したXE2/X2シリーズと比べて、動作レスポンスが良いのも好印象。番組表の起動は約0.3秒とのことだが、実際に使ってみても相当に高速だ。新LSIのレグザエンジンCEVOを搭載したREGZAは動作レスポンスがよくなっており、メニュー操作やチャンネル切り替えなどで待たされる感がほとんどなくなった。この点も評価したい。

タイムシフトマシン注目番組 今すぐニュースも搭載

 「おすすめサービス」も搭載。従来からREGZAシリーズで搭載しており、BSや地デジのランキングや、おすすめ番組を確認できるものだが、新たにタイムシフトマシンCEVOとの連動に対応。タイムシフトマシン録画された番組の中から人気のある番組を表示してくれる。

 CELL非搭載のREGZAでは初とはいえ、タイムシフトマシン自体は2009年の55X1から熟成を重ねてきているので完成度は非常に高い。とにかく普通にテレビを見ている感覚でタイムシフトが実現できるのが面白い。一度“全てが録画されている”環境に慣れてしまうと、元には戻れないという中毒性がある。番組表をくまなくチェックして、録画予約を行なうような録画マニアはもちろんのこと、普段そんなにテレビを見ていないという人でも、十分この魅力は伝わるように感じる。

 一点だけ、通常の録画に比べて使い勝手が劣るところもあった。通常録画の場合は、CMや番組の切れ目で自動的にチャプタを付与する「マジックチャプター」に対応しているが、タイムシフト録画番組にはチャプタが付与されず、CMスキップに活用できないのだ。

 CMスキップ以外の早送り、戻し、30秒スキップなどの機能は使えるが、通常の録画に比べると不便ではある。それより、個人的にやや使いにくいと感じたのが、タイムシフトマシン録画と通常録画でリモコンのボタンアサインが変わってしまうこと。リモコン最下段のスキップボタンは通常録画の場合はチャプタ(CM)スキップとして利用できるが、タイムシフト録画の場合は、次の番組(録画した番組に続く番組)にスキップしてしまう。

 通常録画かタイムシフトかを意識して操作すれば、ミスは起きないかもしれないが、番組に集中しているとそうした細かいことは忘れてしまう。実際に何度か次の番組にスキップしてしまい、戸惑った。

 なお、タイムシフト録画した番組を、通常録画領域に「ダビング」した際は、マジックチャプターによるチャプタ設定が行なえる。おそらくタイムシフト録画はMPEG-2 TSの放送波をそのまま記録するだけのため、こうした自動チャプタ設定処理が行なえないのだろう。

 今回、タイムシフト録画した番組を、通常録画用の内蔵HDDにダビングしたが、54分番組で50分強かかった。なお、タイムシフト領域から通常のHDDへのムーブはダビング10のルールに則り、タイムシフト側の残りダビング数が9回に減り、通常HDD側にコピーワンスの番組がダビングされる。つまり、BDなどに2枚残したい、といった時には2回書きだす必要がある。

タイムシフト録画番組を、内蔵HDDにムーブ。速度はほぼ等速となる
タイムシフト録画番組にはチャプタが付与されていない ダビング後の番組ではチャプタが付与される。

 また、タイムシフトマシン領域から通常録画用HDDやUSB HDDへのダビング時には、「録画番組を再生できない」、「ネット機能が使えない」などの機能制限が生じる。テレビのチャンネル操作や、番組表からの録画予約などは可能だが、BDやHDDに残して何度も見たいという番組がある場合は、通常録画を行なったほうがいい。このあたりの使いこなしもZG2シリーズ活用のポイントといえそうだ。

タイムシフトマシン稼働中の消費電力は41〜45W程度だった

 タイムシフトマシン機能の魅力は疑いないが、気になるのは消費電力。47ZG2のカタログ値では190W。待機時0.12Wとなっているが、これは通常使用時の消費電力量だ。

 6チャンネルを録画し続けるわけで、“録画しているがテレビを見ていない時間”は、どうだろうか? ワットチェッカー(サンワサプライ製)を使って測ったところ、タイムシフト録画ON時は41〜45W程度、OFF時はほぼ0Wとなった。なお、視聴時は115〜150W程度だった。

 テレビの待機電力と比較すると高いが、レコーダを使っていると考えればそれほど高いというわけでもない(同社RD-BZ810は35W。レコーダの録画時はもう少し消費電力は低いと思われる)。24時間稼働させればそれなりに電力を使うことになるが、タイムシフトマシンを活かしてテレビを効率的に見るよう工夫したいところだ。

 


■ 通常録画の機能も充実。DLNA系も

ミニ番組表も用意

 また、通常録画の機能も充実。CMなどを自動検出し、チャプタを付与する「マジックチャプター」は、W録中の番組にも対応した「Wマジックチャプター」で、CMスキップに活用できる。通常録画した番組には「録画リスト」からアクセスできる。

 前述のとおりタイムシフトマシン録画では、チャプタ付与されないので、あらかじめ見ることが確定している番組は、通常録画したほうが効率的だ。もちろん、タイムシフトマシンの範疇外のBSや110度CSデジタルも通常録画する必要がある。

 通常録画用の内蔵HDDは500GBだが、USB HDDはUSBハブを介して、4台まで同時に接続でき、最大8台までのHDDを登録できる。ただし、タイムシフトマシン用の領域のHDD増設はできない。

おすすめサービスも搭載。REGZA/RDユーザーの人気番組などを紹介。

 REGZA/RDユーザーの人気番組などを紹介する「おすすめサービス」も搭載。ランキングデータを表示し、気になる番組を確認/録画予約できるほか、Apps関連の情報提供なども行なっている。また、録画した番組は、REGZAブルーレイやアイ・オー・データ、バッファローなどのDTCP-IPサーバーへネットワーク経由でダビングできるので、ディスクメディアへの保存を考えるのであれば、通常録画を積極的に活用したい。

 ネットワーク機能の強化も特徴。DLNAのレンダラー(DMR)機能に対応しており、DLNAサーバー(DMS)内の動画や音楽ファイルをDMC対応のスマートフォンやタブレット、Windows Media Player 12などから再生指示し、ネットワーク経由で再生できる。

 対応フォーマットは、動画がMPEG-2 TS、DVD VR、MPEG-4 AVC/H.264、AVCHD。音楽がMP3、WAV、写真がJPEG(最大4,096×4,096ドット)。パソコンで動画ファイルを管理している人にはかなり重宝する機能だ。ただし、動画ファイルについてはMPEG-2やWMVなど、対応形式を増やしてほしいと感じた。

パソコン内のAVCHDファイルをREGZAで再生 Windows 7搭載PCからREGZAに再生指示
YouTube XLに対応

 ネットワーク関連では、アクトビラやTSUTAYA TV、T's TV、ひかりTV、Yahoo! JAPANなどのテレビ向けサービスに対応。YouTubeは、テレビ向けのUI「YouTube XL」で、自分のアカウントを使ったログインも可能。また、USBキーボードも接続できるので、YouTubeでの動画検索をしやすい点もREGZAならではの特徴といえる。

 レグザAppsコネクトにより、スマートフォンやタブレット、パソコン連携も強化。RZタグラーにより、無線LAN経由で各端末からタイムシフトマシンCEVO以外のすべての操作が可能となっている。


■ 自然に“全録”が魅力

 タイムシフトマシンだけでなく、DLNAやネットワークダビング、スカパー! HD録画、ゲーム/アニメモード、3D、新高画質処理などさまざまな機能が集約されている。使いこなしたいマニアにとっても、いくらでもいじりようのある製品だ。

 とはいえ、ZG2シリーズの最大の魅力といえるのはやはりタイムシフトマシンCEVOによる“全録”。一見マニアックに感じてしまう全チャンネル録画が、自然にテレビの操作系の延長線上に収められているので、“録画番組を見る”というより“番組を選んでテレビを見る”という感覚で使える。マニアだけでなく、「普通の人でも扱いやすい録画テレビ」として、随所に工夫が感じられる。この唯一無二の機能を、42型で20万円台、47型でも30万円台で実現できたことを素直に歓迎したい。録画マニアだけでなく、多くの人にタイムシフトマシンを体験してほしい。


(2011年 6月 30日)

[ AV Watch編集部 臼田勤哉 ]