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Xbox One発売。マイクロソフトが考える「コンソール復権」

今世代での変化とは? TVは? 泉水敬氏インタビュー

 9月4日、マイクロソフトが家庭用ゲーム機「Xbox One」を日本で発売する。アメリカ・ヨーロッパの13カ国では昨年11月22日に発売したが、10カ月程度の時間をかけ、日本を含む26カ国が追加される。

 ライバル・PlayStation 4(PS4)の好調さに対して苦戦も伝えられる上、日本市場においては、「家庭用ゲーム機市場の不調」、「Xboxブランドそのものの不調」という、二重の苦難も待ち受けており、順風でのスタートとはいえない状況だ。

 だが、Xbox Oneが独自の特徴を備えたハードウエアであり、そこに他社にない美点があるのも事実だ。マイクロソフトは、どのような施策で望もうとしているのだろうか? また「ゲーム機復権」をどういう形で目指そうとしているのだろうか? Xbox関連の日本向けビジネスを統括する、日本マイクロソフト・インタラクティブエンターテインメントビジネス ゼネラルマネージャーの泉水敬氏に話を聞いた。

Xbox関連の日本向けビジネスを統括する日本マイクロソフト インタラクティブエンターテインメントビジネス ゼネラルマネージャー 泉水氏

 なお、Xbox Oneのゲーム機/AV機能面でのレビューについては、別途掲載を予定している。そちらも合わせてご覧いただければ幸いだ。

時間をかけて準備、「これまでにない要素でのヒット」が重要

Xbox One

−Xbox Oneの日本発売は、欧米に比べ1年弱遅れました。その間なにをしていたのか、どのような準備が必要だったのかを教えてください。

泉水氏(以下敬称略):マイクロソフト全体での話ですが、我々のチームというのは、本社と密接な連携をとり、近い距離で仕事をしていますから、一緒に準備を進めてはきました。欧米の昨年11月のローンチ以降、我々としては、Xbox Oneの様々な機能・サービス・コンテンツ、ゲームとアプリケーションの準備が必要だった、というところですね。

 市場活性化には、特に日本のユーザーのみなさんに楽しんでいただける体験を生み出すことが必須だと思います。そのためにはマイクロソフトとしてまずやらなければいけないのは、Xbox Oneの上にユーザーのみなさんが期待するソフトのラインナップを揃えることです。その上で、コンテンツのラインナップの中から、やはり日本のユーザーの皆さんの中でヒットとなるものを生み出していくのが、Xboxにとってもゲーム業界にとっても重要なことかと思います。

−日本のユーザー向けのゲームとは、どのようなものだと考えていますか? というのは、Xbox 360の時代にも、そうした方針の下に、日本のユーザー向けのRPGを多く集める施策を採っていました。しかし現在、市場はまた変わっていて、なにがウケるのかわかりづらくなっているのでは、とも感じます。そこがそのコンソールの味になると思うのですが。

泉水:ヒットをどう生み出せるかがわかっていれば、非常に楽なんですけどね。しかしそれは、ご存じの通り難しい。日本のゲーム業界全体にとってもチャレンジになっています。

 ただ、ひとつ言えるのは、いままで「こういうものがヒットしていたから、これからも同じものがヒットする」という考え方ではいけないんだろうな、と思っています。新しい体験・新しい遊び・新しい楽しみ方をご提供することが、多くのお客様に家庭用ゲーム機に、ある意味「戻ってきていただく」ために必要なことだと思います。

 そういった体験を作るために、プラットフォームメーカーであるマイクロソフトとしては「新しい機能」を準備しているんです。ゲームをしながら他のこともできる、といった体験であるとか、ゲームの中でもKinectセンサーを使って、いままでと違い、センサーを意識しないでゲームの動きに反映できる、という環境であるとか、SmartGlassのような技術・アプリを使い、スマートフォンやタブレットと連動/補完させるような仕組みであるとか。

 ただし、これまでは家庭用ゲーム機向けにゲームを出すことは、それなりにハードルが高く、大手のゲームメーカーさんでないと難しいところがありました。しかし、ID@Xbox(筆者注:マイクロソフトのインディーレーベル向け支援プロジェクト。小規模な企業・個人のXbox Oneにおけるゲーム発売をサポートするのが目的)という取り組みにより、もっと小さなゲーム会社さん、もしくはこれまでゲームを作っていなかった会社さん、例えばスマホ向けだけに取り組んでいたような会社や、ゲームとは畑違いであった会社さんにも、比較的簡単に、家庭用ゲーム機向けに、全世界に提供する仕組みをご提供できますので、そうした仕組みによってパイが広がった「クリエイター」さんの中から、新しいヒット作が出てくるのではないか、と期待しています。

泉水氏。取材当日は背中にXbox Oneロゴの入ったTシャツで登場

−その中で、日本のクリエイターのXbox Oneに対する反響・印象をどのように受け止めていらっしゃいますか?

泉水:以前からご評価はいただいていたと思うのですが、ゲームが作りやすい、開発ツールの整った環境である、という評価が高いです。それは、初代のXboxやXbox 360からそうでしたが。その評価はXbox Oneにもつながっていると思います。

 あとは、Xbox Oneの強化された処理能力や改善されたXbox Liveのオンライン機能、そして、Xbox Oneで加わった「クラウド」リソースの活用などが可能性を広げている、との評価があると感じます。

長いライフサイクルの中で「変化するプラットフォーム」

−問題になるのは、直接のライバルであるPS4との関係です。コンソールの1年目としてはXbox Oneも好調ですが、台数全体でいうと、PS4とはかなりの差がついている。そして日本国内に限定していえば、Xboxのブランド価値やマーケットイメージは、Xbox 360の時代の状況も含めて考えると、PlayStationの方がかなり有利です。どうやってライバルとの差別化を行うのでしょうか?

泉水:まずワールドワイドの状況として、これまでの販売台数に影響している要因としては「販売地域の数」が挙げられます。Xbox Oneは13カ国で展開してきましたが、9月に一気に広がりますので、また状況が変わってくると思います。

 もう一つの要因として、欧米13カ国で展開した時に、Kinectを同梱した、いまでいうハイエンドの商品だけを提供していましたが、今はKinectを同梱しないスタンダードモデルも提供しています。ユーザーのみなさんに選択肢を提供したことになりますので、これも状況を変える要因になり得ると思います。この年末商戦に向けていいタイトルも揃っていますし、状況は変わってくると思います。

 そもそも、ゲームコンソールのライフサイクルはいま、長くなっています。Xbox 360にしても、ローンチ当初の見た目、外観だけでなくダッシュボードの機能についても、ソフトの変化によって大きく変わっています。そういう意味では、Xbox Oneも同様です。むしろさらに早いペースでアップデートが行なわれるようになったことを考えると、これからどういう機能を追加し、ご提供し、プレイ環境をどう考えていくかが、ライフサイクルを通して重要なことになります。

 Xbox 360も、発売の時のものといまのものとでは、まったく別の商品のように変わっていますよね。そういったことがXbox Oneでさらに加速する、と考えています。これまでも欧米13カ国では、発売以来、ほぼ毎月アップデートが出て、機能追加と改善が行なわれています。これのベースになっているのが、ユーザーのみなさんからのフィードバックを積極的に採り入れ、製品に反映していく、という仕組みです。これを継続し、我々の中から新たなテクノロジーによるイノベーションを展開していくことで、Xbox Oneと言うプラットフォームも、一年後・三年後・五年後を見た時に、また全然違う製品になっている可能性はありますね。

−コンソールを求める方の中にも、「プラットフォームの変化に期待する、楽しむ」ということが根付いてきている、ということですか。

泉水:そうですね。

 もっとさかのぼれば、初代Xboxの時にXbox Liveをはじめたわけですが、当時としては、家庭用ゲーム機向けとして、あそこまでの規模のオンラインネットワークを最初から組み込んだのははじめての試みだったと思います。それが360の世代では、オンラインサービスを軸にしたゲーム環境はもちろん、それ以外の動画などのサービスもご提供することになった。今となっては、それもあたりまえのことです。

 そうした、世代を通して進化していくコンソールというものが、今は必須の要素だと思います。

−Xbox OneはKinectバンドルモデルだけだった、ということもありますが、色々なことができるがゆえに、ゲーマーへのメッセージングがぶれたのではないか、という評価もあります。だからこそスタンダードバージョンが発売され、E3ではゲームの話題しかしなかった。もちろん、E3は「ゲームの場だから」ということもあるでしょう。そこでユーザーは、「マイクロソフトも多機能戦略ではなく、ゲーム特化戦略に路線変更したのだ」と感じました。

 その辺りはいかがですか? Xbox Oneの日本市場向け戦略発表会では「多機能さを打ち出します」とのアナウンスもありましたが。

泉水:因果関係はともかく、我々がXbox Oneをローンチし、欧米13カ国で発売し、現在に至るまでの間に、非常に多くのことを学んだと思います。

 その成果の一つが、ユーザーの声をよりスピーディーに商品に反映する、という方針です。一方でメッセージングの部分でも学んだことはありまして、Xbox Oneというプラットフォームが、最高・最新の新世代ゲームをプレイ出来る環境である、ゲームをプレイする環境として最高のコンソールであるのは間違いないことだと思います。

 かつ、今回のXbox Oneで、ゲームをしながらアプリを使ったり、Skypeでお話をしたりするテクノロジーを盛り込んでいて、アプリの可能性についても大きなものだと感じてます。そこは変わっていません。

ホーム画面
Xbox Video

 しかし、我々がここまでXboxビジネスを展開してきて、今に至れている最大の要因は、これまでXboxをサポートしていただいたユーザーのみなさんの存在です。そうしたユーザーのみなさんに、まずXbox Oneをご提供する上では、その皆さんがまず一番関心のあること、「ゲームを遊ぶ環境としてどうなのか」、「具体的にどんなゲームが遊べるのか」が重要だ、という考えに基づいて、今年のE3では100%ゲームにフォーカスしたんです。

 日本の展開においては、もちろん同じように「ゲーム環境としてどうなのか」ということをお伝えすることが、最大のミッション、最重要項目と考えています。

 一方で、コンソールの価値を最大限伝える意味では、ゲームをしながら別のことができたり、Kinectを通したXbox Oneならではの体験、SmartGlass連携も含めた「我々のプラットフォームの特徴」をお伝えする必要があると思いますし、これからの増えていくであろうアプリの可能性も、今の段階からお伝えしていくのが大事なのではないか、と思います。

 ただ、少なくとも発売当初においては、ゲームを本当に楽しむユーザーのみなさんに楽しんでいただきたい、ということで、フォーカスしています。

Xbox One+Kinect

−Xbox Oneのいいところは「ゲームをしながら別のことができる」という点です。テレビを見ながらゲームをする、攻略動画を見ながらゲームをする、といったことができるのが特徴です。しかし、そうした操作には音声入力がふさわしい。他方、Kinectなしのモデルではその部分がカバーできない。その辺りの価値のつながり、提供をどう考えていますか?

泉水:やっぱり「やってみないとわからない」ということが大きい。販売店さんを中心に、様々な場所で体験いただける場をご用意しようとしています。

 が、やはり、最初にKinect付きのものをお選びいただいたお客様には、「どこをどう改善して欲しいか」というフィードバックもいただきつつ、それに加え、ぜひ、「なにがいいのか」を回りの方々にお伝えいただきたい、というのもあります。

 発売日にご購入いただくゲームファンの皆様にはぜひご体験いただきたい、ということで、Day1エディションをご用意した、という経緯です。

日本でもテレビ機能を積極展開、「じれないうち」に機能アップ

−一つのポイントになるのはテレビの機能です。日本のXbox Oneでのテレビソリューションはどうなるのでしょうか? 「進めていく」との方針はすでに公開しておられますが。

欧州で発売予定のXbox One Digital TV Tuner

泉水:まずは、発売当初から「テレビソリューションを取り込む」という意味で、ハードウエアに搭載されているHDMIの入力端子を使って、日本の環境の中でも日本のテレビ放送が、他のチューナーデバイスを使って、Xbox Oneの中にテレビ体験を取り込めるようにはしてあります。

 もちろんここから先、欧米で展開してきた様々な機能に対するユーザーの方々からのフィードバックを踏まえた上で、日本は欧米とは若干違うテレビ環境にありますので、日本に合わせた展開を行なっていく必要があると思います。日本独自のソリューションもご用意していきます。この辺についてはまた別途、ご紹介できるタイミングを設けたいと思います。

 ただ長期的に言うと、日本はハイビジョンの展開にしても早かったですし、薄型テレビの普及も早かった。今後の新しい技術、例えば4Kであるとか8Kだとか、研究開発も進んでいるHybridcastなども、そのソリューションの作り方を踏まえた上で、考えていかなくてはいけない、と思います。

−EPGについては、日本での発売当初は対応せず、後日、ということですよね。欧米で提供済みの他の機能や、USB接続型の地デジチューナーなどはどうですか?

泉水:対応していきたいですね。

−いつくらいまでに対応しますか? 長くかかるのでしょうか? 1年、2年と待たされるとじれてしまうと思いますが。

泉水:じれてしまう前には、必ずご提供します。今日のところは、このくらいで勘弁してください(笑)

−GamesComにて、DLNAの対応も含めた広汎なアップデートの予定が公開されましたが、日本語版のローンチでは、まだ反映されていないのですね?

泉水:はい、まだです。日本で発売された後は、ワールドワイドで同時にアップデートがかかっていきますので、多くの機能が全世界で同時に使えるようになります。ですから、日本でもサポートされる機能は多くなると思います。

画質差は「改善」、Xbox One独自の体験で差別化を

−Xbox OneとPS4を比べた時に、ゲーマーの印象として、同じゲームを動かした場合、クオリティの面でXbox Oneの方が劣る、という部分があります。フレームレートやネイティブのレゾリューションが劣る、という指摘です。

 だからこそ、ゲーム体験にこだわるならPS4を、という風評が強い。そういう点をマイクロソフトも認識していると思います。それを事実として認めるかどうかはともかくとして、ゲーマーがこだわる体験において「PS4とXbox Oneでは体験が異なる」と言われている点について、どう対策しようと考えていますか? もしくは「別のより良い体験があるので、トータルでいえばこちらが上です」というアプローチをしていく、ということになるのでしょうか?

 対ライバル、という意味において「ゲーム体験の価値」をどうお客様に伝えようと考えているのでしょうか?

泉水:過去に海外で発売されたタイトルの中で、映像のクオリティに差があるものがあった、ということは認識しています。

 ただし、我々としては、それはXbox Oneの性能の限界から来るものではなく、ゲームを作るプロセスにおいて、そうする判断がメーカーさんの側であったのだろう、と思います。しかし今後出てくるものについては、同じくオリティで出てくると思いますし、Xbox Oneで十分皆さんにご満足いただけるクオリティでゲームを作ることは十分に可能です。そこに若干の時間がかかったとは思いますが、今後は問題にならないです。まずそれが一つです。

 そしてもうひとつは、映像がすべてではない、ということです。映像、高精細な映像をきれいにすることで没入感を増す、ということはありますし、そこでクオリティの差がないとしても、Xbox Oneの他の機能であったり、Xbox Liveの機能も重要です。例えばクラウドのリソースも活用できるようになりました。そうしたものを活用することで、最高のものがご提供できると思います。あとは、ゲームを始める前の体験であったり。オンラインでのマッチングの速度や、ユーザー同士のマッチングの適性度であるとか。実際にダッシュボードを使っていただくときの素早さ・なめらかさだとか。

 それに、コントローラーの出来は最高だと思います。ゲームをプレイする上で、Xbox Oneのコントローラーは最適な出来になっていると思いますので、そういった要素を総合すれば、最高のプレイ環境であるのは間違いない、と自信を持っています。

「マルチ」と「エクスクルーシブ」の関係とは

−Xbox Oneは今年末に向けて色々なタイトルが用意されています。準備する上でのポリシーはどんなものになるのでしょうか?

泉水:基本的に、ファーストパーティーであるMicrosoft Studioから出るタイトルは、全世界同時発売、という方針です。その方針に則って、日本で発売されるタイトルについても、遅れずに出していきたい、と思っています。

 一方で、Xbox Oneの日本発売が遅れたことによって、発売済みのタイトルも非常に多いわけです。我々としては、そこで提供されているゲームタイトルをすべてご提供して、選択していただけるようにすることも大事だと考えています。なので、選択肢が多すぎて、「全部買うのは無理だな」とか「似たジャンルがかぶっているから選ばないと」ということが、正直あるとは思います。その辺は、デジタル(ダウンロード)でもすべてのタイトルが提供されていきますし、まあ、少し時間を開けてから選んでいただいてもいいかな、と思います。

 基本的には、我々がもっているすべての選択肢を提供する、という考え方です。Kinectなしをご提供するのも同じ考え方によるものです。ゲームタイトルについても、タイトルについても、店頭でのパッケージ販売とダウンロード、どちらも選んでいただける、という考え方です。

−これまで、コンソールにおいては「エクスクルーシブなもの」が大事だと言われてきました。一方、ゲーム開発のリスクを軽減するため、いわゆる「マルチタイトル」が増加しています。ユーザーの方も「ここでしかできない」ということに加え、「いかに安心してマルチタイトルを選べるか」も重視するようになっています。

 今のXbox Oneにおける「オンリータイトル」と「マルチタイトル」の関係をどう考えていますか?

泉水:過去のゲーム市場の推移を見ても「Only On」(独占)のタイトルがコンソールの普及に大きな影響を及ぼす、ということはみなさんもよくご存じの通りです。

 しかしゲーム開発の大型化に伴い、特にハイエンド・大規模なゲームの開発に必要なリソースは大きくなっているのも事実です。作り手・ゲーム会社・ユーザーのみなさんにとっても、ハイエンドのリソースのかかるゲームタイトルがマルチプラットフォームで提供されることは、ある意味で必要なことですし、それをあるプラットフォームに限定してしまうことは、必ずしも市場のため、業界のためにならない、とも思います。

 我々も、本当はすべてを「Only On Xbox」にしたいんですが、でも、ゲームのクオリティをあげていくこと、ゲーム業界全体の成長を考えた上では、マルチプラットフォームタイトルになるのは必然です。じゃあ、Xbox Oneのプラットフォームの特徴をどう出していくか、ということについては、ファーストパーティーのタイトルと、限定されたサードパーティーさんの作品、Xbox Oneのゲームとして特徴的になり得るものについては、ぜひXbox Oneで購入いただきたい、ということです。例えば、Kinectを生かしたものであるとか、SmartGlassを生かしたものがそれにあたります。同じマルチプラットフォームタイトルの中でも、クリエイターのみなさんに、KinectやSmartGlass、Xbox Liveを活用していただくことで、「Only On Xbox One」の体験ができると考えています。

 さらに、これから出てくる新しいゲームの中で可能性が大きいと考えているのがインディゲームです。ID@Xboxのプログラムを通して出てくるインディのゲームの中に、多くの「Only On Xbox One」タイトルがありますので、そこにヒットの可能性があると考えます。

「いままでと違うゲーム」があればユーザーは戻る

−Xbox One世代の特徴として、Xbox 360世代からの移行が非常に早い、という点があります。この点はPS4も同様です。

泉水:やはり、お待たせしすぎたんじゃないですかね。過去だいたい5年くらいで世代が変わっていたのに対し、今回は10年近くかかりましたからね。

−他方で日本では、そこまで立ち上がりが早くない。日本において新しい世代への移行を、欧米のように急速に進めるにはなにが必要だと考えていますか?

泉水:個人的にやりたいことなのですが、まずは、これまでXboxを支持していただいた、初代Xbox・Xbox 360からのユーザーの方々に、Xbox Oneの良さを知っていただいて、良い体験をできるだけ早くご提供したい、という思いがあります。

 また、アップデートしていく中で、新しいアプリが登場していく中で、新しい観点を持つ方も出ていらっしゃるかもしれません。例えば、ゲーム以外の用途でXbox Oneをご購入いただく方も、時間を経れば増えてくるかと思います。新しい使い方を編み出していただいて、相乗効果が出てくれば、と思います。

ゲームをしながらTwitchアプリで実況
GoProアプリの画面

−日本においてコンソールゲームは元気ではありません。しかし、欧米であれほど復権しているわけですから、その熱を日本に伝え、もっと活発にしていくには、どのようなことが必要だと考えていますか? それはマイクロソフトだけの課題ではない、とは思いますが。

泉水:今「スマホのゲームにユーザーが移っている」という意見をよくうかがいます。でもそれは「移っている」わけではなくて、スマホを使っている時にはゲームをしている人が多い、ということだと思います。おうちにいてテレビの前にいるときには、もちろんスマホを使っている人も多いのですが、映画やテレビを見ている人が多い。そこにゲームも入ります。

 ここで「ヒットするゲーム」が出れば、コンソールに人々が戻ってくるハードルは、まったくない、と思っています。

−それは、みなさんが「コンソールゲーム」という存在を捨て切ってしまったのではなく、ふたたびコンソールを使ってもらう、買ってもらうための壁を越えるためのモチベーションが薄いから、ということですか。

泉水:そうだと思います。ヒットタイトルが出ることが壁を越えるのに重要なことですし、必要要素です。

 そこで期待しているものを具体的に挙げるのは難しいのですが……。当然、過去から多くのみなさんに非常に遊ばれているもの、いわゆる有名なフランチャイズは大切な存在です。

 しかし、それだけでは今の市場の傾向は変えられないと思います。まったく新しいものが必要です。そういったものは絶対に出てくると思います。

 それは、ゲームをする方はもちろんですが、作る方の熱意はまだまだ日本の中に非常に大きく残っていると思いますし、環境が変わってきている中で、色々新しい取り組みもできます。プラットフォームとしても新しい取り組みは用意しています。

 そのために若干の時間はかかるかもしれませんが、必ず新しいヒット作が出てくると思います。

 スマホにも新しいヒットは出てきているじゃないですか。コンソールに出てこない、という理由がありません。

 そのために我々がしなくてはいけないことは、コンソールでゲームを出すためのハードルを下げることです。それがID@Xboxであり、色んなアイデアを持つクリエイターの方々の作品が出てくることで、刺激を与え合うことになります。それが発展していって、まったく新しい遊び方につながっていくことになるかもしれません。

 そして、最後に付け加えるとすれば、そういう起爆剤は「ゲームじゃない」ものも、あるのかもしれません。

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西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、週刊朝日、AERA、週刊東洋経済、GetNavi、デジモノステーションなどに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。
 近著に、「顧客を売り場へ直送する」「漂流するソニーのDNAプレイステーションで世界と戦った男たち」(講談社)、「電子書籍革命の真実未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「ソニーとアップル」(朝日新聞出版)、「スマートテレビ」(KADOKAWA)などがある。
 メールマガジン「小寺・西田の『金曜ランチビュッフェ』」を小寺信良氏と共同で配信中。 Twitterは@mnishi41