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“Zooma!:ズームレンズ、ズームすること、ズームする人、ズズーンの造語”

 

第524回:節電時代の強い味方!「iRemocon」

〜赤外線なら、なんでも外からコントロール〜



■この夏のささやかな願い

 世間ではエアコンを切るよりテレビを切った方が節電になるとか、いやいやエアコンがそんなに低電力なわけないとか、様々な意見が噴出している。こういう議論の末に、より低消費電力への正しいセオリーが構築されていくことを期待している。

 しかしこの暑さ、である。平日昼間はピークシフトというわけで、会社ではエアコンを切ったり、温度高めの設定にしているところも多いだろう。これに加えて、電車も節電のためにエアコン控えめとあっては、せめて家に帰って茹で上がった体を冷やしたいというのが人情である。

 できれば帰宅5分前にエアコンがついて、帰宅後バタッと倒れ込んでも死なない温度になっていて欲しい……そんなささやかな願いを叶えるのが、グラモの「iRemocon」である。学習リモコンの一種だが、iPhoneアプリを使って外出先から自宅内の家電をコントロールできるという。

 そもそもはテレビやレコーダリモコンとして使うというところがスタート地点のようだが、このご時世にあっては違う用途としても大活躍しそうだ。お値段はオープンで、amazonの「Glamo Store」で26,880円と若干高めだが、この夏ヒットの予感がする商品である。

 なんでも外からコントロールの世界を、早速体験してみよう。

 



■落ち着いた外観のデザイン家具調

 iRemoconの本体は、従来のリモコンのような形をしていない。本体は樹脂製だが清潔感のある作りで、きちんとデザイナーの手が入っている様子が伺い知れる。重量は123gと非常に軽く、ちょっとイイ感じの無線LANルータのような外観だ。実際のボタン操作はすべてiPhoneアプリから行なうので、ボタン類がいらないわけである。

本体は無線LANルーターぐらい ACアダプタとLANケーブルが付属

 丸く盛り上がった黒い天面には各種ステータスを表わすLEDが配置されており、この内部から広範囲にリモート用の赤外線を照射する。およそ上下角120度の範囲で照射されるそうである。なお赤外線は高出力なので、直接センサーに受光されなくても、壁の反射などを使って受光されるという。

 背面に端子類があり、電源、延長用の赤外線ポート、ネット接続用のEthernet端子、リセットボタンがある。I/Fと書かれた集合端子はメーカーメンテナンス用の端子である。

各種ステータスは緑のLEDで表示 端子類はすべて背面に 底面には廃熱用スリットが
アプリからネットワーク内のiRemoconを探して登録

 コントロール用のソフトウェア「iRemocon」をApp Storeからダウンロードしたら、本体との接続である。デフォルトでは家庭内LANにiPhoneとiRemocon本体が接続されていれば、家庭内でのリモート制御は可能。外出先からコントロールするためには、いったん公式サイトでアカウントを作成しておく必要がある。

 リモコンのボタン画面は、サイトからダウンロードする。現時点では4つのデザインパターンがある。どう控えめに見てもシンプルリモコンが一番マトモそうに見えるので、以降はこれで説明していく。


サイトに登録されているデザインデータ シンプルリモコン オトナリモコン
ギャルリモコン 萌えリモコン

 リモコンパターンがロードされると、画面下に切り替えタブができる。デフォルトではTVとDEVICEがあるが、ボタンデザインは同じである。テレビとレコーダという想定なのだろう。

シンプルリモコンの2ページ目。下にスクロールと次のページになる シンプルリモコンの3ページ目。かなりの機能をカバーしている
学習させたいアプリのボタンをタップし、リモコンをiRemocon本体に向けて該当するボタンを押すと学習できる

 まずはテレビの例で学習のさせ方を見ていこう。Settingにある学習モードをオンにしてTVタブに戻り、学習させたいボタンをタップする。すると入力待ち状態になるので、リモコンをiRemocon本体に向けて該当するボタンを押す、という段取りだ。以降同じように、必要なボタンを学習させていく。このときテレビが近くにあると、学習させているときに反応していろいろひどいことになったりするので、動作を受けるブツから隠れた場所で行なうのがいいだろう。


学習のさせ方はApp上にも表示される 学習操作待ちの画面。登録されると消える

 学習できたかどうかは、本体にある「Learn」のLEDが消灯することでわかる。iPhoneの表示が消えるのはそれから少しタイムラグがあるので、焦らずに待つ必要がある。

 実際のコントロールに関しては、確かに多くの機器は直接赤外線受光部がiRemoconから見えていなくても、動作は可能だ。ただしテレビの場合だけは、電源ONはできるがテレビ画面の明るさが邪魔するのか、それ以降のコントロールは反射光だけではできなかった。テレビに対してだけは、直接受光部が見える位置に本体を設置した方が確実だろう。

 



■カスタムリモコンを作ろう

 さて、テレビ用のボタンテンプレートは良くできていて、ほとんどのテレビでは問題ないと思われるが、ほかの機器もこれでコントロールしたい。そのためにカスタムでリモコン画面が作れるのも、iRemoconの魅力だ。

 ここではエアコン用のリモコンを作ってみる。まずiRemoconのサイトにログインし、「UIデザイナー」に移動する。さっき作ったテレビ用リモコンをそのまま使いたい場合は、まずレイアウト一覧画面からシンプルリモコンのテンプレートを読み込んでおき、そこから別のタブを拡張する形で制作するといいだろう。なおタブは最大で4つ(Settingも含めて5つ)まで拡張できる。

 「コンポーネント」から必要なボタンをドラッグ&ドロップで配置して、名前を付けておく。ボタンのデザインは、デフォルトではただの白い枠だが、絵柄は既存のリモコンのボタンをロードして使うことができる。

サイト上でオリジナルリモコンが作れる オリジナルのリモコン画面を作成
タブに使えるアイコンが今ひとつ……

 タブに使用するアイコンも、サイト内にあるライブラリから選ぶことができる。ただこのアイコン、フリーデザインのものを集めただけなのか、家電製品が少ない。車や買い物かごなど、リモコンとしてはあまり使い道がないものが多く、このあたりはさらなる充実が望まれる。

 リモコンのデザインができたら、サイト上に保存しておく。改めてiPhoneでリモコンのデザイン選択画面に行くと、保存されたリモコンのセットが現われるはずだ。これをロードして、またボタンの学習を行なうという段取りだ。

 エアコンのような一般家電のリモコンを学習させたのが初めてだったので、いろいろ気づくところも多かった。電源ボタンはリモコンには1つしかなく、運転と停止がトグルになっているが、実際には運転開始と停止は、別の信号が出ていることがわかった。この場合は本物のリモコンと違って、学習リモコン側には開始と停止2つのボタンが必要になる。

 温度調節のボタンも一応付けたが、実際の設定温度は本物のリモコンの画面でしかわからないので、iRemoconだけで運用するのは難しそうだ。タイマーも同様で、何時間にセットしたのかも本物のリモコンの画面内でしかわからない。

 実はiRemoconにはタイマー機能も付いており、どのボタンをいつ押すかという設定ができる。エアコンのタイマーを使うよりも、iRemoconのタイマーを使うほうが絶対時間でセットできるので、便利だ。

 またマクロも設定できる。マクロ実行用のボタンを一つ設定し、そこに既存のボタンをドラッグ&ドロップしていくことで、連続で実行できる。一つの実行の間の秒数も設定可能だ。例えば、朝起きる時にエアコン起動、電灯をつけてテレビのスイッチON、地デジ1チャンネルに切り替えてNHKニュースを見る……という設定もできる。このマクロ用のボタンにタイマーをセットしておけば、毎朝自動実行できるというわけだ。


特定のボタンにタイマーを仕込むことができる サイトのUIデザイナーでは、マクロも設定可能

 



■総論

 従来の学習リモコンはAV機器向けに作られていたが、「iRemocon」は自分で自由にボタン画面をデザインできることで、あらゆる赤外線リモコン対応機器がコントロールできるようになっている。これまでは赤外線リモコンなどレガシーで、Wi-Fiコントロールが主流になると思っていたが、こういう機器が出てくると全然意味合いが違ってくる。

 最近は赤外線リモコンで電源がON・OFFできるコンセントも登場しているので、iRemoconでこれを制御すれば、電源をがつんと入/切しても大丈夫なレガシー機器にも対応できる。さらに動作範囲を広げたい場合は、IR送信部も別売されているので、1台で他の部屋にまで拡張することも可能だ。

 外出先からもエアコンなどがONにできるのも魅力だが、逆にOFFにできる事で、節電対策としても注目したい。例えば出かけた時に「エアコン切るの忘れたような気がする」とか、「照明つけたままだったかも」といった時には、とりあえず外出先からOFFコマンドを打っておく、というのもアリだ。元々OFFだったとしても、OFFコマンドを送ることでONになることはない。ただ、テレビのように、ONとOFFが同じコマンドでできている機器に関しては例外なので、注意していただきたい。

 外出先からの送信では、送信前に確認ダイアログが表示される。そして実際にコマンドが送信されたかどうかも、フィードバックしてくれる。ただ、本当にそれで機器が正常動作したかどうかまではわからない。心配ならWEBカメラでも立ち上げておいて、常時部屋の中を監視できるようにしておくというのも一つの手だ。

外部からコントロールする場合は確認画面が表示される 無事実行されたらフィードバックが帰ってくる

 最近ではWEBアプリでテレビやレコーダを操作するという動きが、日本の家電メーカーの間で活発になっている。それらはちゃんと操作のステータスを返すので、より高度な設定が可能だ。だが、それは単に専用リモコンが1個増えただけということでもあり、複数の機器を手元で管理すると事とは違う。

 リモコンをよく無くす人、電気製品の消し忘れで家族に怒られるタイプの人には、待望の製品登場であろう。

(2011年 7月 20日)

= 小寺信良 =  テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「ややこしい話を簡単に、簡単な話をそのままに」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンピュータのフィールドで幅広く執筆を行なう。性格は温厚かつ粘着質で、日常会話では主にボケ役。

[Reported by 小寺信良]