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DRMフリー化した「mora」で楽曲購入を試す

iPhoneでの再生には一手間必要に


mora

 10月1日に音楽配信サービス「mora(モーラ)」がリニューアルした。楽曲配信形式がAAC 320kbpsに高音質化されるとともに、DRMフリー化した。moraの特徴は充実した邦楽のラインナップだが、10月1日時点では約150万曲がAAC/DRMフリーでの配信となる。

 従来のmoraは、ATRAC 3形式(132kbps)で、著作権保護技術のOpen MGを使っていたため、ATRAC/OpenMG対応プレーヤーが必須となっていた。ウォークマンなどかなりの数のプレーヤーが対応していたとはいえ、iPhoneやiPodなどでの利用はできず、DRMフリー化を推進してきたiTune Storeなどに対して大きく見劣りする部分だった。

 今回moraがDRMを撤廃して、こうした転送制限が無くなったことで、さまざまな音楽プレーヤーやMacなどでmoraで購入した楽曲が利用可能になる。リニューアルした「mora」で早速、楽曲を購入してみた。



■ ブラウザからも楽曲購入。DRMフリーでPCのiTunesでも再生可能だけど……

ウォークマンF(Android 4.0)からmoraにアクセス

 moraの配信楽曲数は10月1日時点で約150万曲。moraやレーベル側がAAC化の作業を進めており、年内には10月以前と同水準の300万曲まで拡大予定という。邦楽の主要アーティストはほとんどカバーしており、これらがDRMフリー化されたことは非常に大きいはずだ。

 また、今回のリニューアルにあわせて、moraのサイトデザインも一新。パソコン、Androidスマートフォン/タブレットにおけるmoraサイト/アプリをそれぞれの端末に最適化した。

 今回、「J-WAVE TOKIO HOT100」のランキングをiTunes Storeと比較したところ、1〜5位までのSUPERFLYの「FORCE」、OWL CITY AND CARLY RAE JEPSEN「GOOD TIME」、大橋トリオの「東京ピエロ feat.平井堅」、サカナクション「夜の踊り子」、くるり「EVERYBODY FEELS THE SAME」までは全曲moraとiTunes Storeで販売中。価格もmoraとiTunesともに250円だった。

 6位のPerfume「Spending all my time」はmoraのみの販売で420円だった。邦楽であればmoraが圧倒的と思っていたが、久しぶりに比較してみると、もちろんmoraのほうがはるかに充実してはいるのだが、iTunes Storeの邦楽ラインナップも結構揃ってきたという印象も受けた。

 moraの利用には「mora 会員」登録が必要。WebブラウザからもAndroidスマートフォンからも登録可能となっている。Windows用のアプリケーション「x-アプリ」や「Media Go」(後日対応予定)から利用できるほか、ブラウザ経由でもmoraの楽曲購入が可能。そのため、Macからでも購入できる。また、Android端末からの直接購入にも対応する。


x-アプリからmoraを利用

 課金方法はパソコンの場合、クレジットカード(VISA/Master/JCB/Diners/AMEX)、mora music card(NET CASH)、WebMoney、BitCash、楽天Edy。Androidはクレジットカードと各種携帯キャリア決済に対応する。

 楽曲購入は、mora会員でサインインして、曲を選んで購入手続きに進むだけ。まとめて登録した楽曲を買い物カゴで確認しながら、購入することもできる。x-アプリの場合、ライブラリに自動的に登録され、x-アプリからウォークマンなどに転送できる。

 x-アプリでmoraで購入した曲をウォークマンに転送したところ、当然ながら問題なく再生できた。


x-アプリのmora楽曲購入画面 ウォークマンに転送

 Webブラウザでの楽曲購入も基本的にはx-アプリと共通。ただし、購入後に最後にダウンロード箇所の選択画面があらわれる。今回はWindows 7機を利用し、Musicフォルダにダウンロード。iTunesを立ちあげてiTunesの[ミュージック]にダウンロードした楽曲をドラッグ&ドロップしたところ、moraで購入した楽曲がiTunesに登録された。iTunes上の楽曲を選べば、再生も可能だ。

Webブラウザから楽曲を選択 購入画面 任意の場所に.mp4(AAC)ファイルをダウンロード
mora上で購入した曲はパソコン上のiTunesでは問題なく再生できるのだが……

 moraで購入した曲をiTunesに登録し、iPhone 5(iOS 6)に同期したところ、楽曲はきちんと転送された。しかしなぜか再生できない……。タイトルやアルバムアルバムアートもきちんと表示されるのだが、再生ボタンを押すとすぐに再生停止してしまい、次の楽曲再生画面に移ってしまうのだ。iPhone 4S(iOS 5.1)や第4世代iPod touch(iOS 5.0.1)でも同様だ。

 スペック上はiPhoneもAAC(8〜320kbps)まで再生可能なはずで、しかもWindows 7パソコン上のiTunesでは問題なく再生でき、転送も問題なく行なわれる。そのため転送先のiPhoneで再生できないとは予想していなかったが、少なくとも現時点ではmoraで購入した曲を“そのまま”iPhoneで再生することはできないようだ。

 対応策としては、とりあえずiTunesで楽曲を再エンコードする必要がある。選んで右クリック(Windowsの場合)して出てくるメニューから[AACバージョンを作成]を選ぶと、CDの[インポート設定]設定と同様にAACエンコードが可能だ。例えば256kbpsのAACで取り込む設定にしておけば、256kbpsのAACファイルが作成される。再エンコードした楽曲をiPhoneに転送したところ、問題なく再生できた。


iTuneで[AACバージョンを作成]で再生成 mora購入楽曲のiTunes上のプロパティ [AACバージョンを作成]で作ったAACファイルのプロパティ

 しかし、これでは使い勝手が悪いし、「再生できる曲」と「再生できない曲」が同時にiPhone上に存在してしまう。この問題もiTunesの持つ「ビットレートの高い曲を自動的に変換」する機能を活用すると、一応対処できそうだ。

iTunesのデバイスの設定から「ビットレートの高い曲を自動的に変換」機能を活用。ただし、この機能を利用するためには拡張子を.m4aに変更する必要がある

 moraの配信楽曲は.mp4形式でiTunesからは[MPEG-4ビデオファイル]として扱われる。一方のiTunes Storeは.m4a形式となっており、[AACオーディオファイル]とiTunes上で認識される。そのため、まずmoraで購入した楽曲の拡張子[.mp4]を[.m4a]に変更して、iTunesに登録する。

 そして、iTunesの[デバイス](iPhoneなどの機器)-[オプション]で、「ビットレートの高い曲を次の形式に変換」を使うと、AACの128kbps/192kbps/256kbpsへの自動変換が選択できる。ここで好きなビットレートを選べば、moraで買った楽曲もiTunesとの同期時に自動変換され、iPhoneでも再生可能になる。

 拡張子変更という手間が発生するものの、それほど楽曲数が多くなければ、この手法で運用できそうだ。

 編集部で今後も調査したいが、現時点ではiPhoneでの利用については「購入後“そのまま”iPhone転送では再生不可」、「iTunesで変換すればiPhone再生可」ということになる。また、編集部に寄せられているメールやTwitterの反応を見ると、iPod nanoは変換無しで再生できたとの意見も。このあたりも追って検証したい。

【追記】
編集部に寄せられた意見を元に追加検証を行ない、拡張子変更→iTunes自動変換手法などを追記しました(10月2日 2時)


iPhone 5で楽曲が登録され、アルバムアートも表示されるが、再生できない [AACバージョンを作成]で作った曲はiPhone 5で問題なく再生できた ウォークマンFではmoraから転送した曲をそのまま再生

 moraでDRMが外れたことで、いろいろな環境で使えるようになったことは大歓迎。ただし、業界の主要プレーヤーであるiPhone/iPodでの利用に一手間生じる形というのはやや残念。この点は、できればiPhoneにも問題なく転送できるよう、関係各所で調整して欲しいところだ。

 とはいえ、AACの再変換が自由にできるという点もDRMフリー化の恩恵といえる。ユーザー利便性を高めるDRMフリー化が実現されることで、moraが有しているタイトルの魅力も一層向上したと感じる。


(2012年 10月 1日)

[ AV Watch編集部 臼田勤哉]