プレイバック2016
スマホを拡張し、超えるもの。OSMO MobileとVRにみる可能性 by 西田宗千佳
2016年12月23日 08:00
今年なにが面白かった? と聞かれると、やっぱりどうしても「スマホ以外」と答えたくなってしまう。正確には、「スマホはあるのが当然だけれど、その外でスマホだけじゃできないことをするもの」が面白かった。数年前から傾向は見えていたが、特に今年はそんな感じが強かった。
圧倒的に面白かった「DJI OSMO Mobile」
今年買ったもので一番面白かったものはなにか、と問われると、「PlayStation VRか、DJI OSMO Mobileか」で迷う。まあ、PS VRは来年以降もっと面白くなると期待したいので、あえてDJI OSMO Mobileにしておきたい。
小寺さんのレビュー記事もあるので詳細は省くが、要はスマートフォンを搭載して撮影を安定させるスタビライザーだ。でも、安定させることそのものは、そんなに重要ではない。スマートフォンのアプリと連携し、「人を追いかけて撮影する」「安定した高解像度のパノラマ写真を撮る」といったことが簡単にできる、という点が優れている。
撮影機能としてはスマホのものなのに、そこに「安定」という価値を追加することで、スマホだけではできないことを得られる。
今重要になってきている製品は、そういう付加価値を提供する製品ではないか、と思う。
スマホのカメラはどんどん進化している。iPhone 7 PlusやHUAWEI P9クラスになると、大抵のシーンでは問題がなくなってきている。実際、今年10月以降の取材では、スマホだけで済ますシーンも増えた。
その中で、「スマホで出来ないこと」をデジカメ市場は考えてきたわけだが、単純な性能軸で、どこまで戦えるだろうか?
戦い方の軸を変える、という意味では、スタビライザーというのは面白い方向性だ。この方向性にそこまで大きな市場性はないだろうが、「軸を変える時はこのくらいの発想がいる」という実例として考えると、新しい「対スマホ」(ここでの対は、「つい」と読んでもいい)製品のヒントになるのではないか、と思った。
全世界をディスプレイにするVRの魅力
そしてなにより、取材も多く、個人的にも面白いと思ったのは、やはりPS VRに代表されるVRである。
もちろん、まだまだ始まったばかりの市場で、キモズムのだいぶこっち側にいる。画質ももうふたがんばり必要だと思うし、付けたり外したりするのも面倒だ。なにより、家の中でかさばる。
でも、VRは「ディスプレイのあり方を変える」革命だ。ディスプレイが目の前の四角い枠の向こうにあるのではなく、視界全体がディスプレイになってしまうと、ここまで色々なことができるのか、という新鮮な体験ができる。
Oculusではぜひ「Mikulus」を体験して欲しいし、Oculus Touchを手に入れて、立体造形ソフト「Medium」も体験して欲しい。
PS VRでは、「Rez Infinite」は必須だと思うし、スターウォーズファンなら「Star Wars バトルフロント ローグ・ワン: Xウイング VRミッション」は100点中10億点を与えてもいい、と思うだろう。
VR関連は、来年さらに大きな動きが考えられる。マイクロソフトが2017年春には、Windows 10をアップデートして「Windows Holographic」を標準搭載するし、Android向けの「Daydream」規格に対応する製品も増えるだろう。
その中で、コンピューティングの未来的に、ビジュアルの未来的にどこまで面白いものが出るのか。ぜひそこに注目していきたいと思っている。
DJI OSMO Mobile |
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