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新niconico「く」で使える機能と目指す形。画質向上は「半年お待ちください」

 ドワンゴは、動画サービス「niconico」の新バージョン「く」(読み方:クレッシェンド)のサービス内容を発表。川上量生会長CTOらが、新しいインターフェイス「nicocas」を使った独自機能を紹介したほか、画質などの問題解決に向けた取り組みと、今後の機能強化についても説明した。

左から、栗田穣崇取締役、川上量生会長CTO、夏野剛取締役

 歴代16番目のバージョンとなるniconico(く)は、これまでサービス開始を10月予定としていたが、現時点では実装されていない。今回の発表により、全ユーザーに機能を開放する日は2018年2月28日と発表した。それに先駆けて、2017年12月3日13時からは、今回の体験生放送の第2弾を実施。'18年1月からは公式生放送において対応を開始、1月28日に、改めて全機能の発表会を開催する。

これまでの改善への取り組み
今後のスケジュール

 「21.2世紀から来た未来のストリーミングサービス」をテーマに開発。「Akashic」(アカシック/双方向を担う)と「DMC」(引用・合成を担う)という2つの自社開発ストリームサーバーを用いて実現。このシステムによって、ニコニコ動画/ニコニコ生放送に続く3つ目のインターフェイス「nicocas」(ニコキャス)を提供。動画/生放送/双方向/映像合成を一体化したインターフェイスで、ユーザー生放送をベースに双方向性と協同性を高めるという新機能を採用。また、スマートフォンでは、niconicoで初めてログイン不要で視聴可能なのも特徴。

nicocasのスマホ画面例

 新機能の「オープニング&エンディング」は、生放送を始める前に、配信者が待っている時間などを活用し、テレビ番組のようにあらかじめ作った演出を用意。放送者名や番組名、来場者名、コメント数、タグなどが自動表示される。ボーカロイド曲とのタイアップも予定しているという。

オープニング&エンディング

 アンケートやクイズを簡単に作れるようにする「ニコニコQ」は、配信の前にも簡単に作成しておくことができ、連続して出題したり、複数回答の問題も出せるようになる。視聴者が作成した問いも出題可能。ニコニコQで作成したものを他のSNSやライブサービスでも利用できる。

ニコニコQ

 配信者と視聴者が簡単なゲームに強制参加するという「ニコ割ゲーム」が復活。クリックやタップで簡単に遊べるシンプルなゲームを用意し、ゲーム終了後にランキングも発表される。放送者だけがプレイしたり、抽選で選ばれた視聴者のみプレイすることもできる。

ニコ割ゲーム

 配信者向けに「休憩する」機能も用意。ニコニ広告の動画を視聴者に見せるもので、視聴者が「あとで見る」ボタンを押すとその動画の再生回数に加算。「興味ない」ボタンを押すと再生数は加算されない。

休憩する

 また、配信者がビデオカメラなどで撮影中に、途中でスマホ撮影に切り替えて、その場から移動しながら配信を続けられる「マルチカメラ」機能も用意する。

マルチカメラ

 「引用する」機能は、配信者と視聴者が、他の動画を一緒に観られるという機能。子画面表示を活用し、配信者の映像と、視聴映像のどちらを大きな画面にするかを選べる。

引用する

 「ニコニコ新市場」は、従来のAmazonの商品などを貼れる「ニコニコ市場」をリニューアルしたもので、商品だけでなく、上記のニコニコ(く)の配信向け新機能などを、小さく起動ボタン化して画面に貼り付け可能。視聴者が、配信者に使ってほしい「ニコ割ゲーム」や「ニコニコQ」などの起動ボタンを提案し、配信者が選んで使える。

ニコニコ新市場
起動ボタン化できるもの

クリエイターを支援するサービス強化も

 投稿作品の人気度に応じて奨励金を受け取れる「クリエイター奨励プログラム」も強化。従来からクリエイターに還元する仕組みはあったが、その対象として、動画を他のユーザーに宣伝する「ニコニ広告」も対象となった。

クリエイター奨励プログラム

 ユーザー生放送をランダムに巡回するサービス「ニコ生クルーズ」がリニューアルし、「クルーズ」機能として提供。ボカロやゲームなどのクルーズ番組が追加され、ユーザーはテーマ別の幅広い選択肢からクルーズを選んで乗船(参加)、動画や生放送を見つけられるという。好きな動画をリクエストして、抽選に当たった動画が順番に再生されるラジオ風のニコニコ動画専門チャンネル「Nsen」も「クルーズ」で復活する。

クルーズ

 動画や配信者の発掘貢献者への特典となる「バッジ」も用意。nicocasを含む様々な機能を利用して、まだ知られていない動画や配信者を発掘したり、「ニコニコ新市場」やコメントを通じて番組の盛り上げに貢献すると、アクションの達成度に応じてバッジが付与される。バッジの種類と付与される達成アクション例として、“とりあえずマイリスト”に登録した動画の再生数が1,000/1万/10万/100万回を超えた場合は、達成回数に応じて付与されるほか、フォローしたユーザーのフォロワー数が1,000/1万/10万/100万人を超えたは達成人数に応じて付与。

 そのほか、ニコニコ新市場に「起動ボタン」を登録して「ニコる」をされる回数や、しばらくコメントされていない“過疎放送”番組でコメントし、それに続いてコメントされた回数に応じて付与される。

もらえるバッジの例

動画のまとめ記事作成機能を提供開始

 今回の発表で具体的に明かされたのは、配信者と視聴者の交流を促進する施策が多かったが、それ以外についても、引き続き画質の向上や、タイムシフトとチャンネルの高速化、スマホアプリの高速化、HTML5プレイヤーの高速化などを「niconico(く)」で実現予定としている。

 niconico(く)とは別に、11月28日から利用できる新サービスとして、動画の内容から簡単にまとめ記事を作れる「ニコニコまとめ」を開始。ニコニコ動画に投稿された動画から切り出した静止画や、動画のコメントを組み合わせて、「まとめ記事」をユーザーが作成できるキュレーションサービス。動画の名場面や、お気に入りのコメントをドラッグ&ドロップ操作で抜粋し、動画の魅力を紹介できる。まとめ記事の閲覧は、niconicoへのログインは不要で、会員以外に向けても発信/拡散できる。今後はニコニコ生放送などにも対応予定。

ニコニコまとめ
まとめ記事の作成例

 なお、既報の通りniconicoの「ニコニコチャンネル」において、12月1日からNTTドコモの「dアニメストア ニコニコ支店」を開設。同チャンネルでは1,500以上のアニメ作品が月額400円で視聴可能。ニコニコチャンネル内で初のアニメ見放題チャンネルとなる。

 また、Apple TVでniconicoを視聴するためのアプリ「niconico TV」も無料で提供。リモコンで簡単にコメント投稿できるほか、音声での動画検索なども可能となっている。詳細は別記事で掲載している

画質改善は「半年お待ちください」

 ドワンゴの川上量生会長CTOは、niconicoの画質の問題について、「根が深い問題があり、時間がかかっている。すぐ解消できないのは申し訳ないが、いずれ必ず解決する。半年お待ちください」と述べた。現在の目標としては「動画/生放送は720pまで対応しようとしている。それなりのタイミングで対応できる。フレーム数については、必要に応じて適切なレートを出す。1080pは、一部限定で利用できるようにする」とした。

川上量生会長CTO

 将来の高画質化については、「4Kや、将来の8Kにも対応できるように、投稿した動画をそのままの画質で完全保存することを来年始めたい」と説明。HEVC/H.265については「検討はしている。再生はできなくても、投稿はできるようにしたい」とコメントした。

 なお、新しい「nicocas」は、映像合成や双方向機能によって、配信者と視聴者のコミュニケーションの活性化を図ることを目的に導入したものだが、従来システムのアップデートではなく、新システムを採用した理由について川上氏は「作り直すほうが早かったから。どこか(のタイミング)で一つにしたい」と述べている。

東京・六本木のニコファーレで発表会を開催
会見に参加したユーザーからも、画質などに対する厳しい質問が多く飛んだ