ニュース
パナソニック、“自分で取り付けできる”壁掛けテレビ
2022年10月6日 13:37
パナソニックは、簡単に壁に設置できる“ウォールフィットテレビ”(LW1シリーズ)を、11月18日より発売する。55型の4K有機ELディスプレイとチューナー部をワイヤレスで伝送するシステムで、チューナー部の内蔵HDD有無で2タイプを販売。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は2TB HDD内蔵「TH-55LW1」が37万円前後、HDD別売「TH-55LW1L」が33万円前後。カラーはホワイト。
「どこでも置ける」「すっきり置ける」「壁に簡単に掛けられる」をコンセプトとした、パナソニックのスタイル提案型のテレビ。“ビエラ”というサブブランド名は使わず、“くらしスタイルシリーズ”の1製品として展開する。
取付業者・別売金具不要。“自分で取り付けできる”壁掛けテレビ
最大のポイントは、専門の取付業者を手配したり、専用の取付金具を購入することなく、テレビ購入者自身が、石膏ボードの壁に簡単に取り付けられるようになっていること。
ディスプレイ部分が12.7kgと、従来製品から約4割軽量化されているため、付属の専用金具を細いピンで固定し、ディスプレイを引っかけることで、容易にテレビを壁掛け化できる。専用金具をテレビの裏側に入り込むようにデザインしているため、金具の厚みをテレビが“吸収”。壁から画面まで、約3.5cmの薄型化を実現した。
なお、石膏ボード以外の壁に固定する場合は、工事専門業者への依頼が必要となる(付属金具はそのまま利用可)。
ディスプレイとチューナーはワイヤレスで接続。独自の4K無線伝送技術を使うことで、チューナーで受信した4K/2K放送番組や4Kネット動画の安定伝送を可能にした。
なお、無線伝送できるのは、チューナーで受信した4K/2K放送番組や録画した番組、動画配信サービス、写真・動画データなど。チューナー部にドライブやHDMI入力はないため、BDやゲーム機の映像などを伝送することはできない。
ディスプレイは、4K/3,840×2,160ドットの55型有機ELディスプレイ。壁と一体となるような壁掛けスタイルを実現するべく、独自設計、組立てを行なう特別仕様になっているという。
有機ELディスプレイの特性に合わせた独自の信号処理技術で、映像本来の豊かな階調を忠実に描く「ヘキサクロマドライブ プラス」を搭載。
AI技術活用のシーン認識アルゴリズムによる自動画質調整「オートAI画質」、4Kアップコン技術「素材解像度検出4Kファインリマスターエンジン」、SDR→HDR変換「AI HDRリマスター」などの各種映像機能も用意した。
ディスプレイ部背面には、HDMI2.1入力を用意。4K120p入力、ALLM、VRRほか、AMD FreeSync Premiumをサポートした。また60Hzのゲームコンテンツを60Hzのまま表示し、遅延量を抑える「等速駆動モード」やゲームプレイ時にフレームレートなどの情報が表示できる「ゲームコントロールボード」も備えた。
パネル背面にアクチュエーターを搭載することで、スピーカーボックスレスを実現した“画面振動スピーカー”を採用した。出力は10W×2。
チューナー部は、BS4K・110度CS4K×2、地上/BS・110度CS×3。TH-55LW1のみ2TB HDDを内蔵しており、4K/2K放送のシングル録画や4K放送の裏番組録画、2K放送のダブル録画ができる。外付けUSB HDD(別売)の利用も可能。
ネット動画サービスに対応。Disney+、Netflix、Amazon Prime Video、YouTube、Hulu、U-NEXT、ABEMA、TVerなどをサポート。4K/HDRの作品も楽しめる。
付属のBluetoothリモコンには、Netflix、Prime Video、Disney+、Hulu、U-NEXT、ABEMA、Paravi、YouTubeのダイレクトボタンを設けた。
入出力端子は、ディスプレイ部がHDMI入力×2、USB×2、サブウーファ兼用ヘッドフォン出力×1、チューナ部がHDMI出力×1、USB×2、LAN×1。ディスプレイ部のHDMIは、2系統とも4K120p入力をサポート。入力2のみ、eARC/ARCに対応する。
突起部を含む外形寸法/重量は、ディスプレイが1227×3.1×706mm(幅×奥行き×高さ)/約12.5kg、HDD内蔵チューナー(55LW1)が215×225×80mm(同)/約1.8kg、HDD別売チューナー(55LW1L)が259×177×51mm(同)/約0.9kg。
“テレビ中心のくらし”から“くらし中心のテレビ”へ
発表会には、パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション 副社長執行役員の阿南康成氏が登壇。
阿南氏は、エンターテインメントの多様化やライフスタイルの変化に伴い、ユーザーとテレビとの関わりが大きく変わりつつあること、一方でリビングの中心にテレビが鎮座する視聴スタイルが60年間変わっていないこと、そして『テレビ隠し』『テレビのない暮らし』『ミニマリスト』などのタグがSNSなどに登場してきていることなどを挙げたうえで、「私たちのくらしの変化とテレビの進化に大きなズレが生じているのかもしれない。登場から長らく、お茶の間やリビングの中心であったテレビは、見るコンテンツ、見る場所、使い方の変化に伴い、1つの転換期を迎えている」と分析。
「お客様のくらしの変化をとらえ、従来のテレビに加え、新たなテレビのかたち……すなわち、『高音質』『高画質』『臨場感』の“テレビ中心のくらし”ではない、『心地よいくらし』を提供する“くらし中心のテレビ”として、ウォールフィットテレビを提案する」と説明した。
また同社では、今回発売するウォールフィットテレビに加え、2021年発売のレイアウトフリーテレビ、そして2012年から発売するポータブルテレビ(プライベート・ビエラ)の3つのテレビ群を、“くらしスタイルシリーズ”とカテゴライズすると発表。
さらに阿南氏は、「くらしスタイルシリーズがお客様に“くらし中心のテレビ”という新たな価値を提案し、既存テレビ商品群と並ぶ、テレビ関連事業のもう一つの柱として成長させることができると確信している」と意気込みを述べた。
続いて、国内マーケティングを担当する金澤貞善氏が登壇。
パナソニックが行なったアンケートにおいて、“テレビはアンテナ端子、テレビ台、導線確保などで置く場所が固定され、理想の場所に置きにくい家電”という結果になったことに触れ、「わたしたちが作り出していたテレビは、くらしやすいリビングを作るうえでとてつもない障壁になってしまっていた。この状況を打ち破るテレビをパナソニックでいち早く商品化したいと考えた。それをかたちにしたのが昨年発売したレイアウトフリーテレビであり、ウォールフィットテレビはそれに続くもの」と話し、商品の概要を紹介した。
発表会では、Laugh style代表インテリアトータルコーディネーターのMAKO氏、インテリアスタイリストの窪川勝哉氏、そしてウォールフィットテレビのデザイン担当、商品企画担当者を交えたトークセッションも開催。
窪川氏は「正面だけではなく、周り込んだ時の造形も美しく、ノイズがない。コードも白でまとめられており、細部までこだわったデザイン」と評価。MAKO氏も「アートのようで驚いた」としながら、「電源がワイヤレスになったり、サイズやカラーのバリエーションがあれば」と、今後のくらしスタイルシリーズへの期待も話した。