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Amazon Musicのポッドキャスト制作「Wondery」日本始動。春風亭一之輔「ビジネスウォーズ」

Amazon Musicは、ポッドキャスト制作スタジオ「Wondery」を日本で始動。同スタジオの代表的なシリーズの1つ「ビジネスウォーズ」の日本語版として制作した「ビジネスウォーズ:ファストファッション戦争」の全エピソードを22日からAmazon Musicで配信開始した。その他のポッドキャストサービスでも毎週エピソードを配信するが、Amazon Musicでは全5話を22日に一挙配信する。案内役は落語家の春風亭一之輔氏。

Wonderyは2016年にハリウッドで設立されたポッドキャスト制作スタジオで、「没入感溢れるストーリーテリングを核に、高品質で魅力的な物語の制作に長けているスタジオ」だという。同スタジオは2021年にAmazon Musicのポッドキャスト制作スタジオとなった。米国のAppleポッドキャストチャートで50以上のオリジナル番組が首位にランクインするなど、時流を捉えたコンテンツを得意としている。

ポッドキャスト番組を作るだけでなく、オリジナル番組を二次利用して、ストーリーを書籍化したり、それが映像化もされている。オリジナルシリーズ「ビジネスウォーズ」が「The Art of Business of Wars(邦題:ビジネスの兵法 孫子に学ぶ経営の神)」として書籍化されているほか、映像化の例としてはPeacockの「Dr. Death」「Joe vs Carole」、Apple TV+の「The Shrink Next Door」「WeCrashed」などがある。

ポッドキャストのオリジナル番組が映像化もされている

今後Wonderyは、Amazon Music向けにオリジナルポッドキャストを日本語で制作。「日本発の高品質で魅力的なストーリーを世界中のリスナーにお届けする」という。日本のクリエイターとも連携、日本独自のポッドキャ スト番組やストーリーの開発も支援する。

22日から配信を開始したのは、ZARA、H&M、Topshop、Forever21という、ファストファッションを代表する4つの巨人の対決を描いた最新作「ビジネスウォーズ:ファストファッション戦争(全5話)」。Amazon Musicでは22日に全5話を、それ以外のサービスでは3月22日にエピソード1~2を公開、エピソード3以降は毎週水曜日に配信する。Amazon Music Prime/Amazon Music Unlimitedでは広告無しで全エピソードを配信。Amazon Music Freeでは広告付きで全エピソードを配信する。

4月19日(水)からは敗戦の混乱から立ち上がった日本の自動車メーカーが、手頃で高性能な小型自動車を武器に、アメリカ市場を席巻する様を描く「ビジネスウォーズ:トヨタ VS ホンダ (全4話)」を配信。Amazon Musicでは4月19日に全エピソードを、それ以外のサービスでは4月19日にエピソード1を公開し、エピソード2以降は毎週水曜日に配信する。Amazon Music Prime/Amazon Music Unlimitedでは広告無しで全エピソードを配信。Amazon Music Freeでは広告付きで全エピソードを配信する。

案内役は落語家の春風亭一之輔氏が担当。登場人物によって声色を使い分けるほか、背景に効果音を活用し、没入感を高めたという。

左から落語家の春風亭一之輔氏、アマゾンジャパンでHead of Japan Podcast Contentを担当する柴田周平氏

NHKで「プロフェッショナル 仕事の流儀」や「クローズアップ現代」などを手掛け、現在はアマゾンジャパンでHead of Japan Podcast Contentを担当する柴田周平氏は、Wondery作品の日本語展開のポイントについて、「英語の台本をそのまま日本語にすると、表現が冗長だったり、主語と述語が離れていて何を言っているのかわからなくなるといった事もある。そこをいかに簡潔な表現にするかを心がけた」と説明。

また、「ビジネスウォーズ:トヨタ VS ホンダ」において、英語の台本では、本田宗一郎も英語を喋る“ビジネスマン”的なキャラクター設定になっているが、ポッドキャストを聴く日本人の中にはすでに本田宗一郎のイメージが存在するので、常識にとらわれない技術者としてのイメージにマッチするように、語り口を変えるなどの工夫もしているという。

これらを1人で演じた春風亭一之輔氏は、「収録の前日に原稿の下読みをするのですが、その時の顔が、落語に臨む時より険しい顔になるので、家族が“どんな過酷な仕事に行くのか”と心配してくれます」と笑う。

起用のキッカケは、一之輔氏が2021年から出演しているニッポン放送の「春風亭一之輔 あなたとハッピー!」という番組。「(今回のコンテンツと同じ)一人喋りの番組。“ニッポン放送で番組をやっている落語家で、誰かいないのか?”という話になった時に、やっているのは春風亭昇太師匠と僕だけなんですが、春風亭昇太師匠は滑舌が悪いので消去法で僕になったと聞いています」と笑いを誘った。

演じる時の苦労としては、「1人で何人もの人物を演じ分けるのは落語と同じですが、子供と大人、動物と人間など、落語は演じ分けしやすいのですが、この作品は全員おじさんしか出てこない(笑)。どう演じ分けていいのかわからないので、登場人物のちょっとしたパーソナリティを自分で咀嚼して演じ分けています。これが勉強になりますね」と語る。

「落語はダラっと喋ったり、語尾が消えてもいい部分があるが、こうした番組は原稿通り一語一句ハッキリ喋りつつ、それでいて“生きている言葉”にしなきゃいけない。それが難しいですね」とのこと。そんな一之輔氏は、今後やってみたいポッドキャストの内容について「新日本プロレス VS 全日本プロレスとか、テレビのバラエティ番組対決、野球や落語界をネタにしても面白いと思う」とアイデアを語った。

最後に一之輔氏は、ポッドキャストの可能性について、「イヤフォンを装着して、駅まで歩く数分とか、ちょっとの時間で楽しめ、イヤフォンを外せば日常に戻れる。隙間を有意義に使え、リラックスできて、勉強にもなる。生活を豊かにできるものだと思っています。ビジネスウォーズみたい番組を通じて、今まで知らなかった世界に触れて欲しいですね」と語った。