ミニレビュー
ソニー新イヤフォン「WF-1000XM6」、編集部ふたりで聴いてきた
2026年2月13日 09:07
2月13日に発表されたソニーの完全ワイヤレスイヤフォン最上位モデル「WF-1000XM6」。短時間ながらAV Watch編集部2名で試聴したのでファーストインプレッションをお届けする。音の情報量や描写の細かさといった基本性能がアップし、より“ハイエンドHi-Fiイヤフォン”に進化した1台だった。
WF-1000XM6は2月27日発売予定で、価格はオープン。直販価格は44,550円。詳細は別記事で紹介しているが、大きな進化点はマスタリングエンジニアとの共創と、アクティブノイズキャンセリング(ANC)の大幅強化による“世界最高クラスノイキャン”の進化。
マスタリングエンジニアとの共創では、米津玄師の「IRIS OUT」などを手掛けたランディ・メリル氏、Mrs. GREEN APPLEのベストアルバム「10」などを手掛けたクリス・ゲーリンジャー氏など4名のマスタリングエンジニアと強力。「アーティストの意図通りの音を届ける」ために、試作機をエンジニアのもとに持ち込み、リアルタイムで調整しながら音質を磨いたという。
ちなみにサウンド調整は「アクティブノイズキャンセリング(ANC)ありき」で行なったといい、エンジニアとの音質調整もANCを使う前提で進めたという。
あわせてエッジ部に独自のノッチ形状を採り入れた専用設計ドライバーを搭載したほか、DAC性能を強化した高音質ノイズキャンセリングプロセッサー「QN3e」、32bitの音質信号処理に対応した「統合プロセッサーV2」も採用している。
NC性能では、QN3eが前モデルから役3倍の処理速度になったほか、イヤフォン筐体で物理的に遮音するパッシブNCとANCのバランスを最適化、外部ノイズや個人の装着状態をリアルタイムで分析し、つねに最適なNCを提供する「アダプティブNCオプティマイザー」を採用したことで、より多くのユーザーに“世界最高クラスノイキャン”を届けるという。
AV Watchでは、発売に先駆けて編集部員ふたりが実機を試聴してきたので、それぞれのファーストインプレッションをお届けする。
より“ハイエンドHi-Fiイヤフォン”に進化:編集長・山崎
LDACでスマホと接続し、WF-1000XM5とWF-1000XM6を比較した。
「Mrs. GREEN APPLE/ライラック」を再生。前モデルのWF-1000XM5は、音場はやや狭めではあるが、低域から高域までバランスが良く、見通しの良いクリアなサウンド。2023年に登場したイヤフォンだが、今でも同価格帯トップクラスの音質だと感じる。
そのため、WF-1000XM6を聴く前は「音が良くなったとしても、小幅な進化だろうな」と予想していたのだが、WF-1000XM6から音が出た瞬間に、呆気にとられるほど格段に音が良くなっている。
まず、広がる音場が広大になり、SN比も大きく改善。音が無い静かな部分がより静かで、そこから音がハイスピードにズバッと立ち上がり、音が消える瞬間も鋭くスッと消える。
ワイドレンジで低域から高域までバランスが良いのは、従来モデルと同じだが、ベースの低音や、ボーカルの中高音など、各帯域で解像感がアップ。細かな音の表情がより見やすくなり、音像の輪郭もシャープになった。
低音がどうとか、高音がどうといった“部分的な違い”というよりも、音の情報量、描写の細かさといった基本的な再生能力が一段上のレベルにアップしている。
これはおそらく、V2プロセッサーによる信号処理の精度が24bitから32bitにアップした事と、その情報をより微細に描写するため、エッジ部分にノッチを加えることで、振動板の動きを滑らかに、激しく振幅した時にも暴れないように制御できるようになった事。この2点が組み合わさった事が大きそうだ。
「米津玄師/IRIS OUT」でも、ビートのキレや、コーラス、笑い声のSEといった細かな音が、WF-1000XM6の方がより生々しくて、ドキッとする。低音がパワフルになったとか、そういった派手な方向性の進化ではないため、一聴しただけでは、WF-1000XM5よりもWF-1000XM6の方が“おとなしい音になった”と感じるかもしれない。しかし、WF-1000XM6を聴き込むと、そのナチュラルなサウンドの中に、膨大な情報が含まれているのがわかる。
ジョン・ウィリアムズの「スターウォーズ」メインテーマのオーケストラも聴いたが、ワイドレンジで描写が微細になったので、このような楽曲が1番WF-1000XM5からWF-1000XM6への進化がわかりやすい。
音が広がる様子で、ホールの広大さ、奥行きの深さがより聴き取れる。ストリングスの繊細な音が重なりあう様子なども見やすい。クラシックやジャズともじっくり向き合える、WF-1000XM6はより“ハイエンドHi-Fiイヤフォン”に進化したと言えそうだ。
音質・ANCだけでなく、使いやすさもアップ:編集部・酒井
本体を手にとってまず感じたのが手触りの良さ。前モデルのWF-1000XM5は光沢/非光沢のパーツが組み合わさっていて、見た目からも高級感があった。
しかし、イヤフォンをケースから取り出す時や耳から外す時は光沢パーツ部分を持つ必要があり、そこがツルツルと滑るため、指が滑ってしまったり、うっかり落としてしまうということも多いイメージだった。
一方で、今回のWF-1000XM6はイヤフォン全体が非光沢で、梨地のような加工が施されているため、指先でもしっかりつまみやすい。イヤフォン自体も前モデルと比べると少し大きくなったので、充電ケースから格段に取りやすくなったと感じた。
“見た目の高級感”というところでは好みの差があるかもしれないが、使い勝手だけでなく、見た目にも個人的には新型のWF-1000XM6のほうが好みだった。
肝心のサウンドは、Xperiaとペアリングして試聴。アプリからLDACを「音質優先」にして楽曲を聴いてみた。
「Mrs. GREEN APPLE/ライラック」では、イントロから各楽器のサウンドがより鮮明。そこに大森元貴のボーカルが合わさることで、楽曲が持つ疾走感をより堪能できる。
この解像感を味わったあとに、前モデルのWF-1000XM5を聴いてみると、全体的にベールが2~3枚かかったようなボヤけたサウンドに感じられてしまうほど。
「米津玄師/IRIS OUT」は、前モデルよりも腰が低く、低域に深みや厚みが増したようなサウンド。それでいて、こちらもボーカルにもしっかりと解像感・明瞭さがあり、進化した低域に負けず、しっかりと歌声を楽しめた。
ANCは比較的静かな室内で試したものの、ANC ONにすると周囲の話し声はまったく聴こえず、それでいて耳が詰まったような印象もない。また外音取り込みモードでは「サーッ」というホワイトノイズが、前モデルからさらに少なくなり、より自然な聴こえ方に近くなった印象だった。







