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パイオニア、ハイレゾ対応約5万円のAVアンプ「VSA-823」

DSD対応「VSA-1123」も。新アプリでスマホから無線再生

7.2chモデル「VSA-1123」

 パイオニアは、AVアンプの5.1chエントリーモデル「VSA-823」と、10万円を切る7.2chモデル「VSA-1123」の2機種を5月下旬に発売する。価格は、「VSA-823」が56,000円、「VSA-1123」が88,000円。

 2モデルに共通する進化点として、アンプの基本性能とも言える音質面を、電源部の強化などで向上させた。さらに、5万円台の「VSA-823」でも、幅広い音楽ファイルの再生に対応したネットワークオーディオプレーヤー機能や、USBメモリ内のファイル再生に対応。Apple losslessや、FLACなどのハイレゾ音源をサポートしている。上位モデルの1123では、DSDファイルの再生にも対応。

 また、スマートフォン/タブレット向けアプリもUIを刷新。機能も大幅に追加している。さらに、ECOモードも搭載した。

5.1chモデル「VSA-823」
VSA-823
VSA-1123

アンプ部を強化

新モデルの強化ポイント

 最大出力は、「VSA-1123」が180W×7ch(6Ω)、「VSA-823」が160W×5ch(6Ω)。いずれも、全チャンネル同一パワーのディスクリートアンプを採用。アンプ回路の見直しにより、回路の電流を最適化。グランドの安定、ノイズ低減、電流の増量や安定化、音量感の改善などを行なったという。

 電源部では、デジタル回路部に新しい電源ユニットを採用。デジタルとアナログ電源回路を分離する事で、ノイズの低減やグランドの安定、電流の増量・安定化を実現したという。さらに、スタンバイ時の消費電力も0.1Wに下げている。

 「1123」ではこれに加え、アンプ電源に音質ケミコンを採用し、デジタルのメイン基板に低インピーダンスコンデンサを採用するなどして、ノイズを低減した。

1123の音質強化ポイント
1123の内部。デジタルとアナログで電源回路を分離している

ネットワーク/USBオーディオ再生機能

 両モデルとも、AirPlayとDLNAに対応。DLNA 1.5に準拠し、FLAC/WAV/AIFF/Apple lossless、MP3、AAC、WMAファイルの再生に対応。FLACとWAVは24bit/192kHzまでサポートする。さらに、USB端子も備え、USBメモリなどに保存した音楽ファイルも再生可能。iPhone/iPad/iPodをUSB接続し、デジタル再生する事もできる。ギャップレス再生も可能。

 1123はDSDファイルの再生にもサポート。ただし、DSDはUSBメモリからの再生のみで、ネットワーク経由での再生はサポートされていない。なお、DSD再生はネイティブ処理ではなく、PCMに変換しつつ再生される。

 後述するアプリの機能強化により、操作に使用しているスマートフォン/タブレット内の音楽をAVアンプで再生する事が可能になる。1123ではアプリ「iControlAV2013」、823では「ControlApp」というアプリを利用するが、それぞれに「プッシュプレーヤー」という機能を追加。無線LAN経由で端末の音楽を再生できる。なお、端末からアンプへの転送は、Android向けアプリではDLNAをベースとした独自形式で、iOSではAirPlayを使っている。

 インターネットラジオの受信にも対応。ポータルサイト「vTuner」に対応し、パイオニア専用のネットラジオリストを用いてアクセスできる。PCを使い、好きな放送局を登録する事もできる。

アプリが進化

 1123で使用する「iControlAV2013」は、従来のアプリと比べてUIを刷新。これまでは、設定画面や入力切り替えなど、各機能の画面を表示するためには、一度ポータル画面に戻る操作になっていたが、新アプリでは上下左右のフリック操作で、設定画面を自由に切り替えられるようになった。

スマートフォンで「iControlAV2013」を使っているところ。フリック操作で機能のサムネイルを切り替え、ダイレクトにアクセスできる

 さらに、1台のAVアンプに対し、4台までの端末が接続可能になった。これにより、例えば、「娘のスマートフォンから音楽をAVアンプに転送・再生し、父親のタブレットでボリュームを操作する」といった使い方も可能。1123の「ゾーン2」機能で、リビングのシアターサラウンドと別の部屋で2chシステムを構築している際に、リビングを操作するスマホと、別のスマホで、2chシステム側の制御をする事も可能になる。

 なお、異なる人がそれぞれのスマートフォンで音量調節などをした場合、後から調節した人が制御できるようになっている。

 また、AV機器の入出力信号の情報や、後述するバーチャルスピーカーの設定など、細かな環境情報をアプリに表示する「3Dステータスビュア」も用意。前述の通り、アプリからスマホ内の音楽を伝送する「プッシュプレーヤー」にも対応する。

「iControlAV2013」をタブレットで実行したところ
「3Dステータスビュア」機能で、音声/映像の入力信号jいょ右方や、バーチャルスピーカーの状態など、様々な情報が閲覧できる
シアタールームの模式図で、設定や情報を知りたいスピーカーをタップすれば、そこにズームインして各種情報が表示されるなど、直感的かつグラフィカルな操作が可能
バーチャルスピーカーを展開したところ
機能を丸いアイコンにまとめ、上から落ちてくるように表示するユニークなメニューも健在
新AVアンプの説明会では、この機能アイコンを模したマシュマロも振舞われた

 823用のアプリ「ControlApp」でも、AVアンプの音量調節や電源のON/OFF、入力切り替え、音場機能の操作が可能。「プッシュプレーヤー」機能も利用できる。

 アプリとは別に、これまでWindows向けのCD-ROMで供給していた、「取説連動」、「操作ガイド」のプログラムは、新たにiPad/Macにも対応。これらの機器で、図解入りのナビゲートを参照しながらセットアップができる。

その他

 1123は新たに「バーチャルスピーカーズ」機能を搭載。「バーチャルワイド」、「バーチャルハイト」、「バーチャルサラウンドバック」の3つの仮想スピーカーを使い、5.2chスピーカーの環境で、最大11.2chの仮想音場が楽しめる。

 バーチャルスピーカー機能自体は従来からあるものだが、AVアンプ側が接続されているリアルスピーカーを判別。存在しない(足りない)スピーカーの場所に、バーチャルスピーカーを自動で補完し、音場を作り出すようになっており、難しい設定不要で利用できるのが特徴。マニュアル設定も可能となっている。

 どちらもドルビーTrueHD、DTS-HDなどのHDオーディオに対応したデコーダを搭載。1123はさらに、DTSのマトリックスデコード技術を用いて、2chソースから5.1chソースまで、様々な信号を最大7.1ch化して再生する「DTS Neo:X/7.1」にも対応する。

 付属のマイクを用いて、環境に合わせた補正を行なうセットアップ機能も搭載。823は「MCACC」、1123は、より高精度な補正を可能にする「Advanced MCACC」が利用できる。

 ユニットから出る音の位相を揃える「フェイズコントロールプラス」機能も搭載。1123は、ディスクや放送波など、音源自体に含まれるLFEの位相ズレを自動的に解消する「オートフェイズコントロールプラス」が利用できる。

 HDMI端子は、823が6入力、1出力装備。4K映像のパススルーに対応する。1123は、8入力2出力で、4K映像のパススルー/アップスケーリングに対応。入力映像を全て4Kに変換して出力できるほか、SDからフルHDへの変換にも対応する。

 HDMI出力を2系統備えた1123は、サブルームでもHDMIで4K映像や3D映像とマルチチャンネルサラウンド環境が構築できる「HD ZONE」機能を搭載する。また、2chソース再生時に、別のプリメイン/パワーアンプ+スピーカーに接続するための「フロントchプリアウト端子」も装備。2chのピュアオーディオシステムとの同居を容易にする機能で、AVアンプのネットワークプレーヤー機能だけを使うような際にも利用できる。

1123の背面
1123の付属リモコン
823の背面
823の付属リモコン

 両モデル共、フロントのHDMI入力がMHL Ver.2.0に対応。MHL対応は1系統のみとなる。Androidの対応端末とMHLケーブルで接続する事で、3D映像を含む、フルHD動画がAVアンプに転送でき、最大7.1chのHDオーディオも伝送可能。さらに、AVアンプの付属リモコンでスマートフォンを充電でき、AVアンプの電源がONになっている場合は、スマートフォンを充電する事もできる。

 2モデル共、「ECOモード」を搭載。コンテンツ再生時に、ピークボリュームをリアルタイムに分析し、消費電力を抑えるもので、MODE1(音楽向け:平均レベルの高いコンテンツ向け)と、MODE2(映画:ダイナミックレンジの広いコンテンツ向け)を用意。HDMIスタンバイスルーや、ネットワークスタンバイなどの待機時省電力機能も備えるほか、フロントパネルとリモコンにエコ機能のモード切り替え専用ボタンも用意する。

 なお、1123向けアプリ「iControlAV2013」では、このエコ機能を一括管理できるメニュー「ECO MANAGER」も用意している。

型番VSA-1123VSA-823
価格88,000円56,000円
定格出力100W×7ch
(8Ω時)
95W×5ch
(8Ω時)
最大出力180W×7ch
(6Ω時)
160W×5ch
(6Ω時)
HDMI出力2系統1系統
HDMI入力8系統6系統
音声入力同軸デジタル×1
光デジタル×1
アナログ音声×4
同軸デジタル×1
光デジタル×1
アナログ音声×3
映像入力コンポジット×3コンポジット×2
音声出力2.1ch
(フロント2ch
サブウーファ0.1ch)
0.1ch(サブウーファ)
映像出力コンポジット×1コンポジット×1
その他Ethernet/
Bluetooth対応アダプタポート
Ethernet/
Bluetooth対応アダプタポート
消費電力
(待機時消費電力
HDMIコントロールOFF時)
550W
(0.1W)
450W
(0.1W)
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
435×362.5×168mm435×331.5×168mm
重量9.8kg8.6kg

(山崎健太郎)