ニュース
パイオニア、ハイレゾ対応約5万円のAVアンプ「VSA-823」
DSD対応「VSA-1123」も。新アプリでスマホから無線再生
(2013/4/24 13:00)
パイオニアは、AVアンプの5.1chエントリーモデル「VSA-823」と、10万円を切る7.2chモデル「VSA-1123」の2機種を5月下旬に発売する。価格は、「VSA-823」が56,000円、「VSA-1123」が88,000円。
2モデルに共通する進化点として、アンプの基本性能とも言える音質面を、電源部の強化などで向上させた。さらに、5万円台の「VSA-823」でも、幅広い音楽ファイルの再生に対応したネットワークオーディオプレーヤー機能や、USBメモリ内のファイル再生に対応。Apple losslessや、FLACなどのハイレゾ音源をサポートしている。上位モデルの1123では、DSDファイルの再生にも対応。
また、スマートフォン/タブレット向けアプリもUIを刷新。機能も大幅に追加している。さらに、ECOモードも搭載した。
アンプ部を強化
最大出力は、「VSA-1123」が180W×7ch(6Ω)、「VSA-823」が160W×5ch(6Ω)。いずれも、全チャンネル同一パワーのディスクリートアンプを採用。アンプ回路の見直しにより、回路の電流を最適化。グランドの安定、ノイズ低減、電流の増量や安定化、音量感の改善などを行なったという。
電源部では、デジタル回路部に新しい電源ユニットを採用。デジタルとアナログ電源回路を分離する事で、ノイズの低減やグランドの安定、電流の増量・安定化を実現したという。さらに、スタンバイ時の消費電力も0.1Wに下げている。
「1123」ではこれに加え、アンプ電源に音質ケミコンを採用し、デジタルのメイン基板に低インピーダンスコンデンサを採用するなどして、ノイズを低減した。
ネットワーク/USBオーディオ再生機能
両モデルとも、AirPlayとDLNAに対応。DLNA 1.5に準拠し、FLAC/WAV/AIFF/Apple lossless、MP3、AAC、WMAファイルの再生に対応。FLACとWAVは24bit/192kHzまでサポートする。さらに、USB端子も備え、USBメモリなどに保存した音楽ファイルも再生可能。iPhone/iPad/iPodをUSB接続し、デジタル再生する事もできる。ギャップレス再生も可能。
1123はDSDファイルの再生にもサポート。ただし、DSDはUSBメモリからの再生のみで、ネットワーク経由での再生はサポートされていない。なお、DSD再生はネイティブ処理ではなく、PCMに変換しつつ再生される。
後述するアプリの機能強化により、操作に使用しているスマートフォン/タブレット内の音楽をAVアンプで再生する事が可能になる。1123ではアプリ「iControlAV2013」、823では「ControlApp」というアプリを利用するが、それぞれに「プッシュプレーヤー」という機能を追加。無線LAN経由で端末の音楽を再生できる。なお、端末からアンプへの転送は、Android向けアプリではDLNAをベースとした独自形式で、iOSではAirPlayを使っている。
インターネットラジオの受信にも対応。ポータルサイト「vTuner」に対応し、パイオニア専用のネットラジオリストを用いてアクセスできる。PCを使い、好きな放送局を登録する事もできる。
アプリが進化
1123で使用する「iControlAV2013」は、従来のアプリと比べてUIを刷新。これまでは、設定画面や入力切り替えなど、各機能の画面を表示するためには、一度ポータル画面に戻る操作になっていたが、新アプリでは上下左右のフリック操作で、設定画面を自由に切り替えられるようになった。
さらに、1台のAVアンプに対し、4台までの端末が接続可能になった。これにより、例えば、「娘のスマートフォンから音楽をAVアンプに転送・再生し、父親のタブレットでボリュームを操作する」といった使い方も可能。1123の「ゾーン2」機能で、リビングのシアターサラウンドと別の部屋で2chシステムを構築している際に、リビングを操作するスマホと、別のスマホで、2chシステム側の制御をする事も可能になる。
なお、異なる人がそれぞれのスマートフォンで音量調節などをした場合、後から調節した人が制御できるようになっている。
また、AV機器の入出力信号の情報や、後述するバーチャルスピーカーの設定など、細かな環境情報をアプリに表示する「3Dステータスビュア」も用意。前述の通り、アプリからスマホ内の音楽を伝送する「プッシュプレーヤー」にも対応する。
823用のアプリ「ControlApp」でも、AVアンプの音量調節や電源のON/OFF、入力切り替え、音場機能の操作が可能。「プッシュプレーヤー」機能も利用できる。
アプリとは別に、これまでWindows向けのCD-ROMで供給していた、「取説連動」、「操作ガイド」のプログラムは、新たにiPad/Macにも対応。これらの機器で、図解入りのナビゲートを参照しながらセットアップができる。
その他
1123は新たに「バーチャルスピーカーズ」機能を搭載。「バーチャルワイド」、「バーチャルハイト」、「バーチャルサラウンドバック」の3つの仮想スピーカーを使い、5.2chスピーカーの環境で、最大11.2chの仮想音場が楽しめる。
バーチャルスピーカー機能自体は従来からあるものだが、AVアンプ側が接続されているリアルスピーカーを判別。存在しない(足りない)スピーカーの場所に、バーチャルスピーカーを自動で補完し、音場を作り出すようになっており、難しい設定不要で利用できるのが特徴。マニュアル設定も可能となっている。
どちらもドルビーTrueHD、DTS-HDなどのHDオーディオに対応したデコーダを搭載。1123はさらに、DTSのマトリックスデコード技術を用いて、2chソースから5.1chソースまで、様々な信号を最大7.1ch化して再生する「DTS Neo:X/7.1」にも対応する。
付属のマイクを用いて、環境に合わせた補正を行なうセットアップ機能も搭載。823は「MCACC」、1123は、より高精度な補正を可能にする「Advanced MCACC」が利用できる。
ユニットから出る音の位相を揃える「フェイズコントロールプラス」機能も搭載。1123は、ディスクや放送波など、音源自体に含まれるLFEの位相ズレを自動的に解消する「オートフェイズコントロールプラス」が利用できる。
HDMI端子は、823が6入力、1出力装備。4K映像のパススルーに対応する。1123は、8入力2出力で、4K映像のパススルー/アップスケーリングに対応。入力映像を全て4Kに変換して出力できるほか、SDからフルHDへの変換にも対応する。
HDMI出力を2系統備えた1123は、サブルームでもHDMIで4K映像や3D映像とマルチチャンネルサラウンド環境が構築できる「HD ZONE」機能を搭載する。また、2chソース再生時に、別のプリメイン/パワーアンプ+スピーカーに接続するための「フロントchプリアウト端子」も装備。2chのピュアオーディオシステムとの同居を容易にする機能で、AVアンプのネットワークプレーヤー機能だけを使うような際にも利用できる。
両モデル共、フロントのHDMI入力がMHL Ver.2.0に対応。MHL対応は1系統のみとなる。Androidの対応端末とMHLケーブルで接続する事で、3D映像を含む、フルHD動画がAVアンプに転送でき、最大7.1chのHDオーディオも伝送可能。さらに、AVアンプの付属リモコンでスマートフォンを充電でき、AVアンプの電源がONになっている場合は、スマートフォンを充電する事もできる。
2モデル共、「ECOモード」を搭載。コンテンツ再生時に、ピークボリュームをリアルタイムに分析し、消費電力を抑えるもので、MODE1(音楽向け:平均レベルの高いコンテンツ向け)と、MODE2(映画:ダイナミックレンジの広いコンテンツ向け)を用意。HDMIスタンバイスルーや、ネットワークスタンバイなどの待機時省電力機能も備えるほか、フロントパネルとリモコンにエコ機能のモード切り替え専用ボタンも用意する。
なお、1123向けアプリ「iControlAV2013」では、このエコ機能を一括管理できるメニュー「ECO MANAGER」も用意している。
型番 | VSA-1123 | VSA-823 |
価格 | 88,000円 | 56,000円 |
定格出力 | 100W×7ch (8Ω時) | 95W×5ch (8Ω時) |
最大出力 | 180W×7ch (6Ω時) | 160W×5ch (6Ω時) |
HDMI出力 | 2系統 | 1系統 |
HDMI入力 | 8系統 | 6系統 |
音声入力 | 同軸デジタル×1 光デジタル×1 アナログ音声×4 | 同軸デジタル×1 光デジタル×1 アナログ音声×3 |
映像入力 | コンポジット×3 | コンポジット×2 |
音声出力 | 2.1ch (フロント2ch サブウーファ0.1ch) | 0.1ch(サブウーファ) |
映像出力 | コンポジット×1 | コンポジット×1 |
その他 | Ethernet/ Bluetooth対応アダプタポート | Ethernet/ Bluetooth対応アダプタポート |
消費電力 (待機時消費電力 HDMIコントロールOFF時) | 550W (0.1W) | 450W (0.1W) |
外形寸法 (幅×奥行き×高さ) | 435×362.5×168mm | 435×331.5×168mm |
重量 | 9.8kg | 8.6kg |