ニュース

三菱、プロジェクタ用の連続出力1.8W赤色半導体レーザー。消費電力/放熱も改善

 三菱電機は、プロジェクタ向けの光源として、波長638nmで世界最高という連続駆動光出力1.8Wを実現した赤色半導体レーザーを開発した。2015年度に製品化する予定で、赤色の再現性が高く、消費電力が小さいプロジェクタの製品化が期待できるという。今回の開発成果は、6月19日~20日に台湾で行なわれる「LDC(Laser Display Conference) 2014」において発表する。

開発された赤色半導体レーザー

 電力変換効率が高い半導体レーザーは、プロジェクタの光源とすることで省電力化や、表示色範囲の拡大/高コントラスト比といった画質向上が見込める。しかし、3色の半導体レーザーのうち赤色において視感度(視覚的に感じる明るさの度合い)の有利な波長640nm以下の半導体レーザーは、これまで高い温度下で高出力を連続させることが困難とされていた。

 新開発された波長638nmの赤色半導体レーザーは、2010年11月に同社が発売した「ML501P73」のパルス光出力1.0W(連続駆動光出力0.5W)から、レーザー素子の構造変更や発光領域サイズの見直しによって光出力を増大。世界最高という連続駆動光出力1.8Wを実現。視感度の高い波長638nmと連続駆動光出力1.8Wにより、約220ルーメン相当の光源の構成を可能とした。

 電力変換効率約38%に高効率化して消費電力を低減した。また、従来の5.6mm径TO-CANパッケージよりも大型の9.0mm径TO-CANパッケージに変更して放熱性を改善。1.8W連続駆動で、0~45度の動作温度範囲を実現している。55度の高温動作時も光出力1.3Wの高出力連続駆動が行なえる。

 今後は高出力化や低消費電力化を図り、プロジェクタ光源の半導体レーザーへの移行が始まるとする2015年度の製品化を予定している。

(中林暁)