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三菱、プロジェクタ向け高輝度赤色レーザー。高出力3Wで長時間動作
2018年12月19日 15:35
三菱電機は、プロジェクター向けの光源として、波長638nmの赤色高出力半導体レーザー「ML562G86」を開発。'19年1月11日にサンプル提供を開始し、4月1日に発売する。サンプル価格は10,000円。世界最高というパルス駆動光出力3.0WとMTTF20,000時間以上を実現し、プロジェクターの高輝度化・小型化に貢献するという。
電力変換効率が高い半導体レーザーは、プロジェクターの光源とすることで省電力化や、表示色範囲の拡大/高コントラスト比といった画質向上ができ、従来のランプ光源から置き換えが進んでいる。しかし3色の半導体レーザーのうち、赤色の従来製品「ML562G84」(パルス光出力2.5W)は、3.0W以上の高出力を連続させると発光面の結晶が溶けて劣化し、信頼性の指標となるMTTF20,000時間以上を達成できていなかった。
新開発の「ML562G86」は、従来製品(ML562G84)のパルス駆動光出力2.5Wから、レーザー素子の構造や製造プロセスを改良して光出力を増大。発光波長638nmの鮮やかな赤色で、世界最高というパルス駆動光出力3.0Wを実現した。レーザーダイオ-ド1個あたりの明るさは、従来のML562G84(約120ルーメン)から20%増加し、約145ルーメン相当の光源の構成を可能とした。
大型の9mm径TO-CANパッケージで放熱性を高め、パルス駆動光出力3.0Wをケース温度0~45度の広い動作温度範囲を実現したのも特徴。MTTFは20,000時間以上を達成した。なお、MTTFは製品が故障するまでの平均時間(Mean Time To Failure)を表わし、定電流での駆動において、初期からの光出力が50%以下となる時間を基準とする。
上限のケース温度55度の高温動作において、世界最高のパルス駆動光出力2.1Wを実現。広動作温度範囲で冷却構造の簡素化が可能となり、プロジェクターの小型化や冷却ユニットの低コスト化に貢献するという。
三菱電機では今後、半導体レーザーで液晶より鮮やかな映像表現ができる利点を活かし、プロジェクターだけでなくレーザーTVへの展開も期待できるとしている。