エンタメCLIP

岡田麿里が語る、初監督作「さよならの朝に約束の花をかざろう」。24日公開

アニメ映画「さよならの朝に約束の花をかざろう」完成披露舞台挨拶

“あの花”や“ここさけ”などヒット作の脚本を手がけた岡田麿里が、初監督に挑んだ新作アニメ映画「さよならの朝に約束の花をかざろう」。2月24日から全国ロードショーされる、同作の完成披露舞台挨拶のオフィシャルレポートが届いた。

  • 作品名:さよならの朝に約束の花をかざろう
  • 劇場公開:2018年2月24日
  • 監督・脚本:岡田麿里
  • キャスト:石見舞菜香、入野自由、茅野愛衣、梶裕貴、沢城みゆき 他
  • アニメーション制作:P.A.WORKS

完全オリジナルのファンタジー作品。物語の主人公は、10代半ばで外見の成長が止まり、数百年を生きるイオルフ族の少女・マキア。人里離れた場所で仲間に囲まれながらも、どこかで“ひとりぼっち”を感じていたが、穏やかな日常は、長寿の血を求めるメザーテ軍の襲撃で一変する。

オフィシャルレポート

全国を縦断し行なってきた試写会は新宿バルト9での試写会(2月13日開催)をもってフィナーレを迎え、それに伴い、マキア役の石見舞菜香、本作の監督、岡田麿里、P.A WORKSの堀川憲司プロデューサーの舞台挨拶が行なわれた。

今作の企画のスタートについて聞かれると、岡田監督は「堀川さんのほうから『岡田さんの100パーセントを出した作品を観てみたい』と言っていただいて、100パーセントってなんだろうと考えた時に、100パーセント自分の観たいものなら近づけられるかも、と散々考えた結果、監督をやらせてください! とお願いしてしまいました(笑)」と振り返った。監督への起用について、堀川プロデューサーは「オリジナル作品を作るときは監督を中心に、いろいろな人がアイディアを出し合って一本の作品を作っていくので、だれか一人の作家性を深く掘り下げることはなかなか難しいんですが、個人的に、岡田さんは掘り下げたところに沸々と面白いものを持っていそうな気がしていたんです。最初は、岡田さん小説原作のものをつくりたい、と思っていたんです。でも、飲み屋で、緊張した姿でその覚悟を伝えられて、ぐっと来ましたね。そんな姿を見たことがなかったので、よっぽど覚悟を決めているんだな、と思いました」と、裏話を語った。

今回は今までの岡田作品とは一味違った、完全オリジナルのファンタジー作品になっている。その理由について岡田は、「自分が昔観ていてワクワクした劇場アニメは、ファンタジーが多かったのと、今回は、監督がやらせていただけるということで、いままでと違った表現をしたかったんです。監督として自分のイメージを直接スタッフに伝えることで、表情や、風景の光や空の色などの繊細な映像表現でキャラクターの感情を表現できる、その分セリフはシンプルにしてもいいんじゃないかと思ったんです。ファンタジーの世界に普段の世界の地続きの感情をのせたら、少し新しいものが作れるのかもしれないと思いました」と監督だからこそ実現できた、設定へのこだわりを語った。キャラクターの設定の着想については、「『凪のあすから』だったり、時間の経過の進み方がちがうことで起こる物語が、すごく好きだったので、オリジナル作品でこのテーマをさらに掘ってみたかった」とコメント。

そんな中で生まれた、永い命を持つ少女・マキアを演じた石見。この役はオーディションで勝ち取ったということで、「いつもはキャラクターの絵や設定を頂いてオーディションに挑むことが多いのですが、この作品のオーディションは独特だったんです。キャラクターの絵がわからない状態で、設定とセリフがあって、それをみて自分が感じたまま演じてください、と言われたんです。当時はまだあまりオーディションにも慣れていなかったのですが、一生懸命向き合おう! と思って受けました」

そんな石見さんをオーディションで起用した理由について、岡田は「その時の資料に『見つけた』って書いたんです」とまさに奇跡のような出会いだったようで、それに対し石見も「泣きそうです(笑) オーディションを受けさせていただいた日のメモに『このままじゃだめだ』というような反省点がたくさん書いてあって。だから、マネージャーから決まったと教えてもらったときには本当にびっくりしました」と感無量の様子。

演じる上で受けたディレクションについて、石見は「最初はイメージのマキアちゃんよりも大げさに声を作ってしまっていたんですが、監督に「舞菜香ちゃんのままの声がマキアなんだよ」と言われ、背伸びせず、そのままで演じるようにしました」と自然体での演技を求められていたことについて語った。出来上がった作品については、「どんな言葉も当てはまらない気がしました。映像と声を音楽と、すべて合わさると、マキアは私だけ演じたんではなく、本当にスタッフの皆さんの全部がつまってるんだな、とすごく感じました」とコメント。岡田監督は「作品って生き物なんだな、と思って。追い上げ期間のスタッフの熱量がすごくて、最後の1、2か月でものすごく変わったんです。私はいつもは脚本という役割なので、一番最初に入って一番最初に抜けてしまうんですけど、監督になって、最後の瞬間までみんなと一緒に立ち会えたというのが本当にうれしかったです」と初監督で味わった感動について語った。

最後に、堀川は「スタッフの、作品づくりにかけてきた3年間が報われるような作品をつくってほしい、と思っていたんですけれど、出来上がったものをみてスタッフが喜んでいる顔をみて、僕も監督に感謝しました。スタッフを満足させる作品をつくってくれてありがとう、という気持ちになりました」と監督への感謝のコメントで締めくくった。

あらすじ・作品解説

縦糸は流れ行く月日。横糸は人のなりわい。
人里離れた土地に住み、ヒビオルと呼ばれる布に日々の出来事を織り込みながら静かに暮らすイオルフの民。
10代半ばで外見の成長が止まり数百年の寿命を持つ彼らは、“別れの一族”と呼ばれ、生ける伝説とされていた。
両親のいないイオルフの少女マキアは、仲間に囲まれた穏やかな日々を過ごしながらも、どこかで“ひとりぼっち”を感じていた。
そんな彼らの日々は、一瞬で崩れ去る。イオルフの長寿の血を求め、レナトと呼ばれる古の獣に跨りメザーテ軍が攻め込んできたのだ。
絶望と混乱の中、イオルフ一番の美女レイリアはメザーテに連れさられ、マキアが密かに想いを寄せる少年クリムは行方不明に。
マキアはなんとか逃げ出したが、仲間も帰る場所も失ってしまう……。
虚ろな心で暗い森をさまようマキア。そこで呼び寄せられるように出会ったのは、親を亡くしたばかりの“ひとりぼっち”の赤ん坊だった。
少年へと成長していくエリアル。時が経っても少女のままのマキア。同じ季節に、異なる時の流れ。変化する時代の中で、色合いを変えていく二人の絆――。
ひとりぼっちがひとりぼっちと出会い紡ぎ出される、かけがえのない時間の物語。

映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』予告編