トピック

なぜ今、“クラウド録画”なのか。パナソニックの新「全自動ディーガ」の詳細

BDレコーダー「全自動ディーガ」の新モデル

パナソニックは、録画番組をクラウドサービスのMicrosoft OneDrive、Googleドライブに保存できる「クラウド録画」機能を搭載した、BDレコーダー「全自動ディーガ」の新モデルを15日、メディア向けに披露した。10月下旬発売で価格はオープン。ラインナップと市場想定価格は以下のとおり。

  • 4Kチューナー搭載全自動ディーガ
    「DMR-4X1010」(HDD 10TB) 43万円前後
    「DMR-4X410」(HDD 4TB) 21万円前後
  • 2Kチューナー搭載全自動ディーガ
    「DMR-2X610」(HDD 6TB) 24万円前後
    「DMR-2X410」(HDD 4TB) 14.5万円前後
    「DMR-2X210」(HDD 2TB) 10.8万円前後

詳細情報は、既報のニュース記事を参照のこと。

クラウド録画の詳細

4Kチューナー搭載全自動ディーガ「DMR-4X1010」(HDD 10TB)

最大の特徴は、録画番組をクラウドサービスに保存できる「クラウド録画」。内蔵HDDの容量が不足した時などに、BDのブランクティスクに書き出したり、外付けHDDに移動するような感覚で、OneDriveやGoogleドライブのクラウドストレージに番組をダビング。内蔵HDDの容量不足を解消できる。

クラウド上に保存した番組は、通常のHDDに録画した番組と同様に、ホーム画面や録画一覧から再生可能。スマートフォンアプリ「どこでもディーガ」を使えば、クラウド上に保存した録画番組も外出先から視聴することもできる。クラウドに録画できる番組は最大10TBまで。

また録画番組をクラウド上に保存することで、万が一、レコーダー本体が故障した場合でも、録画した番組を残しておくことができる。

クラウド上に保存した番組は、通常のHDDに録画した番組と同様に、ホーム画面や録画一覧から再生可能
BDのブランクティスクに保存した番組をクラウドへダビングすることも可能

ただし、クラウド保存した番組を再生できるのは、録画に使ったレコーダーのみ。レコーダー本体を買い替えた場合は、パナソニックが提供する”クラウド録画引継ぎサービス”を申し込むと、クラウド保存した録画番組を新しいディーガに引き継げる。その場合、買い替え先のディーガがクラウド録画に対応している必要がある。

技術の枠組みとしてはダビング10を使っており、HDDに保存している番組を、クラウドに保存する場合は、BDのブランクティスクに書き出す時と同じような感覚でコピー回数を1回消費するカタチとなる。また、クラウドに保存した番組を、レコーダーのHDDに戻す場合はムーブとなる。

クラウドの使い方としては、レコーダーの内蔵HDDに空き容量が豊富にある時は、番組の録画予約時に「HDD+クラウド」を選ぶと、HDDに録画すると共に、クラウドにも複製され、安心して番組を残せる。

内蔵HDDの空き容量が少ない時は、録画先として「クラウド」を選択すると、内蔵HDDに保存番組は残さず、クラウドに保存し、番組を緊急避難できる。なお、クラウドへの保存は、HDDに一旦録画し、その後でクラウドへ自動転送される流れで、クラウドへの直接録画・全自動録画はできない。

クラウドへの転送は、ユーザーがレコーダー本体を使っていない時に自動的に行なわれる。そのため、「クラウドへの転送中、転送バーを見ながら他の操作ができない」といった事はないという。

クラウドに保存されるファイルは、HDDに録画した番組と同じものであるため、例えば画質をDRモードで録画した番組は、DRモードのファイルのままクラウドに保存される。PCなどでOneDrive、Googleドライブを開くと、その録画ファイルは表示されるが、暗号化されているため、再生は前述の通り、録画に使ったレコーダーからしかできない。

クラウド以外の便利な機能も

オリジナルの録画番組を残したまま、お気に入りのシーンだけをまとめられる「プレイリスト編集」にも対応。推しの出演シーンや、スポーツのハイライトなどを手軽に編集・保存して楽しめる。

さらに、番組内の楽曲名や出演者などをユーザー自身でタグ付けして絞り込むことができる「番組タグ」機能も新たに搭載。録りためた番組の編集・検索がより快適に行なえるようになった。

細かい進化としては、見たいシーンをサムネイルで探せる「プレビューサーチ」機能が進化。従来は1分刻みだったが、10秒刻みもできるようになり、見たいシーンを細かく探せるようになった。

全自動ディーガの従来からの機能として、指定チャンネルで放送された番組をまるごと録画でき、テレビ番組を見逃すことなく楽しめる。録画番組は最大10ch×約28日間保存されるため、放送終了後に話題となった番組も後から視聴できる。

4Kチューナー内蔵の2モデルはUltra HD Blu-rayに再生に対応。ほか3モデルはBlu-ray再生ができる。HDMI出力は4Kチューナー内蔵の2モデルが2系統、ほか3モデルは1系統。

会場には、上の2013年モデルと、下の2026年モデル、その内部を公開した展示も。基板を集約したり、省スペースに11チューナーを搭載するなどした結果、奥行きも短く、よりシンプルな基板に進化している事が紹介された

「“録る”“見る”“残す”を、これまで以上に安心して楽しんでいただける」

コンシューマーマーケティング ジャパン本部 商品マーケティングセンター AVC商品部の金澤貞善部長

レコーダーの新モデルの投入について、コンシューマーマーケティング ジャパン本部 商品マーケティングセンター AVC商品部の金澤貞善部長は、BDレコーダーのディーガが、2006年のブランド立ち上げ以降、様々な機能を盛り込みながら、日本の録画文化を牽引してきた事を紹介。「テレビ番組を録画・視聴し、大切な番組を残すという文化には、まだ大きな価値があると考えている」と語る。

その一方で、トレンドとしては映像配信サービスが普及。BDレコーダーの市場規模は、2020年に約185万台だったが、2025年には約62万台と市場は縮小。レコーダー事業から撤退するメーカーも出てきている。さらに、半導体価格の高騰や、中東情勢不安・円安といった事業環境の厳しさも重なっている。

このような市場環境の中、ポジティブな要素として金澤部長は、「推し活」があるとし、“推し”の芸能人が出演する番組を残すためにレコーダーを購入する人が多い事を紹介。

さらに、「事業環境が厳しくなる中で、もちろん設計の合理化や、コスト上昇に応じた価格の見直しも必要。しかし、それだけでは、録画文化を将来に繋いでいくことはできない。厳しい環境の中でもお客様に選んでいただくために、これまで以上に商品価値を高め、現在のライフスタイルにあった、新しい録画スタイルをご提案する必要がある」という。

その具体的なものとして、スマホからの視聴を可能にする「どこでもディーガ」、推し活で便利な「全自動ディーガ」、普及拡大しているスマートテレビに最適な録画機器「miyotto」を展開している事を説明。

そして、「次の提案」として説明したのが、新モデルの「クラウド録画」。全自動録画によって録り逃さないという価値をさらに進化させ、今回は大切な番組の新しい保存先としてクラウドを提案する。これまでの“録る”“見る”に加えて、“残す”という体験をより安心・便利なものへと進化させる」という。

「なぜ今、クラウド録画なのかと思われるかもしれないが、これは必然的な流れと考えている。写真や書類はクラウドに保存することが一般的になっている。その一方で、番組録画は現在でもHDDやBDのブランクティスクなどの物理的がメディア。大切な録画番組を将来にわたってどのように残していくのか、私たちはその新しい選択としてクラウドを活用する必要があると考えた」とのこと。

実現にあたっては、「放送番組は高度な権利保護が求められるコンテンツ。そのため、パナソニックでは、ものづくりの前にまず業界関係者とのルール作りから取り組んだ。そして昨年、業界団体承認のもと、標準規格が成立。録画保存先の新しい選択肢としてクラウド録画を初めて商品に搭載する。BDのブランクティスクやHDDに加え、クラウドという新しい保存先を提供することで、お客様に“録る”“見る”“残す”を、これまで以上に安心して楽しんでいただけることを目指す」とした。

「放送された番組を手元に保存するものが、求められる時代になってきている」

映画・ドラマ評論家でクリエイターでもある大島育宙氏

体験会にはゲストとして、映画・ドラマ評論家でクリエイターでもある大島育宙氏が登壇。パナソニックの落合洋介氏とトークショーを行なった。

YouTubeやSNSで、映像作品の緻密な解説を発信している大島氏は、その仕事柄、ドラマなど、多数のテレビ番組を視聴しているという。

「全部のコンテンツが、地上波で放送された直後に、Tverなどの配信サービスで配信されるわけではないので、『どうせ後で配信で見られる』と思っていても、できないことがある。また、自分が積極的に追っていないジャンルに関して、SNSのタイムラインで、突発的にこの番組が面白かったと話題になっていても、配信されていない事もある。そういった事が、日々増えていく一方。その時に、全自動機能が、あるに越したことはない。

また、今放送されているドラマの、同じ脚本家さんや、プロデューサーさんの過去の作品で、こうした名作がある……と紹介しようと思っても、何かの問題で、その作品の配信が止まっていたり、ディスクも手元に無いと、その作品を見る方法がないのではないかという事もある。こうした事も結構あるので、やっぱり放送されて、それをすぐ手元に保存しておけるというのが、求められる時代になってきてる」と語った。

さらに、全自動ディーガの新モデルについては、「諦めていた録画という行為を、その都度予約をしていなくても、全部録画してくれる。これは本当に安心感があります」と評価。

クラウド録画についても「夢のような機能。(放送を)カバーする能力が高く、保存する時の手間がかからず、さらに保存した時の安心感もある。(情報量の多い現代において)なにかに特化して深く追いかけるというのは、次の時代のニーズとしてあると思う。自分の中にもその欲求がものすごくある。(新ディーガの)機能によって、みんなの欲求が高まるという循環が生まれるのかなと思います」と、魅力を語った。

山崎健太郎