小寺信良の週刊 Electric Zooma!
第1240回

今のレコーダってこうなんだ! クラウドにも録画できるパナソニック、ディーガ「DMR-2X610」
2026年10月28日 08:00
レコーダと歩んだ26年
本連載は2001年にスタートしているが、言うなればレコーダの歴史に伴走したとも言える。DVDライティングブームに乗って録画・保存文化が多様化したアナログ放送時代から、2003年の地上デジタル放送開始、次世代DVD戦争とその終結、全録ブーム、コピーワンス-ダビング10論争、私的録画補償金問題、B-CASカード不正利用問題、4K放送開始と、テレビ録画にまつわるあらゆることを取り上げてきた。
一時はAV家電の王者として君臨したレコーダだが、2020年の東京オリンピック延期は痛かったように思う。BDレコーダの市場規模は、2020年に約185万台だったが、2025年には約62万台に縮小した。もしコロナ禍がなければ、レコーダ需要はもう少し伸びていたかもしれない。今ではテレビ放送を見る方法も多様化し、放送波を録画するという行為には、むしろ懐かしさすら感じる。
2020年以降、レコーダ事業から退いたメーカーには、経営破綻した船井電機、生産終了を発表したTVS REGZA、出荷終了を発表したソニーがある。現行商品を販売している総合家電メーカーは、パナソニックと、2024年モデルを継続販売しているシャープの2社となった。
PC周辺機器メーカーとしては、バッファローがソニー・インタラクティブエンタテインメントから引き継いだ「nasne」の販売とサポートを続けている。またピクセラも、HDDと専用クラウドへ録画できるテレビチューナー「PoiTele」を製品化している。
そんな中、パナソニックが10月23日に発売した新ディーガでは、録画番組をMicrosoft OneDrive、Googleドライブに保存できる「クラウド録画」に対応する。4Kチューナー内蔵2機種、4Kチューナー非搭載(2K放送専用)の3機種があるが、今回は4Kチューナー非搭載モデルの最上位機種「DMR-2X610」(市場想定価格24万円前後)をお借りしている。6TBのHDDを搭載した全録機だ。
レコーダのレビュー自体が久しぶりだが、イマドキのレコーダはどこまで進化しているのか。さっそく試してみよう。
シンプルさを極めたボディ
まず今回の目玉であるクラウド録画について簡単にまとめておく。
放送番組を宅外のクラウドへ残すというルールは、電波産業会(ARIB)の地上デジタル放送運用規定「TR-B14 6.12版」として、2025年10月30日に追加された。これに基づく認定は、放送サービス高度化推進協会(A-PAB)が行なっている。
クラウド録画を搭載した製品としてはピクセラの「PoiTele」(XIT-3000WP)や、デジオンテレビ番組視聴アプリ「DiXiM Play」の「DiXiM U Cloud」サービスなどが存在するが、ディーガはBDレコーダとして初めて対応した。しかも、今回発売の5モデル全部で対応という力の入れようだ。
今回の5モデルも簡単にまとめておこう。
| モデル名 | HDD容量 | 4K対応 | 市場想定価格 |
|---|---|---|---|
| DMR-4X1010 | 10TB | 〇 | 43万円前後 |
| DMR-4X410 | 4TB | 〇 | 21万円前後 |
| DMR-2X610 | 6TB | ー | 24万円前後 |
| DMR-2X410 | 4TB | ー | 14.5万円前後 |
| DMR-2X210 | 2TB | ー | 10.8万円前後 |
なお4Kチューナー非搭載でも、従来のBS2Kは受信できる。昨今の放送事情に疎くなってしまった方のために補足すると、民放のBS4K放送は来年1月23日に停波することが決まっており、残るはNHK BSプレミアム4Kと、ショップチャンネル 4K、4K QVCの3局となる。またCS放送も4K放送は終了している。そういう意味では、今から4K対応モデルを買うのはためらわれるところだ。
さてDMR-2X610の外観だが、無駄を省いたシンプルな薄型デザインで、ボタン類は電源とBDドライブのイジェクトボタンしかない。背面もシンプルで、地上波とBS/CSのアンテナ入力とスルー、HDMI出力×1、LAN端子、USB端子3系統(USB 2.0×1、USB 3.0×2・ひとつは前面)があるのみだ。USBハードディスクは、通常録画用と全自動録画用を別々に接続する。
チューナー数は地デジ/BS/CSが6、地デジ専用が5の、合計11となっている。内訳としては、全自動録画専用×8、全自動録画・通常録画切換×2、通常録画専用×1となる。ハイビジョン放送を最大10ch、最長約28日間録画できる。
なおBDドライブは、BD-R、BD-RE、DVD-R、DVD-RWへの記録に対応するが、Ultra HD Blu-rayの再生と、DVD-RAMへの記録には対応しない。DVD-RAMの再生はできる。
注目のクラウド録画だが、放送をクラウドへ直接録画するわけではない。通常録画で録画先を「クラウド」にすると、いったん内蔵HDDへ録画したあと、電源を切ったときに自動でクラウドへアップロードされる。また全自動録画の録画先にクラウドは選べない。クラウドに録画できる番組は最大10TBまで。製品にクラウドのアカウントがついているわけではなく、クラウドは自前のアカウントが必要だ。
クラウド上の録画は、スマホアプリ「どこでもディーガ」から視聴するか、レコーダ本体からも視聴できる。ただし録画に使ったレコーダとクラウド上の番組は紐づけされていて、その本体以外では再生できない。故障や買い替える場合に限り、「クラウド録画引継ぎサービス」で、クラウド録画対応の新しいディーガへ引き継ぐことができる。
リモコンは、基本設計はここ10年ぐらいほとんど変わっていない。機能に合わせてボタンの名称などには変遷があるが、ボタン形状や配置、構造などは同じである。限りあるボタンをうまく使いまわしている印象だ。
高精細になった「ホーム」
では実際に使ってみよう。以前のレコーダとは全然違うと思わせるのは、ホーム画面の作りだ。以前はかなりローレゾというか、遠くからでもわかるように大きな文字が並んでいたものだが、本機のホーム画面は左側にメニューバーがあり、かなり精緻な文字で表示される。サムネイルも豊富で、まるでパソコンのUIのようだ。
できることが多いので設定メニューもかなり広範囲にわたるが、一覧性が高く、目的の設定にたどり着くまで深入りする必要がなくなっている。以前は5m離れても操作できる前提だったのに比べると、ユーザーはそれほどテレビから離れていないという前提なのかもしれない。リビングでみんなで使う機器から、個人で使う機器に変わってきたということなのだろう。
機能一覧も「録る」「見る」などの項目に分かれており、色味もダークモード相当となった。こうしたところからも、ファミリー向けからパーソナル向けへのシフトが感じられる。本機は全自動録画、すなわち全録が可能なモデルだが、初期設定や変更はかなり分かりやすくなっている。基本的には録画日数、チャンネル、使用ディスク領域を決めるだけだ。
全自動録画された番組は、リモコンの「全自動録画一覧」からアクセスできる。過去番組表といった形で表示されるので、見たい番組がどこの局の何曜日何時から、といった情報がないと、探しづらいだろう。
毎週録画やキーワードによる自動録画にも対応する。それらは全自動録画とは別に、「録画一覧」からアクセスできる。ここは従来のレコーダと同じなので、ジャンル別に分けて探すことができる。ただ、個別録画なのか全自動録画なのかによってアクセス方法が異なるのは、違和感があるだろう。
そこは良くしたもので、「ホーム」画面に番組ジャンルを登録しておくと、そこからまとめて探すこともできる。例えば「よくみるバラエティ」を登録しておけば、バラエティ番組はそこから掘り出せるという構造になっている。また通常録画は「ホーム」画面の「通常録画番組」にも表示される。録画経路のいかんにかかわらずうまく使うコツは、いかに「ホーム」に見たい番組を集約するかであろう。
新機能としては、「プレイリスト」機能がある。これはまさに見たい番組を順次登録していくことで連続再生する機能だ。見たい番組を見て、また次を探して見て、といった手間が省けるので、休日に撮り溜めた音楽番組をずっと流しておくみたいな用途に使えるだろう。
さらに“推し活”に便利なものとして、作成したプレイリストを編集することで、録画データ自体を残したまま、“推しの出演シーンだけをまとめる ” という機能もあるそうだ。なお、この機能は通常録画番組にしか使えない。
同じく新機能としては、「タグ」がある。これは自分で名前をつけたタグを作っておき、番組に対して設定できる機能だ。例えば「あとでみる」タグをつけておいて、時間があるときに見るのを忘れないようにする、といった使い方ができる。クラウドに保存した番組にも設定できるが、全自動録画のままの番組には使えない。
あっさり成功のクラウド録画
では今回の目玉ともいえる、クラウド録画を試してみよう。先にMicrosoft OneDriveまたはGoogleドライブに空きがあるか調べておこう。筆者の場合はGoogleドライブを使うことにした。この設定はスマホアプリの「どこでもディーガ」から行なう。
設定画面の「クラウド設定」から初期設定をするわけだが、設定としてはディーガの利用登録と、スマホ側の「どこでもディーガ」の利用登録の2つが必要だ。ディーガの登録は、表示されたコードをWebブラウザに貼り、必要事項にチェックを付けるだけなので、大して難しくはない。画面に書いてあることをよく読めば、間違うことはないだろう。続いて同様に「どこでもディーガ」の利用登録を行なうと、利用開始となる。
クラウドへの録画は、予約録画の際に録画先として「クラウド」もしくは「HDD+クラウド」を選択するだけだ。この際にクラウドからのストリーミング用のデータも同時に作ることができる。毎回クラウドへのログインが求められるようなことはなく、ある意味外付けHDDに録画する手順となにも変わらない。設定では内蔵HDDとクラウドの両方に録画することもできる。
クラウド録画のメリットは、家庭外から番組を見るのが簡単ということだ。「どこでもディーガ」を開けば、すでにクラウド上で準備できている番組がリスト表示される。従来は宅内のレコーダにアクセスするため、家庭内ルータの設定を変更したり、あるいは有料の転送サービスを利用するといった方法が主流だった。だがクラウド録画したものは、自分のクラウド上にあるので、とくに設定の面倒もなく視聴することができる。
内蔵HDD内に録画した通常録画番組は、ホームから番組を選んで「クラウドへ保存」を行なうと、転送される。全自動録画された番組は、「ワンタッチ保存」の保存先を「クラウド」、または「HDD+クラウド」にしておくと、屋外視聴番組として残せる。なおクラウドへの転送は、レコーダの電源「切」のときに行なわれるので、本体操作中は転送されない。
スマートフォンでの再生は、クラウド録画になっている番組をリストから選ぶだけだ。番組持ち出しのように転送を待つ必要もなくすぐに視聴できる。ただし前後のスキップや30秒送りなどの機能は使えず、画面の端を押しての早送り、早戻ししかできないという制限がある。
総論
最近はネットの縦動画も視聴しているが、そこで感じるのは、テレビで流れるコンテンツのクオリティの高さである。ドラマやアニメ作品などはシナリオがしっかりしており、画面の構図やカット割りの確かさ、音楽の入れ方など、演出力が段違いである。個人的にはネット動画に失望して、テレビへの回帰が起こっているところだ。
テレビ視聴の考え方も、全録の登場で変わってきた。放送とは時間を決めたストリーム配信であり、それをローカルで記録しておいて切り出して見るというスタイルは、ネット動画のあり方に慣れた今こそ、普通のあり方として受け入れられるのではないだろうか。
クラウド録画も、過去テレビ放送局がいかにネットを敵視していたかという歴史を知っていると、ようやくこれが実現できるようになったかと感慨深いものがある。屋外視聴のスタンダードな方法として、これからの時代にふさわしいものであろう。
ネットの時代とはいえ、「テレビに出るクラスのタレント」を推している人には、やはりテレビでの活動をどう把握するかは重要である。推し活がひとつのマーケットを作る時代において、新ディーガの存在は数少ない選択肢となっている。






























