2017年7月期作品。「異世界食堂」や「魔法陣グルグル」など10作を解説

【 賭ケグルイ 】

(C)河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会

公式サイト：

http://kakegurui-anime.com/

【あらすじ】
　ギャンブルの絶対的な掟。それは、勝負の果てに勝者と敗者が存在すること。勝者は富と栄誉を手にし、敗者は落伍者の烙印を押され、大いなる喪失を味わう。
　勝負が決するまでの静寂の中、本能は掻き立てられ、欲望は恍惚の境地に到達する。資本主義の社会において、それはまさに人生の残酷なる縮図。人はなぜ、リスクを負う世界に心を奪われるのか? その狂気の先に目にするものとは。
　現代社会に存在する階級制度を崩壊させる! かつて体験したことのない“アドレナリン分泌系アニメ”が2017年夏、誕生する。
【編集Yの解説】
　超能力や魔法ではなく“ギャンブル”をテーマとした作品。ギャンブルに支配され、その勝ち負けで天国にも地獄にもなるというトンデモナイ学園が舞台。そこに転校してくる異常とも言えるほどギャンブル好きの少女・蛇喰夢子(じゃばみ ゆめこ)が巻き起こす物語だ。
　ギャンブルがテーマの作品というと、「アカギ」や「カイジ」を連想する人が多いと思うが、学生同士のバトルであるため、あそこまで“人生を賭ける”という感じではない。一方で、登場するキャラクターには美女が多く、それがギャンブルバトルの中で人間性がむき出しになり、狂気に満ちた表情へと変化していく……こうしたギャップや、リスクを冒す快感が、どのような演出で描かれるかという部分にも注目だ。

【 Fate/Apocrypha 】

(C)東出祐一郎・TYPE-MOON/FAPC

公式サイト：

http://fate-apocrypha.com/

【あらすじ】
　かつて、 冬木と呼ばれる街で執り行われていた、 七人の魔術師と英霊たちによる「聖杯戦争」。 しかし第二次世界大戦の混乱に乗じて、“とある魔術師“が聖杯を強奪する。
　数十年が経ち、 その聖杯を象徴に掲げたユグドミレニア一族は、 魔術協会からの離反、 独立を宣言。怒れる魔術協会は刺客を送り込むが、 彼らが召喚したサーヴァントによって返り討ちに遭う。
　サーヴァントに対抗するにはサーヴァント。「聖杯戦争」のシステムが変更され、 七騎対七騎というかつてない規模の戦争が勃発。かくして、 ルーマニア・トゥリファスを舞台に空前絶後の規模の戦争“聖杯大戦”が幕を開ける。
【編集Yの解説】
　「Fate」は作品群が多く、詳しい人でないとよくわからないと思うが、この「Fate/Apocrypha」(フェイト/アポクリファ)は、本編と言えるゲーム版のスピンアウト的な小説を原作としたアニメだ。
　Fateは、複数のマスターが、“サーヴァント”と呼ばれる使い魔のような存在を召喚し、聖杯を求めて戦いを繰り広げる“聖杯戦争”を題材としている。Apocryphaは、作品群の中でも最大規模の聖杯戦争“聖杯大戦”を描いているのが特徴。“赤の陣営・七騎 VS 黒の陣営・七騎”の壮絶なバトルロイヤルが見どころだ。監督は浅井義之、制作はA-1 Pictures。ネット配信はNetflix独占となる。

【 ナイツ&マジック 】

(C) 天酒之瓢･主婦の友社/ナイツ&マジック製作委員会

公式サイト：

http://knights-magic.com/

【あらすじ】
　凄腕プログラマーにして重度のロボットヲタクの青年が転生したのは、 巨大ロボット“幻晶騎士=シルエットナイト”が大地を揺るがす騎士と魔法の異世界だった!?
　エルネスティ・エチェバルリアとして生まれ変わった彼は、豊富なメカ知識とプログラマーとしての才能を活かして、 理想のロボット作りをスタート。 だが、その行動が予期せぬ事態に発展して……。
　ロボットヲタクの野望が、異世界を変える!!
【編集Yの解説】
　主婦の友社・ヒーロー文庫の同名ライトノベルを原作としたアニメ。2016年9月に主婦の友社は創業100周年を迎えており、同社ヒーロー文庫“初”となるTVアニメ化作品でもある。なお、同作はWeb小説投稿サイト「小説家になろう」で人気を集め、ヒーロー文庫で書籍化された。
　魔法が登場するファンタジー系の世界観だが、魔力を動力とした“シルエットナイト”と呼ばれる巨大ロボが戦いの主力になっているのが特徴。
　そこに、現代日本の青年が転生するのだが、前世のプログラマーとして能力や、魔法の演算能力の高さ、そして“筋金入りのロボットオタク”という才能を遺憾なく発揮。例えば、それまで二足歩行型だったシルエットナイトの常識を打ち破り、ケンタウロスのような四足歩行型を開発するなど、世界が驚く発明をしていく。巨大ロボ騎士による重厚感溢れるバトルが映像面での注目だが、“転生した世界でパイロットとして大活躍”だけにとどまらない“発明・改良”要素も楽しみの一つだ。

【 バトルガール ハイスクール 】

(C)2017 COLOPL/Battle Girl HS Project (C)2015-2017 COLOPL, Inc.

公式サイト：

http://colopl.co.jp/battlegirl-hs/anime/

【あらすじ】
　星守(ほしもり)。人々の想いを受けてそびえ立つ御神木“神樹(しんじゅ)”から選ばれし18人の少女たち。
　彼女たちは神樹ヶ峰女学園の生徒として賑やかな学校生活を送るかたわら、神樹から授かった「星衣」を身に纏い、平和を脅かす謎の侵略者「イロウス」から地球を守るため戦う!
【編集Yの解説】
　Android/iOS向けに提供されている、コロプラのスマホゲームが原作のテレビアニメ。アイドルグループでも作りそうなほど可愛いキャラクターが沢山登場するが、彼女達は学校に通うかたわら、侵略者“イロウス”と戦う結社“星の箱舟”のメンバーだ。
　アニメ版のスタッフは、監督が「アクティヴレイド」などの秋田谷典昭、シリーズ構成は黒田洋介、アニメ制作はSILVER LINK.と豪華な布陣。
　ゲーム版は、プレーヤーが新任教師となり、彼女達の頭を“なでなで”するなど交流し、導いていく物語だが、アニメ版がどのようなストーリーになるのか注目だ。また、アニメ版とゲームのコラボなども、プレーヤーには気になるところだろう。

【 異世界食堂 】

(C)犬塚惇平・主婦の友社/「異世界食堂」製作委員会

公式サイト：

http://isekai-shokudo.com/

【あらすじ】
　オフィス街に程近い商店街の一角、雑居ビルの地下一階にその店はある。猫の絵が描かれた看板が目印の、創業70年の老舗食堂「洋食のねこや」。どこにでもありそうなこの洋食屋の扉は、週に一度“特別営業”の土曜日にだけ、「ある世界」とつながる。
　異世界の様々な場所に現れる扉を通じてやってくる、生まれも文化も、種族すらもバラバラな「向こうの世界」の客たち。
　そんな彼らが分け隔てなく舌鼓を打てる、不思議な“魅力”がここ「異世界食堂」にはある。
　この店で生まれる異世界と現代、食堂に集う人々と店主、そして料理との一期一会を描く、温かい出会いの物語。
【編集Yの解説】
　前述の「ナイツ&マジック」と同様に、Webサイト「小説家になろう」で人気を集め、主婦の友社のヒーロー文庫で書籍化。累計30万部を突破するファンタジーノベルを原作としたアニメだ。
　“異世界に通じる扉”と聞くと、主人公が剣と魔法の異世界に行って活躍する物語を想像してしまうが、異世界食堂は大きく異なる。タイトル通り舞台は基本的に“食堂”であり、主人公はお店に訪れる異世界からのお客さん、また、登場する“料理そのもの”も主人公と言っていい。
　訪れたお客を通して、それぞれの世界の様子や、そこで生きる住人達の生活が徐々に見えてくるのが最大の魅力。料理自体にも重きが置かれているので、「孤独のグルメ」や「深夜食堂」などに似た面白さがある。

【 DIVE!! 】

(C)森絵都・角川文庫刊/アニメ「DIVE!!」製作委員会

公式サイト：

http://www.dive-anime.com/

【あらすじ】
　幼少の頃からひたむきに飛び込みを続けてきた14歳の少年・坂井知季。はじまりは3つ年上の天才ダイバー・富士谷要一との出会いだった。
　仲間とともにミズキダイビングクラブ・通称MDCに通う知季だったが、ある日、新任コーチとして麻木夏陽子という女性が現れる。
　「この中の誰かがオリンピックに行かなければ、クラブは潰れるわ」
　夏陽子が告げたMDC存続への条件はあまりにも厳しいものだった。
　身体一つを武器に宙を舞い、その一瞬にすべてを賭けた、少年達の熱く長い闘いがいま幕を開ける!!

【編集Yの解説】
　直木賞作家・森絵都のベストセラー青春小説を原作としたアニメ。この原作は、2008年に実写映画化され、週刊少年サンデーで漫画化もされるなど、メディアミックス展開をしており、今回はフジテレビのノイタミナ枠でのアニメ化となる。
　タイトルの通り、飛込み競技に打ち込む少年たちを描いた作品。主人公の坂井知季は、平凡な中学生だが、天性の柔軟性と動体視力を秘めている。彼に影響を与えるのが、元オリンピック選手の両親を持ち、幼い頃から飛び込みに打ち込んできた富士谷要一。2人はダイビングクラブ存続のため、オリンピック出場という目標に向かって突き進む事となる2人。
　魅力はやはり、高さ10mからの“飛び込み”という競技の面白さだろう。一瞬の中で、美しさやテクニックを競う競技の魅力は、競泳などと比べてあまり知られていない。その面白さをアニメでどのように表現するかに注目だ。
　配信はAmazonプライム・ビデオで日本・海外独占配信。日本では7月5日の24時から先行配信、第2話以降、毎回フジテレビ放送直後の木曜日27時からの配信が行なわれる。

【 セントールの悩み 】

(C)2017 村山慶/徳間書店・彼方市思想教育委員会

公式サイト：

http://centaur-anime.com/

【あらすじ】
　姫こと君原姫乃は、恋に、部活に、勉強に……ごく平凡な高校生活を送る女子高生。ただ、違うのは彼女が“ケンタウロス”の形態をしていること。
　竜人の希、角人の羌子、翼人の委員長、蛇人のサスサスちゃん。それぞれの形態をしたクラスメイトたちと楽しい高校生活を送っている。姫の従妹の紫乃ちゃん、その友達のまきちゃん、委員長の4人の妹たちも登場して、“人間だけど人間じゃない”娘たちのキュートな日常が綴られていく。
【編集Yの解説】
　徳間書店・月刊COMICリュウ連載のコミックが原作。「モンスター娘のいる日常」や「亜人ちゃんは語りたい」、「けものフレンズ」など、すっかり定着した(?)、いわゆる“ケモッ娘萌え”、“人外萌え”系の作品。
　タイトルにセントール(ケンタウロス)とあるように、主人公の姫乃は上半身が人間で、下半身が馬の女の子。仲の良いクラスメイトは、竜人で男勝りな希、角が生えた羌子といった面々で、その他にも翼人、長耳人など様々なタイプが登場する。
　ユニークなのは、それぞれの特技を活かした派手な物語が展開……するのではなく、ごく普通の学園生活が展開する事。もちろん、“下半身が馬なので体育のマラソンで有利”とか、そういった人間との違いはあるのだが、あくまで“ケモッ娘の等身大の悩み”を丁寧に描いていく作品。そういった意味では「亜人ちゃんは語りたい」と近いものがあるかもしれない。

【 異世界はスマートフォンとともに。 】

(c)冬原パトラ・ホビージャパン/ブリュンヒルド公国

公式サイト：

http://isesuma-anime.jp/

【あらすじ】
　彼にあるのは神様から底上げしてもらった身体と、異世界でも使用可能にしてもらったスマートフォン。様々な人達と出会い、大切な仲間を得ていく中で、いつしか主人公はこの世界の秘密を知る。
　古代文明の遺産を受け継ぎ、お気楽な世界の王たちと力を合わせながら、個性豊かな女の子たちと共に、彼はのほほんと世界を巡っていく??
【編集Yの解説】
　こちらも「小説家になろう」で人気を集め、ホビージャパンのHJノベルスで書籍化を実現したライトノベルが原作。それにしても「小説家になろう」生まれの小説のアニメ化が盛況である。
　この作品も流行りの“転生モノ”で、主人公の望月冬夜は、ファンタジー世界へと生まれ変わる。その際、神様に身体能力などを底上げしてもらったほか、異世界でもスマホを使用可能にしてもらったのが特徴だ。昔は異世界に迷い込んだ主人公が、ケータイを開けて「ダメだ! 使えない!」と慌てるのがお約束だったが、この作品は一味違うわけだ。ただ、原作ではそこまでスマホが活用されていないと個人的には感じる。アニメでのアレンジにも期待したい。ちなみに、公式サイトのデザインもスマホを再現したものでユニーク。タイトルの略称は「いせスマ」だ。

【 魔法陣グルグル 新シリーズ 】

(C)衛藤ヒロユキ/SQUARE ENIX・「魔法陣グルグル」製作委員会

公式サイト：

http://guruguru-anime.jp/

【あらすじ】
　魔王を倒す勇者を募るというお触れを見た勇者マニアの父と母によって、半ば強制的に旅に出されたジミナ村の少年ニケ。村のしきたりに従って、村外れに住む魔法オババの元を訪ねたニケは、そこで不思議な魔法グルグルを使う少女ククリを託される。
　オババの話によれば、彼女はミグミグ族というグルグルを使うことのできる一族の最後の末裔で、いずれ現れる勇者を待ち続けていたのだという。
　お調子者の小さな勇者と天真爛漫な魔法使いの少女が繰り広げる“思いっきり笑えて、ちょっぴり泣ける”王道冒険ファンタジーが今、幕を開ける!

【編集Yの解説】
　月刊少年ガンガンで1992年から連載され、これまでに2度テレビアニメ化されている「魔法陣グルグル」が、連載25周年を記念する形で3度目のテレビアニメ化を実現。
　懐かしいと感じる人が多い作品だが、新アニメはこれまでの物語の続編ではなく、改めて最初から描く形となっており、かつてのアニメ版を観ていた人はそれを思い出しながら、今の子供達には新鮮な物語として楽しめそうだ。
　内容はまさに王道のファンタジー。RPGを彷彿とさせる物語で、随所に子供達が大好きなギャグも散りばめられている。また、お調子者の勇者ニケと、天真爛漫な少女ククリの淡い恋も外せないアクセント。これまでは日本アニメーションが制作していたが、新作はProduction I.Gが手がけており、魔法の演出などがどうなるかも気になるところ。懐かしくも新しい冒険の始まりだ。

【 ようこそ実力至上主義の教室へ 】

(C)衣笠彰梧・KADOKAWA刊/ようこそ実力至上主義の教室へ製作委員会

公式サイト：

http://you-zitsu.com/

【あらすじ】
　希望する進学、就職先にほぼ100%応えるという全国屈指の名門校・高度育成高等学校。最新設備はもちろん、毎月10万円の金銭に値するポイントが支給され、髪型や私物の持ち込みも自由。まさに楽園のような学校。
　だがその正体は優秀な者だけが好待遇を受けられる実力至上主義の学校だった。ある理由から入試で手を抜いた結果、主人公・綾小路清隆は、不良品が集まる場所と揶揄される最底辺のDクラスに配属されてしまう。
　同じクラスで成績は優秀だが性格に超難ありの美少女・堀北鈴音、気遣いと優しさでできた天使のような少女・櫛田桔梗らと出会うことで状況が変わっていく……。
【編集Yの解説】
　どことなく「バカとテストと召喚獣」を彷彿とさせる学園モノ。優秀な生徒は高待遇を受けられるが、そうでない生徒には厳しいという、まさに“実力至上主義の教室”。最底辺クラスに配属された主人公が、クラスメイトらと共にAクラスを目指すという物語。
　面白いのは、クラス分けが単なるテストの点数だけでなく、性格やスポーツといった面でも評価されるという事。つまり、成績が良くても性格に難があると下のクラスになってしまうという事。それゆえ、主人公の最底辺クラスには、一癖も二癖もあるクラスメイトばかり。彼らと共に、どのように上を目指すのかが見どころだ。