新世紀・Newプロジェクター展を26日開催した。
このイベントは主に業務用のビクター製プロジェクタを扱った展示会であるが、最新技術を展示しコンシューマー向け製品を含めた今後のビクター製品の方向性を見ることのできるイベントとなっていた。
●D-ILAを使った製品を多数展示
日本ビクターはD-ILAという独自の液晶を使用した反射型素子を用いてプロジェクタ製品を製造している。明るく、コントラストも高く、高精細なのが特徴となっている。今回のイベントでもこの素子を用いた製品が展示のメインとなった。
コンシューマー向けに現在発売されているものでは、リアプロジェクタのAV-D50LA2などがこの素子を用いているが、今回展示された製品は業務用のフロントプロジェクタが中心。現行製品よりも高輝度化、高コントラスト化が進み、さらに見やすくなっていることがデモンストレーションされていた。
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AV-50LA2。コンシューマー向けとしては現時点で最新のD-ILA素子採用製品 |
現行製品と参考出展品の違いをデモンストレーション |
PCからマルチリアプロジェクションへの出力。静止画もシャープに表現している |
●圧倒的な解像度のQXGAプロジェクタ
展示の目玉は参考出展されたQXGA相当(2,048×1,535ピクセル)表示のプロジェクタ。現行はSXGA(1,280×1,024ピクセル)表示の製品が最高であり、その解像度の違いは圧倒的。講演にも多くの人が耳を傾け、注目度も高かった。
会場ではD5ソースのHDVTR、1インチHDVTR、そしてBSデジタルと、3つのソースを切り替えながらデモンストレーションを行なっていたが、250インチのスクリーンに映し出された映像は、中・小規模の映画館と勘違いしそうなほど。さらに、ソースはデジタルのため、フィルム上映で感じる揺れもなく安定した映像と感じた。
製品化は年内の予定。イベントや映画館での用途を想定しているそうだが、現状1.3インチのD-ILA素子を来年には0.9インチにしてコンシューマー向けに用途を広げ、将来的には0.7インチにすることでさらなるコストダウンを目指すという。
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講演に耳を傾ける人々。暗部のS/Nをうまく処理することが課題であったという |
250インチのスクリーンに映されたQXGAの映像。確かに映画館でも使えそう |
会場には現在使用しているソースの表示も |
●プロジェクタの新しい使い方
高画質化ばかりが注目されがちだが、単純な映写以外の用途についても多くの展示があった。
8台のプロジェクタを使い、偏光サングラスを通して見せる3D映像の展示はなかなかの迫力。ほかにもホワイトボードに映る映像とリンクして入力できる装置など、プロジェクタならではの用途も展示していた。
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偏光サングラスをかけると迫力の映像に。イベントやCADデータから3D映像を見る、といった用途を考えているという |
ホワイトボードに映された映像を見ながらペンでホワイトボードに書き込むと、PCにもペンで書いた内容が反映される |
最近駅などで見かけるようになったリアプロジェクションスクリーン。お店の窓に設置すれば動くポスターに |
特に注目されるのは、複数台のプロジェクタを同じスクリーンに映すときブレンドエリアに出る“ぼやけ”をなくす機器。現状のプロジェクタでBSデジタルなどの高解像度ソースはリアル表示できないが、この技術を使って複数のプロジェクタ映像を重ねればフルスペックで再現できる。
価格面などの制約から現在は業務用途のみでコンシューマー向けは想定していないそうだが、「出荷台数が多ければ考えてみる」とのことで、今後が気になる技術である。
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通常、2台のプロジェクタを使用すると、ブレンドエリアだけ明るくなってしまう |
新技術を使用すればブレンドエリアが目立たず、1台のプロジェクタで映写しているように見える |
●プラズマディスプレイも展示
展示はプロジェクタ製品がほとんどであったが、プラズマディスプレイ製品も出品されていた。
現在発売中のAV-42PD1の隣には業務用製品が置かれていた。ユニークなのはディスプレイを縦型にし、区役所でのインフォーム用途に実際に使用しているシステムの紹介。近距離から見るとかなりの情報を一度に見られて便利かもしれない。
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発売中のAV-42PD1 |
縦になったプラズマディスプレイ。ラインナップは42型と50型の2モデル |
□日本ビクターのホームページ
http://www.jvc-victor.co.jp/
□新世紀・Newプロジェクター展
http://www.jvc-victor.co.jp/pro/event/newprojector/index.html
(2001年1月26日)
[fujiwa-y@impress.co.jp]