ローランド、2002年春の新製品展示会を開催
―CD-R/RWドライブ搭載のAudio Workstationなど


2月7日開催



 ローランド株式会社は7日、東京・渋谷で春の新製品発表会を行ない、「Roland」、「EDIROL」、「BOSS」の3ブランド20種類以上の製品をリリースした。いずれの製品も、そのほとんどが1月にロサンゼルスで開催されたNAMM2002で発表されたものだが、国内では初の正式発表となる。

 デジタル・オーディオ・ワークステーション(DAW)「VSシリーズ」の最新製品を中心に、さまざまなものが発表されたが、今回はその中から主なものを紹介する。なお、「MA-5A」以外は今月発売となっている。


■ CD-R/RWドライブ搭載、外部画面でマウス操作ができる「VS-2480CD」

Roland VS-2480CD

標準価格:オープンプライス
店頭予想価格:328,000円前後



 ミキサーおよびHDDを内蔵し、単体で高品位なレコーディングが行なえるローランドの「VSシリーズ」。初代のVS-880の登場以来、世界中で20万台の出荷という大ヒットシリーズだが、その最高峰にあった「VS-2480」がバージョンアップするとともに、CD-R/RWドライブ内蔵のモデルが登場した。

 今回登場した「VS-2480CD」には、CD-R/RWドライブとともに、3.5インチ80GBのHDDを標準装備された。基本的なハードウェアは従来どおりで、24トラック構成での24bit/96kHzを実現している。

 ミキサーとしては、17本のムービングフェーダーを搭載し、64チャンネルのデジタルミキサーという非常に贅沢な設計であり、最大8トラックの同時録音/同時再生が可能になった。これは、そのままレコーディングスタジオで利用できるプロ用のスペックだ。

 さらに、最大でステレオ8系統同時使用可能な専用DSPによる強力なエフェクトも装備しており、リバーブ、コラース、コンプレッサ、ディレイ……と一通りのエフェクトが使用できる。

 それに加え、今回Ver.2.0にアップグレードしたことにより、外部モニタ出力によるマウスコントロール操作が可能になった。これにより、プレイリスト上での波形表示、ドラッグ&ドロップによる編集や、チャンネル・ビューでのEQやダイナミックスのカーブをマウスで直接エディットコントロールできる。

 さらに、本体内蔵のすべてのパラメータもグラフィカルに調節可能になっており、PC感覚での操作ができるようになった。

 また、録音した各フレーズに個別のレベルおよびフェード・イン/アウト情報を追加でき、最大9種類までのオートミックスのバリエーションを各プロジェクトに保存可能。

 標準搭載されたCD-R/RWドライブは4倍速書きこみ、24倍速読み出しというスペック。VS-2480でレコーディングしたデータを音楽CDとして焼くことはもちろん、データのバックアップ用としても利用でき、音楽CDからのリッピングも行なえる。

□VS-2480CDの製品情報
http://www.roland.co.jp/products/mi/VS-2480CD.html


■ 20GB HDDとCD-R/RW搭載の低価格DAW「BOSS BR-1180CD」

標準価格:オープンプライス
店頭予想価格:79,800円前後

 RolandブランドのVS-2480CDがデジタル・オーディオ・ワークステーションとして最高スペックのプロ仕様であるのに対し、BOSSブランドの「BR-1180CD」は低価格なパーソナルユースのシステムだ。

 こちらは20GBのHDDを標準装備するとともに、ノートPC内蔵ドライブサイズのCD-R/RWドライブも内蔵する(CD-R/RWドライブなしの59,800円の「BR-1180」もラインナップ)。これ1台で録音からミキシング、マスタリングCDライティングまでが可能となっている。

 レコーダとしては10トラックの構成で、それぞれのトラックに8バーチャル・トラックを搭載。第9、第10トラックはマスタリング専用トラックとしても利用可能となっている。

 VSシリーズとの違いは、入力バスがないため、入力時でのバスアサインなしに、直接各トラックへレコーディングするという点。またトラック数もVS-2480と比較すると少ないが、パーソナルユースという面では十分な機能・性能を持っている。

 さらにエフェクトとしては、リバーブ、コラース、ディレイといった一般のエフェクトのほか、ギター/ベース・アンプ、スピーカー、マイクのモデリングをはじめ、新開発のコンプレッサ・モデリングを搭載するなど非常に強力である。また本体でのパターン入力が可能なPCMステレオ・ドラム音源によるリズムトラックを内蔵していたり、CD-R/RWドライブからオーディオデータを取り込み、ループフレーズとして使うことができるなど、ユニークな機能が満載されている。

 誰が利用してもいいが、とくにギタリスト、ベーシストにとっては強力なツールとして利用できるオールインワンマシンといえそうだ。

□BR-1180CDの製品情報
http://www.roland.co.jp/products/boss/BR-1180.html


■ 5.1ch再生に対応したUSB接続オーディオインターフェイス

EDIROL UA-3D

標準価格:オープンプライス
店頭予想価格:19,800円前後



 コンピュータ・ミュージック、DTM関連のブランドであるEDIROLから、今回は3製品登場。その中でも、「UA-3D」。

 これは従来からあったUSBオーディオインターフェイスである「UA-3」の後継だが、従来からのデジタル入出力(端子はS/PDIFオプティカル)が、新たにドルビーデジタル/DTSによるデジタル出力にも対応した。たとえば、DVDドライブ搭載のPCにUA-3Dを接続し、オプティカルケーブルをAVアンプなどに接続することで、5.1ch再生が可能になる。また、それに対応するソフトウェアDVDプレーヤー「WinDVD Ver3.1」を添付している。

 その他のスペックはUA-3Dと変わらず、ギターをダイレクトにレコーディングできるギター入力端子、コンデンサマイク/ダイナミックマイクに接続できるマイク入力端子、ステレオ入出力可能なライン入出力端子、オプティカルのS/DPIF入出力端子を備え、サンプリングレートは32/44.1/48kHzに対応する。



■ ライブ会場やクラブなどでプロレベルのVJを実現

DV-7PR

EDIROL DV-7PR

標準価格:オープンプライス
店頭予想価格:698,000円前後



 今回の新製品発表会の中で、やや異色な存在がこの「DV-7PR」。なぜなら、ほかがすべて楽器やレコーディングなど音楽関連の製品であるのに対し、これだけはビデオ製品だからだ。

 Roland/EDIROLでは以前から、こうしたビデオ製品を開発してきていたが、このDV-7PRは映像・音声のリアルタイム処理機能を持つ既存製品「DV-7R」のハードウェアをベースに、「DV-7プレゼンター(映像再生/スイッチング機能)」と、「DV-7エディター(DV-7Rの編集機能)」の2つの機能を兼ね備えたもの。

 そもそも、このDV-7Rというのは高品位なビデオ制作を可能にしたノンリニア編集機であり、映像、映像・音声素材の取り込み、タイトル、編集、加工、ビデオ出力まで、すべての工程の編集ツールを統合化している。DV-7PRでは、さらに映像+音声のDV素材をリアルタイムに再生/スイッチングできるようになった。映像再生/スイッチング機能のコントロール画面では、7×4本あるいは8×4本のDV素材(=クリップ)を20のパレットに配置し、最大640本のクリップから瞬時に再生、スイッチングすることができる。

DV-7PRの操作画面

 また、その制御には付属のマウスやキーボード、専用のコントローラである「DV-7C」が利用できるほか、RS-232C経由での制御、さらにはMIDIを介して、MIDIキーボードからコントロール可能と、非常に多彩な操作ができる。

 こうした機能を利用することで、ステージでVJ的な映像演出をおこなったり、展示会などでのプレゼンテーションに利用するなど、さまざまな用途が考えられる。



2系統アナログ入力、2トーンコントロール装備の小型モニタスピーカー

MA-5A

EDIROL MA-5A

標準価格:オープンプライス
店頭予想価格:7,000円



 これまでRoland/EDIROLブランドでパソコン、ミニコンポに接続できる小型モニタスピーカーがいろいろ発売されてきた。今回発売される「MA-5A」は、2系統のアナログ入力を持ち、ベース、トレブルの2トーンコントロールを装備した製品。発売は3月の予定。

 5W×2chのアンプを内蔵し、7cmのフルレンジスピーカーをバスレフ方式で使用している。RCAピンタイプとステレオ・ミニタイプの2系統のアナログ入力端子を備えており、片方にPC、片方にCDプレーヤーといった接続も可能。

□MA-5Aの製品情報
http://www.roland.co.jp/products/dtm/MA-5A.html


■ XV-5050の膨大なパラメータをコントロールするソフト

VX-5050エディター
(無償ダウンロード可)



 製品というわけではないが、先日発売になったRolandのシンセサイザ・モジュール「XV-5050」をコントロールする音色エディタが登場した。

 XV-5050は、EDIROLの「SD-90」と音源方式が共通のシンセサイザであるが、パラメータが膨大なだけに本体だけのエディットは困難であった。そこで登場してきたのがこのエディタだ。

 ウェーブ・ジェネレータ、TVF、TVAなど音作りのセクションごとにウィンドウを区分、使用頻度の高いパラメータの設定はメイン・ウィンドウで、さらに詳細なエディットはサブウィンドウで行えるなど、ユーザーインターフェイスにかなり配慮した設計になっている。また、各パラメータはMIDI接続された外部のスライダやつまみを割り当てることで、直感的な操作を実現した。

 エディット内容は、パソコンと接続されたXV本体にMIDIメッセージとして送信され、VX本体では常に画面と同じ状態に保つことができる。

 なお、このWindows/Macintosh対応のエディタは、2月下旬以降に出荷されるXV-5050に同梱されるほか、ローランドのホームページからもダウンロードできるようになる。


RMP-1

 今まで紹介した製品以外にも、高性能アナログ回路とCOSMマイク・モデリング、エフェクトを搭載したマイクプリアンプ「Roland MMP-2」(店頭予想価格:33,000円)、ドラムのトリガー信号をMIDI信号に変換する「Roland TMC-6(店頭予想価格:23,000円)、リズムのタイミングを測定し指導するリズムトレーニング専用機「RMP-1」(店頭予想価格:27,000円)、DTM用としても演奏用としても利用できる76鍵のMIDIキーボード・コントローラ「Roland A-37」(店頭予想価格:50,000円)ほか、各種キーボード類、ギターエフェクト、ベースエフェクトなどなどがリリースされた。

 今まで、コンピュータ・ミュージック、DTM関連のEDIROLブランド製品はあまりなかったが、春ごろには、かなりの数を揃えて登場させるとのことだったので、期待したいところだ。

□ローランドのホームページ
http://www.roland.co.jp/

(2002年2月8日)

[Reported by 藤本 健]

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