ソニーや松下など9社が、光ディスクレコーダ規格「Blu-ray Disc」を策定
―青紫レーザーを使用し最大容量27GB、来春にライセンス開始予定


2月19日発表


 株式会社日立製作所LG電子株式会社松下電器株式会社パイオニア株式会社ロイヤル フィリップス エレクトロニクスサムスン電子株式会社シャープ株式会社ソニー株式会社、トムソン マルティメディアの9社は19日、波長405nm(青紫)レーザーを使用して、12cmディスクの片面1層に最大27GB容量の相変化記録が可能な、ビデオレコーダ規格「Blu-ray Disc」の仕様を策定したと発表した。

 2002年の春ごろをめどにライセンスを開始する予定。なお、商品化については、「これからの煮詰めが大切」とし、各社とも具体的な日程は明かさなかった。

 「Blu-ray Disc」規格は、405nmの青紫色レーザーを使用し、対物レンズの開口数(NA)を0.85とすることにより、ビームスポットを微小化。さらに、レンズの高開口化に対応した0.1mm厚の光透過保護層のディスク構造を採用した。保護層を薄くすることで、ディスクの傾きによる収差を低減し、読み取りエラーを低減し、記録密度の向上を図っている。

 ディスクの記録トラックピッチは、DVDの約半分となる0.32μmとし、ディスク片面に最大27GBを記録できるようになった。なお、容量は23.3/25/27GBの3種類が用意されており、「ディスク製造の精度やコストにより、各メディアメーカーにどの容量を製造するか選んでいただきたい。ただし、ハードウェアについては、3種類のメディア全てを使えるようにしたい」という。なお、ディスクはカートリッジ構造となっている。

 映像の記録には、現在BSデジタルなどで使用している「MPEG-2 トランスポートストリーム(TS)」を使用する。データ転送速度もDVDの3倍以上となる最大36Mbpsとなっており、BSデジタルハイビジョン放送などのストリームを、そのまま記録することができる。27GBのディスクには、デジタルハイビジョン放送であれば2時間以上、標準テレビ放送では13時間以上の記録が可能。なお、ディスクには、あらかじめユニークなIDが書き込まれており、これを使って著作権保護機能も実現できる。

 今回発表された仕様は、映像用の片面1層の書き換え型のみだが、今後は片面1層30GB以上や、そう遠くない将来に片面2層も実現できるだろうという。また、将来的にはコンピュータ用データストレージや、ハイビジョンパッケージソフトなども考えているという。

 なお、「Blu-ray Disc」はDVD-R/RW/RAMとは異なりDVDフォーラムで策定されたものではない。つまり、DVDとまったく異なるフォーマットともいうことができ、規格上では従来のDVDとの互換性も規定されない。しかし、「技術的には、従来のDVD用のピックアップも搭載することで容易に対応可能。商品としては、ほとんどのBlu-ray DiscレコーダがDVDに対応するだろうとしている」。

 また、DVDフォーラムでも青色レーザーを使った次世代DVDの開発が進められているが、「DVDフォーラムより先に技術的な完成のめどが立ったので、商品化を進めることにした」という。そのため将来的には「Blu-ray Disc」と、DVDフォーラムの青色レーザーを使った次世代DVDの両方が市場に登場する可能性もある。

 「やっと立ち上がり始めたDVD市場をつぶすことにならないか?」という質問に対しては、「従来のDVDはNTSC(PAL)用、Blu-ray Discはハイビジョン用という住み分けが可能と考えている」とした。さらに、DVD-RAMを推進する松下は、「現在の記録型DVDのフォーマットが3つにわかれている現状は、よくないと認識している。Blu-ray Discから始まる次世代規格でそれらの違いを吸収していきたいと思う。また、DVDレコーダを購入される方には、将来も安心であるとPRしたい」と、従来フォーマットに対する気配りを見せた。

 最終的には、従来型のDVDビデオや、DVD-R/RW/RAMへの対応は、Blu-ray Discレコーダを製造する各メーカーに任されることになる。また、注目されるのは今回発表された策定会社に、先週末に一部全国紙で報道されたときに含まれていた、DVDフォーラムの主要メンバーの1社である東芝が含まれていないことだろう。このことからも、Blu-ray Discが、DVD規格とは別の流れであることが伺える。

【主な仕様】

  • 記録容量:23.3/25/27GB
  • レーザー波長:405nm(青紫色レーザー)
  • レンズ開口数(NA):0.85
  • データ転送レート:36Mbps
  • ディスク直径:120mm
  • ディスク厚:1.2mm(光透過保護層厚:0.1mm)
  • 記録方式:相変化記録
  • トラック方式:グルーブ記録
  • トラックピッチ:0.32μm
  • 最短ピット長:0.16/0.149/0.138μm
  • 記録面密度:16.8、18.0、19.5Gbit/inch2
  • 映像記録方式:MPEG-2ビデオ
  • 音声記録方式:AC3、MPEG-1 Layer2ほか
  • 映像音声多重化方式:MPEG-2 TS
  • カートリッジ寸法(幅×奥行き×高さ):約129×131×7mm

□シャープのホームページ
http://www.sharp.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/020219.html
□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200202/02-0219/

(2002年2月19日)

[furukawa@impress.co.jp]

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