日本版XboxのDVD再生機能を検証
~北米版と機能は同じ、PAL-NTSC変換出力が可能~



 2月22日、マイクロソフト株式会社がついに日本でも「Xbox」を発売した。1月にAV Watchでも北米版XboxをDVDプレーヤーとして機能を検証したが、今回は日本語版で改めてXboxのDVDプレーヤーの機能を検証した。


北米版と日本版の違いはほとんどなし

 予想通りともいえるが、基本的には北米版との違いはほとんどない。標準のパッケージでは「標準AVケーブル(コンポジット+アナログステレオ音声)」のケーブルを同梱。日本のみでの限定販売となったSpecial Editionには、「XboxコンポーネントAVパック」(3,000円)が付属している。

 XboxコンポーネントAVパックには、色差(RCA×2)、ステレオ音声(RCA×2)、光デジタルコネクタを装備する。マクロソフト純正品でコンポーネント出力や、光デジタル出力が可能なのは、XboxコンポーネントAVパックのみなので、本格的にDVDプレーヤーとして使用するにはこのパックが必須といえる。

 また、DVDプレーヤーとして使用するには、オプションの「Xbox DVD ビデオ 再生キット(3,800円)」も必要になる。DVD ビデオ 再生キットの北米版との大きな違いは、パッケージが頑丈なブリスータパックから、紙のパッケージに変更されたこと。これにより、子供でも容易に開けられるようになった。

 パッケージ内容は、リモコン、受光部(リモコンレシーバ)、取扱説明書。取扱説明書は12ページで、全ての漢字に振り仮名が振られている。また、北米版には入っていなかったリモコン用の単4乾電池2本も同梱されていた。ちなみに電池はRCAブランド。

本体の大きな変更点として、システム情報にK(カーネル?)、D(ドライバ?)のリビジョンが表示されるようになった 「Xbox DVD ビデオ 再生キット」。ブリスターパックから紙パッケージになった。また、北米版では前面に大きく表記されていたリージョンコードが、日本版では背面に書かれている

北米版と日本版のリモコンに違いは見受けられなかった。リモコンコードも同じ 受光部の形状は北米版から変更されていない。しかし、背面のシールのPart No.が北米版「X08-25387」、日本版「X08-25402」という違いがある。

12ページの取扱説明書。全ての漢字に振り仮名がふられている 付属の単4電池。日本ではあまり見かけないRCAブランド


機能も北米版と変わりなし

 DVDプレーヤーとし使うには、リモコンに電池を入れ、受光部をコントローラ端子に差し込むだけ。後はDVDビデオのディスクをトレイに入れればいい。コントローラ端子は1~4のどこを使っても問題ない。

 結局、機能については、北米版とまったく同じだったので、詳しい機能は北米版のレポートを参照いただきたい。2/4/8/16/32倍速の早送り/巻き戻し、1/2、1/4、1/8のスロー再生が可能。もちろん、数字入力により、チャプタジャンプもできる。さらに、A-Bリピートや、2/4/6/8/10倍のズーム機能を搭載している。動作はプレイステーション 2に比べかなり機敏で、専用機にかなり近い。

 なお、リモコン(送信機)はデザインなども全く同じで、日本版の受光部を装着して、北米版のリモコンで操作することもできた。

 なお、北米版同様、本体の設定をD2~D4対応に変更しても、DVDプレーヤーが出力できのはD1(480i)のみだった。起動からDVDビデオ再生までの時間も、電源OFFからでは約18秒、トレーオープンからだと約20秒とほぼ同じ。

 北米版のときと同じように、書き込みできるDVDメディアの再生についても検証した。その結果は、北米版とかわらず、DVDビデオ規格で書き込んだものについてはDVD-R、DVD-RW、DVD+RWを再生できた。なお、ビデオCDについては、市販(プレス)のものでも再生できない。また、コピー対策だと思われるが、根本的にCD-Rに対応しておらず、CD-DAを書き込んだCD-Rも読み込めない。

【書き込みメディアの再生結果】
メディア及びフォーマット再生状況
DVDビデオ規格DVD-R
DVD-RW(Ver1.1)
DVD+RW
DVD-RAM×
DVDレコーディング規格DVD-RAM×
DVD-RW(Ver1.1)×
※この動作結果は、あくまでチェックした個体での動作状況であり、全ての製品の動作・非動作を保証するものではありません。また、編集部では個別の動作状況についてお答えできません。ご了承ください。


日本版も分解

■■ 注意 ■■

  • 分解/改造を行なった場合、メーカーの保証は受けられなくなります。
  • この記事の情報は編集部が購入した個体のものであり、すべての製品に共通するものではありません。
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  • AV Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません。

 DVD再生キットの要となる受光部を、北米版と同じく分解した。基板を比較してみると、基板の色以外はまったく同じで、主要パーツは赤外線受光ユニット、水晶発振器、ロジックICとしてPhilips製のHC574、ST Microelectronics製のFULL SPEED対応USBコントローラ「ST92163」、MXICの4MbitマスクROM「MX23C4000TC-10」。その他には、周辺回路として、抵抗やコンデンサーがいくつか使われている。

 これらのことから、リージョンコードがジャンパなどで設定されているわけではなく、ROMに書き込まれていると推測される。

左の色が薄い基板が日本版。右の色が濃い基板が北米版。基板の色以外はほぼ同じ 唯一の違いはクリスタルの印刷。日本版には「H8.000L1」、北米版には「H8.000F1」と印刷されている


気になるリージョンコード

 GAME Watchのレポートで明らかにされているが、Xbox本体には一番最初に挿して起動したDVD再生キットの受光部のリージョンが設定されるようだ。今のところ、一度設定された本体のリージョンコードを、エンドユーザーが変更する方法はなく、有償修理(最低8,900円)扱いとなるので注意したい。なお、DVDプレーヤーのリージョンコードと、ゲームのリージョンとの間に関係はなかった。

 一度、本体にリージョンが設定されると、その設定にあった受信ユニット以外ではDVDプレーヤーを起動できなくなる。つまり、DVDプレーヤーの起動プロセスは、[カーネル起動]-[DVD受光部の有無をチェック]-[DVD受光部と本体のリージョン設定のマッチングをチェック]-[DVDディスクとXbox本体とのリージョンのマッチングをチェック]となっているようだ。

 そのため、一度リージョン1に設定したXboxにリージョン2の受光部を挿すと、DVDプレーヤー自体が起動しない。つまり、リージョンオール(=0)のディスクすらも再生できないことになる。

受光部を挿していない場合のエラーメッセージ。北米版では「DVD再生キットレシーバ」だったのが、「DVDビデオ再生キットレシーバ」に変更されている 受光部と本体のリージョンコードがマッチしない時のエラーメッセージ 受光部と本体のリージョンが合致したが、DVDビデオのリージョンとマッチしない時のエラーメッセージ

 また、プレーヤー側のリージョンが2になったということで、欧州で発売されているPAL収録のDVDディスク(リージョンコード2)を再生してみた。もちろん、DVD再生キットの説明書には再生できる条件に「リージョン2または、ALLで、NTSCと書かれたDVDビデオであること」と明記されているので、再生できないと予想していた。

 しかし、驚くことにNTSCに変換して出力され、コンポーネント出力もNTSCで出力されている。ただし、設定項目に「NTSC」や「PAL」といった項目はないので、PALをそのまま出力することはできず、必ずNTSCに変換されることになる。

 この機能は、PALのメイン市場である欧州のリージョンコードと同じ、日本版だからこそ活用できるといえる。ただし、保証外の動作なので、すべてのXbox、あるい今後もこのPAL-NTSC変換機能が搭載されるとは限らない。

 なお、北米版でも試したように、DVDビデオ再生中に受光部を抜くと、「リモートレシーバユニットを挿入してください」というエラーメッセージが表示され、再生が停止する。受光部を挿しなおすと、停止したところからレジュームする。

 ちなみに、エラーメッセージが表示されたところで、リージョンコード1の受光部を挿すと、普通に再生が開始された。受光部のリージョンチェックは起動時にしか行なわれていないようだ。

 また、受光部を2個以上挿した場合は、ポート番号が若い方が優先された。


さて、DVDプレーヤーとして買いか?

 本体が34,800円、DVD再生キットが3,800円。標準価格ベースではあわせて37,800円になる。さらに、コンポーネントAVパック(3,000円)を買い足すと、4万円を超えてしまう。

 一方、何かと比較されることが多いプレイステーション 2は本体が29,800円。それに、リモコン(3,500円)とコンポーネントAVケーブル(2,500円)を買い足すと35,800円になる。その差5,000円で、ゲームもできるDVDプレーヤーというカテゴリーでは、プレイステーション 2の方が安い。

 もちろん、ハードウェアとしてみれば、XboxにはHDDとEthernet標準搭載というアドバンテージがある。結局のところ、どちらもDVDプレーヤーの機能だけでは、価格に見合う性能はないことは明らかなので、「遊びたいゲームがある方を選ぶ」という、当たり前の選び方になるだろう。

 ただ、基本的なDVDプレーヤーとしての機能にはあまり差がないものの、XboxはDVD+RWの再生や、NTSC-PAL変換機能(プレイステーション 2はPALディスクを再生すらできない)といった、一部の人には嬉しい機能が搭載されている。その機能が欲しい場合は、Xboxを選ぶということになるだろう。

(c) 2002 Microsoft Corporation. All rights reserved.

□Xboxのページ (和文)
http://xbox.jp/
□Xbox用周辺機器のページ
http://xbox.jp/about/perif.html
□関連記事
【2月22日】日本版Xboxファーストインプレッション(GAME Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20020222/xbox.htm
【1月7日】北米版XboxのDVD再生機能を検証
 ~ プログレッシブ出力には非対応 ~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020107/xbox.htm
【2001年10月19日】Xboxファーストインプレッション
 「メニューから起動画面まで細かくチェック」(GAME Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20011119/xbox.htm
【2001年8月27日】Xbox、2月22日発売! 価格は未定
 DVD再生キットは別売で提供(GAME Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20010827/xbox_01.htm
【2000年12月22日】プレステ2専用純正DVDリモコンが発売開始 (PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20001222/ps2r.htm
【キーワード】ドングル (dongle)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980513/key29.htm#dongle

(2002年2月25日)

[furukawa@impress.co.jp]

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