Corona(コードネーム)は、Windows Mediaの3世代目にあたるオーディオおよびビデオのコーデックや、エンコーダ、SDKの総称。現在、β版が試験運用されている段階にあり、正式版は2002年度内に提供される。 今回のプレゼンテーションで提示されたAV面でのポイントは、5.1chサラウンド再生と96kHz/24bitオーディオのサポート、720p映像のストリーミング配信の可能性。ファイルサイズを従来の3分の1できるためで、これらにより「ホームシアター並みの品質をストリーミングで実現する」(Dave氏)としている。なお、NVIDIAがCoronaのサポートを4月に表明しており、製品化されれば1080pでの表示に対応するという。
古川氏が解説したのは、Windows Mediaを使ったMicrosoftのメディア戦略。ブロードバンド環境の普及により、ストリーミングの品質や、再生環境が多彩になることを挙げ、Windows Mediaプラットフォームが、多くの支持を受けていると報告した。それによると、Windows Media Playerは全世界3億5,000万本を配布し、DRM(Digital Rights Management:著作権管理)は米国5大メジャー映画スタジオが採用。さらに、DVDプレーヤーやカーオーディオなど、WMAをサポートしたハードウェアが100機種以上発売された説明した。 さらに、Windows Mediaを軸にした新規ビジネスとして、エイベックス株式会社、NTT東日本株式会社、ソニー株式会社、ニフティ株式会社との提携および協業もアナウンスした。 エイベックスとの提携はこれで2件目となり、今回は新譜のオンラインダウンロード販売「@MUSIC for WMA」を7月1日より開始することを発表。サービス開始時に100曲、8月末には660本の楽曲を提供する。また、ISP課金に対応することで、幅広い層に向けたビジネスを目指すという。詳しくは「エイベックス、WMAによる有料音楽配信を7月1日に開始」に掲載している。 ソニーとの提携は、バイオユーザーを対象にしたeラーニングサービス「VAIO Cyer Seminar」というもの。Windows Mediaを使用した解説映像をストリーミング配信するというもので、秋以降に企業向け直販営業のサービスの1つとして開始し、その後コンシューマモデルに展開するという。ニフティとの提携は、ストリーム配信用サーバーを個人向けに提供するというサービスで、Windows Mediaを使った高品質、低価格な配信を実現できるという。
NTT東日本とは、FTTHサービスの「Bフレッツ」を利用したハイビジョン映像の配信を共同で行なう。これはCoronaを使用した最初の配信例で、配信映像の解像度は1,280×720ドット。ビットレートは約6Mbpsになるという。また、音声は5.1chで送信される。まずはStreaming Media Japan 2002の会場へ配信するデモを行ない、次に家電量販店などへの配信を順次開始するという。 古川氏はDRMについても時間を割き、「誰から配信されて、どこを経由して、どこでも課金処理できる」ことを「信頼できるメディア」と位置付けた。また、質疑応答の際には、「ここで生まれたDRMを、オンライン文書管理に活かすことも考えられる。DRMにより、閲覧できるユーザーが限定できる」と説明。コピーコントロールCDについては、「こういった製品への保護機能の付加は、著作権がはっきりすることで、いままで以上に流通に適するようになるだろう」とコメントした。 DAVE氏は、Coronaに関する概要を説明した。Coronaでは「Fast Stream」(高速性)、「Home Theater Experiences」(ホームシアターを実現する品質)、「Improved Economics」(経済効果)、「EXtensible Platform」(拡張性)の4つを主な機能としている。 このうちFast Streamは、バッファリングなしの即時再生、早送り・巻き戻し時やストリーム切り換え時の高速応答性、ストリーミングの中断の根絶、帯域コストの低減、帯域の狭いワイヤレスネットワークへの対応を掲げている。 デモも行なわれたが、テレビのチャンネルのようにストリームが瞬時に切り替わるなど、ユーザーのこれまでのストリーミングのイメージを変えうるものだった。また、ストリーム再生中にLANケーブルを数秒間抜いても映像が途切れないといったデモも行なった。
さらに、プレゼンテーション会場に設置された三洋電機製のプロジェクタ「LP-XG5000」を使い、1,280×720ドット、5.1chサラウンドによる「ダイナソー」の投影が行なわれた。もちろんCoronaをストリーミング再生したもので、コマ落ちもなく、プロジェクタによるものと思われる黒浮きが気になった以外は、安定した再生だった。ただし、実際には機材の関係で1,024×768ドットによる投射だったという。 なお、具体的な商用配信のスケジュールについては明示されず、DRMについては、「コンテンツプロバイダ次第でどんな形態にも合わせられる。3日で消すこともできるし、一生消えないが5回までしか再生できないようにすることもできる」(古川氏)との説明があった。
なお、Streaming Media Japan 2002の展示会場では、ヤマハ株式会社のホームシアター製品とパイオニア株式会社のプラズマディスプレイを組み合わせた、Coronaの720p再生デモが行なわれていた。 また、MicrosoftのブースにはWMVとWMAの対応機器が並べられ、その中には1月23日に開発発表された松下電器株式会社の「ブロードバンドテレビチューナー」が展示されていた。これは、株式会社ISAOが9月に開始する「ONTV JAPAN BB」(仮称)用の機器。ただし、今回はストリーム再生は行なわれず、内蔵HDDにストレージした1MbpsのWMVを再生しているだけだった。正確な発売日や価格もまだ未定だという。
□マイクロソフトのホームページ (2002年6月6日) [orimoto@impress.co.jp] |
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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp