VR製品を集めた「産業用バーチャルリアリティ展」が開幕
―フラットパネルディスプレイ製造技術展も併催


会期:7月3日~7月5日

会場:東京ビッグサイト

入場料:5,000円



   企業向けバーチャルリアリティ製品の展示会「産業用バーチャルリアリティ展」が、東京ビッグサイトで開幕した。期間は7月3日から5日まで。主催はリード・エグジビション・ジャパン株式会社。入場料は5,000円。

 展示内容はプレゼンテーション用の3Dディスプレイシステムや、アトラクション施設での使用を想定した大型のものがメイン。コンシューマレベルの製品はほとんどないが、AV Watchの視点から、気になる展示をピックアップしてレポートする。

 株式会社タイムロードのブースでは、立体音場生成システムが展示されていた。「Hurin(ヒューロン)」と呼ばれるこのシステムは、PC上の3Dグラフィックをコントロールすると、自分の位置や角度といった情報がTCP/IP経由でヒューロンに送られ、画面とシンクロした立体音場が生成される。4chのマルチチャンネルスピーカーを接続できるほか、ヘッドフォンにも対応する。主な用途は3DCADのプレゼンテーションなど。

 また、同ブースには音楽収録現場での使用を想定した、5.1chサラウンド用のモニタリング・ヘッドフォンアンプ「Theater Phone HSM6240」も展示されていた。5.1chと2ch入力に対応し、ドルビーヘッドフォン用のプロセッサを搭載。部屋の大きさによる3段階の音場シミュレーションモードを選択できる。スペースや騒音の問題で5.1chのモニタリングができないスタジオでのサブモニタとして使用される。

 株式会社島津製作所のブースでは、ウェアラブルPC用の小型単眼ヘッドマウントディスプレイ「Data Glass 2」のデモが行なわれていた。解像度はフルカラーのSVGA(800×600ドット)。60cm先に約13インチのモニターを見ているイメージが得られるという。

タイムロードの「ヒューロン」。ゲームパッドで3D画面をコントロールすると、音場が変化する 5.1ch対応のサラウンド・モニタリング・ヘッドフォンアンプ「Theater Phone HSM6240」 島津製作所の「Data Glass 2」。接続されているウェアラブルコンピュータは、ザイブナーの「Mobile Assistant V」

 株式会社ルミエールでは、参加型のバーチャル・リアリティ・システム「MANDALA」を展示。専用のカメラの前に立つだけで、画面の中に自分の映像を取り込むことができる。教育やエンターテイメントでの使用を目的としており、会場ではサッカーゲームの中に入り込むデモを行なっていた。

 参加型のバーチャル・リアリティ・システムは、キヤノン株式会社のブースでも展示されている。「MR Platform System」はCCDカメラを内蔵したヘッドマウントディスプレイ(HMD)を使い、利用者の視線をコンピューター内に取り込み、仮想のCG映像と合成してHMDのディスプレイに表示するシステム。見ている現実世界に、CGオブジェクトが実在するかのように登場する。また、HMDはキューブ型のモーションセンサと連動しており、頭の動きと画面がシンクロしている。

参加型バーチャルシステム「MANDALA」。サッカーやホッケー、アクションゲームなどが楽しめる 同じくルミエールのブースに展示されていた「バーチャルマウス」。 U型のフレームの中に手をかざし、画面に表示されたポインタを動かすことができる キヤノンの「MR Platform System」。写真に上部のディスプレイに、ヘッドマウントディスプレイを付けた人の見ている映像が表示されている

 株式会社キャドセンターのブースでは、光学式タッチパネルシステム「NEXTRAXTM」が展示されている。プラズマや液晶、リアプロジェクションなどの各種ディスプレイに対応するほか、複数の接触も同時に感知できる。遊戯施設での使用を想定しており、会場では、両手で集めた光を使って鳥をつかまえるデモンストレーションが行なわれていた。

 参加型のバーチャル技術が多く見られる中、従来からの3D表示システムも進化している。日本バイナリーの「Vision Station」は180度の半球ドーム型を採用したディスプレイシステム。ミノルタ株式会社では、大型の半球スクリーンを使用した移動式のデジタルプラネタリウム「メディアグローブ」の展示を行なっていた。

 また、株式会社スピンのブースでは「VISSシステム」という技術を使用した劇場サイズの空間立体映像装置が展示されていた。「ステージビュー」と呼ばれるこのシステムは、床の上に設置したスクリーンにCG映像を表示し、それを舞台上に斜めに張られた透明フィルムに反射させ、虚像を発生させるというもの。

キャドセンターの光学式タッチパネルシステム「NEXTRAXTM」 日本バイナリーの「Vision Station」。180度の半球ドーム型ディスプレイに歪みのない映像を表示できるという 「ステージビュー」のデモ。右側の置き台は本物だが、オレンジ色の球体は虚像。CGと実物の俳優のリアルタイム共演も可能

 ドーム型などの特殊な形状のスクリーンの増加を見越し、株式会社理経はデジタル曲面補正専用プロセッサ「Compact U」を開発している。これはプロジェクタと接続し、球形や円錐形などのスクリーンに必要な曲面補正、エッジブレンディング等をリアルタイムで処理するプロセッサ。

 また、ホームシアター用のプロジェクタでお馴染みのバルコ株式会社も、ディスプレイシステム「Power Wall」を使用し、3D表示のデモを行なっていた。「Power Wall」は、「BARCO GALAXY」という立体視専用のDMDチップ3枚を搭載したDLPプロジェクタを3台使用したシステム。プロジェクタはSGIの「ONYX2 IR3」で制御され、キクチ科学の「リアハードスクリーン」に投影されている。繋ぎ目を感じさせない大型表示が可能とのこと。

 以上のように企業向けの展示が主体だが、多くのブースで新製品や新技術の体験コーナーが設けられているため、直接バーチャルリアリティの世界に触れて楽しめるイベントとなっている。

理経のデジタル曲面補正専用プロセッサ「Compact U」 テクネでは、QuickTimeVRの映像を立体表示する「Auto QTVR」を展示 バルコのディスプレイシステム「Power Wall」。「BARCO GALAXY」を3台使用する贅沢なシステム


■ フラットパネルディスプレイ製造技術展も同時開催

フラットパネルディスプレイ製造技術展の会場

 また、隣接する会場では、液晶やプラズマ、有機ELなどのフラットパネルディスプレイ製造に関する専門技術展「フラットパネルディスプレイ製造技術展」が行なわれている。期間はバーチャルリアリティ展と同じく、7月3日から5日まで。

 こちらのイベントも法人向けの商品がメインとなっており、基板やパネルの組み立て装置、製造用素材、製品の検査装置などが展示されている。

 パイオニアのブースでは、有機ELを使用したポータブルMDプレーヤーやオルゴール、パッシブ型エリアカラーの有機ELを使用した256×64ドットタイプの小型ディスプレイなどが参考出品されていた。


パッシブ型エリアカラーの有機ELディスプレイ 「EDEX2002」でも展示されていた、有機ELディスプレイを使用したポータブルMDプレーヤー ミラー付きの有機ELを搭載したオルゴール

有機ELディスプレイを背面に搭載した、NTTドコモ「ムーバ F504i」 IDTechは、QXGA(2,048×1,536ドット)の液晶をIBMのThinkpadの筐体に収めて展示を行なっていた 東芝松下ディスプレイテクノロジーのブースでは、液晶ディスプレイの現行ラインナップを展示した


□第10回 産業用バーチャルリアリティ展のホームページ
http://web.reedexpo.co.jp/ivr/jp/
□第12回 フラットパネルディスプレイ製造技術展のホームページ
http://web.reedexpo.co.jp/ftj/
□リード・エグジビション・ジャパン株式会社のホームページ
http://web.reedexpo.co.jp
□関連記事
【7月3日】産業用バーチャルリアリティ展が開幕
旭エレクトロニクスが「O.R.B.S」に自社開発ソフトを入れ出展(GAME Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20020703/vrexpo.htm

(2002年7月3日)

[yamaza-k@impress.co.jp]

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